Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2017/09/28
Update

映画『リングサイド・ストーリー』あらすじとキャスト!感想レビューも

  • Writer :
  • 西川ちょり

大ヒット映画『百円の恋』の武正晴監督、待望の最新作『リングサイド・ストーリー』をご紹介します。

「カンヌに連れて行ってやる!」。夢だけは大きい売れない俳優と彼を支える健気な女が繰り広げるファイトコメディ!

2017年10月14日(土)より、新宿武蔵野館、渋谷シネパレスほかで全国ロードショー!

1.映画『リングサイド・ストーリー』の作品情報


(C)2017 Ringside Partners

【監督】
武正晴

【キャスト】
佐藤江梨子、瑛太、有薗芳記、田中要次、伊藤俊輔、高橋和也、武藤敬司、武尊、黒潮“イケメン”二郎、前野朋哉、近藤芳正、余貴美子

【作品概要】
江ノ島カナコと村上ヒデオは10年来のカップル。役者であるヒデオは7年前に大河ドラマ出演を果たしたものの、最近はオーディションに落ち続け、すっかりカナコに頼りきった生活を送っていました。そんなある日、カナコが勤め先の弁当工場を突然クビになってしまいます。

ヒデオはカナコをプロレスの広報担当として就職させることに成功しますが、仕事に慣れるにつれ、カナコは生き生きしだします。プロレスラーと浮気している!と勘違いしたヒデオはとんでもない行動に出ます。度重なる愚行のせいで、K-1選手と対決するはめになるのでした。

2. 佐藤江梨子(江ノ島カナコ役)のプロフィール


(C)2017 Ringside Partners

1981年生まれ。東京都出身。1999年、高校在学中に「大磯ロングビーチキャンペーンガール」に選出され、芸能界入り。 『プレイガール』(03/梶間俊一監督)で映画初出演を果たしました。

『キューティーハニー』(04/庵野秀明監督)で主演をつとめ、抜群のプロポーションを生かした演技が話題となりました。『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(07/吉田大八監督)で、第29回ヨコハマ映画祭主演女優賞を受賞しています。

『口裂け女』(07/白石晃士監督)、『秋深き』(08/池田敏春監督)、『斜陽』(09/秋原正俊監督)、『すべては海になる』(10/山田あかね監督)、『その街のこども 劇場版』(11/井上剛監督)などの作品で主演を務めています。

その他の主な映画出演作に『日本沈没』(06/樋口真嗣監督)、『七瀬ふたたび The Movie』(10/小中和哉監督)、『行きずりの街』(10/阪本順治監督)、『R100』(13/松本人志監督)、『猫忍』(17/渡辺武監督)があります。

映画のみならず、テレビドラマ・CM・映画・舞台・執筆活動と幅広いジャンルで活躍中。本作は四年ぶりの映画主演作になります。

3.瑛太(村上ヒデオ役)のプロフィール


(C)2017 Ringside Partners

1982年12月13日生まれ。東京都出身。2001年俳優デビュー。テレビドラマ「ウォーターボーイズ」(03/CX)、で注目を浴び、『オレンジデイズ』(04/TBS)、『ラスト・フレンズ』(08/CX)、『篤姫』(08/NHK)、など多くのテレビドラマに出演しています。

映画デビューは『青い春』(02/豊田利晃監督)。『サマータイムマシン・ブルース』(05/本広克行監督)で主演デビューを果たしています。

その他にも『あずみ』(03/北村龍平監督)、『ナイン・ソウルズ』(03/豊田利晃監督)、『嫌われ松子の一生』(06/中島哲也監督)、『好きだ、』(06/石川寛監督)、『アヒルと鴨のコインロッカー』(07/中村義洋監督)、『余命1ヶ月の花嫁』(09/廣木隆一監督)、『ガマの油』(09/役所広司監督)、『ディア・ドクター』(09/西川美和監督)、『まほろ駅前多田便利軒』(11/大森立嗣監督)、『僕達急行 A列車で行こう』(12/森田芳光監督)、『まほろ駅前狂騒曲』(14/大森立嗣監督)、『殿、利息でござる!』(16/中村義洋監督)、『64-ロクヨン-前編/後編』(16/瀬々敬久監督)、『土竜の唄 香港狂騒曲』(16/三池崇史監督)など多数の作品に出演。

本年度も『リングサイド・ストーリー』の他、『ミックス。』(石川淳一監督)、『光』(大森立嗣監督)と立て続けに公開され、クールな役柄からコメディまで幅広い演技で邦画界を牽引しています。

4.映画『リングサイド・ストーリー』の武正晴監督とは?

1967年生まれ。愛知県出身。 1986年明治大学に入学。明大映研に参加し、多くの自主映画を制作。

卒業後、本格的にフリー助監督として映画現場に参加。 チーフ助監督として、『ホテル・ハイビスカス』(02/中江裕司監督)、『パッチギ!』(04/井筒和幸監督)、『嫌われ松子の一生』(06/中島哲也監督)などに携わります。

短編映画『夏美のなつ いちばんきれいな夕日』(06)で監督デビュー後、『ボーイ・ミーツ・プサン』(07)で長編映画デビューを果たします。

『カフェ代官山~Sweet Boys~』(08)『カフェ代官山 II ~夢の続き~』(08)『花婿は18 歳』(09)『カフェ・ソウル』(09)『EDEN』(12)『モンゴル野球青春記〜バクシャー〜』(13)『イン・ザ・ヒーロー』(14)とオリジナル映画を撮り続け、主演に安藤サクラを迎えた『百円の恋』(14)で、第39回日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞しました。

本作は、『百円の恋』スタッフとともに手がけた、3年ぶりのオリジナル作品です。

2018年には中井貴一、佐々木蔵之介W主演の『嘘八百』の公開が控えています。

5.映画『リングサイド・ストーリー』のあらすじ


(C)2017 Ringside Partners

江ノ島カナコと村上ヒデオはつきあって10年の同棲中のカップルです。ある日、カナコが、勤めていた弁当工場をクビになってしまいます。

そのことにカナコ以上に慌てるヒデオ。彼は俳優なのですが、最近はオーディションに落ちまくっている上に小さな仕事は受けないため、ほとんど仕事をしていません。当然、収入もありません。カナコが働いてくれなかったら生活できなくなってしまうのです。

プロレス好きだったヒデオは、武藤敬司率いるプロレス団体「WRESTLE-1」(レッスルワン)の広報が人員募集していることを知り、カナコに面接を受けるよう勧めます。

プロレスにはまったく興味のないカナコでしたが、とりあえず話しを聞くだけと出かけて見ると、手紙を理由に即採用となります。

いかにプロレスが好きか、激しく熱く語った長文の手紙をカナコが送ったことになっているのですが、身に覚えがありません。実はその手紙はヒデオが書いて勝手に送っていたのでした。

こうして新天地で働くことになったカナコ。慣れるにつれ、仕事が楽しくなってきて、生き生きし始めます。

ヒデオとは生活リズムも違いすぎ、二人は徐々にすれ違っていきます。

北海道の地方巡業でカナコが出張した日、ヒデオはマネージャーが取ってきた仕事をドタキャンしてパチンコに興じていました。

勝ってカニ缶を数個持ち帰りましたが、北海道から帰ってきたカナコは大量の毛ガニをみやげに持って帰ってきて、ヒデオはそーっとカニ缶を隅におしやりました。

毎日楽しそうなカナコを見て、ヒデオはプロレスラーと浮気しているに違いないと勘違いし、嫉妬に狂い始めます。

挙句に、会場に侵入し、とんでもない事件を起こしてしまいます。カナコも責任を取り、仕事を辞めるはめに。

10年前、舞台袖で見たヒデオは輝いていて、才気に溢れていたのに…。七年前には大河ドラマに出演し、西田敏行に褒められたこともあるというのに…。「いつかカンヌに連れていく」そんな夢を二人で共有していたのに…。

カナコはK-1の裏方の仕事を紹介され、働き始めましたが、またもや選手との浮気を妄想したヒデオが事件を起こしてしまいます。

その結果、なんとK-1チャンピオンと一騎打ちをすることに! 一ラウンドもたなければカナコと別れるという条件までつけられてしまいました。

愛するカナコのために、一世一代のリングという大舞台にヒデオは上がることが出来るのでしょうか? 

6.映画『リングサイド・ストーリー』の感想と評価


(C)2017 Ringside Partners

瑛太扮するヒデオは、自意識が高く、不遜で、その才能を信じて彼を支えているカナコや事務所のマネージャーに感謝するそぶりも見せません。かなりのクズっぷり。

と、書くと、実にいやな奴という印象を与えてしまうかもしれませんが、武正晴監督は、こんな男を「愛すべきダメ男」として描いています。ダメな奴だけどなんだか憎めないのです。

それは、瑛太がこの役を実に楽しそうに演じているということもありますし、コメディ仕立ての物語によるところが大きいでしょう。

しかし、それにも増して佐藤江梨子扮するカナコの存在が大きく起因していると思われます。

「私がついていないとダメな人」という枠にはめるでもなく、口やかましくガミガミ言い続けるわけでもなく、自然体でのびのびと接している、そのおおらかな佇まいが、映画に明るい光を放っているのです。

余貴美子扮するいつも餃子を焼いている母親の、カナコを上回るおおらかさも見逃してはなりません。

多少のことでは動じないどっしり感。この母あってこの娘ありというところでしょうか。

それは決して男を甘やかしているわけではなく、「人を信じること」あるいは、「待つ勇気」を彼女たちが持ち合わせているということです。

そこには武正晴監督自身の暖かく深い眼差しが宿っているのです。

「夢を見せてくれる男は貴重よ」という母親の台詞が出てきますが、それは勿論、ヒデオへのエールなのですが、それと同時に格闘技の世界で夢を与えてくれるプロレスラーやK-1選手へのリスペクトの言葉でもあるのでしょう。

リングを作り上げていく様子を俯瞰で撮る場面があります。ドキュメンタリータッチの光景は新鮮です。

それは袖口から舞台を観るカナコ、そこで輝いているヒデオというイメージとリンクする役割も果たしているでしょう。

武正晴監督の前作、『百円の恋』は、上映時間のちょうど半分くらいから、ガラっと様相を変えますが、本作も、中盤で物語が激しく動き始めます。

しかし、その展開は一筋縄ではいきません。彼の運命や如何に!? 是非映画館で確かめてみてください!

まとめ


(C)2017 Ringside Partners

プロレス団体に嫁を就職させて自分はずっと家にいる男という設定は、なんと『百円の恋』の脚本家で、『14の夜』の監督、足立紳氏の実際の経験を基にしているというから驚きです。

マネージャー役の近藤芳正も味わいのあるいい演技をしています。岩井俊二監督がワンシーンだけ登場するのもお見逃しなく。

また、WRESTLE-1社長の武藤敬司、WRESTLE-1の人気レスラー、黒潮“イケメン”ニ郎、”新星K-1のカリスマ“武尊(たける)の演技にも注目です!

『百円の恋』ではエンディングに流れるクリープハイプの「百八円の恋」がぐっと身に染みてきましたが、本作も、デビューから28年目を迎え、日本のロックバンドとして咲き誇り続けるフラワーカンパニーズの楽曲に心を鷲掴みにされること請け合いです。

『リングサイド・ストーリー』は2017年10月14日(土)より全国公開されます! 乞うご期待!!

関連記事

ヒューマンドラマ映画

【ネタバレ】トゥー・ダスト 土に還る|あらすじ結末感想と解説評価。ルーリグ・ゲーザ×ショーン・スナイダーで描く心温まるコメディ

悲しくも滑稽な“愛する者”との別れに慰めを求める旅 今回ご紹介する映画『トゥー・ダスト 土に還る』は、敬虔なユダヤ教信者の男が妻を癌で亡くし悲しみにくれつつ、その愛する妻の亡骸がどのように、“土に還る …

ヒューマンドラマ映画

カンヌ国際映画祭2017ソフィアコッポラが本命!発表日程も

1946年にカンヌ国際映画祭の歴史は始まり、2017年で70回目を迎える世界三大映画祭のひとつに挙げられます。 ベルリン国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭と並び、各国の映画関係者が一堂に集まる映画の祭典 …

ヒューマンドラマ映画

映画『タイトル、拒絶』ネタバレあらすじと感想解説。伊藤沙莉が演技力で見せたセックスワーカーの“女たちの生き様”

2013年初演の舞台を主宰の山田佳奈自ら映画化、セックスワーカーの女たちを描いた映画が公開! 「私の人生なんて、クソみたいなもんだと思うんですよね」という伊藤沙莉演じるカノウの核心をつく独白から始まり …

ヒューマンドラマ映画

『予兆 散歩する侵略者 劇場版』第68回ベルリン国際映画祭に正式出品決定!

黒沢清監督ファンのあなたに吉報です!映画『予兆 散歩する侵略者 劇場版』が、2018年2月15日から25日まで開催される第68回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門に正式出品に決まりました。 映画『散歩す …

ヒューマンドラマ映画

『アルジェの戦い』ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。戦争映画の名作は実話実録のドキュメントタッチでベネチア金獅子賞に輝く!

ベネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いた戦争映画の名作。 ジッロ・ポンテコルヴォが脚本・監督を務めた、1966年製作のイタリア・アルジェリア合作の戦争ドラマ映画『アルジェの戦い』。 1950年代初頭、フラ …

U-NEXT
【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学