映画『Scary Stories to tell in the Dark』は2019年8月9日全米公開。
今回ピックアップするのはギレルモ・デル・トロが製作を務めた注目のホラー映画です。
ポスターを見るだけで恐ろしさが満点の新作、『Scary Stories to tell in the Dark(原題)』についてご紹介します!
CONTENTS
映画『Scary Stories to Tell in the Dark』の作品情報
【製作】
2019年(アメリカ・カナダ合作映画)
【原題】
Scary Stories to Tell in the Dark
【脚本・製作】
ギレルモ・デル・トロ
【監督】
アンドレ・ウーヴレダル
【キャスト】
ゾーイ・マーガレット・コレッティ、マイケル・ガーザ、ガブリエル・ラッシュ、オースティン・ザジュール、ナタリー・ガンツホーン、オースティン・エイブラムズ、ディーン・ノリス、ギル・ベローズ、ロレイン・トゥーサント、マリー・ウォード、カレン・グレイヴ、 ハビエル・ボテット、トロイ・ジェームズ、アンドリュー・ジャクソン、マーク・スティガー、キャスリーン・ポラード、ウィル・カール、エリアス・エドラキ、ジェーン・モファット、アマンダ・スミス、ブランドン・ノックス
【作品概要】
監督を務めるのは『ジェーン・ドウの解剖』(2016)のアンドレ・ウーヴレダル。
主役の女の子、ステラ役にはポール・ダノ初監督作品『ワイルド・ライフ』(2018)に出演のゾー・マーガレット・コレッティ。
ステラの父親役には「ブレイキング・バッド」シリーズや『リトル・ミス・サンシャイン』(2006)とドラマと映画双方で活躍するディーン・ノリス。
そして製作と脚本を務めるのはゴシック・ホラー映画の名匠、『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)でアカデミー賞作品賞、監督賞を受賞したギレルモ・デル・トロ。
アルヴィン・シュワルツが発表した児童文学「誰かが墓地からやってくる」シリーズを原作とする本作はデル・トロ監督の意向により、アンソロジーではなくひとつのストーリーで構成される長編映画の形をとり、発表されました。
映画『Scary Stories to Tell in the Dark』のあらすじとネタバレ
Me Tie Dough-ty Walker.
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Me Tie Dough-ty Walker. #ScaryStoriesMovie pic.twitter.com/IO6DRTL1Tf— Scary Stories to Tell in the Dark (@ScaryStoriesMov) July 21, 2019
物語の舞台は1968年のペンシルバニア州。
とある小さな街に住む父親と2人暮らしのステラはホラー映画が大好きで小説家になることを目標にしているティーンエイジャー。
ハロウィンの日、彼女は友人のオーギーとチャックと仮装をして出かけ、学校のいじめっ子のトミーにいたずらをしかけました。
トミーと仲間に追いかけられた3人が逃げ込んだのはドライブインシアター。そこで彼らはレイモンという少年に出会い、匿ってもらいます。
ホラー映画好きのレイモンの為に、ステラたちは幽霊屋敷として名高い家を探検することに。それはもともと街の創設に貢献したベロウズ家が所有していたものでした。
彼らは隠し部屋を見つけある本を発見します。それは一家の集合写真から全て削除された謎の女性サラ・ベロウズが記した怪談話でした。
そこに追ってきたトミー達一行が現れ、ステラ達は屋敷に閉じ込められてしまいます。
しかし不思議と扉が開き、無事に彼らは帰宅するのでした。
自分の部屋に戻り本を開いたステラは、新しく“ハロルド”という小説が血で書かれていることを発見し仰天します。その主人公の名前はトミー。
その頃家に帰ったトミーは隣人に食事を届けにトウモロコシ畑を歩いている最中でした。
その時、ハロルドと名付けられたかかしがトミーを追い回し、彼は刺されて怪物に変身しようとしていました。
翌日、トミーが行方不明との話を聞き農場に探しに行ったステラ達はそこでトミーの服を着たかかしを発見。
ステラはトミーがかかしにされてしまったと確信しますが、オーギー、チャック、レイモン達は信じず、警察に届け出ることも否定します。
その日の夜、再びサラの本に”大きな爪先”と題された新たな小説が浮かび上がりました。今度の主人公の名はオーギー。
それはシチューの中に入っている人間の足を食べてしまったオーギーが、その足の持ち主だった死体に追い回されるという内容でした。
ステラは急いでオーギーに連絡し警告しますが、彼は既に得体の知れない怪物に追いかけ回されており、どこかに連れて行かれました。
ステラ達は本を破壊しようと試みますが燃やしても消滅できません。次に浮かび上がった小説は“赤いスポット”。
その夜、チャックの姉ルースはミュージカル出演を控えた舞台裏で自分の顔に何やらおできのようなものを発見します。彼女はそれをどうにかしようとしますが、おできの中から現れたのは何百匹ものクモ。
絶叫するルースのもとに間一髪ステラ達が駆けつけ、ルースは一命を取り止めました。ステラ、レイモン、チャックはこれ以上の被害を抑えるため、サラ・ベロウズの過去を調べることにしました。
映画『Scary Stories to Tell in the Dark』の感想と評価
Who will have the last laugh? #ScaryStoriesMovie pic.twitter.com/6K6XsGUhWZ
— Scary Stories to Tell in the Dark (@ScaryStoriesMov) July 23, 2019
ノートに書かれた通りに恐ろしい出来事が起こる…どこか『デスノート』を彷彿とさせる本作の一番の見どころは、次々と現れるモンスターたち。
蒼然のトウモロコシ畑で襲いかかるかかしの“ハロルド”や、切断された手足を自在に組み替える恐ろしい“ジャングリー・マン”、そしてぷよぷよとした身体がどこかキモかわいい(?)“ペール・ガール”。
幼年期の悪夢や恐ろしい記憶がそのまま具現化したような、恐怖のおとぎ話の挿絵から抜け出てきたような怪物たちのヴィジュアルに背筋を凍らせられます。
“Scary Stories to Tell in the Dark”は母との死別や選ばなければいけない道からの逃避など、大きく重たい現実をとある冒険を通して子供たちが乗り越えてゆく成長譚です。
『クリムゾン・ピーク』や『デビルズ・バックボーン』などギレルモ・デル・トロ監督らしいおとぎ話めいた語り口やヴィジュアルはワクワクさせるポイント。
しかし物語のキーとなる女性“実の兄により電気ショック療法を施され、恐怖の物語を創造するに至った”サラという女性の恐怖や抑圧、内部へのフォーカスが少ないこと、またモンスターたちがテンポ良く次々現れる演出により少々暗黒性が欠けてライトな印象に仕上がっているのも事実です。
“Scary stories to Tell in the Dark”暗闇の中で伝える恐怖の物語…、タイトルの“暗闇”は物語を生み出したサラの心中。
心に泥沼のように広がる暗澹へより踏み込んだ演出が多く含まれていれば、一層心理的にもおどろおどろしさが増した映画だったのではと思わされます。
それでも主人公ステラのように、思春期に怖いもの見たさで恐怖映画や小説に耽溺した日々を過ごしたことがある、暗闇の中の更なる闇へと手を伸ばしたい…、そんな衝動を抱えたことがあるホラー映画ファンにとっては“日常の中に潜む悪夢へのきっかけ”を探した時を想起させる一本。
不思議なノスタルジーを覚える理由は、デル・トロはじめ製作者たちのモンスターたちへの愛、尊敬からでしょう。
まとめ
幽霊屋敷や少年たちの冒険、恐ろしいおとぎ話、ホラー映画オタクに醜い怪物。
様々なエッセンスが詰まった映画『Scary Stories to Tell in the Dark』。
昔の思い出を覗きに行くように、構えず楽しんで観て頂きたい作品です!