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Entry 2018/06/12
Update

深田晃司映画『海を駆ける』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

  • Writer :
  • 白石丸

鬼才・深田晃司監督の映画『海を駆ける』は、インドネシアで海からやって来た謎の男が起こす奇跡と、不可解な現象を描きます。

バンダアチェの風景の映像美とディーン・フジオカをはじめとする若手俳優たちのみずみずしい演技、難解ながら心に残るストーリーは観る者の感情を揺さぶる新感覚なファンタジー。

スマトラ沖地震やかつての戦争や内戦の影を感じる登場人物たち。そして不思議な力を持ちながら、ただそこにいて生も死も平等に人々に与える男ラウの正体とは?

深田晃司監督とディーン・フジオカがタッグを組んだ傑作『海を駆ける』をご紹介します。

映画『海を駆ける』の作品情報


(C)2018「海を駆ける」製作委員会

【公開】
2018年(日本・フランス・インドネシア映画合作) 

【脚本・監督】
深田晃司

【キャスト】
ディーン・フジオカ、阿部純子、大賀、アディバディ・ドルケン、セカール・サリ、鶴田真由

【作品概要】
2016年に公開の『淵に立つ』でカンヌ国際映画祭「ある視点」で審査員賞を獲った深田晃司監督による、インドネシアのスマトラ島でオールロケを敢行したオリジナル脚本によるファンタジー映画。

かつて独立の際も一緒に戦い、同じく震災や津波の傷跡を背負うインドネシアと日本の合作映画でもあり、「ラウ」という名前通り海から現れた超然的な男を演じるのは、3ヶ国語を操る国際派俳優ディーン・フジオカ。

国を超えて触れ合う4人の若者を演じるのは日本の若手俳優の阿部純子、大賀とインドネシアのアディバディ・ドルケン、セカール・サリ。ラウの世話をするNPOの日本人に鶴田真由が務めます。

映画『海を駆ける』のあらすじとネタバレ


(C)2018「海を駆ける」製作委員会

インドネシアのアチェ州バンダ・アチェの浜辺。波のなかから男が現れ、浜辺まで歩いてやって来ます。

男はしばらく立ち尽くしていましたが、ばったりと倒れてしまいます。

一方でジャーナリスト志望の少女イルマは、スマトラ沖地震で家族を亡くした人たちにインタビューをしていました。

被災者の一人は「海を見るたびに死んだ妻と娘を思い出す」と語ります。

休憩でいったん取材を打ち切るイルマ。

インタビューを撮影していたイルマの幼馴染であるクリスとクリスの大学の友達タカシが雑談をしています。

タカシの母貴子は日本人ですが、NPOの仕事でずっとインドネシアに住んでおり、現地の男と結婚してタカシが生まれました。

貴子はタカシに「浜辺に身元不明の日本人が漂着したから行かなければならない」 「代わりにサチ子を空港まで迎えにいってほしい」と伝えます。

タカシはクリスと一緒に、自動車で空港に向かいます。

サチコはタカシの母方の従姉妹で、日本の女子大生。

休みを利用してインドネシアまでやって来ました。英語で会話をし、すぐ打ち解けるクリスとサチコ。

そこに貴子の友人でジャーナリストの女性レニがやって来て、タカシに話しかけてきます。「浜辺に打ち上げられた日本人が興味深いから、一緒に行かないか」と言われ、タカシたちは海に向かいます。

浜辺のすぐ近くにある施設では放心状態の男が座っており、貴子が日本語で話しかけた時だけ、かろうじて反応がある状況でした。

しかし、見た目には彼の身体には何の異常もありません。

日本語にだけ反応があることが分かったことから、施設職員は貴子に男をしばらく引き取ってもらえないかと頼みます。

貴子もそれを渋々引き受け、男を連れ帰ることにします。

貴子たちが話し合っている間、クリスとサチコは浜辺を歩きながら、仲良く話してはお互いのことについて、知り合っていました。

サチコは少し前に父を亡くしていました。

父の遺言で遺灰をインドネシアに撒いてほしいと言われ、彼女はここにやって来たのです。

「インドネシアのここにしてほしい」と風景写真を渡されたのですが、写真を見てもそれがどこなのか現地人のクリスにも分かりませんでした。

イルマも浜辺に来ており、取材対象として謎の男に興味を持ちます。

人数が多いので軽トラの荷台に乗って帰路につく一同。

貴子は男のことを「ラウ」と呼ぶことを提案します。

「ラウ」とはインドネシア語で「海」という意味で、タカシは「いいけどちょっと安直じゃない?」と笑います。

すると、突然ラウが立ち上がって透き通った声で歌いだします。

サチコはラウが歌いだした途端、荷台に積んでいた生魚たちがピチピチと動き出すのを驚いて見つめていました。

車を運転していたのは、先のインタビューで「海を見ると妻と娘を思い出す」と語ってくれた男で、彼もラウが歌い出すと道路の向こう側にある川べりでその妻と娘が手を振っているのを目撃します。

思わず車を緊急停車して外に出る男。しかし、ラウは歌い終わっており、妻と娘の姿はどこにも見当たりませんでした。

もちろん、荷台の魚たちもピクリとも動いてはいません。

貴子の家にやって来たサチコとラウ。ラウはずっと無言で縁側に座っています。

タカシと雑談した後、サチコはシャワーを浴びに行きます。

貴子にシャワーでお湯を出すにはどうしたらいいか聞くと「インドネシアは水しか出ない」と言われサチコは仕方なく水で浴びます。

貴子はタカシにもっと日本のことを学んでほしいと、夏目漱石文学集を渡します。

「“月がきれいですね”っていう言葉知ってる?漱石は”I love you”をそうやって訳したの」という貴子。

「何それ?それが日本っぽいの?」と笑うタカシ。

そんな話をしていると、「シャワーからお湯出ました!」というサチコの声がしました。

不思議がる貴子。ラウはそんな会話を聞きながら、うっすらと笑います。

翌日、ラウと貴子は、また浜辺の施設に行きます。

すると、近くのホテルから、ホンダという日本人が行方不明になってることが分かり、ラウはおそらくそのホンダだろうという話になりました。

しかし、ラウは一向にしゃべらず、何も思い出した様子もありません。

イルマはそんなラウの様子をカメラに収めます。

一緒に来ていたサチコは、父親が渡した写真の景観がないか探すのですが、その浜辺ではないようです。

その日、浜辺から引き上げていく途中で、熱中症になっている少女を発見します。

貴子が駆け寄り介抱するも、その場の人間はみな水を持っていませんでした。

そこで突然ラウがインドネシア語で「その子具合悪いみたいだね」と、しゃべりました。

「インドネシア語話せるの?」とびっくりする貴子。

ラウは手の平を上に向けて、空中に水の玉を作り出し、それを少女に飲ませるという超能力のような行為を披露します。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『海を駆ける』ネタバレ・結末の記載がございます。『海を駆ける』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2018「海を駆ける」製作委員会

イルマは翌朝までにラウが現れた経緯と起こした現象をまとめて記事にします。新聞社に電話で売り込むも、信じてもらえず相手にされません。

イルマはバイト先の雑貨屋から電話していたのですが、あきらめて外に出ると、散歩をしていたサチコに出くわします。

歩きながらイルマは、自分が少し前にクリスと付き合っていたこと話し出し、しかし、宗教の違いなどの理由で分かれてしまった事実も告げます。

また、ジャーナリストになる夢があるが、お金がないので大学に通えていないことなどを話しました。

サチコも同じ様に、英文科で勉強しているなどの会話を話します。

一方、大学で授業を受けていたタカシとクリス。

クリスはタカシに「日本人の女の子って何に喜ぶのかな」と尋ねます。

「もしかしてお前…」、クリスはサチコのことを好きになっていました。

タカシは「じゃあ取っておきの言葉を教えてやるよ」といいます。

そして数日後にサチコを歓迎するパーティを開くので、そこにクリスも招待してあげることにしました。

イルマは貴子が働くNPOの施設で、かつて、日本軍と一緒にインドネシアの独立戦争を戦った男たちにインタビューを行います。

老人たちは日本の軍歌をギコチなく楽しそうに歌います。

施設にはラウもいて、何もせずに座っていました。

その中で、ひとり目が見えなくなっている老人がいたのですが、ラウがその老人の顔に手をかざすと、老人は目が見えるようになりました。

数日後、パーティにやって来たクリスとイルマ。貴子宅で屋外で料理を食べながら談笑する一同。

デザートのアイスを食べながら、庭のブランコをこいでいるサチコ。

そこにクリスがやって来ました。少し会話した後、クリスは片言の日本語で「ツキガ…キレイデスネ…」と言います。

タカシはそれが日本では、主流の告白台詞だと思ってクリスに教えていたのですが、サチコは夏目漱石の訳も知らず、言葉の片言も相まって「今、月出てないけど…。ゴメンよくわかんない」とそっけない態度を見せます。

意気消沈したクリスは、イルマのところに行き「フラれた」と呟きます。

イルマはそんなクリスを慰めていると、タカシがロケット花火を始めました。

はしゃぐ若者たち4人。ラウはみんなを見つめながら、近くにあった花に手をかざします。

枯れていた花は見る見ると赤く美しい色を取り戻していきます。

楽しいパーティの最中にイルマの父がやって来ると、彼女を強引に連れて帰ります。

彼女の父は昔、自由アチェ運動というアチェ州がインドネシアから独立しようとした運動に参加しており、その際に政府の拷問を受けて足が不自由になっていました。

イルマが大学に通えない理由も、彼に一因があったのです。

翌日、サチコは高熱を出して寝ていました。

看病するタカシと貴子。貴子は日本にいる姉から、実はサチコは大学を退学した後にインドネシアに来ていたという事実を聞き、タカシにもそれを伝えました。

夜に熱で苦しむサチコの枕元にやってくるラウ。彼女の上にラウが手をかざします。

サチコは海の中を漂っている夢を見ていました。陸のほうを見てみると、彼女の父が展望台からカメラでこちらを撮っていました。

翌朝目を覚ますとサチコの熱はすっかり下がっていましたが、クリスが見舞いにやって来ます。

クリスの思いに気づいていた貴子は、「クリスはさっちゃんにホの字よ」と伝えます。

まんざらでもなさそうな反応のサチコ。

寝室にやってきたクリスにサチコは、「昨日夢で見た場所が父が遺言で言ってた場所だと思う」と話します。

クリスが話を聞いてみると、そこはバンダアチェ浜辺から、しばらく行った先にあるウェー島のサバンという浜辺だろうということが分かりました。

そこには昔、独立戦争を戦った際のトーチカがあり、サチコの父はそこから写真を撮っていたのではという推測を立てました。

クリスはサチコに自分が島まで連れて行き、案内すると言い出しました。

サチコも快諾し、数日後にウェー島に行くことにします。

一方イルマはチャンスを求めてジャーナリストのレニに、ラウが水を空中で操ったときの動画を見せます。

レニはそれを見て驚き、ラウを連れてジャカルタまで行き、記者会見を開きます。

サチコとタカシは、家でテレビを見ていて、その中継に気づきテレビに映し出されたラウを見つめます。

会見場にいた記者から「今超能力を見せられないのか」言われ、ラウはその場で前にやって見せたように空中に水の玉を出します。

驚く記者たちとタカシたち。

ラウは「疲れた…」と言いながら会見場から出て行きます。

そして、次の瞬間、サチコたちがいる部屋のドアを開けて、ラウが入ってきます。

びっくりして言葉もでないタカシとサチコを尻目に、ラウはその場にあるおかゆを食べはじめます。

貴子はNPOの同僚から、ラウの正体だと思っていたホンダという日本人が成田に帰国したという話を聞きます。

ラウの正体は、いよいよ分からなくなりました。

数日後、ウェー島に向かうサチコ。貴子が仕事で外出していたので、タカシとラウも同行することにしました。

トラックの荷台に乗せてもらい港に向かっていたのですが、途中で津波跡地で植林作業を行っている貴子を見つけます。

サチコは「貴子さ~ん」と声をかけますが、聞こえないのか貴子は振り返りません。

ラウは荷台を飛び降り、貴子のほうに歩いていきます。

幸子はラウを呼び止めますが、タカシは「母さんがいれば大丈夫だろ」といい二人はそのまま港に向かいました。

港でクリスを待っていた幸子とタカシですが、クリスはやって来ません。しょうがなく、二人は船に乗ります。

一方のラウは、貴子が作業している横でボ~っと座っていました。

貴子に電話が掛かってきて話しをしている最中も、彼は自分の傍に飛んできた蝶に興味を持って手を伸ばしますが逃げられてしまいます。

その蝶を追って歩き出すラウ。貴子の横を通ったとき、ラウはおもむろに彼女のほうを向き手を伸ばします。

ラウに手をかざされた貴子は、急に倒れこみピクリとも動かなくなりました。

ラウはそのまま無邪気に、蝶を追いかけまわします。

ウェー島に向かったフェリーの上でサチコとタカシは、イルマとクリスにばったり出くわしました。

なぜ、自分を誘ったクリスがイルマと一緒に乗っているのか、サチコは怒って思わずクリスを引っぱたきます。

クリスはサチコにフラれたと思い込んでおり、それでイルマを誘って一緒に来ていたのです。

サチコは「私クリスをフッてない!」といい、事情を察したタカシが、自分がクリスに「月がきれいですね」を日本の一般的な告白の言葉だと思い教えていたことを話します。

その話を聞いて笑い出すサチコ、クリスもイルマもつられて笑い出します。そして4人は仲良く歌いながら、ウェー島を目指します。

貴子は時間が経っても、そのままずっと倒れたままでした。彼女は亡くなっていました。ラウの姿はもう傍にありません。

若者4人はウェー島に着くと、観光を始めます。

さっきまで貴子のところにいたラウは、いつの間にか4人の傍におり、みんなもそれを気にしません。

クリスは川辺で現地の子供と触れ合っており、ラウもまた傍にいました。

サチコは父の写真のトーチカまで行きます。

タカシとイルマは浜辺を歩いていました。タカシはイルマにインドネシア語で「月がきれいですね」といいますが、イルマはまたも理解できず「どうしたの?」と返します。

笑ったタカシは「泳いでくる」と、シャツを脱いで走って海に入ります。

サチコは海の見えるトーチカから、泳いでるタカシを見つけ写真を撮ります。

海を写したその写真は父の遺言の写真とそっくりでした。

ちょうどそのとき、ラウの傍にいた子供が、ラウが最初に現れた日に歌った歌と同じ曲を歌いだします。

そして、川上にあった滝の流れが逆流し始めたり、トーチカにいたサチコの横に父と思しき人物が現れます。

しかし、サチコはそれに気づく様子もありません。

その後一同は、浜辺に集まって海を眺めていました。

後ろを棺おけを担いだ団体が通っていきます。

「葬式だ」「あの棺の大きさ子供のじゃない?」などと話していると、現地人が数人こっちに向かってきます。

タカシが事情をきくと、「ラウが子供を水に引き込んで4人殺した」とのことでした。

「そんなわけないじゃん。ずっと私たちと一緒にいたんだから。ねえラウ?」

サチコがそういってラウのほうを見ると、ラウは笑みを浮かべ、「もう帰らなきゃ」と言い、海に向かって走り出します。

4人もラウを追いかけて走り出し、現地人もそれを追いかけてきます。

ラウはなぜか沈まず、海の上をどんどん走っていきます。

4人も海の上を走れるようになっていました。現地人は波に押し戻されてしまいます。

どんどん海の上を駆けていくうちに、楽しくなってきて笑い出す4人。

しかし、先頭を走っていたラウはくるっとこっちを振り返ると、そのまま海にダイブしてしまいます。

その瞬間に4人も魔法が解けたように海に投げ出されます。

みんなは回りを見ながらラウを探しますが、彼の姿は見えません。

仕方なく彼ら4人は、泳いで浜に引き返します。

映画『海を駆ける』の感想と評価


(C)2018「海を駆ける」製作委員会

難解な謎の表現を今というエポックに問いかけた映画

本作品の『海を駆ける』のあらすじを書きながら、自分でも「何だこれ…」と思うくらい難解で謎が残るストーリーです。

最も謎の部分は「ラウは何者なのか」ということです。

「ラウはその名の通り、“海”なのか、“自然そのもの”の化身だった」のではないかと、解釈しています。

人間に対して善意も悪意もなく、人を救ったりしたかと思えば、突然命を奪ったりもする。

これは自然の絶対的な法則という、“気まぐれさ”を体現しているのではないでしょうか。

スマトラ沖地震という最大級の自然の“気まぐれ”により大きな傷を負ったインドネシアが舞台というのも示唆的です。

また、劇中でラウがいくら不思議な現象を起こしても、他の登場人物たちは彼をそこまで恐れたりせず、ただそこにいることを受け入れています。

これも現地の人たちと、自然の関係に近いからではないでしょうか。

ラウ=自然」と解釈した場合でも、この作品はすべて腑に落ちるようになっている訳ではありません

自然的存在と言っても急に長距離を移動したり、歌いだすと死者が見えたり、その能力が別の子供にも移ったりする理由は説明がつかないし、

その他の人物に関してもサチコが大学を辞めた理由、サチコの父がインドネシアの島に遺灰を撒いてくれと言った理由、おとなしかったサチコが急にクリスを引っぱたいた理由、イルマの父が活動家だったことの物語的意味…。

そして、ラストシーンで海を駆ける時、ラウも若者4人も、何故あんなにも楽しそうだったのか、などと考えれば考えるほど、ドツボにはまりそうな要素が残されたままです。

ハマらないパズルのピースと観た者の鏡


(C)2018「海を駆ける」製作委員会

本作はハマるようでハマらないパズルのピースのように作られていると言ってもよいでしょう。

深田監督は、パンフレットやネットのインタビューで、「今作は言語化できなくてもいいんじゃないかと思って作った」と述べていました。

また、「いい映画とは見た人を映し出す鏡のようなものだ」とも、答えています。

この映画に限ったことではないですが、理解ができない部分があっても面白い作品はありますし、解釈も人それぞれにあってもよいのでしょう。

本作『海を駆ける』では、いくつかのシーンで、夏目漱石の有名な翻訳の引用で「愛している」の意味で「月がきれいですね」という言葉が引用されています。

しかし、誰もがそれを「愛している」の意味で受け取る訳ではありません。

もちろん、額面どおり受け取る人だっています。

この映画のスタンスもそれに近いのだと考えられます。

劇中の台詞や描写がそのままの意味で使われているとは限りません。

意味深だからといって、何か限定的な意味があるとも限らないのです。

考えずに感じることも、ひたすら考察することもできる作品、それが深田晃司監督の『海を駆ける』なのです。

まとめ


(C)2018「海を駆ける」製作委員会

ストーリーとして飲み込めなくても、『海を駆ける』には他にいろいろな魅力がありました。

インドネシアの風景を切り取った、撮影監督芦澤明子の映像美も素晴らしいですし、
ラウ役を演じたディーン・フジオカをはじめとする、キャストの演技力も見応えがあります。

特に印象的だったのは、タカシ役の大賀です。現地人にしか見えないくらい自然な演技ですし、インドネシア語も上手で見事でした。

また、サチコ役の阿部純子も透明感のある美貌がインドネシアの風景で非常に映えていますし、表情ひとつでキャラクターの憂いや戸惑い、また喜びを見事に表現していました。

主人公を演じたディーン・フジオカは、彼のある種、人間離れした格好良さがラウの超自然的な存在感にマッチングして合っています。

まさにハマり役ですね。

理解は難しい作品ですが、楽しめるポイントはたくさんある映画です!

多層的な魅力に溢れた傑作『海を駆ける』は、映像美やキャストの魅力を堪能し、含みのあるストーリーを誰かと延々と考察するのも楽しい作品です。ぜひご覧ください!


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