気鋭の監督とミュージシャンによるコラボプロジェクト「MOOSIC LAB2017」で製作された枝優花(監督)✕水本夏絵(音楽)による『少女邂逅』は全7回の上映で全て満員となり、長編部門観客賞に輝きました。
今年3月には香港国際映画祭でも上映され、6月30日からは新宿武蔵野館ほかにて待望の一般公開がスタートします!
CONTENTS
映画『少女邂逅』の作品情報
【公開】
2018年(日本映画)
【脚本・監督】
枝優花
【キャスト】
保紫萌香、モトーラ世理奈、土山茜、秋葉美希、近藤笑菜、齋木ひかる、里内伽奈、根矢涼香、杉山拓也、松澤匠、松浦祐也
【作品概要】
気鋭の監督とミュージシャンによるコラボプロジェクト「MOOSIC LAB2017」で長編部門観客賞に輝いた作品。
いじめを受け、死を考えながら、恐ろしくて実行できずにいる孤独な少女と転校してきた少女の交流を描く。監督は『美味しく、腐る。』(2014)等で早稲田映画まつり観客賞を受賞した枝優花。
「転校生」名義で活動していたミュージシャンの水本夏絵が音楽を担当している。第42回香港国際映画祭I See It My Way部門にて正式招待上映された。
映画『少女邂逅』の主要キャスト
保紫萌香(小原ミユリ役)のプロフィール
1995年8月23日生まれ。千葉県出身。
講談社主催の「新しい時代にふさわしいまだ見たことのない女の子」を探すオーディション「ミスiD2016」に応募し、見事グランプリを受賞。歌手大森靖子にも存在感を絶賛されました。
2017年、テレビ東京『100万円の女たち』で連続ドラマ初出演を果たします。
そのほかのテレビドラマ出演作に『目玉焼きの黄身 いつつぶす?』(2017・TBS)、『ザ・ブラックカンパニー』(2018・フジテレビONE TWO NEXT)があります。
映画は『少女邂逅』の他に、MOOSIC LAB2017招待作品の『THE END OF ANTHEM(ジ・エンド・オブ・アンセム)』(2017/東佳苗監督)、山戸結希の短編作品『Girls of Cinema』(2018)に出演しています。
一目観たら虜になる愛らしい容姿と、確かな演技力でこれからの活躍が最も楽しみな若手女優の一人です。
モトーラ世理奈(富田紬役)のプロフィール
1998年10月9日生まれ。東京都出身。
雑誌「装苑」などのモデルとして活躍。
2016年にRADWIMPSのアルバム『人間開花』のジャケットビジュアルに起用されたのを始め、「merry jenny」、「インコードホールディングス」のイメージビジュアルなど、数多くの媒体に登場しています。
楽天webムービー『寄り道もたまにはいいもんだ』では主演を務めました。
アンニュイな雰囲気を纏った佇まいが印象的で、『少女邂逅』の富田紬の謎めいたキャラクターを気負いのない演技で表現しています。
映画『少女邂逅』の枝優花監督とは?
1994年3月2日生まれ。群馬県高崎市出身。
監督作品『さよならスピカ』(2013)が第26回早稲田映画まつり観客賞、審査員特別賞を受賞(松居大悟による)。翌年の第27回早稲田映画まつりでも『美味しく、腐る。』(2014)が観客賞に選ばれました。
映画『オーバーフェンス』(2016/山下敦弘監督)の特典映像撮影や、映画『太陽を掴め』(2016/中村祐太郎監督)、『サラバ静寂』(2018/宇賀那健一監督)などのメイキングを担当。アイドルグループSTU48のデビューシングル「暗闇」のMVなどを手がけています。
山戸結希監督プロデュースのオムニバス映画『21世紀の女の子』(2018年冬~19年春に全国公開予定)の12人の監督の一人として参加しており、公開が待たれます!
若干23歳で製作した『少女邂逅』は監督自身の中学時代の経験がもとになっているといいます。蚕のように容姿も中身も変容する少女たちの姿を繊細に、かつ痛烈に描いています。
映画『少女邂逅』の音楽を担当した水本夏絵とは?
熊本県出身のシンガーソングライター。
2012年、「転校生」名義でデビュー。同年、デビューアルバム『転校生』をリリース。たちまち話題となり、多くの人々を魅了します。
映画『暗闇から手をのばせ』(2013/ 戸田幸宏監督)に楽曲を提供。自身の原案の短編映画『救済』(2013/内藤瑛亮監督/MOOSIC LAB 2013作品)の主題歌を担当しています。
1年後の2013 年、渋谷 ONEST でのワンマンライブ「登校拒否」で無期限の活動休止を発表しました。
映画『少女邂逅』のあらすじ
高校生の小原ミユリはクラスメイトから毎日のようにいじめを受けていました。この苦痛から逃れたいと思い、腕にカッターナイフを近づけますが、恐ろしくて実行できません。
ふと見ると、切ろうとした手首の上に蚕がのっていました。彼女は蚕を持って帰り、「紬(ツムギ)」と名付け、箱に入れて飼い始めました。
学校に行くときもツムギが入った箱をカバンに入れて持ち歩いていましたが、ある時、いじめっ子たちにカバンを取られ、ツムギをみつけられてしまいます。
いじめの主犯格である清水という少女はツムギを遠くに投げ、「これでまた一人ぼっちよ」とミユリに告げるのでした。
さらに彼女たちは、ミユリのスカートをたくし上げ、頭の上で結んで去っていきました。
身動きが取れずもがいているミユリのところに一人の少女がやって来ました。結び目をほどき、ミユリを助けてくれた少女は「君?大丈夫?」と声をかけてきました。
翌日、その少女がミユリのクラスに転校してきました。東京から来たという彼女は富田紬(ツムギ)と名乗りました。
自分の席に向かう彼女はミユリの方を見て、微笑んだように見えました。
少女はすぐにクラスメイトたちに受け入れられ、ミユリはそれをただ見つめるだけでした。
昼休み、皆が友達同士でお弁当を食べている中、一人だけで弁当を食べていたミユリに悪質ないたずらをしたグループがありました。
耐えかねてトイレに駆け込み、手首を切ろうとしますが、やはり切れません。
放心したように廊下を歩いていると、誰もいない教室で紬がリストカットしている光景が目に入ってきました。彼女は傷口から糸のようなものを引っ張っているように見えました。
ふと目が会い、あわてて逃げるミユリ。森の中で手首を切ろうとするミユリを追ってきた紬が止めました。
「君は一体誰のため、何のため生きてるの? 黙ってちゃ伝わらないよ。君は今何がしたいの? ずっと狭い場所にいながら死んだような人生でいいの!?」
ミユリは嗚咽し、声を振り絞って叫んでいました。「死にたくない。生きたい!」
紬は「私が君の価値を見つける」とミユリを抱きしめ、ミユリは泣きながら彼女の背中に腕を回すのでした。
「近づいたら消えちゃうんじゃないかって。いつもそうだったから。ずっと紬に会いたかった」ミユリが言うと、「私も君に会いたかったよ」と紬が応えました。
二人が接近するとあのいじめっ子たちががらっと態度を変えて、まるでいじめていたことなどなかったかのように普通の親しいクラスメイトとなっていました。
昼は一緒にお弁当を食べ、放課後はカフェで好きな男の子の話しをし、夏休みに行きたいところを相談する…。そんな高校生らしい生活に戸惑いながらも、少しずつ慣れてきたミユリでしたが、謎めいたところのある紬に対してやがて戸惑いを憶え始めます…。
映画『少女邂逅』の感想と評価
映画冒頭、森の中でミユリがいじめを受け、いじめっ子たちが立ち去るシーンを俯瞰で撮っています。
カメラのうまさには舌を巻きます。
渡り廊下を走り、階段を駆け下りていた少女たちが自転車の二人乗りとして現れる瞬間をまるでマジックのように撮ってみせたり、雨の中をかけていく二人を電話ボックスに映る姿でとらえたり、考え抜かれたカメラワークが少女たちの心情を見事に映し出しています。
スマートフォンを撮影する者と撮影される者とを二分割した映像の輝かしい煌めき。ここではない何処かへの切実な憬れ、少女たちの持つ美しさと残酷性、そうした何もかもに、気がつけば心を鷲掴みにされていました。
幻想的な映像やお伽噺を思わせるようなディテールを巧みに配しながら、少女たちの信頼と不信、他者との関わりの歓びと困難を見事に映像に乗せています。
終盤の展開に目を奪われ、「彼女」が語っていた言葉の意味を振り返って、さらに気持ちがざわつきました。
もう一度観て、全てをたどりたくなる衝撃に駆られる方も多いのではないでしょうか!?
まとめ
何よりもヒロイン二人が素晴らしいのです。
いつもおどおどして、猫背で、その場にいることすら申し訳ないような表情を見せるミユリを演じる保紫萌香の確かな演技力と存在感。
どこか謎めいた雰囲気を漂わせる紬を演じたモトーラ世理奈の奔放な魅力。
見事なカメラワークで繊細かつ大胆な物語を作り上げた枝優花監督も彼女たちとほぼ同年代。
保紫萌香とモトーラ世理奈の活躍をもっともっと観たいし、枝優花監督の作品ももっともっと観たい!と思わせます。
第42回香港国際映画祭 I See It My Way部門に『勝手にふるえてろ』『リバーズ・エッジ』らと並び、正式上映され、香港市内のGRAND CINEMAや香港文化中心で二回に渡り、大盛況で迎えられました。
2017年5月にアップした「少女邂逅」予告編の再生回数が160万回再生を突破するなど、若い人を中心に熱狂的な支持を集めています。
まさに満を持しての一般公開が6月30日より新宿武蔵野館ほかにてスタートします。
この若き才能を是非目撃してください!