これぞ、詐欺師の中の詐欺師!
お金よりも大切なものとは?
アカデミー賞作品賞を始め、1973年度最多7部門を受賞した不朽の名作『スティング』。
同じく数々の輝かしい賞を受賞した、1969年製作映画『明日に向かって撃て!』のジョージ・ロイ・ヒル監督が、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォードと再タッグを組んで挑んだ作品です。
1930年代のシカゴを舞台に、詐欺師のフッカーが仲間の敵討ちに立ち上がる。騙し騙され、詐欺師の世界。テンポの良い展開に、見ている者も騙される!?
イキで痛快な詐欺師映画『スティング』を紹介します。
CONTENTS
映画『スティング』の作品情報
【日本公開】
1974年(アメリカ)
【監督】
ジョージ・ロイ・ヒル
【キャスト】
ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、ロバート・ショウ、チャールズ・ダーニング、レイ・ウォルストン、アイリーン・ブレナン、ハロルド・グールド
【作品概要】
映画『明日に向かって撃て!』のジョージ・ロイ・ヒル監督と、主演のポール・ニューマン、ロバート・レッドフォードの再タッグで製作された『スティング』。
若き日のポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの名俳優による詐欺師コンビがカッコイイ。
アカデミー作品賞、監督賞ほか7部門を受賞。テーマ曲「ジ・エンターテイナー」も有名です。
映画『スティング』のあらすじとネタバレ
第一章/仕掛人
1936年のシカゴ。モトーラは違法賭博の売上金の運び屋です。足早にビルを出ると、道に倒れ何やら叫んでいる男がいます。どうやら財布を取られたようです。
モトーラは無視しようとしますが、そこに居合わせたもう一人の男が、犯人に鞄を投げつけ財布を取り返します。
道に倒れている男は怪我をしていて立てません。「上納金を時間内に届けないと殺される。代わりにどちらかが届けてくれないか」。
上納金と聞いて、モトーラは「俺が届ける」とお金を取り上げます。しかし、「大金だから」と、もうひとりの男のされるがまま、所持金をまとめて腰に隠します。
モトーラは通りを曲がった所でタクシーに乗り込みます。大金もろともとんずらです。にやにやと手にした大金を確認するも、中身はすべて紙切れにすり替えられていました。
道に倒れた男とそれを助けた男はグルだったのです。ルーサーとフッカー、2人は詐欺師仲間です。
すり替えた金を確認し、思わぬ金額に喜ぶルーサーとフッカー。お調子者のフッカーは、その金をカジノでスッてしまいますが、ルーサーはこれを機に詐欺師の引退を考えていました。
しかし、その金はニューヨークの大物ギャング、ドイル・ロネガンへと渡るはずの闇金でした。
金を奪った詐欺師を追ってすでに殺し屋が動いています。情報を知ったフッカーは急いでアジトに戻りますが、すでにルーサーは殺されていました。
泣き崩れるフッカー。ルーサーは父親同然の存在でした。相手が誰であろうと、仇を取ることを決心します。
第二章/仕掛け
ルーサーは「自分の引退後は伝説の詐欺師ヘンリー・ゴンドーフの所に行け」とフッカーに言っていました。
ゴンドーフの元を訪ねるフッカーでしたが、酔っ払い潰れているゴンドーフの姿に頭を痛めます。フッカーも対外軽い男ですが、ゴンドーフはさらに陽気な性格のようです。
それでもゴンドーフの詐欺師の腕は本物でした。ロネガンを相手にルーサーの仇を討ちたいと言うフッカーを気に入り、協力することにします。
さっそく仲間を集めるゴンドーフ。敵討ちならばと、詐欺師仲間が顔を揃えます。
第三章/釣り針
ゴンドーフの立てた計画は、偽の競馬賭博場にロネガンを誘い出し、大金を賭けさせ巻き上げるというものでした。
それには、手始めにロネガンと顔見知りになり、誘い出すきっかけをつくる必要があります。
ゴンドーフとフッカーは、シカゴの競馬賭博場のオーナーと従業員に扮して、ロネガンの移動する列車に乗りこみ、極秘に行われているポーカーの賭場へ潜入します。
華麗なイカサマでトランプをさばくゴンドーフは、ロネガンを負かし怒らせます。
一方、フッカーは、負け越しのロネガンに近づき、雇い主のゴンドーフへの不満を漏らし、一緒に手を組まないかと誘います。
第四章/筋書き
疑い深いロネガンは、フッカーを家まで送り信用しませんでしたが、フッカーの具体的な金儲けの作戦を聞いてその気になります。
フッカーが持ち掛けた作戦とは、電報局にいる仲間にいち早く勝馬情報を横流ししてもらい、その馬に賭ければ絶対に勝てるというものでした。
試しに、ゴンドーフの賭博場にやって来るロネガン。突貫工事で作らせた偽の賭博場とも知らずに。
「負けたりないのか?」と、からかいに現れるオーナーのゴンドーフを前に、ロネガンはフッカーから教えられた馬の馬券を購入。みごと的中させます。
当てさせたことで次は大金の賭けへと誘導したいフッカーでしたが、ロネガンは賭けの前に電報局の中継ぎの仲間にも合わせろと迫ってきました。
第五章/有線
計算外の展開に慌てるフッカーとゴンドーフは、仲間を電報局に内装工事員として潜り込ませ部屋ごと乗っ取ります。
本物の電報局に現れ、仲間と話が通じたロネガンは、すっかり信用してしまいます。
映画『スティング』の感想と評価
主人公が詐欺師の騙し騙されの頭脳戦。まさにゲームのように二転三転するストーリー展開が特徴のコンゲーム映画です。
コンゲーム洋画と言えば、『ユージュアル・サスペクツ』『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』『オーシャンズ11』『ソードフィッシュ』など思い浮かべる方も多いと思います。
カッコイイ男たちによる騙し合いと、イキで爽快な結末に見終わった後の余韻がたまりません。
1973年製作の映画『スティング』は、まさにコンゲーム映画の代表作のひとつと言える作品です。
主人公のフッカーは、その日暮らしの詐欺師ですが、仲間を殺され敵討ちを決意します。その復讐の仕方が殺しではなく、詐欺師らしく「だます」という所がカッコイイ。
そして結果、大金をだまし取るのに成功するも、分け前がいらないと去っていきます。
お金よりも大切なもの、それは詐欺師のプライドと男の友情でした。
またこの映画が詐欺師という裏社会が舞台なのにも関わらず、爽やかに鑑賞できるのには、名コンビともいえる、ゴンドーフ役のポール・ニューマンと、フッカー役のロバート・レッドフォードの魅力にあります。
今は亡きポール・ニューマンの青い瞳の詐欺師。彼の目力でクールに相手を挑発するポーカー戦は必見です。
そして、2019年製作映画『さらば愛しきアウトロー』の主演を最後に俳優業を引退宣言したロバート・レッドフォード。当時37歳だった彼の、男盛りのカッコよさを堪能できます。無鉄砲でお調子者の詐欺師フッカーが、はまり役となりました。
まとめ
映画『明日に向かって撃て!』でお馴染み、ジョージ・ロイ・ヒル監督と、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォードが再び組んだ、コンゲーム映画『スティング』を紹介しました。
大金飛び交う裏社会で、詐欺師たちのプライドをかけた戦いが繰り広げられます。仲間の敵討ちのために、仕掛けた詐欺のスケールの大きさに驚きます。
まずは、ネタバレを読まず鑑賞し見事に騙されて下さい。そして、ネタバレを読んで答え合わせ。
何度見ても騙される面白さです。