エディ・レッドメイン主演『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』
「ハリー・ポッター」シリーズでおなじみJ・K・ローリングが、ロバート・ガルブレイス名義で執筆した「ファンタスティック・ビースト」シリーズ『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』。
物語は『ハリー・ポッターと賢者の石』の時代から約70年前。魔法学校のホグワーツやそこの教師ダンブルドアなど、おなじみの名前が登場しますが、シリーズの主人公はニュート・スキャマンダー、魔法生物学者です。
アメリカのニューヨークを舞台にしたその内容をご紹介します。
CONTENTS
映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の作品情報
【日本公開】
2016年(アメリカ映画)
【原題】
Fantastic Beasts and Where to Find Them
【原作・脚本】
J・K・ローリング
【監督】
デビッド・イェーツ
【キャスト】
エディ・レッドメイン、キャサリン・ウォーターストン、ダン・フォグラー、アリソン・スドル、エズラ・ミラー、サマンサ・モートン、ジョン・ボイト、カルメン・イジョゴ、ロン・パールマン、コリン・ファレル、ジェン・マーレイ、フェイス=ウッド・ブラグローブ、ローナン・ラフテリー、ジョシュ・カウダリー、ゾーイ・クラビッツ、ジョニー・デップ
【作品概要】
「ハリー・ポッター」シリーズの前日譚として執筆された「ファンタスティック・ビースト」シリーズ。主人公の魔法生物学者ニュート・スキャマンダーは『幻の動物とその生息地』という本の著者で、映画『ハリー・ポッターと賢者の石』でその本は教科書として登場。この映画ではその本を執筆する少し前、ニュートが初めてアメリカを訪れ、彼の所有する魔法生物たちが逃げ出してしまったことから起きる騒動と、時を同じくして進行する闇の勢力との闘いが描かれています。
「ハリー・ポッター」シリーズでおなじみの魔法の数々、そして見たことのない愛らしい魔法生物たちが多数登場するファンタジックな世界観をお楽しみください。
映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のあらすじとネタバレ
1926年。世界は、魔法を使える人間とそうではない人間との間に争いが起こりそうな不穏な空気に包まれています。アメリカの魔法議会議長ピッカリー(カルメン・イジョゴ)は、冷静になるよう呼びかけています。
そんな中、イギリスの魔法生物学者ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)は魔法生物の入ったトランクを持ってアメリカに入国しました。もちろん、魔法生物が見つからないようトランクには仕掛けが施してあります。
折しもニューヨークの街では、魔法のせいとしか思えないような建物の倒壊などが相次いでいました。不安を煽るように、新セーレム救世軍のリーダー、ベアボーン(サマンサ・モートン)が魔女狩りを奨励するような演説をおこなっています。
たまたまそこに居合わせたニュートは、トランクからニフラー(魔法動物の一種)が逃げ出しているのを見つけあとを追います。そこは銀行で、キラキラした光るものが大好きなニフラーは貴金属や金貨を漁りまくっています。
融資の申し込みに来ていたジェイコブ・コワルスキー(ダン・フォグラー)は、ニュートが落としていった何かの卵を拾います。ニフラーを追うニュートに声を掛けたジェイコブは、魔法でニュートのいる銀行の金庫に引き込まれてしまいます。
ニュートはためらいもなく大金庫を開けて中を荒らしていたニフラーをつかまえます。駆けつけた警備員から逃げるために再び魔法で外に移動し、そこでジェイコブの記憶を消そうとしますが逃げられてしまいました。
その様子を見ていたアメリカ合衆国魔法議会MACUSA<マクーザ>で働くティナ・ゴールドスタイン(キャサリン・ウォーターストン)は、魔法生物を持ち込んだ罪でニュートを連行します。しかし今のティナは調査部の所属ではないため、上司のグレイブス長官(コリン・ファレル)は相手にしてくれません。
一方ジェイコブは間違えてニュートのトランクを持ち帰ってしまい、中から出てきた生物に噛まれてしまいます。他にも何かが窓から飛び出していきました。
ジェイコブの部屋にやってきたニュートは彼を噛んだマートラップを回収しますがニフラーは見つかりませんでした。具合の悪そうなジェイコブを介抱するため、ティナは仕方なく自分のアパートにふたりを連れていきます。
そこにはティナの妹クイニー(アリソン・スドル)がいました。ティナと違い魅惑的なクイニーにジェイコブはひと目で恋しまいます。クイニーは相手の心を読むことができ、どうすれば相手が喜ぶかを心得ています。そんなクイニーも素直なジェイコブに惹かれていくのでした。
新セーレム救世軍のベアボーンは、養子たちを連れて新聞社を訪れています。社長のヘンリー・ショー(ジョン・ボイト)は最近の事故が魔女の仕業だという彼女の話を信じず、また上院議員であるその長男(ジョシュ・カウダリー)は救世軍の青年クリーデンス(エズラ・ミラー)を変人扱いして追い返します。
そのクリーデンスは街でのビラ配りのあと、路地裏で魔法議会のグレイブスと密かに会っていました。新セーレム救世軍に巨大な魔力を持つ子供がいると知ったグレイブスが、魔法使いの家系であるクリーデンスを協力者にしていたのです。いずれ魔法界に入れてやるから、とグレイブスは情緒不安定なクリーデンスを言い含めます。
その夜、ニュートはジェイコブをトランクの中に招き入れます。そこには魔法生物を世話するための空間が広がっていました。薬を調合して傷の手当を済ませると、ニュートはたくさんの生物をジェイコブに紹介し説明します。銀行で拾った卵の殻は純銀で、そのためハンターに狙われる、など。しかし雪原にポツンと浮かぶ黒い霧のようなものについては教えてくれませんでした。
そのままニュートとジェイコブはニフラーを探しに街へ出ます。宝石店のショーウィンドウでニフラーを見つけたニュートは、魔法でガラスを割って店内に入ります。ヤキモキするジェイコブの目の前でようやくニフラーをつかまえたニュートですが、駆けつけた警官隊に囲まれてまた魔法での移動を余儀なくされます。
その後、セントラルパークの動物園で巨大なエルンペント(サイに似た魔法動物)の捕獲に成功しますが、その様子を見ていたティナによってトランクごと魔法議会に突き出されてしまいます。
その少し前、上院議員ヘンリー・ショー・ジュニアが演説中に襲われ殺されてしまいました。緊急で議会が開かれているその場へ、そうとは知らずティナはやってきてしまいました。魔法動物が犯人だと主張する議会に対し、ニュートは「オブスキュラスです」と断言します。
しかし議長はアメリカにそれを生み出す者はいないと言い、トランクは押収され、ニュート、ジェイコブそしてティナまでもが逮捕されてしまいます。
ティナは牢の中で、魔法動物の安否を心配するニュートに謝ります。ニュートはオブスキュラスについて、自分の魔力を抑えつけ、やがて制御しきれなくなって発現する不安定な闇の力だと説明し、その持ち主は子供で、皆10歳以下で命を落としてしまうのだと話します。
ニュートはティナとともに、グレイブスに尋問されます。ニュートは、自分は最も危険な闇の魔法使いグリンデルバルドの信奉者ではないと反論します。
しかし、ニュートのトランクの中にはオブスキュラスが入っていました。研究のために保管していたものですが、それだけで疑われるには十分でした。グレイブスはニュートとティナの死刑を命じます。
同じ建物の中で働いていたクイニーはティナの動揺を察知し、ふたりを助けるために動き出します。ジェイコブを救出し、グレイブスの部屋に侵入してトランクとふたりの魔法の杖を取り戻しました。
ティナの死刑執行はすぐに始まりました。拘束され、杖もないふたりは絶体絶命。しかしニュートの胸ポケットに入っていたボウトラックル(木の枝のような魔法動物)のピケットが鎖をはずし、隠し持っていたスウーピング・イーヴル(魔法鳥類)の働きでティナを救い出すとクイニーたちと合流し脱出に成功しました。
映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の感想と評価
世界中で愛され続ける「ハリー・ポッター」シリーズ。そのスピンオフとして、大きな期待感をもって迎えられたこの「ファンタスティック・ビースト」。その内容は期待を裏切らない、いえ期待以上、想像以上の面白さでした。
スピンオフというとどうしてもパンチに欠けてしまうイメージがありますが、主人公の人物設定や家庭環境、彼を取り巻く人たちと「ハリー・ポッター」シリーズへとつながる彼らの相関関係、そして登場する魔法動物たちの造形や特徴など、どれをとっても緻密に考えられ作り込まれています。
主演のエディ・レッドメインがイケメン度を抑え、ちょっとコミュ障の変わり者を生き生きと演じています。撮影中も積極的にアイディアを出すなど、現場の雰囲気の良さが伺えます。ちなみに魔法の杖が傘代わりになるのはエディの発案だそうです。
今回は写真だけの出演でしたが、ニュートの想い人リタ・レストレンジは次作『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』にメインのキャラクターとして登場し、重要な役回りを演じます。ハリポタシリーズを観たことがある人なら、レストレンジという名前にピンとくるかもしれません。あの悪い魔女とどういう関係があるのか、興味深いところです。
また、ラスト近くで印象的に登場したジョニー・デップ演じるグリンデルバルド。『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』では若きダンブルドアとタッグを組んだニュートと、グリンデルバルドとの対決が描かれていきます。登場人物の出生の秘密など、今作以上に複雑な背景が絡んでくるそうです。
まとめ
2021年には3作目が公開される予定の「ファンタスティック・ビースト」シリーズ。当初は三部作の予定でしたが、原作者のローリングは全部で五本の映画シリーズとなると発表しており、4作目は2022年、5作目が2024年に公開されるそうです。
まだまだこの魅力的な魔法生物学者と可愛い動物たちの活躍は続くということで、楽しみが増えます。