Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ファンタジー映画

Entry 2018/10/13
Update

映画『ダークシャドウ』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

  • Writer :
  • Cinemarche編集部

可愛らしさと不気味さが混在する世界観が人気のティム・バートン監督作品。

今回取り上げるのはそんなバートン監督が人気ソープオペラを映画化した『ダーク・シャドウ』です。

ゴシック好きにはたまらない魅力が詰まった映画『ダーク・シャドウ』の魅力を紹介します。

映画『ダーク・シャドウ』の作品情報


(C)2012 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

【公開】
2012年(アメリカ映画)

【原題】
Dark Shadows

【監督】
ティム・バートン

【キャスト】
ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、ヘレナ・ボナム=カーター、エヴァ・グリーン、ジャッキー・アール・ヘイリー、ジョニー・リー・ミラー、クロエ・グレース・モレッツ、ベラ・ヒースコート、ガリバー・マクグラス、クリストファー・リー、アリス・クーパー

【作品概要】
『ダーク・シャドウ』は1966年から1971年に放映されたソープオペラ。『ダーク・シャドウ』が映画化されるのは『地の唇』(1970)に続き本作は二回目で監督はティム・バートン。

衣装デザイナーは『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(2016)でアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞したコリーン・アトウッド、作曲は『バットマン』(1989)『シザーハンズ』(1990)などバートン作品に数多く携わってきたダニー・エルフマンが務めました。

主人公の吸血鬼バーナバスをジョニー・デップが演じ、ティム・バートン監督と8回目のタッグ。

映画『ダーク・シャドウ』のあらすじとネタバレ


(C)2012 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

今よりはるか昔の1752年。コリンズ家はイギリスのリヴァプールから、当時未開拓だったアメリカに目をつけ移住します。

そこで彼らは水産業で大成功を収め地元の名士となりました。

バーナバスはそんなコリンズ家に生を受け、恵まれた暮らしを送っていました。

それから20年後、プレイボーイのバーナバスは家の女中アンジェリークに手を出します。

彼を心から愛していたアンジェリークですが、バーナバスは彼女を弄んでいるだけでした。

バーナバスはジョゼットという娘を本気で愛するようになり、アンジェリークに関係の終わりを告げます。

しかしアンジェリークの正体は、実は魔女だったのです。

怒り狂ったアンジェリークはジョゼットを呪い、崖から身を投げさせます。

絶望したバーナバスは、自分も命を絶とうとしますがアンジェリークはそれを許さず、魔法で不老不死のヴァンパイアへと姿を変えさせました。

そしてアンジェリークは住民を巧みに煽動しバーナバスを襲わせ、彼を棺に入れて深い森の地中へ生き埋めにしたのです。

それから200年の月日が流れた1972年。その地ではある工事が行われていました。

棺を掘り返され地上へと這い上がったバーナバスは、かつての自分の屋敷へ向かいました。

しかし屋敷は荒廃した姿に。コリンズ家は没落しかけていました。

屋敷に住むのは女主人のエリザベス、15歳の反抗期の娘キャロリン、エリザベスの甥で母親を亡くした10歳の少年デヴィッド、デヴィッドの父親のロジャー、そしてエリザベスに雇われた精神科医のホフマン、家庭教師のヴィクトリア。

デヴィッドは溺死した母親の姿が時折見えるといい、家族に心配されています。

キャロリンはデヴィッドばかり気をかけられることをよく思っていませんでした。

バーナバスは最愛のジョゼットに生き写しのヴィクトリアに一目惚れします。

バーナバスは彼らに自分の正体を明かしますが、もちろん彼らは信じようとしません。

しかしエリザベスでさえ知らなかった屋敷の隠し部屋を言い当てて見せ、バーナバスは信頼を得ることができました。

バーナバスはコリンズ家を復興させようと考えます。

しかし、今やこの街は魔女アンジェリークによって支配されていました。

以下、『ダーク・シャドウ』ネタバレ・結末の記載がございます。『ダーク・シャドウ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
缶詰工場を経営しているコリンズ家でしたが、ライバル会社によって経営難に陥っていました。

ライバル会社の社長は姿を変えて生き続けていたアンジェリーク。

バーナバスを強く憎むアンジェリークは子孫にまで呪いをかけ、金銭的にもコリンズ家全体を追い詰めていたのです。

バーナバスは、アンジェリークの漁師たちを催眠術にかけ契約を取り付け、隠し部屋に眠っていた財宝を元手に工場を再建、ボロボロの館も立て直し、順調にコリンズ家の復興を進めていきます。

再びコリンズ家が栄えるようになり、アンジェリークはバーナバスに復縁を迫りますが、ジョゼットにそっくりの住み込み家庭教師ヴィクトリアと愛し合うようになっていたバーナバスは拒否。

アンジェリークは再び怒り狂います。

デヴィッドの住み込み家庭教師ヴィクトリアは、幼い頃から幽霊が見えたため精神病院に預けられたという過去を持っていました。

今でも時折その幽霊の存在に悩まされるヴィクトリア。

実はその幽霊こそ、バーナバスの恋人ジョゼットだったのです。

また精神科医のホフマンは自分もアルコール依存症で老いに悩んでいました。

彼女はバーナバスの血液で自分も吸血鬼に変身しようとしますが、怒ったバーナバスに処分されてしまいます。

デヴィッドの粗野な性格の父親ロジャーは、こっそり財産を盗もうとしていました。

見つけたバーナバスが「良い父親になるか出て行くかを選べ」というと、ロジャーは屋敷から出て行く道を選びました。

コリンズ家内で騒動が起こる中、アンジェリークが本格的にコリンズ家に襲いかかります。

アンジェリークはバーナバスを再び棺に閉じ込め、コリンズ家に火をつけました。

間一髪脱出し、バーナバスの救出にも成功する家族。屋敷で最後の戦いが始まります。

アンジェリークの魔力に対抗するためキャロリンは狼人間に返信。実は幼い頃アンジェリークがミルクに狼の血を混ぜていたため、特殊能力をずっと秘めていたのです。

またデヴィッドの母親、ローラの幽霊の加勢もあり家族はアンジェリークを倒すことに必要。

デヴィッドは精神不安定なのではなく、実際に幽霊がずっと見えていたことが分かります。

息をひきとる直前アンジェリークは心臓を取り出しバーナバスに渡しますが、その心臓はガラスのように砕けて粉々になってしまいました。

バーナバスはヴィクトリアの姿がないことに気がつきます。

バーナバスは、アンジェリークによる“愛する人とは結ばれない”という呪いにかけられており、ヴィクトリアは崖から身を投げようとしていました。

崖から落ちるヴィクトリアを追いバーナバスも飛び降り、途中で彼女を噛んだことからヴィクトリアもヴァンパイアに変身します。

2人は200年の時を超え、永遠の愛を誓い合いました。

映画『ダーク・シャドウ』の感想と評価


(C)2012 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

ソープオペラの意味

本作『ダーク・シャドウ』は、1966年から1971年に放映されたテレビ番組のソープオペラでした。

ソープオペラとは平日の昼間に放映される日本のいわゆる“昼ドラ”、メロドラマのことです。

また、アメリカでは洗剤会社がスポンサーにつくことから、ソープオペラと呼ばれるようになりました

バートン映画にかかせないキャスト陣

主人公の吸血鬼バーナバスを演じるのは、本作でティム・バートンと8回目のタッグとなったジョニー・デップ。

本作の鍵を握る女性ヴィクトリア/ジョゼットの2役を演じるのは『ネオン・デーモン』(2016)にも出演する若手女優ベラ・ヒースコート。

バーナバスを愛する魔女アンジェリークを演じるのはエヴァ・グリーン。彼女は『ミス・ペレグリンと奇妙な子供たち』(2016)や2019年公開予定の『ダンボ』など、近年バートン監督作品への出演が多く見られます。

バーナバスの子孫、コリンズ家の女家長エリザベスに扮するのは、『バットマン リターンズ』(1992)でキャットウーマンを演じたミシェル・ファイファー。

コリンズ家に雇われている精神科医ホフマン博士を演じるのは、長年バートン監督の公私にわたるパートナーであったヘレナ・ボナム=カーター。

つまりはこの作品でもバートン映画に欠かせない名優たちの共演を楽しめます。

彼らは『アダムス・ファミリー』に負けないぐらいの個性とインパクトを持つコリンズ家。

吸血鬼だけではなく魔女に人狼、幽霊とたくさんの怪物が登場します。

怪しげな荒廃した屋敷、青白い顔の登場人物たち。ゴシック調の世界観の本作はホラー映画が大好きなティム・バートン監督の手腕が発揮されている作品です。

また使用人ウィリーを演じるのは『エルム街の悪夢』(2010)で殺人鬼フレディ役を演じたジャッキー・アール・ヘイリー、漁師たちのボスを名優クリストファー・リーが演じています。

そのほかにもテレビドラマ版に出演したいた俳優ジョナサン・フリッドやデヴィッド・セルビーらがカメオ出演しており、細部まで目が離せません。

バートン映画で描かれるテーマ

1980年公開の『シザーハンズ』、1989年の公開の『バットマン リターンズ』などで愛されない者たちアウトサイダーたちの孤独

2003年公開の『ビッグ・フィッシュ』、2005年公開の「チャーリーとチョコレート工場』では、家族の大切さを描いてきたバートン監督。

『ダーク・シャドウ』ではその2つのテーマが在るといえます。

本作のヴィランである魔女アンジェリークは愛しさ余って憎さ倍増、自分の愛情を跳ね返された仕返しに愛する男に永遠の呪いをかけます。

その家族まで徹底的に追い詰める彼女ですが、元はといえばバーナバスが純粋な愛情を弄んだからです。

そんなバーナバスは最後恋人ジョゼットに生き写しのヴィクトリアを吸血鬼に変え、200年の時を超えて結ばれます。

最後のヴィクトリアの表情はジョゼットが乗り移ったかのよう。愛を求めてさまよい、誰かの体を借り、恋人と生きるために血を吸って生きています。

アンジェリークもバーナバスもジョゼットも、“ダーク・シャドウ”表ではなく深い暗闇の中でしか生きられない者たちなのです。

興味深いのは魔女アンジェリークのヴィジュアルがティム・バートンの元恋人で女優のリサ・マリーに髪型やシャープな佇まいなど、どことなく似ていることです。

バートン監督作品で初となるラブシーンを終えた後、バーナバスはアンジェリークに対してこう語ります。

愛はなくても体は求めてしまう」そして最後、虫の息になったアンジェリークに対して「お前は私を愛しているわけではない」と言い放ちます。

監督の思惑は霧の中ですが、意味深長な“大人”のラブストーリーでもあります。

まとめ


(C)2012 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

ユーモアもたっぷり添えられた独特の世界観で描かれるファンタジー『ダーク・シャドウ』。

2019年に公開されるティム・バートンの新作『ダンボ』に備えて、ぜひ、過去作品を今一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。

みんなちょっぴりおかしい、だけれど憎めない、アウトサイダーたちが繰り広げる物語をぜひお楽しみください。

関連記事

ファンタジー映画

【ネタバレ】グリーン・ナイト|結末あらすじ感想と考察評価。最後映画エンドロール解説で残された“謎”を探る

A24が送るダーク・ファンタジー『グリーン・ナイト』 『ライトハウス』(2019)や『ミッドサマー』(2019)など、エッジの効いたホラーやスリラー映画で人気の映画制作・配給会社「A24」。 2021 …

ファンタジー映画

映画ハイヒール初日舞台挨拶の劇場は?ファンタジア国際映画祭で上映決定も

30分という短編映画でありながら、異例の大作あつかいで全国的に劇場公開される『ハイヒール』。 主演の菊地凛子をはじめとするキャストたちの初日舞台挨拶が決定しました! また、この作品はファンタジア国際映 …

ファンタジー映画

深田晃司映画『海を駆ける』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

鬼才・深田晃司監督の映画『海を駆ける』は、インドネシアで海からやって来た謎の男が起こす奇跡と、不可解な現象を描きます。 バンダアチェの風景の映像美とディーン・フジオカをはじめとする若手俳優たちのみずみ …

ファンタジー映画

映画『空海 美しき王妃の謎』あらすじネタバレ感想。ラスト結末も

東宝とKADOKAWA初の共同配給作品にして、日中共同製作映画史上最大の本格ビッグプロジェクト。 企画の立ち上げから完成まで、10年の歳月をかけたチェン・カイコー監督。 染谷将太主演の『空海 KU-K …

ファンタジー映画

映画『フィッシュマンの涙』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

CONTENTS映画『フィッシュマンの涙』作品情報映画『フィッシュマンの涙』あらすじとネタバレ 魚人間の誕生 魚人間の苦悩魚人間のゆくえ 『フィッシュマンの涙』の感想と評価まとめ 映画『フィッシュマン …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学