英国のロブ・サベッジ監督の新感覚ホラー映画『ズーム 見えない参加者』
ロックダウンされたイギリスを舞台に、6人の男女が「Zoom交霊会」を開催した事で遭遇する恐怖を描いた、映画『ズーム 見えない参加者』。
近年、急速に世間に広まった「Zoom」を題材にした本作は、クライマックスにとんでもない恐怖が待っていました。
世界的なホラー映画のヒットメイカーである、ジェイソン・ブラムもTwitterで絶賛した、本作の魅力をご紹介します。
映画『ズーム 見えない参加者』の作品情報
【公開】
2020年公開(イギリス映画)
【原題】
Host
【監督・脚本】
ロブ・サベッジ
【キャスト】
ヘイリー・ビショップ、ラディーナ・ドランドバ、ジェマ・ムーア、キャロライン・ウォード、エマ・ルイーズ・ウェッブ、エドワード・リナード
【作品概要】
交霊会がキッカケで、悪霊を招待してしまった男女が遭遇する恐怖を全編「Zoom」で撮影した、新感覚ホラー映画『ズーム 見えない参加者』。
17歳の時に初監督を務めた映画『Strings』で、史上最年少の「英国インディペンデント映画賞レイダンス賞」に輝いたロブ・サベッジが監督と脚本を担当。
企画から公開まで、わずか12週間で完成させた事でも、話題になっている作品です。
映画『ズーム 見えない参加者』のあらすじとネタバレ
新型コロナウィルスによるロックダウンを受け、外出が規制されているイギリス。
ヘイリーは、大学時代の友人であるジェマ、ラディーナ、キャロライン、エマ、テディの6人で、会議ツール「Zoom」を使用し交霊会を開催します。
交霊会の前に、ヘイリーがそれぞれの近況を伺うと、ロックダウンをキッカケに、恋人のアランと同棲を始めたラディーナは、アランとの関係があまりうまくいっていない事を語ります。
また、交霊会唯一の男性参加者であるテディは、恋人のジニーの実家で、肩身が狭い思いをしていました。
皆が近況を語る中、交霊会を進める霊媒師、セイランが「Zoom」に参加し、交霊会が始まりました。
セイランは「霊に敬意を評して、ふざけては駄目」と語りますが、ジェマとキャロライン、テディは、どこか半信半疑で、セイランの話を少し茶化しているように見えます。
セイランは「交霊会は、同じ場所にいる事が大事」と全員に伝え、「Zoom」を通じても一体感が出せるように、特殊な音波を出します。
ですが、音波を聞いている途中で、テディがジニーに勝手にPCを切られ「Zoom」から退席します。
残ったメンバーで、交霊会を開始すると、ジェマが部屋の中に気配を感じます。
セイランのアドバイスで、ジェマが心の中で霊に語りかけると、ジェマの部屋に訪れた霊は、高校時代に亡くなった、ジェマの幼馴染である事が分かります。
ですが、その瞬間から、ジェマが取り乱すようになり、感情をコントロールできずに泣き始めます。
そして、セイランも「Zoom」から姿が消えてしまいます。
映画『ズーム 見えない参加者』感想と評価
コロナの影響で、リモートでのやりとりがメインとなり、一気に世間に普及した印象の会議ツール「Zoom」。
映画『ズーム 見えない参加者』は、終始「Zoom」の画面で物語が進行していきます。
全編がPCの画面で進行する映画は、過去にも『アンフレンデッド』(2016)や『search』(2018)そして、最近では『真・鮫島事件』(2020)などがありました。
またコロナ禍で、リモートを使用し制作された作品も多く、『カメラを止めるな!リモート大作戦!』も話題になりましたね。
なので、全編「Zoom」の画面だけで進行する『ズーム 見えない参加者』が、新しいアイデアかと言うとそうではありません。
ですが、リモートで制作された作品は、やはりホラーとの相性が良い事を、本作で再確認しました。
「Zoom」などのビデオ通話は、画面を通じて相手と繋がっていますが、その場に話し相手がいる訳ではない為、場合によっては、部屋の中にいるのは自分だけで、1人でモニターに向かって話をしている状況になります。
通信状況によっては、相手との会話が急に終わる事もあり、強制的に1人に戻された時、静かな部屋に何とも言えない不安を感じた事はありませんか?
『ズーム 見えない参加者』の前半は、まさにそれで、モニター越しに友人がいても、部屋の中で起きた異変には、1人で立ち向かわないといけない状況になります。
友人達も遠距離にいる為、助けにいく事ができず、画面越しに起きる怪現象を、ただただ見守るしかありません。
そして、本作の本領発揮とも言えるのは「Zoom」に参加した6人が、ほぼ同時に悪霊に襲われる、ラスト20分の怒涛の展開です。
交霊会の参加者6人が、次々と悪霊に襲われていく恐怖の連続は『へレディタリー/継承』(2018)のクライマックスに匹敵しており、本当に容赦がありません。
画面が固定された「Zoom」の映像を通している為、全体が見えない演出が多いのですが「確実に、何かが襲ってきている」という、全容が把握できないからこその恐怖があります。
当初は「『Zoom』を題材にした作品なら、配信向きなんじゃないか」と思っていましたが、このジェットコースターのような恐怖の連続は、映画館の大画面と、臨場感のある音響だからこそ、最大限に味わう事ができます。
特にラストは、分かっていてもビックリしてしまう、本当に嫌な演出になっています。
本作は60分弱の短めの作品となっており、お化け屋敷に入る感覚で、鑑賞してみてはいかがでしょうか?
まとめ
映画『ズーム 見えない参加者』は、「Zoom」で交霊会を開始した事が、恐怖の始まりとなりますが、実際に出演者とスタッフが、撮影前にミーティングを兼ねて「Zoom」で交霊会を開催しました。
本編終了後に、その交霊会の様子が、少しだけ上映されます。
交霊会では、突然全員の画面がフリーズしたり、霊能者が実際に通信不良で繋がらなくなったり、ジェマ役の女優が、部屋の中に人の存在を感じて、少し冷静さを失うなど、怪現象が起きており、ここでの体験が、映画本編に活かされている事が分かります。
この交霊会の様子の真意について、海外ではネットを中心に話題になっていますが、どちらにしても、こういう交霊会のような事は、遊び半分でやると危険である事が分かりますね。