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Entry 2018/06/05
Update

韓国映画『天命の城』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

  • Writer :
  • 村松健太郎

韓国映画『天命の城』は、6月22日(金)より、TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー!

『王になった男』以来のイ・ビョンホン主演の本格時代劇。清の侵攻を受けた李氏朝鮮6代王仁祖は南漢山城に籠城作戦を率います。

真冬の山城では兵たちは寒さと豪雪に苦しみ、城の外には十倍以上の清の兵が取り囲んでいました。

場内では民と王が生きれば国は再建できるという講和派と、主戦派に分かれて対立する大臣たちの間で仞祖は大きく揺れます。

講和派の大臣にハリウッドでも活躍するイ・ビョンホン、対立する大臣に『チェイサー』『哀しき獣』のキム・ユンソク。仁祖にパク・ヘイルほか、コ・ス、パク・ヒスンなどの豪華キャストが集結。また、音楽には日本から坂本龍一が参加しています。

映画『天命の城』の作品情報


(C)2017 CJ E&M CORPORATION and SIREN PICTURESALL RIGHTS RESERVED

【公開】
2018年(韓国映画)

【原題】
The Fortress

【原作】
キム・フン

【脚本・監督】
ファン・ドンヒョク

【音楽】
坂本龍一

【キャスト】

イ・ビョンホン、キム・ユンソク、パク・ヘイル、コ・ス、パク・ヒスン

【作品概要】
1936年に起きた丙子の役をモチーフに、韓国においてベストセラーとなったキム・フンの同名小説を映画化した歴史大作。

演出に『怪しい彼女』や『トガニ 幼き瞳の告発』で知られたファン・ドンヒョク監督が務め、イ・ビョンホンとキム・ユンソクが主演を演じています。

また、日本からは坂本龍一が初めて韓国映画で音楽を担当。

映画『天命の城』のキャラクターと配役

チェ・ミョンギル(イ・ビョンホン)
仁祖に仕える大臣。戦闘を避け民と王の生きる道を探理、死は耐え難いが恥辱は耐えられると進言。

キム・サンホン(キム・ユンソク)
清に対して正道を守るために主戦派に回るも、対立する派閥や低い身分の意見も分け隔てなく聞きます。

仁祖(パク・ヘイル)
李氏朝鮮16代王。清からの侵攻を受け南漢山城に籠城、様々な意見を言い合う大臣たちの間で揺れていきます。

ソ・ナルセ(コ・ス)
山城野村で働く鍛冶屋。過去の戦で妻子を失いました。低い身分ながらも冷静かつ適切な意見を上申します。

イ・シペク(パク・ヒスン)
政治とは一線を引く武人。一方でミョンギルとも親友。

映画『天命の城』のあらすじとネタバレ


(C)2017 CJ E&M CORPORATION and SIREN PICTURESALL RIGHTS RESERVED

中国ではそれまでの王朝・明に対して新興の清(後金)が勃興。

中国大陸の覇権をめぐって争いが続いていました。

常に中国大陸の王朝の臣下の誓いを立ててきました。しかし、大陸を二分する明と清との間でその対応に揺れてもいたのです。

朝鮮の王仁祖は、旧来からの明との関係を重視してきたが、ここへきて清の勢力が拡大。

そして、清は朝鮮に侵攻を始めます。

圧倒的な武力を誇る清軍に対抗できない仁祖は、雪深い天然の要塞南漢山城に籠城しました。

城の中では 兵は寒さと豪雪に苦しんでいました…。

以下、『天命の城』ネタバレ・結末の記載がございます。『天命の城』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
場内では講和派のチェ・ミョンギル大臣と、清の横暴には死を持ってでも対抗するべきだという、主戦派のキム・サンホン大臣の意見の間で揺れていました。

他の古参の大臣は、利己的な保身と日和見な立場での発言ばかりで、仁祖を苛立たせるばかりでした。

チェ・ミョンギル大臣は、たびたび清軍に講和を持ちかけるが、返ってくる条件は到底朝鮮側がのめる条件ではありませんでした。

それでも、条件をのむべ気だと主張するミョンギルに対して、周りの大臣たちは逆賊扱いをします。

一方で、サンホン大臣も主戦派ではあるものの、慎重な意見を具申します。

サンホンは鍛冶屋のソ・ナルセから防寒対策や装備の再調整の進言を受けると、身分の低い者からの意見であってもそれを採用して、兵をおもんばかりました。

しかし、状況は悪くなる一方で、城を守る武人イ・シベクの奮闘もあるものの劣勢は覆させられませんでした。

更に清の皇帝ホンタイジが前線に出てくると、さらに攻撃は苛烈になりました。

サンホンの起死回生の一手も功を奏さず、進退窮まった仁祖はミョンギル大臣の“死には耐えがたく、地上には耐えられる”という言葉を受け入れ降伏を受け入れることにしました。

しかし、それは主戦派のサンホンはもちろん、講和派のミョンギルにとっても悲劇でした。

映画『天命の城』の感想と評価


(C)2017 CJ E&M CORPORATION and SIREN PICTURESALL RIGHTS RESERVED

ハリウッドの壁を越えた男が再び母国に

2002年に韓国のKBSで早々されたドラマ『冬のソナタ』から始まった韓流ブーム。

その中で日本独自のくくりで、ペ・ヨンジュン、チャン・ドンゴン、ウォンビンらとともに韓流四天王と称されたイ・ビョンホン

しかし、そのブームの後も、スター俳優としてダントツの成功を収めたのはイ・ビョンホンひとりでした。

もともと、まだ映画実績のない時期、テレビドラマの俳優として活動していた際に、2000年公開の映画『JSA』でパク・チャヌク監督、ソン・ガンホ、イ・ヨンエという面々との共演で、映画の現場で揉まれます。

また、2005年に『甘い生活』、2008年に『グッド・バッド・ウィアード』、2010年に『悪魔を見た』と『密偵』のキム・ジウン監督という名パートナーを獲得しました。

参考映像:『マグニフェセント・セブン』(2016)

英語力の高さも評判がよく、2009年にスティーヴン・ソマーズ監督の『G.I.ジョー』でストームシャドー役。(2013年には「バック2リベンジ」も)

2015年にアラン・テイラー監督作品の『ターミネーター:新起動/ジェニシス』で T-1000役。

2016年にアントワーン・フークア監督の作品『マグニフェセント・セブン』で、ビリー・ロックス役など、ハリウッドの大型企画にもメインキャストで参加しました。

そんな彼が近年母国・韓国の映画界に積極的に参加。そして、演技が絶賛された『王になった男』以来約6年ぶりに時代劇に帰ってきました。

しかも自身が演じた光海君の後継の王仁祖に仕える大臣役という縁もあります。

アラフィフになった韓国の映画スターは、円熟味が増し始めて、ますます実力派俳優の貫禄を見せています。

まとめ

1936年に起こった丙子の役をモチーフに、韓国でキム・フンの同名小説『天命の城』はベストセラーとなりました。

それを『怪しい彼女』や『トガニ 幼き瞳の告発』で知られるファン・ドンヒョク監督が見事に映画化。

朝鮮に侵入した清からの攻撃を避け、王と朝廷は南漢山城に籠城するも、厳冬の寒さと飢えに耐えるも外へ出ることも攻撃することもできない絶体絶命の状況下。

そこで繰り広げられた47日間の歴史大作の物語です。

韓国映画『天命の城』は、6月22日(金)より、TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー!

実力派の俳優として国内外で、ますます活躍を見せるい・ビョンホンの演技力を刮目せよ!

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