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【吉川愛インタビュー】映画『ALIVEHOONアライブフーン』キャスト陣に感じた“驚き”と“車好き”だからこそ心がけたこと

  • Writer :
  • ほりきみき

映画『ALIVEHOON アライブフーン』は2022年6月10日(金)より全国ロードショー!

eスポーツドライバーの日本チャンピオンが、“現実”のドリフトレースの頂点を目指そうとする映画『ALIVEHOON アライブフーン』。日本発祥のドリフトレースをテーマに下山天監督が取材を重ね、企画構想に3年をかけた作品です。

CGに頼らないカースタント撮影によるリアルな映像で描いたカーアクションにより「最高のドリフトエンターテイメント」へと仕上がった本作。『ちはやふる』シリーズ、『帝一の國』などで知られる野村周平が主演を務めました。


photo by 田中舘裕介

このたび本作にて、ちょっと気は強いけれど、何よりチームの絆を大事にするメカニックとして主人公を支える武藤夏実役を演じられた吉川愛さんにインタビュー

ご自身も車が好きであるがゆえの映画に対する想いや、武藤夏実役を演じられるにあたって心がけたこと、吉川さんの眼から見た監督・共演者の方々について語ってくださいました。

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思わず息を呑んだカーアクションシーン


(C)2022「アライブフーン」製作委員会

──「追走」という2台の車による接触ギリギリのドリフトレースは日本発祥だそうですが、手に汗にぎるスリルと迫力を感じられる作品でした。吉川愛さんは完成した映画をご覧になっていかがでしたか。

吉川愛(以下、最初にすごいなと思ったのが、父親役の陣内孝則さんが事故を起こすシーンです。迫力があるのに、いい塩梅でぶつかり過ぎず、それでも車がきれいに粉々になっている。あのアクションシーンはすごいと驚きました。

脚本を読んでわかっていたものの、改めて映像で観た時には思わず息を呑みました。この映画を通じて、多くの方が少しでもドリフトレースへ、車へ興味を持っていただけたら嬉しいなと思いました。

「車好き」が少しでも伝わるように


(C)2022「アライブフーン」製作委員会

──本作で吉川愛さんが演じられた武藤夏実は、どのような人物なのでしょうか。

吉川:父親がドライバーを務めているドリフトレースのチームで、メカニックをしている女性です。事故をきっかけにドライバーを引退した父親の反対を押し切り、eスポーツ界で日本チャンピオンになった主人公を“リアル”のチームにスカウトします。イマドキな女の子ではないですが、かっこいいなと感じました。

夏実はメカニックなので仕事として車の整備をし、セリフに専門用語が入ってきます。また、現実でのドリフトを体験してもらうために紘一を助手席に乗せて、運転する場面もあります。

撮影に入る前に運転免許を取っておきたかったのですが、コロナ禍ということもあって、教習所は何ヶ月待ちという状況でまだ取れていません。ですが私は車を見るのが好きで、街を歩いている時などにカッコいい車を見つけると、つい目がそっちに行ってしまうタイプなので、ご覧になった方に車好きが伝わったらいいなと思い、少しでも慣れた雰囲気を出すことを意識して演じていました。

──夏実がドリフトの手本を示す場面は、元D1レディース3年連続チャンピオンの久保川澄花さんが運転されたとお聞きしました。

吉川:ドリフトの場面で使用した車は助手席にもハンドルが付いていて、久保川さんが運転してくれました。

ドリフトは初めての体験だったので、久保川さんに「ここからGがかかってきます」とタイミングごとに教えていただきました。

撮影の時も前を見ているように演じながら、視線的にはずっと横を意識し「ハンドルを右に切った」「今度は左に少し」など、久保川さんの運転の動作を目の端で追いながら真似ていました。撮影が終了したあとに、2021年のD1グランプリシリーズチャンピオンの中村直樹さんが運転する車にも乗せていただきました。

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俳優一人一人のことを考えてくれる下山天監督


photo by 田中舘裕介

──吉川さんは本作にて初めて下山天監督とお仕事をご一緒されましたが、下山監督はどのような方だと感じられましたか。

吉川:映画を撮る前に一度お会いした際に、「こういう映画を撮りたい」と下山監督のお話をうかがったんですが、車について語る時の監督の目がキラッキラに輝いていて、この映画に込めようとする愛の深さを感じられました。

また演出についても、とても細やかで丁寧なものでした。下山監督はご自身の意図をしっかり伝えた上で、こちらのことを全部理解しようとしてくださいます。例えばある場面の撮影の中で「ここ、演技として少し動きづらいです」と相談したら、すぐに代案を作ってくださいました。

そして映画の終盤での夏実の長ゼリフも、当初は台本になく現場に入る少し前に追加されたものだったので、彼女のカッコいい見せ場を作ってくださったのだと感じています。もちろんその長ゼリフが登場する場面の撮影では緊張しましたが、セリフを覚えることはつらくはなく、むしろ見せ場を作っていただけてうれしかったです。そのくらい一人一人の俳優のこともしっかり考えてくださる監督でした。

驚かされてばかりのキャスト陣


(C)2022「アライブフーン」製作委員会

──主人公・大羽紘一を演じられた野村周平さんはどのような方だと感じられましたか。

吉川:初めてお会いしたのが紘一をスカウトして車に乗せる場面だったんですが、とても車好きな方でした。私は免許を持っていないので、運転している時の動作でわからないことがあったのですが、隣でサッと教えてくれました。車で8の字を書いたり、ドリフトをしたりするのもご自身で運転され、本当に車が好きなんだなと思いました。

また紘一はちょっと暗めな男の子ですが、野村さんご本人は明るい性格の方です。それが本番と同時にパッと紘一に切り替わる。その切り替えが凄いなと思いました。


(C)2022「アライブフーン」製作委員会

──夏実の父親・亮介役の陣内孝則さん、チーフメカニック・隆司役の本田博太郎さんとのご共演はいかがでしたか。

吉川:今回の映画で共演させていただいた中で、陣内孝則さんの目力の演技には改めてびっくりしました。作中では亮介と夏実が親子バトルをする場面があったんですが、その目力で私を熱くしてくださいました。

本田博太郎さんはこれまでに演じてこられた役の印象から、近寄りがたさを少しだけ感じていました。ただ、撮影の中で一緒に雨待ちする機会があった時に実際にお話してみたら、実はチャーミングな方だったとわかったんです。話の内容自体は他愛もないことでしたが、その時の笑顔がキラキラ輝いていて、印象ががらりと変わりました。

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関われなかったかもしれない世界を体験できる


photo by 田中舘裕介

──「ここにぜひ注目してみてほしい」という本作の見どころを教えていただけますでしょうか。

吉川:車の良さがたくさん詰まった映画で、この映画を観ていると実際に車に乗っているかのような迫力やエンジン音などを体感できます。私自身も、映画を観ていて「本当に椅子が揺れている?」と感じてしまう程でした。日本の映画で、ここまで迫力のある作品は少ない気がします。ドリフトはカッコいいので、レースをご存じない方にもご覧いただき、その迫力を体感してほしいです。

また紘一が試合に出てがんばっている姿は感動しますし、それを見守るみんなの表情もすごく素敵です。そこもしっかり観ていただければと思います。

──吉川さんにとって、「演じる」ということの醍醐味とは何でしょうか。

吉川:演じることで、いろんな人になれるということですね。

今回の『ALIVEHOON アライブフーン』でも初めてメカニックの役を演じ、ドリフトを体験しました。それはプライベートだったら、関われること自体が難しかったはずです。いろんな分野の世界を体験できるのも、楽しみの一つだと思います。

インタビュー/ほりきみき
撮影/田中舘裕介

吉川愛プロフィール

1999年生まれ、東京都出身。

映画では『虹色デイズ』(2018)、『十二人の死にたい子どもたち』(2019)、『転がるビー玉』(2020)、『のぼる小寺さん』(2020)、『ハニーレモンソーダ』(2021)などに出演。第45回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。

テレビドラマ出演作に『初めて恋をした日に読む話』(2019)、NHK大河ドラマ『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)』(2019)、『恋はつづくよどこまでも』(2020)、NHK連続テレビ小説『おちょやん』(2020~2021)、『カラフラブル ~ジェンダーレス男子に愛されています。~』(2021)、『古見さんは、コミュ症です。』(2021)、『ヒル』(2022)などがある。

映画『ALIVEHOON アライブフーン』の作品情報

【公開】
2022年(日本映画)

【監督・脚本】
下山天

【キャスト】
野村周平、吉川愛、青柳翔、福山翔大、本田博太郎、モロ師岡、土屋アンナ、土屋圭市、 陣内孝則

【作品概要】
映画『SHINOBI』が40か国以上で公開され、Netflixオリジナルドラマ『僕だけがいない街』が191か国で同時配信されているなど、世界的な評価を確立した下山天監督が徹底取材を重ね、企画構想に3年をかけた。

監修は1995年にル・マン24時間レースのGT2クラスで優勝し、大ヒット映画『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』でもテクニカル・アドバイザーとして参加するなど、<ドリフトキング>と讃えられる土屋圭市。

カメラ20台を使用し、ミリ単位で調整されたカメラアングルや、ドリフト競技・D1グランプリのチャンピオンたちの実走出演などにより、CGゼロのカースタントを可能とした。

映画『ALIVEHOON アライブフーン』のあらすじ


(C)2022「アライブフーン」製作委員会

内向的な性格から人付き合いが苦手な大羽紘一(野村周平)は、幼いころからゲームにだけは驚異的な才能を示し、eスポーツのレースゲーム大会で日本一となる。

ある日、レーサーの武藤亮介(陣内孝則)が事故で引退し、解散の危機に陥ったドリフトチーム「チームアライブ」のメカニックだという武藤夏美(吉川愛)が訪ねてきて、チームにスカウトされる。

紘一はテストを受けると初めての実車でも才能を発揮し、夏美の父でもある亮介に反対されるも、実力を認められチームに正式加入。

やがて紘一の覚醒したテクニック・情熱・勇気、そしてチームワークがバーチャルとリアルの壁を越え、その先へと向かっていった。

堀木三紀プロフィール

日本映画ペンクラブ会員。2016年より映画テレビ技術協会発行の月刊誌「映画テレビ技術」にて監督インタビューの担当となり、以降映画の世界に足を踏み入れる。

これまでにインタビューした監督は三池崇史、是枝裕和、白石和彌、篠原哲雄、本広克行など100人を超える。海外の作品に関してもジョン・ウー、ミカ・カウリスマキ、アグニェシュカ・ホランドなど多数。




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