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Entry 2020/03/01
Update

映画『野性の呼び声』ネタバレあらすじと感想。犬との友情を原作8度目の映像化で描いたものとは⁈

  • Writer :
  • もりのちこ

自分の本当の居場所とは。
野性の呼び声に従え。

1903年、アメリカの作家ジャック・ロンドンが発表した名作冒険小説「野性の呼び声」が、ディズニーのクリエーター陣により、初の完全実写映画化となりました。

原作は、初出版されて以降、全世界で翻訳され、これまでに本作を含め8度も映画化されてきた名作です。

孤独な男ソーントンと大型犬バックの運命的な出会いと友情。そして、人類未踏の地への大冒険。1人と1匹が見つけた自分の本当の居場所(ホーム)とは。

壮大な冒険小説を最新のCG技術で描き出した『野性の呼び声』。あらすじと感想を紹介します。

映画『野性の呼び声』の作品情報


(C)2020 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

【日本公開】
2020年(アメリカ映画)

【原題】
The Call of the Wild

【監督】
クリス・サンダース

【キャスト】
ハリソン・フォード、ダン・スティーブンス、オマール・シー、カレン・ギラン、ブラッドリー・ウィットフォード、コリン・ウッデル

【作品概要】
1903年に出版されて以降、現代も愛され続けるジャック・ロンドンの冒険小説「野性の呼び声」の実写映画化。主演は、ハリソン・フォード。監督は、ディズニー映画『リロ&スティッチ』『ヒックとドラゴン』のクリス・サンダース監督。100年以上、愛され続けてきた名作「野性の呼び声」。人間と犬との壮大な大冒険を、最新のCG技術を用い描き出しました。

映画『野性の呼び声』のあらすじとネタバレ


(C)2020 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.
時代はゴールドラッシュに沸くアメリカ。カナダのユーコン準州では、犬ぞりが活躍していました。良い犬は高値で売れると、評判です。

カリフォルニア州のミラー判事の飼い犬・バックは、大型犬で力も強く活発です。売人は、バックに目を付けていました。

そんな人間の事情など知りもしないバック。今日は主人・ミラー判事のバースデーパーティーの日です。

バックは家中をバタバタ走り回り、物にぶつかり、ウサギを見つけては追いかけ、興味の赴くままに大暴走です。主人も手を焼く、わんぱく犬でした。

庭に用意されたご馳走に、大はしゃぎしたバックは、皆が記念写真を撮っている間に、飛びついてしまいます。

台無しになったパーティーに、主人もとうとうあきれ果て、バックを外に締め出してしまいました。シュンと落ち込むバック。

おとなしくなったバックを狙って、売人が捕えにやってきます。バックは箱に入れられ、売り飛ばされてしまいました。

次に箱が開けられバックが出ると、そこには棍棒を持った人間がいました。「棍棒の掟と牙の掟を教えてやる」。逆らおうとすると棍棒で殴られます。

鎖を引き千切り逃げ出すバックでしたが、外に飛び出してもそこは氷河の中を進む船の上でした。

首輪をされたバックは、アラスカの地に降ろされます。初めて見る雪に、面白くなってはしゃぐバックは、通りかかった男とぶつかります。その拍子に、男はハーモニカを落として行ってしまいました。

バックはハーモニカを拾い、男に届けます。「プファー」。音に振り向いた男の目には、ハーモニカを口に咥えた大型犬の姿がありました。

バックと呼ばれた犬に向かってお礼を言う男。これが、男ソーントンとバックの初めての出会いでした。

それからバックは、郵便配達の犬ぞりメンバーとして連れて行かれます。主人のペローとフランスワーズは、港町からドーソン・シティまで郵便物を届ける仕事をしていましたが、一度も時間に間に合ったことがありません。

犬ぞりのリーダー・スピッツは、気性が荒くプライドの高いボスです。ハーネスを付けられ犬ぞりの後方に繋がれたバックは、とても窮屈そうです。

ペローの掛け声で出発するも、バックは気が散り、他の犬と走りを合わせることが出来ません。犬ぞりデビューは、散々に終わりました。

南国育ちの飼い犬だったバックは、こんなに寒い夜を外で寝るのは初めてです。ペローのテントに忍び込みますが、フランスワーズに「犬は外で寝るのよ」と追い出されてしまいます。

前途多難に見えたバックでしたが、持ち前の体力と純真な性格で、どんどん成長していきます。

ドーソンまでの道のりは険しいものでした。氷が張った川の上を慎重に進みます。メキメキと音がした時でした。氷が割れ、フランスワーズが水の中に落ちてしまいます。

その後を追い、水の中に飛び込むバック。氷の中へと流されてしまい、氷を割らないと上がることが出来ません。氷が厚すぎます。

その時、バックは氷の上に真っ黒い大きな狼の姿を見ます。そこを目掛けて体当たりすると、氷が割れました。フランスワーズを助け出したバック。一気に絆は深まり、皆からの信頼も得られます。

面白くないのはリーダー犬スピッツです。ある晩、スピッツはバックに襲い掛かります。ボス争いです。

そこでバックは、再びあの黒い狼を側に感じます。一度は倒れたバックでしたが、力がみなぎります。スピッツを押さえつけ、遠吠えするバックは野性の狼のようでした。

次の朝、スピッツは姿を消していました。「犬にも事情があるのよ」。先頭のリーダー犬はバックとなりました。

その後も危険が訪れると、黒い狼はバックの前に姿を現し、導いてくれるようになります。

バックは見事な走りで、郵便を時間内に届けることに成功します。届いた手紙を嬉しそうに読む人々の顔をみて、バックもどこか満足そうです。

さぁ、郵便配達の時間です。いざ走りだそうとした時、ひとりの男が手紙を持ってやってきます。ソーントンでした。「息子の誕生日なんだ。お願いだ」。

「もう受け付けは終了してるわ」と、断るフランスワーズの前に、バックが顔を出し、ソーントンの手紙を咥えます。「チームのリーダーは、バックだよ」。ペローの言葉に町の人々も笑います。

「ありがとう。バック、君を覚えているよ」。ソーントンの言葉に、得意げに胸をはるバック。「任せてよ」と言っているようです。

バックの郵便配達は、町中の人気者になりました。犬ぞりにも慣れ、仲間たちと雪原を走るバックは楽しそうです。

そんなある日。ペローの元に政府から手紙が届きます。電報導入により、郵送便の廃止の命令でした。

「お別れだよ。バック、お前の旅は始まったばかりだ」。去っていくペローとフランスワーズ。人間の事情など理解出来ない犬たち。再び主人を失ったバックは、行き場も失いました。

以下、『野性の呼び声』ネタバレ・結末の記載がございます。『野性の呼び声』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2020 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.
バックを買った新たな飼い主は、ハルという男でした。ハルは、犬ぞりの経験も、雪原の知識もありませんでした。姉のマーセダスとその夫と3人で一攫千金を狙い、ユーゴンにやってきたのです。

ソリのストッパーも外せないハルに、バックたち犬ぞりメンバーは戸惑い走り出せません。怒ったハルは、棍棒を取り出しバックを殴ろうとします。蘇る記憶。棍棒を持った人間には逆らえない、恐怖が襲います。

その時、助けに入ったのはソーントンでした。「今は氷が解け始めている。出るのは危険だ」と忠告しますが、ハルはそれを無視し、鞭を飛ばし雪原へと出て行きます。

ソーントンは家に帰っても気がかりでした。ハルたちの後を追いかけます。すると、今にも割れそうな氷の上を渡ろうとしている一行を見つけます。「止めるんだ」。

何かを察したバックは、前に進もうとしません。苛立つハルは、バックを蹴り倒します。そして、他の犬を連れ氷の上を渡って行きました。

ソーントンは、気を失ったバックを家に連れ帰ります。彼は、息子を亡くした悲しみから一人になるためにこの地に来ていました。

目覚めるバックに、「ここに残るかどうかはお前が決めろ」と、酒場に入っていくソーントン。バックは、ソーントンの辛さが分かるかのように側に寄り添います。

バックとの出会いでソーントンは、再び生きる気力を取り戻していきます。そして、息子の夢でもあった、地図にのっていない未開の地への冒険を決意するのでした。

「まだ誰も行ったことがない、野性の地へ一緒に行こう」。バックも目を輝かせています。

カヌーに乗り、1人と1匹の大冒険が始まりました。テントで一緒に眠り、食料を分け合って食べ、ハーモニカを吹きながら話をします。それはペットと主人の関係ではなく、まさに友達そのものでした。

そして、とうとう野性の地へたどり着きます。未開拓の自然が広がる中に川が流れています。その川は、金の採れる川でした。

「すごいぞ、バック」。そのほとりには小屋がありました。しばらく滞在することにします。広がる自然と、豊富な恵み、美しい星空。夢のような場所です。

ある日バックは、川の向こうに現れた白狼を追いかけ森に入ります。白狼は、警戒するように立ち去ります。森林狼は群れをなし、この地で暮らしていました。

群れの狼が1匹、川の激流に落ちてしまいました。バックは、引っかかった流木を、力いっぱい押し上げ、狼を助けます。

これをきっかけに、狼たちはバックを仲間と認め、行動を共にするようになって行きます。

ソーントンは、バックの変化に気付いていました。日に日に逞しく、成長していくバック。それでも自分の所に、必ず戻ってきてくれます。

「バック、お前にはここに大事なものがある。それを守るんだ」。ソーントンは、寂しい気持ちを隠し、バックのために立ち去る決心をします。

白狼が、バックを迎えにやってきます。「見送りはいらないよ。行くんだ」。バックは振り返りながらも森へと消えていきました。

その夜。小屋の外から物音が聞こえます。猟銃を持ったハルでした。ハルは、ソーントンの家にあった地図を発見し、後を追っていたのです。

「金をだせ」。ソーントンに銃を突きつけます。2人はもみ合いになり、小屋は火だるまに。その時、銃声が森に鳴り響きます。

バックは、察したように小屋に向かって走り出しました。ハルに襲い掛かるバック。ハルは棍棒を取り出しバックを脅します。

怯むバック。しかし、バックはもう野性の力を呼び覚ましていました。体当たりでハルを火の中に放り込みます。

血を流し倒れるソーントンの元に、バックが駆け寄ります。息も絶え絶えのソーントン。バックは、彼の大事にしていた息子の写真とハーモニカを持ってきます。

そして、静かに起き上がらせ自分の身体で包み込みます。ソーントンは、微笑み「ここが家だ」と言い残し、息を引き取りました。ソーントンは最後の自分の居場所を見つけたのです。

それからしばらくして、町にうわさが流れます。未開の地に新種の森林狼が現れるらしいと。

それは、決して伝説ではありません。そこには、白狼と子狼と、大勢の狼を引き連れ、森を駆け巡るバックの姿がありました。

そして狼の群れは、夏になると必ず、小屋のあった谷まで降りてくるということです。

映画『野性の呼び声』の感想と評価


(C)2020 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.
長年愛され続けてきた冒険小説「野性の呼び声」が、ディズニーのクリエーターにより、初の完全実写映画化となりました。

最新のCG技術によって、どこまでも続く雪原に、氷に覆い尽くされた川、アラスカの壮大な自然が、息を飲むほどの美しい映像で堪能できます。

そして、名犬バックの動きにも注目です。いたずらっ子のお茶目な仕草から、人間の言葉を理解するような表情、そして野性の姿に戻り自然の中を走り回る勇敢な姿。

中でも、ソーントン(ハリソン・フォード)とのやり取りは、微笑ましいものがあります。肩を寄せ合い星を見上げたり、飲み過ぎるソーントンの酒を取り上げたり、怒られても知らん顔したりと、実に表情豊かです。

映画館では鑑賞後「あんな犬がほしいわぁ」と言う年配の女性の声も聞こえてきました。本当にそうです。皆、バックのファンになっていました。

ディズニー映画では、動物がしゃべったり、人間と会話できたりと、ファンタジー要素が強い映画も楽しいものですが、『野性の呼び声』のバックは、人間の言葉を理解しますが会話は出来ません。

それがリアリティを帯び、言葉を超えた絆をより深く感じます。ペットと飼い主の関係性ではなく、本当の友達のように互いを支え合うバックとソーントン。

バックとソーントンの友情は、言葉が違う者同士、肌の色が違う者同士、文化が違う者同士でも、分かり合えるということを教えてくれます。

小説「野性の呼び声」は、アメリカでは教科書に載るほど有名作品で、世界47カ国語で翻訳もされています。愛され続ける理由がそこにはありました。

まとめ


(C)2020 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.
ディズニーの『アラジン』『ライオン・キング』のクリエーターが贈る、伝説の名作冒険小説、初の完全実写映画化『野性の呼び声』を紹介しました。

数奇な運命に導かれ、アラスカの地に舞い降りた名犬バック。地図にない未開の地を目指し、ひとり旅する男ソーントン。

1匹と1人の出会いは、お互いにとって必然なものでした。いくつになっても、最強の相棒がいれば、最高の冒険が始まる。たどり着いた地で、それぞれ何を見つけるのか。

神経を研ぎ澄ませ、野性の呼び声を聞け。その声は、自分の本当の居場所を教えてくれる声かもしれません。

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