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Entry 2020/05/26
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映画『予定は未定』あらすじと感想評価レビュー。磯部鉄平監督が未来に向き合う必要性を力強く描き出す

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

磯部鉄平監督作品が、アップリンク吉祥寺にてレイトショー公開

「大阪アジアン映画祭」インディ・フォーラム部門「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」「Kisssh-Kissssssh映画祭」など、さまざまな映画祭で入選、受賞をしている、注目の若手監督磯部鉄平。

独特の優しい視点に定評のある、磯部鉄平監督作品が、東京・UPLINK吉祥寺ほか全国で順次公開されます。

今回は、磯部鉄平監督作品の中から、『オーバーナイトウォーク』とあわせて2本立てで7月17日(金)〜23日(木)の間劇場公開される『予定は未定』、2018年に屋敷紘子を主演に製作した、自身の未来へ走り出す物語をご紹介します。

磯部鉄平監督は、30歳を前に映画の道へ進み、河瀬直美らを輩出した「ビジュアルアーツ専門学校大阪」で、映画制作を学んだという、独特の経歴の持ち主です。

その後、映像フリーランスとして活躍後、2016年から自主映画製作を開始しており、さまざまな映画祭で高い評価を得ています。

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映画『予定は未定』の作品情報


(C)ISOBE TEPPEI

【公開】
2020年公開(日本映画)

【原案】
永井和男

【監督】
磯部鉄平

【脚本】
磯部鉄平、永井和男

【キャスト】
屋敷紘子、辰寿広美、南羽真里、時光陸、白井宏幸、土佐和成、山中アラタ

【作品概要】
主演屋敷紘子と監督磯部鉄平による、2018年に製作された作品『予定は未定』。

ジョン・ウー監督の『マンハント』(2017)や、「るろうに剣心」シリーズなどに出演し、実力派アクション女優として活躍する屋敷紘子が、40歳を目前にした独身女性を、可笑しくも哀愁たっぷりに演じています。

ある日、男性の名前だけ書かれた婚姻届けを拾ったOL純子が経験する、少し不思議な物語を描いた本作は「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018 短編部門」で優秀作品賞を受賞するなど、高い評価を受けています。

映画『予定は未定』のあらすじ


(C)ISOBE TEPPEI

かつて、陸上競技でオリンピックを目指すほどの選手だった純子は、選手引退後、イベント会社で働いています。

しかし、元陸上競技選手だったという過去は、他人に触れられると純子が嫌がる為、周囲はあえてその話はしないよう気を使っています。

ですが、純子は陸上競技選手だった頃に獲得したメダルを抱きしめるなど、自身の過去を懐かしみ、どこか過去にとらわれている様子でした。

40歳目前で独身の純子は、叔母からお見合いの話を持ち掛けられますが、送付された相手の見合い写真をちゃんと見ようともせず、どこか乗り気ではありません。

しかし、強引な叔母は、勝手に純子と見合い相手の「落語デート」をセッティングしてしまいます。

ある時、会社の休憩時間を公園で過ごしていた純子に、紙飛行機が飛んできます。

紙飛行機を開いてみると、それは男性の欄だけが記載された婚姻届けでした。

戸惑いながらも、純子は婚姻届けを持ち帰り、かつて不倫関係にあった上司の佐藤にも、結婚する事をほのめかします。

そして、「落語デート」の当日、様子を見に自宅へ訪れた叔母に、純子は「プロポーズされた」と伝え、デートをキャンセルし、婚姻届けに書かれた男性の住所を訪ねますが……。

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映画『予定は未定』感想と評価


(C)ISOBE TEPPEI

40歳目前の独身OL純子が「運命の人」を信じた事から経験する、少し不思議な物語を描いた『予定は未定』。

純子は仕事が出来る優秀な女性ですが、後輩社員にどこか気を使われており、コミュニケーションに壁を感じます。

純子自身も、飲み会終わりで次の店に誘われても、それを断り1人で帰るなど、自ら周囲に壁を作っており、会社の休憩時間に公園や会社の屋上で、1人で過ごす姿が印象的です。

また、上司の佐藤とは不倫関係がありましたが、佐藤が純子の後輩、里香を口説く所を目の当たりにするなど、純子の現実は孤独で、決して幸せそうには見えません。

そんな純子を心配して、叔母がお見合いを勧めます。

この純子と叔母の会話は、関西弁の絶妙なテンポで展開される、聞いていて楽しい場面となっています。

ですが、純子の年齢を気にして、会話の中にも「結婚を強要してくる」圧力を感じる叔母の存在は、純子にとって有難くも迷惑な存在です。

そんな、さまざまな要素が、純子に自身の現実を考えさせ、変化する事を意識させます。

飲み会から深夜に帰宅した純子が、母親から送られて来た荷物の中に入っていた、陸上競技選手時代のメダルを抱きしめながら、見合い相手の写真を少しだけ開けて閉じる場面があります。

それは、輝かしい過去にとらわれながらも、現在の自分に孤独を感じ、見合いをするかもしれない未来を受け入れられない純子の、複雑な内面を現わした印象的な場面となっています。

そこへ飛んできたのが、男性の名前だけが記載された婚姻届けで、純子はこの婚姻届けに運命を感じるようになります。

いきなり飛んできた婚姻届けに、運命を感じた純子を、不思議に感じる人もいるかもしれません。

40歳前後という年齢は、気が付けば同じ毎日を繰り返す「日常」に陥っている事が多く、そしてその事に疑問を抱く時期です。

とは言え、大きく人生を変えるような、冒険的な決断をする事も年齢的に難しく、日常をこなしながら、どこかに「変化するキッカケ」を探してしまう時期でもあります。

その為、いきなり飛んできた婚姻届けに、運命を感じた純子の気持ちも分かりますし、40歳前後という年齢でなくても、自身の日常に疑問や不安を抱いている人は、その後の純子の行動に、共感するものがあるのではないでしょうか?

作品の中盤以降は、婚姻届けに運命を感じた純子が、文字通り突っ走る展開となります。しかし、婚姻届けに書かれた男性を訪ねた純子は、ある事実を目の当たりにします。

その事をキッカケに、純子は人生を前向きに捉えるようになります。

本作は、輝かしい過去にとらわれていた純子が、過去を振り切り、未来に向けて走り出すまでの物語です。

作品前半と後半の純子の表情は全く違い、作品後半の純子には、力強ささえ感じる変化がありますので、そちらにも是非注目して下さい。

まとめ


(C)ISOBE TEPPEI

『予定は未定』は、磯部鉄平監督が、主演の屋敷紘子で映画を撮るために、当て書きでシナリオを書き上げた作品です。

シナリオには、屋敷紘子自身が経験したエピソードを詰め込み、現場で感じたものを拾うようにし、「無理して演じている」と感じたら、撮影を止めて話し合いながら、「自然である」事を意識して、作品を完成させた事を語っています。

本作では、迷い、悩み、そして未来に向かう純子の姿を描いており、当初は周囲に壁を作り、とっつきにくい印象の純子ですが、次第に内面が明らかになっていき、鑑賞していると親しみがわくキャラクターとなっていきます。

「変化させないといけない日常」の苦しさを表現しながらも、作品中盤で河原を疾走する純子の姿には、未来に向かう力強さと躍動感を感じます。

未来は、必ずしも輝かしいものばかりではありませんが、意識して動かない事には、新たな日常は訪れません。

明日の事なんて誰にも分らない、まさに本作のタイトルでもある『予定は未定』なのです。

決まっていない未来に、力強く走り出したくなるという前向きな気持ちになれる作品です。

磯部鉄平監督作品『予定は未定』は『オーバーナイトウォーク』とあわせて2本立てで7月17日(金)〜23日(木)の間、アップリンク吉祥寺にてレイトショー公開




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