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Entry 2020/02/09
Update

映画『コンジアム』最後までネタバレ考察と評価。実在の廃病院で撮影⁈動画配信で描くリアリティとは

  • Writer :
  • 日下 まどか

世界七大心霊スポットにも選ばれた「昆池岩精神病院」を知っていますか?

昆池岩(コンジアム)精神病院。京畿道広州市にあるこの精神病院は、20年以上前に廃業し廃墟になってからこの病院は不気味な噂が絶えませんでした。

その内容は「理由もなく患者が死んでいく」というものから、「院長自身が精神病になってしまった」というものまで様々でした。

韓国の三大廃墟と言われ、世界七大心霊スポットに選ばれたこの場所で、若者たちがみた恐ろしいものとは!?

映画『コンジアム』の作品情報


(C)2018 SHOWBOX & HIVE MEDIA CORP All Rights Reserved

【日本公開】
2019年(韓国映画)

【原題】
Gonjiam: Haunted Asylum

【監督】
チョン・ボムシク

【キャスト】
イ・スンウク、ウィ・ハジュン、パク・ジヒョン、パク・ソンフン、オ・アヨン、ムン・イェウォン、ユ・ジェユン

【作品概要】
定点カメラでの撮影ではなく、実際にキャスト自身に渡したカメラで撮影することでリアリティを追求した本作。

ロケに関しても実際のコンジアム精神病院で行われたリアリティが功を奏し、韓国の映画史上二番目にヒットした韓国映画となりました。

映画『コンジアム』のあらすじとネタバレ


(C)2018 SHOWBOX & HIVE MEDIA CORP All Rights Reserved

ある日、世界的にも有名なホラースポット「昆池岩精神病院」で学生二人が行方不明になったというニュースが韓国全土に轟きました。

根性試しのためだったのか、行方不明になる直前まで回していたであろう学生たち自身を映した動画があったことで、噂はドンドンとSNSや口コミを介して広がっていきます。

開かずの間であるという402号室をこじ開けようとした時に、突然聞こえるピンポン玉の音と共に行方が分からなくなってしまった少年たち。

youtubeの人気チャンネル「ホラータイムズ」の主宰であるハジュンにもその噂は届いていました。噂の検証をしたいと考えたハジュンは、撮影クルーのスンウクとソンフンを連れて一般人を参加させる形でライブ配信を行うことを思いつきます。

集まったのは、男女合わせて4人。明るくて天真爛漫なジヒョン、看護学生のアヨン、海外の心霊スポットにも言った経験があるシャーロット、そして少しビビりのジェユン。

集まった七人は親交を深める意味も込め、目的地までの道のりでお酒を飲み交わしたり、レジャースポットに行ったり、どんちゃん騒ぎをしながら楽しい時間を過ごします。

そして目的地に到着し、立ち入り禁止の昆池岩精神病院に入るためにテントを立て、司会者であるハジュンはテントの中から指示を出します。他の6人にはそれぞれ自分用のカメラが渡され、自分たちで動画を回す形をとることになりました。

ジヒョン、シャーロット、スンウク、ソンフンのグループと、アヨン、ジェユンのチームに分かれて探索を始めていく一行。話題の心霊スポットでのライブ配信に、ぐんぐんと視聴者数も伸びていきます。

少しずつ起こり始める怪奇現象に恐怖を覚えて本気で怖がり始める彼らでしたが、一般応募のメンバーたちと離れたすきに大笑いするスンウクとソンフン、そしてモニター越しのハジュン。

実はこのライブ配信は、「ホラータイムズ」の再生回数を伸ばすために行われている「やらせ」放送であったのです。悲鳴を上げる4人を見て上がり続ける視聴者数に、楽しさを感じている3人は笑いが抑えきれません。

そうとも知らずに探索を中断し、スンウクとソンフンが主導で行う「魂の降霊の儀式」に参加するメンバーたち。蝋燭の明かりが風が吹いていないはずの部屋の中で揺れ、消え、鈴の音が鳴り響きます。恐怖で声が止まりません。

しかしながら、ここで予期せぬ事態が起こります。やらせのために中が空っぽの棺の中に手を突っ込んで引っ張られる演技をしたはずが、それに続いて腕を突っ込んだジヒョンの腕が引っ張られ、大きな切り傷が付きます。

余りの衝撃にパニックになるジヒョンとシャーロットは部屋の中を逃げ回ります。そして壁の落書きがここに来たときは「生きて」だったはずなのに「死んで」に変わっていることにも気づいてしまうのです。

こんなところにいられない!と病院から逃げ出してしまう2人。それを見たスンウクとソンフンも何が何だか解らず、全員がパニック状態になっていきます。

余りの状況に撮影をやめて早く帰ろうと2人はハジュンに提案しますが、目標近くまで迫っている視聴者数に最後まで撮れ!と怒鳴りつけます。

視聴者数が増えるごとに大金を得られることを知っていた2人は、どうにか撮影を続けようとしますが立て続けに起こる怪奇現象に耐えきれず、402号室の前に向かっていたアヨンとジェユンに実はあれはやらせだったんだ、と伝えます。

そんな様子が見てられず、痺れを切らしたハジュンは単独でドローンを持ち込み、撮影を続けようとしますが……

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『コンジアム』ネタバレ・結末の記載がございます。『コンジアム』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

先に逃げ出したジヒョンとシャーロットは、真っ暗な山道を二人で助け合いながら歩いていました。病院へと向かう道で迷子にならないようにと木の枝に括り付けた目印を見つけてホッと一息つきます。

ですが、歩いても歩いてもテントは見つかりません。そして、また同じ目印の道へと戻ってきてしまいます。どうやら2人は何度も同じ場所をぐるぐると歩かされているようでした。

病院から出てもなお続く呪いのような恐怖に震えるシャーロットでしたが、離れた場所で棒立ちになっているジヒョンに違和感を覚えます。恐る恐る近づいてみると、そこにはジヒョンのような「なにか」が立っていました。

変わり果てた姿で良く分からない言葉を呟き続けるジヒョンに驚きシャーロットは逃げ出してしまいます。

一方、カメラを持ち込んで病院に入ったハジュンでしたが、病院内にいるはずのメンバーに遭遇することなく402号室まで到着してしまいます。

違和感を覚えながらも緩んだ402号室のドアに手をかけ、ライブ配信のメインである部屋の中へと足を踏み入れるハジュン。ですが、その中にはメンバーの誰もおらず、中にいたのは亡霊に襲われる自分の姿でした。

舞台は切り替わり「ホラータイムズ」の配信ページへと映ります。そこには、500人ほどの数少ない視聴者と、全く配信されている気配のない砂嵐の画面がありました。

「配信、やらないのかな?」「やらせがばれそうになって辞めたんじゃない?」と口々にコメントを残す視聴者。ハジュンがこだわっていた視聴者数も、配信自体も、そもそも行われてすらいなかったのです。

しかしながら、このあったはずのライブ配信に参加した者たちは、誰一人帰ってくることはありませんでした。

昆池岩精神病院。この場所で起こっている怪奇現象は、一体いつまでつづくのでしょうか?

映画『コンジアム』の感想と評価


(C)2018 SHOWBOX & HIVE MEDIA CORP All Rights Reserved

日本では「主観ショット」とも言われる「POV(Point Of View shot)方式」で撮られたホラー映画である本作。

再生数にこだわりより過激なことを、より大変なことを、誰もがやっていないことを、と際限のない欲に駆られる様子がとてもリアリティがあり、共感を覚えました。

どこにでもいる普通の子が気軽にメディアを持つことが出来る現代におけるコンテンツの過激化という問題に対する問題提起が、この映画には込められているように思えます。

また、実際の廃病院で撮影しているという何とも言えない画面から伝わる気持ち悪さが、この映画の雰囲気の不気味さをより際立たせていて、次第に視聴者は圧倒されていきます。

そしてこの映画の肝ともいえる「主観ショット」によって、出演するキャスト全員の恐怖に慄く表情が見れるという事もこの映画をより面白くしているポイントではないでしょうか?

喜怒哀楽と言葉にもある通り、喜びや悲しみの表情というものは日常生活でも見ることが出来ますが、「恐怖」を感じる人の顔というものは、中々見ることが出来ないと思いませんか?

何を怖いと思うかは人それぞれの感性によりますが、誰かが「恐怖している」という事実だけで、その場が段々と怖く見えてくるという事も多くあります。

韓国の映画業界でまことしやかに囁かれていた「ホラーは当たらない」というジンクスを見事打ち破り大ヒットを記録した本作。

ひとりで見るより二人で、二人で見るより沢山で見るほうが、よりこの映画を楽しむことが出来るかもしれません。

まとめ


(C)2018 SHOWBOX & HIVE MEDIA CORP All Rights Reserved

韓国映画と言えば、ヒューマンドラマ映画や恋愛映画、クライム映画などが思い浮かぶ人も多いでしょう。

ですが、『コンジアム』には韓国映画の今までのノウハウを生かした、小さな人間関係のもつれや人間の欲深さがとてもよく描かれています。

欲に負け、再生回数を求め過ぎなければ、そこに入らなければ、話題性に食いついてライブ配信の計画を行わなければ、このような悲惨な結末にはなっていなかったのかもしれません。

最近のSNSの発達に伴い、Youtubeだけではなく、様々なSNSで「過激」でより「刺激的」なものがもてはやされ、「いいね!」や「再生回数」で評価されていく社会構造。

それが本当にあなたの評価なのか?それはあなたの真実なのですか?

そんなことを考えながら観てみると、また面白いかもしれません。




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