Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2023/03/09
Update

韓国映画『高速道路家族』あらすじ感想と評価解説。“パラサイト”に続く衝撃作はサービスエリアで生きる貧困家族の予測不可能な物語

  • Writer :
  • 谷川裕美子

映画『高速道路家族』は2023年4月21日(金)よりシネマート新宿、アップリンク吉祥寺、池袋シネマ・ロサ他で全国公開!

釜山映画祭で「『パラサイト 半地下の家族』に次ぐ大傑作」とさえ称賛されたチョン・イルとラ・ミランW主演作『高速道路家族』が2023年4月21日(金)よりシネマート新宿、アップリンク吉祥寺、池袋シネマ・ロサ他で全国公開されます。

『スキャンダル』(2018)のイ・ジェヨン監督に師事してきたイ・サンムン監督による初の長編作です。

高速道路を転々としながら暮らす貧しい一家と、中古家具店の社長夫婦が出逢い、予測できない物語が展開します。

貧困問題、家族の絆、トラウマのつらさなど、さまざまなことを考えさせられる一作であり、怒涛の展開を見せる衝撃作『高速道路家族』魅力についてご紹介します。

映画『高速道路家族』の作品情報


(C)2022 Seollem film, kt alpha Co., Ltd. All Rights Reserved.

【日本公開】
2023年(韓国映画)

【監督・脚本】
イ・サンムン

【キャスト】
チョン・イル、ラ・ミラン、キム・スルギ、ペク・ヒョンジン

【作品概要】
大ヒット作『スキャンダル』(2018)のイ・ジェヨン監督に師事してきた新鋭イ・サンムン監督による衝撃のパラサイティック・スリラー。

韓国国内ではスマッシュヒットを記録した本作。高速道路で暮らすホームレス一家と、家具屋を経営する裕福な訳あり夫婦が出逢ったことから、予測不可能な物語が展開していきます。

ホームレス一家の父親・ギウを、ドラマ『太陽を抱く月』で知られる韓国トップスターのチョン・イルが好演。経営者のヨンソンを『正直政治家 チュ・サンスク』『ガール・コップス』(2019)のラ・ミランが演じます。

映画『高速道路家族』のあらすじ


(C)2022 Seollem film, kt alpha Co., Ltd. All Rights Reserved.

高速道路のサービスエリアを転々としながらテントを張って暮らすギウ一家。初めて出会う他人から2万ウォンを借りるという名目でだましとり、その金で食いつないで生活していました。

親切なヨンソンは、お腹をすかせた子どもたちを哀れに思い、多めに金を渡して去っていきます。

ある日、ギウはヨンソンと別のサービスエリアで偶然に再会してしまいました。不審に感じたヨンソンは警察に通報し、ギウは拘留されます。

残された妊娠中のギウの妻ジスクと子どもたちを放っておけず、ヨンソンは彼らを自宅に連れ帰りました。

ヨンソンのもとでごく普通の生活を手に入れたジスクたち。一方、牢に入れられていたギウは家族が恋しくなり……。

映画『高速道路家族』の感想と評価


(C)2022 Seollem film, kt alpha Co., Ltd. All Rights Reserved.

流浪する家族の悲喜劇

恐ろしいほどの貧困を描き出す衝撃作『高速道路家族』。暗い物語なのに常に漂うユーモラスな空気感は『パラサイト 半地下の家族』と似た印象を抱かせますが、まったく異なるストーリー展開となっています。

訳ありの男・ギウを父とする主人公一家は、サービスエリアを転々としながら暮らす貧困家庭です。人のよさそうな人をターゲットに、財布を落としたと嘘をいって2万ウォンをだましとってその日暮らしをしています。

幼い子どものいる4人家族でそんな綱渡りのような生活をしていることに、恐怖を感じるほど驚かされます。しかも、その後妻のジスクはさらにもうひとり子どもを妊娠するのです。

ギウは妻と9歳の娘のウニ、5歳の息子のテクを心から愛しており、明るく陽気に振る舞っては家族を楽しませようとします。一見能天気に見えるギウは深い心の傷を持っており、家族への愛でその穴を埋めようとしていました。

貧しいながら、ひとつの料理を分け合う仲睦まじい姿には、うらやましさを感じさせるほどの温かみがあります。

しかし、遠距離を歩いて渡り歩く旅はつらく、幼いテクは足が痛いと言って泣き、テントの中で固い床の上で眠るために皆腰の痛みに苦しんでいます。時にはテントが撤去されそうになるなどのトラブルにも遭い、疲労しきって毎日を過ごす姿には胸が痛むばかりです。

しかも子どもたちは学校にも通っておらず、読み書きもできないありさまでした。ウニは学校にいきたいと父に頼みますが、きいてもらえません。

そんなある日、以前金を受け取った相手・ヨンソンと再会したことから、ギウは詐欺を見破られて牢に入れられてしまいます。苦境を見かねたヨンソンが残された母子3人を引き取ります。

ヨンソンもまた、心にぽっかり大きく空いた穴を埋めるようとしていました。野良猫にさえエサをやらずに素通りできないヨンソンにとって、ジスクたちを見捨てるなど到底できることではなかったのです。

ここで悲劇とも喜劇ともつかない事態が起こります。ジスクら3人は、屋根の下の柔らかい布団で眠れば腰が痛くならないことを知り、温かいご飯をお腹いっぱい食べられる幸せを知ってしまうのです。

これまでの生活が異常なものだったことに気づいた彼らは、果たしてどんな未来を選び取るのでしょう。衝撃のラストにはきっと言葉を失うに違いありません。

まとめ


(C)2022 Seollem film, kt alpha Co., Ltd. All Rights Reserved.

怒涛のストーリー展開で観る者の心を最後までつかんで離さない衝撃作『高速道路家族』。観終えた後は放心状態になってしまうほど、スリリングで心を揺さぶる一作です。

登場人物の誰もが大きな心の傷を抱え、身を寄せ合ってその苦しみを埋め合って生きています。共感せずにはいられない人々です。

誰が悪いわけでもないのに、一度下り坂を転がり始めたら何かにぶつかるまで止まれない怖さ。一家の父のギウは、ボロボロに傷つきながら崖を転げ落ちていきます。

一家に救いは訪れるのか、どうぞ最後まで見届けて下さい。

映画『高速道路家族』は2023年4月21日(金)よりシネマート新宿、アップリンク吉祥寺、池袋シネマ・ロサ他で全国公開です。





関連記事

ヒューマンドラマ映画

映画『ハクソー・リッジ』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

メル・ギブソン監督作品『ハクソー・リッジ』が日本公開に! 『ハクソー・リッジ』は、俳優としても有名なメル・ギブソンが10年ぶりに監督した作品です。 日本での公開は6月24日予定ですが、沖縄戦を舞台にし …

ヒューマンドラマ映画

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件あらすじネタバレと感想!ラスト結末も【エドワードヤンおすすめの青春群像劇】

台湾の名匠エドワード・ヤンの代表作にして映画史上に残る傑作『牯嶺街少年殺人事件』をご紹介します。日本では92年に劇場公開され、ソフト化もされましたが、その後、複雑な権利関係のため、長らく劇場公開もソフ …

ヒューマンドラマ映画

映画『いまを生きる』動画無料視聴はこちら!結末ネタバレと感想も

映画「いまを生きる」は第62回アカデミー賞で脚本賞を受賞した作品。 誰しもが経験する青春時代の儚さ。そして自分自身の目指す夢と親からの期待、厳しい学校教育のありかた、今とはなっては懐かしいあの時代を描 …

ヒューマンドラマ映画

【ネタバレ】異人たち|考察ラスト結末と感想評価。リメイク映画化でアンドリュー・ヘイ監督が孤独と向き合う男を描く

大林宣彦監督も映画化した山田太一の小説をアンドリュー・ヘイが映画化 映画『異人たち』は、『荒野にて』(2017)、『さざなみ』(2016)のアンドリュー・ヘイ監督が、山田太一の小説『異人たちとの夏』を …

ヒューマンドラマ映画

映画『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』ネタバレあらすじ感想とラスト結末の解説評価。タイトルの意味とジェイク・ギーレンホールの代表作となる演技の魅力!

『ダラス・バイヤーズクラブ』のジャン=マルク・バレ監督による『ナイトクローラー』のジェイク・ギレンホール代表作 ジェイク・ギレンホールがウオール・ストリートで働くエリート銀行員を演じています。 突然の …

Cinemago|想像力の海へ、シネマダイビング。
ACT1|次の物語は、人からはじまる。
Cinemagoオンラインショップ|DVD・鑑賞チケット・オリジナルグッズ
『血を吸うスマトラオオコンニャク』
【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学