Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ホラー映画

『怪談晩餐』あらすじ感想と評価考察。韓国ホラー映画にオムニバス形式でおすすめ監督たちが“現代に潜む恐怖”を活写する

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

映画『怪談晩餐』が2024年7月19日(金)よりシネマート新宿・心斎橋他で全国ロードショー!

カカオウェブトゥーンで連載され、若者を中心に絶大なる人気を得たホラー漫画を映画化した『怪談晩餐』。

ライブ配信者や、SNSなど若者に身近な題材から、高級マンションまで現代社会に潜む恐怖を描くオムニバスホラーです。

『ブラインド』(2014)のアン・サンフン、『ホテルレイク』(2021)のユン・ウンギョン、『殺人漫画』(2013)のキム・ヨンギュン、『時間回廊の殺人』(2018)のイム・デウン、『シャーク 覚醒』(2022)のチェ・ヨジュンと、韓国ホラーを手掛けてきた新鋭が監督を務めます。

役者陣は、EL7Z UPのメンバーであるイェウンや元CLCのスンヨン、スンヒ、ドラマ『イカゲーム』(2021)のキム・ジュリョンなど若手からベテランまで出演します。

映画『怪談晩餐』の作品情報


(C)2023[TOYOU’S DREAM INC.& STUDIO TOYOU.] All Rights Reserved.

【日本公開】
2024年(日本映画)

【原題】
괴담만찬

【英題】
Tastes of Horror

【監督】
アン・サンフン、ユン・ウンギョン、キム・ヨンギュン、イム・デウン、チェ・ヨジュン

【キャスト】
チャン・スンヨン、オ・スンヒ、チャン・イェウン

【作品概要】
カカオウェブトゥーン原作漫画を元に映画化。動画配信や受験など現代の若者らしいテーマから、ジムや高級マンションまで現代社会に潜む恐怖を描くオムニバスホラー。

『ブラインド』(2014)のアン・サンフン、『ホテルレイク』(2021)のユン・ウンギョン、『殺人漫画』(2013)のキム・ヨンギュン、『時間回廊の殺人』(2018)のイム・デウン、『シャーク 覚醒』(2022)のチェ・ヨジュンと、韓国ホラーを手掛けてきた新鋭が監督を務めます。

映画『怪談晩餐』のあらすじ


(C)2023[TOYOU’S DREAM INC.& STUDIO TOYOU.] All Rights Reserved.

ディンドンチャレンジ

アイドルを夢見たり、SNSのフォロワーが増えることを願っていたり……と、様々な夢を追いかける女子高生3人。

SNSで流行っている、願いが叶うという「踊ってみた」動画。そのダンスを踊った代償とは……。

四足獣

成績優秀な姉と比べられ、母親からプレッシャーを受けていたユギョン。

ある時橋の下で出会ったドッペルゲンガーに「4本足のものを殺せ」と言われ………。

ジャックポット

カジノで大儲けした男。タクシーでソウルに行こうとするも、大雨で車が出せないと言われてしまいます。

仕方なく入ったモーテルの部屋にはある秘密があったのです。

入居者専用ジム

高級マンションに併設するジム。そのジムには絶対に守らなくてはいけないルールがありました。

何も知らない新規入居者を恐怖が襲います。

リハビリ

名誉の負傷をした消防士。目覚めるとそこは不思議な部屋の中。言われるままリハビリをする消防士でしたが、そこには本人の知らぬ残酷な真実が……。

モッパン

大食い系ライブ配信者。ライバルを蹴落とすためにある罠を仕掛け、その顛末とは。

映画『怪談晩餐』の感想と評価


(C)2023[TOYOU’S DREAM INC.& STUDIO TOYOU.] All Rights Reserved.

ディンドンチャレンジ

SNSでは、様々なダンスが流行し、皆真似をして踊り、投稿します。もしその中に不気味なダンスがあったとしたら……まさか呪われるとは誰も思わないでしょう。

現代の私たちにとって身近なSNSを使った呪いという設定に加え、女子高生のボラ、ヨンビ、ヘユルはそれぞれ“有名になりたい”“成功したい”と思っています。

そんな心理が呪いと結びついてしまうのです。

四足獣

韓国の学歴社会の厳しさは、様々な映画やドラマで描かれています。

プレッシャーをかける親、親の経済力によって塾に通える子と通えない子の格差ができてしまったり、新学校のいじめなど……あげていったらキリがありません。

ユギョンは、優秀な姉と比べられ、母親に叱責されています。そんな鬱屈した日々を過ごすユギョンの前に現れたのは不気味なドッペルゲンガー。

「4本足のものを殺せ」

苦しめるものから解放されると言われたユギョン。果たしてその先にあるものとは。

抑圧が狂気を生み出していく恐ろしさを描き出します。

ジャックポット

カジノで大儲けした男が大雨でソウルにいけないため、モーテルに。しかし、そのモーテルはいわくつきのモーテルだったのです。

監視カメラで男の様子を見ている管理人。その管理人のバックには裏社会の人物がいました。

韓国ノワールらしい要素も盛り込んだホラーになっています。

入居者専用ジム

高級マンションに併設されているジム。そのジムには絶対に破ってはいけないルールがありました。

韓国の映画には、よく不動産の問題が描かれています。韓国のマンションは日本のシステムとは違い、最初に家賃を払うシステムが多く、その金額は次第に上がっていく仕組みになっています。

そのため不動産の価値を下げないようにしようと不祥事を隠蔽しようとする家主も少なくありません。

そのような韓国の不動産の問題をベースにしたホラー映画であるといえます。

リハビリ

名誉の負傷をした消防士。目が覚めると無機質な部屋に閉じ込められ、リハビリをするように指示されます。

「リハビリ」は他も短編とはまた雰囲気が違い、近未来シチュエーションスリラーのような質感になっています。

主人公同様観客も、なぜ閉じ込められているのか、リハビリさせられているのか分からないという不安が恐怖を掻き立てるのです。

モッパン

“モッパン”とは韓国語で直訳すると“食べる放送”という意味になります。食べている様子を配信する動画のジャンルのようなものでしょう。

大食いの放送から、韓国アイドルがファンとの交流のため食べている様子を配信したりするのが流行となりました。

日本でも大食い放送や配信者や芸能人の配信でのグルメレポが、特にコロナ禍で流行ったという背景がありました。

多くの人が配信することで、他の人と差別化しようと偽装したり、他者を蹴落とそうとする人も出てきたということもあったのかもしれません

そんな動画の再生回数にとらわれ我を忘れる人々や、そのような人々をけしかけて楽しむ匿名の大勢の人々の闇を描いたのが「モッパン」です。

まとめ


(C)2023[TOYOU’S DREAM INC.& STUDIO TOYOU.] All Rights Reserved.

現代社会に潜む闇を描いた6つの怪談からなる『怪談晩餐』。韓国の現代社会を映し出すとともに、日本にも通ずる問題は多くあるでしょう。

本作は新鋭のホラー担い手が集結し、カカオウェブトゥーンで連載された話題の漫画を映画化しました。

ホラーアニメ『整形水』(2022)は、NAVERWEBTOONで連載された漫画をアニメ映画化し、『オクス駅お化け』(2023)もウェブトゥーンをもとに制作されたものでした。

ウェブトゥーンは、韓国の若者を中心に話題のコンテンツであり、日本でも「LINE WEBTOON」として提供されています。

日本の漫画のウェブ版は横にスクロールして読むのに対し、韓国のウェブトゥーンは縦にスクロールして読むという特徴があります。

また、ウェブトゥーン原作の漫画、映画はホラーだけにとどまりません。話題となった韓国ドラマ『女神降臨』(2020)、『私の夫と結婚して』(2024)などの恋愛ドラマもウェブトゥーンが原作になっています。

更にウェブトゥーンには、作画やストーリー構成などを数人で分担して1つの作品を作り上げているという特徴もあります。

本作を見て原作のウェブトゥーンを見てみても良いのではないでしょうか。

映画『怪談晩餐』が2024年7月19日(金)よりシネマート新宿・心斎橋他で全国ロードショー!



関連記事

ホラー映画

映画『黄龍の村』感想評価と解説。村ホラーという洋画が得意な怖いジャンル設定の定番を覆す快作!

映画『黄龍の村』は2021年9月24日(金)より池袋シネマ・ロサ他にて劇場公開! ジャンルとして常に人気の最前線に位置し続ける「ホラー映画」ですが、その中には様々な「サブジャンル」が存在しています。 …

ホラー映画

ワニ映画2019『クロール 』ネタバレ感想レビュー。パニックとサバイバルの「凶暴領域」に襲われた父娘の絆

映画『クロール -凶暴領域-』は2019年10月11日(金)よりロードショー! ホラー映画の巨匠であるサム・ライミが製作、『ピラニア3D』などを手掛けたアレクサンドル・アジャが監督を務めたモンスター× …

ホラー映画

映画『地獄の警備員』ネタバレ感想と結末解説あらすじ。松重豊×黒沢清のホラーバイオレンスがデジタルリマスターで復活

『地獄の警備員』がデジタルリマスター版として復活! 出口が封鎖された真夜中のビルで、怪物のような警備員と対峙する恐怖を描いた映画『地獄の警備員』。 世界的人気を誇る映画監督・黒沢清が29年前の1992 …

ホラー映画

映画『コンジアム』最後までネタバレ考察と評価。実在の廃病院で撮影⁈動画配信で描くリアリティとは

世界七大心霊スポットにも選ばれた「昆池岩精神病院」を知っていますか? 昆池岩(コンジアム)精神病院。京畿道広州市にあるこの精神病院は、20年以上前に廃業し廃墟になってからこの病院は不気味な噂が絶えませ …

ホラー映画

『ITイットTHE ENDそれが見えたら終わり』ネタバレ感想と結末までのあらすじ。続編2019年の見どころ解説

2019年公開『IT CHAPTER TWO』続編ホラー映画の魅力を解説! 『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』は、2017年に公開されメガヒットを記録した『IT/イット “ …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学