あなたの隣にも魔女がいるかもしれない!? 魔女の見分け方教えます。
『チャーリーとチョコレート工場』で知られる、イギリスの児童文学作家ロアルド・ダールの『魔女がいっぱい』を原作に、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のロバート・ゼメキス監督が映画化。
『プラダを着た悪魔』『レ・ミゼラブル』のアン・ハサウェイが、邪悪な大魔女グランド・ウィッチを熱演。
世界中に魔女たちは人間のふりをして潜んでいます。いつまでも若くオシャレが大好きな魔女たちは、子供が大っ嫌い。
魔女たちの頂点にいる大魔女グランド・ウィッチは、世界中の魔女たちを集め、ある恐ろしい計画を企てていました。
そんな魔女たちの計画を、偶然聞いてしまった少年のぼく。子供たちの運命はいかに。映画『魔女がいっぱい』を紹介します。
映画『魔女がいっぱい』の作品情報
【日本公開】
2020年(アメリカ映画)
【原作】
ロアルド・ダール「The Witches」
【監督】
ロバート・ゼメキス
【キャスト】
アン・ハサウェイ、オクタビア・スペンサー、スタンリー・トゥッチ、クリス・ロック、クリスティン・チェノウェス、ジャジル・ブルーノ、コーディ=レイ・イースティック
【作品概要】
原作は、時代を超え様々な世代に愛され続けてきたイギリスの児童文学作家ロアルド・ダールの代表作のひとつ、1983年出版の『魔女がいっぱい』。
監督は、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ3部作、『フォレスト・ガンプ 一期一会』(1995)などの名作で知られる巨匠ロバート・ゼメキス監督です。
制作・脚本には『シェイプ・オブ・ウォーター』(2018)のギレルモ・デル・トロ、そして『ハリーポッターとアズカバンの囚人』(2004)『ゼロ・グラビティ』(2013)『ROMAローマ』(2018)のアルフォンソ・キュアロンも名を連ねています。
世界一邪悪な大魔女グランド・ウィッチを演じるのは、日本でも大人気の女優アン・ハサウェイ。大きな口裂けメイクで、美しく怖い魔女を熱演しています。
その他、アン・ハサウェイと『プラダを着た悪魔』でも共演したスタンリー・トゥッチ、『シェイプ・オブ・ウォーター』のオクタビア・スペンサーなど俳優陣も豪華揃いとなっています。
映画『魔女がいっぱい』のあらすじとネタバレ
知っていますか? 魔女は実際に存在すると。そして、あなたのとても身近にいるということを。
会場には多くの子供たちが集まっています。映し出される魔女の映像とともに、ナレーターが魔女について説明していきます。子供たちは真剣に耳を傾けていました。
ナレーターは、自分の体験談を語り出します。「ぼくが8歳だった頃、1968年最後の年のお話だ」。
クリスマスの日、ぼくと両親はシカゴの街中で交通事故に遭ってしまいます。ひとり助かったぼくは、その後おばあちゃんに引き取られました。
始めは激しく落ち込んでいたぼくも、優しく明るいおばあちゃんとの生活で少しづつ癒されていきます。
そんな時、おばあちゃんはぼくに「白ネズミ」を与えてくれました。ぼくは、デイジーと名付け一緒に遊ぶことに夢中です。
ある日、おばあちゃんと買い物に出掛けたぼくは、見知らぬ女性からお菓子を差し出されます。「キャンディーをどうぞ」。
その女性は、青いドレスに大きな帽子をかぶり、長い手袋をしていました。差し出された腕には青蛇が絡まっています。
「さぁ、どうぞ」。迫ってくる蛇に目を閉じかけたその時、おばあちゃんのぼくを探す声がし、女性は姿を消しました。
その夜、ぼくはおばあちゃんに怖い女性の話をします。すると、おばあちゃんは真剣な表情で詳しく聞いてきました。「ぼうや、今日会ったのは、魔女だよ」。
とても信じられないぼく。「魔女なんて本当にいるの?」。「どんな町にも魔女はいるわ。私は魔女に動物にされた女の子を知っているの」。
おばあちゃんがまだ小さかった頃。向かいの家に住む女の子・アリスが、派手な格好の女性からお菓子をもらっているのを見かけます。
次の朝、家から飛び出してきたアリスが、おばあちゃんの目の前で見る見るうちにニワトリに変身してしまいました。
アリスを探す大人たちに、おばあちゃんは、信じてもらえるはずがないと、そのことを言えず、毎日ニワトリのアリスに会いに行っていたのでした。
おばあちゃんが言う魔女の見分け方は、こうです。口の端っこが耳まで裂けていて、普段は化粧で隠している。かぎ爪を隠すために手袋をしている。足の爪がない。髪はなくカツラを被っている。
そして、子供がなによりも嫌いな魔女は、子供の匂いを嗅ぎ分けるため鼻の穴が大きいと言うのです。
「ぼうや、魔女に会ってしまったら最後、この家は危険よ。逃げましょう」。おばあちゃんは、ひどく咳き込みぼくを急かします。おばあちゃんの咳の原因は、魔女が近いということです。
ぼくとおばあちゃんは、リゾート地にある高級ホテル・オーリンズホテルに避難することにしました。「ここなら安心よ」。しかし、ここでの滞在がぼくの一生を大きく変えることになります。
オーリンズホテルに、ひと際目立つ女性団体がやってきました。「児童愛護協会」の奥様方です。中でも、ゴージャスに着飾り黒猫を抱いたリーダーらしき女性は、支配人のストリンガー3世にわがままを言いたい放題です。
ぼくは、白ネズミのデイジーと遊ぶためホテルの中を探索中。途中で、口中にお菓子をつけた食いしん坊のブルーノと出会います。
彼は、「ついさっき、知らないおばさんからお菓子をもらったんだ」と嬉しそうに話してくれました。
ぼくは、ブルーノと別れ、空いている宴会場に入り込み、こっそりデイジーと遊んでいました。
すると、突然ドアがあき、派手な女性軍団が押し寄せてきました。慌てて舞台の下に隠れるぼくとデイジー。どうやら、児童愛護団体の会合が始まってしまったようです。
リーダーの女性が舞台に立ち叫びます。「むしり取りなさい!」。女性たちは一斉に、手袋をはずし、靴を脱ぎ捨て、終いにはカツラを取り去りました。
現れた姿は、おばあちゃんが言っていた魔女そのものです。リーダーの大魔女グランド・ウィッチは、耳まで裂けた口を大きく広げ魔女たちに号令を飛ばしています。
「この世のガキどもを全員ぶっ潰す!おまえらは、町に戻りお菓子屋を開くのよ。そして、お菓子の中にこの処方番号86番・時限作用式ネズミニナールを入れなさい。1滴で1時間、2滴で30分、3滴で即座にネズミに変身よ!」。
魔女たちは世界中の子供をネズミに変えてしまおうと企んでいたのです。「くんくんくん」。グランド・ウィッチが鼻穴を広げ匂いを嗅いでいます。「匂うわ」。
舞台の下ですべてを聞いていたぼくは、身を震わせます。その時、扉を開け食いしん坊のブルーノがやってきました。「おばちゃん、チョコレート3枚くれるって言ったよね」。
まんまとやってきたブルーノは、魔女たちのカウントダウンとともに、目の前でネズミになってしまいました。
「潰せぇ!」。踏みつけようとする魔女たちの合間を縫って、ネズミになっても太っちょのブルーノは転がり回ります。
そこに助けにやってきたのは、白ネズミのデイジーでした。「こっちよ」。デイジーもしゃべれるの?なんと、デイジーも元々は孤児院にいた女の子メアリーだったのです。
抜け道から逃げようとした子供たちでしたが、大きいぼくが、大魔女グランド・ウィッチに捕えられてしまいます。
無理やり押さえつけられ、耳からネズミニナールを3滴入れられたぼくは、たちまちネズミになってしまいました。絶体絶命のピンチ。3匹は協力してどうにか抜け出すことに成功します。
「おばあちゃんに知らせなきゃ」。ネズミの恰好では、部屋に行くのも一苦労です。清掃係に見つかり、ホテルはネズミが出たと大騒ぎ。各部屋にネズミ捕り機が置かれます。
ネズミに変えられてしまった子供たちの姿に、おばあちゃんは驚くも、元に戻る薬を作ろうと励ましてくれました。おばあちゃんは、薬の調合もできるのです。
そして、世界中の子供たちをネズミにしてしまおうと企む、大魔女グランド・ウィッチを止めなければなりません。
映画『魔女がいっぱい』の感想と評価
いまなお世界中で愛され続ける児童文学作家ロアルド・ダールの1983年発行『魔女がいっぱい』が、実写映画化となりました。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のロバート・ゼメキス監督により映画化された今作は、豪華なキャストと迫力ある映像で、極上のファンタジー映画となりました。
魔女がはびこる世界で、ネズミにされた少年が仲間たちとともに、魔女退治に挑む物語。悲しみを乗り越え、勇敢に成長していく少年の姿に元気を貰えます。
原作者のロアルド・ダールは『チャーリーとチョコレート工場』の原作者でもあり、子供向けのストーリーの中に織り交ぜた、ピリッとしたダークさが魅力の作家です。
一見ユニークな展開も、よく考えると恐ろしい、なんてこともあります。『魔女がいっぱい』では、魔女をやっつけ元の姿に戻るのがハッピーエンドと考えるところですが、この結末は少し違います。
どんな姿でも自分らしくあればいい。それぞれの個性を認め、受け入れること。本当の自分を見つけることの大切さを、この物語は教えてくれます。
そして、映画『魔女がいっぱい』の見どころのひとつに、大魔女グランド・ウィッチの邪悪さがあげられます。
演じるのは、名女優アン・ハサウェイ。オシャレで上品な美女の裏に隠された、超絶恐ろしい大魔女の顔。ぶつぶつの坊主頭に、ヘンテコな爪、大きく膨らむ鼻穴に耳まで裂けた口。
毎回、長時間の特殊メイクで作り上げたという大魔女グランド・ウィッチの醜い姿で、高らかに叫び暴れまくるアン・ハサウェイの楽しそうなこと。吹っ切れた演技に、見ている方もなぜかスッキリ、ストレス発散になるかも。
また、映像の隅々にも楽しい演出が盛りだくさんです。ネズミに変えられた子供たちが、ちょこまかとホテル中を駆け回るシーンは、臨場感があってハラハラです。
コロナ禍の中、ドキドキワクワクのファンタジー映画に飢えていた人に、「待ってました」の一本。これぞ映画の醍醐味が詰まった作品です。ぜひ映画館の大きなスクリーンで楽しんで下さい。
まとめ
ロバート・ゼメキス監督のもと豪華ハリウッド製作陣が集結し、親子で楽しめる超豪華ファンタジー映画『魔女がいっぱい』が誕生しました。
大魔女グランド・ウィッチの邪悪な魔の手が、今も子供たちをネズミに変えようと迫っているかもしれません。
あなたの近くにいるオシャレで上品な女性は、いつまでも若く、大きな帽子をかぶり手袋をしていませんか?よく見て下さい。化粧の下にうっすらと、耳まで裂けた口がありませんか?
世界中の町に魔女はいます。この映画を観て、「魔女の見分け方」を学んでおいて下さいね。