最後まで信じて諦めない。全員で脱出する!
「週刊少年ジャンプ」連載の人気コミック『約束のネバーランド』が、浜辺美波ら注目若手俳優たちと北川景子の共演で、実写映画化となりました。
まさに、少年ジャンプの三大原則。「友情」「努力」「勝利」が盛り込まれた胸アツのストーリー。今回映画化されたのは、TVアニメ1st Seasonの部分、孤児院からの脱出までが描かれています。
「孤児院で幸せに育てられた子供たちは、実は食用児として鬼に献上されるために飼育されていた」。
ショッキングな設定と、魅力的なビジュアル、そして残酷な鬼の存在と、実写映画化が難しいと思われるコミックの世界を原作に忠実に映像化。
天才児として育て上げられたフルスコア組、エマ、レイ、ノーマンたちの、命をかけた脱獄が始まります。
果たして子供たちは無事、全員で脱獄できるのか。映画『約束のネバーランド』をご紹介します。
映画『約束のネバーランド』の作品情報
【公開】
2020年(日本映画)
【原作】
白井カイウ 出水ぽすか
【監督】
平川雄一朗
【キャスト】
浜辺美波、城桧吏、板垣李光人、渡辺直美、北川景子
【作品概要】
テレビアニメ化もされた人気コミック『約束のネバーランド』が、『僕だけがいない街』の平川雄一朗監督により実写映画化となりました。
天才フルスコア組のエマ、レイ、ノーマンを、『君の膵臓をたべたい』(2017)の浜辺美波、『万引き家族』(2018)の城桧吏、『仮面ライダージオウ』(2018)の板垣李光人と、注目若手俳優が熱演。
驚愕の裏の顔を持つママ・イザベラ役に北川景子。ママの座を狙うシスター・クローネ役に渡辺直美と個性豊かな配役にも注目です。
映画『約束のネバーランド』のあらすじとネタバレ
「はじめまして、エマ」。赤ちゃんを愛しそうに抱き上げるイザベラ。彼女は、孤児たちが暮らすグレイス=フィールドハウスのママです。
グレイス=フィールハウスの子供たちは、優しいママの元、よく遊びよく学び、家族のように幸せに暮らしていました。
柵の外には決して出ないようにと施設内で育てられた子どもたちは、首に番号を入れられ、16歳になるまでに里親の所へと送り出されます。
最年長のエマとノーマン、そしてレイの3人は特に優秀な子供たちです。彼らもまた外の世界に出ることを楽しみにしていました。
「おめでとう、元気でね」。今日は、コニーの旅立ちの時でした。皆に祝福されて嬉しそうなコニー。ママと一緒に施設の門へと向かいます。
コニーの去った部屋で、エマとノーマンは、コニーが宝物にしていたぬいぐるみを忘れて行ってしまったことに気付きます。
「門へ走ればまだ間に合うかも」。レイの言葉で2人は、決して近づいてはいけないと禁じられていた門へと向かいます。
門は開いていました。コニーを探し、止めてあるトラックの荷台を覗くエマ。そこには、胸に一輪の花が刺さったまま動かないコニーの姿がありました。
恐ろしさに立ち尽くすエマとノーマン。そこに見たこともない巨体の化け物がやってきました。2人は、トラックの下へと身を潜めます。
何でも切り裂くような長い爪を持つ手足に、ヘンテコな位置に何個もあるギョロっとした目、鬼です。「またフルスコア組じゃなかったな」。「でもこの農園の人肉は、すべて上級者向けさ」。
そんな鬼たちと取引をする、人間の声が聞こえてきました。聞き覚えのある声です。「ママ!?」イザベラでした。
エマとノーマンは、グレイス=フィールハウスの隠された真実を知ることになります。そう、この楽園だと信じていた孤児院は、鬼のための食用児を育てる農園、そしてママはより賢く上質な子供を育て上げる飼育員だったのです。
驚愕の事実に初めて涙を流すエマ。「逃げよう。ここから全員で。ひとりも死なせない」。エマとノーマンは、脱獄を決意します。
イザベラは、門に落ちていたぬいぐるみで、子供たちの誰かが秘密を知ったことに気付いていました。「秘密を知られてもいいの。逃げなければね」。
監視の目を増やすため、本部からシスター・クローネが派遣されてきました。彼女は、イザベラのママの地位を狙っています。子供たちの脱獄の証拠を掴み引き渡せば、イザベラは失脚となるはず。
エマとノーマンは、密かに脱獄計画を進めていました。禁じられている柵を超え偵察に向かいます。行き当たったのは高い壁でした。
この壁を登るには、年少の子供たちには訓練が必要です。エマ達は、遊びの鬼ごっこを通して逃げ方を教えていきます。
そんな時、問題が発生します。イザベラは、手持ちの時計のようなもので、自分たちの居場所を把握していました。子供たちの耳には、発信器が埋め込まれていたのです。
そして、子供たちの中に内通者がいることが発覚。イザベラの手下は、レイでした。「僕は飼育係の放った牧羊犬みたいなものさ」。
レイは、すでに幼少の頃からこの施設の秘密に気付いていました。そして、イザベラと取引を始めたのです。子供たちの情報を流す変わりに、外から欲しい品物を調達するようにと。
しかし、ノーマンは見抜きます。「レイ、君がこの脱獄を仕組んだ張本人なんだろ」。レイは、備品を調達しながら、この時を誰よりも待っていました。わざと、エマとノーマンを門へと向かわせ、真実を知るように仕組み、脱獄をさせようとしたのです。
「お前たちは逃げろ」。レイは、エマとノーマンに生きるように言います。しかしエマは、知っていながら何人も見送ったレイの辛さに寄り添い、行く時はみんな一緒だと説得します。
こうして、レイも脱獄作戦に協力することになりました。レイは、イザベラから聞いていました。次の出荷は、16歳になる自分であることを。
映画『約束のネバーランド』の感想と評価
『進撃の巨人』(2013)『鬼滅の刃』(2020)と人間を喰う鬼と、勇者たちの戦いの物語が流行りをみせる中、今作の『約束のネバーランド』もまた、人間と鬼が住む世界が舞台の物語となっています。
『進撃の巨人』の実写映画化では、人間が大きくなったような鬼の姿にキモッてなった方、『約束のネバーランド』の鬼は、仮面をつけている鬼なのでグロさは薄いですが、やっぱりキモッてなるので気を付けてください。
『約束のネバーランド』、人気の理由のひとつに衝撃的な設定があげられます。孤児院で大切に育てられた子供たちが、実は鬼の食用児として飼育されていた。
孤児院グレイス=フィールドハウスで、優しいママのもと、大勢の兄妹たちと仲良く幸せに暮らす子供たちの姿に癒されるのは、ほんの序盤だけです。
過度な教育に、柵の外へは出られない制御された空間、何かがおかしいと気付いた時には、もう鬼が登場と、早い展開で物語は進んでいきます。
事実が明かされた後には「よく食べ、よく遊び、よく学び、愛情いっぱい伸び伸び育てています」という、ブランド牛の飼育法が頭をよぎります。
これは、豊かさに溺れ、過度な贅沢品を好み、さらなる美味しさを追求し命をコントロールしようとする傲慢な人間への警告なのではないか。鬼は人間の成れの果ての姿なのではないかと、ゾッとさせられます。
物語の主人公は、フルスコア組と呼ばれる天才児エマ、レイ、ノーマン。この3人が力を合わせ、懸命に道を切り開いていく姿に心奪われます。
最後まで信じて諦めない、純粋で前向きな心を持つエマ。演じているのは、浜辺美波です。屈託ない天真爛漫な笑顔が、勇敢な戦士の顔つきに変わっていく様を見事に演じています。
揺るがない力強さで皆を引っ張っていく堂々とした演技は、まさにはまり役となっています。
自分を犠牲にしても仲間を助ける、男気と勇気が備わったレイ。演じているのは、城桧吏。やんちゃな顔つきが可愛らしく、今作ではクールな演技に挑戦しています。
皆のために最善を尽くす超エリート、ノーマン。演じているのは、板垣李光人。慈悲深さを醸し出す微笑みに、身のこなしの美しさ。まさに天才児。今後の活躍が楽しみです。
そんな注目若手俳優たちを、大きな存在感でどーんと包み込んでいるのが、イザベラ役の北川景子。クールビューティーの真顔の怖さを存分に発揮しています。
イザベラのママの座を狙うシスター・クローネ役の渡辺直美。本当なら子供たちの人気者になりそうな渡辺直美が、分かり易い悪役で登場です。大きな体を震わせ子供たちを追いかけ回すシーンは迫力あります。
そして、謎の男として登場したのが松坂桃李。原作コミックでは、最初に鬼と約束を結んだ一族の現当主ピーター・ラートリーとみられます。続編も期待しちゃいます。
まとめ
コミックス全20巻は、フランスや韓国でも高い評価を受け、現時点で累計発行部数が2500万部を超える大ヒットを記録している『約束のネバーランド』。
原作のコミックから飛び出したような世界観そのままに、実写映画化となりました。
子供たちが力を合わせ勇敢に挑んでいく姿に、「頑張れ!」と応援せずにいられません。最後まで信じてあきらめない心。大人になっても大切にしたいものです。
柵を飛び越え自由になった子供たち。外の世界に何が待つのか。子供たちの未来とは。映画『約束のネバーランド』続編の実写映画化も楽しみに待ちたいと思います。