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Entry 2017/11/24
Update

映画『スラッカー(1991)』あらすじとキャスト!感想レビューも

  • Writer :
  • ちょり

2017年12月16日より、下北沢トリウッドにて「歳末青春大セール!ティーンムービー傑作選」という特集上映が行われます! 

日本未公開映画の紹介、上映を企画・運営するGucchi’s Free Schoolによる選りすぐりの傑作ティーンムービー8本が勢揃い

今回はその中の1本、リチャード・リンクレイターの長編二作目『スラッカー』をご紹介します。

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1.映画『スラッカー』の作品情報


©฀1991 Detour,Inc

【公開】
2017年(アメリカ映画)

【原題】
Slacker

【監督】
リチャード・リンクレイター

【キャスト】
リチャード・リンクレイター、ケイシー・マッカートニー、ルディ・バスケス、キム・クリザン、テレサ・タイラー、マーク・ジェームズ、ステラ・ウィアー、ジョン・スレイト、ルイス・H・マッキー

【作品概要】
テキサス州、オースティンを舞台に、そこに住む住人たちの姿を次から次へと追っていく偶像劇。自分が関心のあることを他人の気持ちにお構いなしに喋り続ける人、テレビに囲まれ、映像を流し続ける人、タイプライターを川に投げ込まれる人など、風変わりなスラッカー(怠け者)が多数登場する。

2.映画『スラッカー』のあらすじ


©฀1991 Detour,Inc

長距離バスからタクシーに乗り換えた青年は、運転手に向かって延々自分の夢の話しをします。運転手はなんの反応も示しません。

タクシーを降りて青年が歩いていると、目の前で女性が車に轢かれるところに出くわしました。

女性を触ろうと近づくと、ランニング中らしき女性が「触っちゃダメ。早く救急車を呼んで」と声をあげました。青年は道路を渡って遠ざかってしまいました。

丁度通りかかった車から降りた男は、ランニングの女に名刺を渡し「電話して。必ずだよ」と言いました。

別の男がこの有様を見て「どうしたんだ?」と言うと、女は「この人に電話して」と名刺を渡して走って行ってしまいました。

その頃、女性を轢いた車の男は家に戻り、祭壇のようなものに火を灯し、映写機を回しました。映っているのは、彼の子供時代の映像でしょうか? その時、チャイムがなり、ドアを開けると警察が入ってきて、彼を逮捕しました。

連れて行かれる彼を見てギターを持った男性が「どうしたんだ?」と聞くと別の男性が「自分の母親を轢いたらしい」と答えました。

ギターを持った男性はストリートで歌い出し、一人の女性がコインを投げました。女性はカフェに入ります。カフェにはドストエフスキーの勉強会をしている三人組がいました。

そのうちの一人が店を出ると、「友達が行方不明なんだって?」と中年の男がついてきました。男は延々と宇宙開発の陰謀説や地球温暖化に関して政府が隠蔽していることなどをしゃべり、友人の失踪は麻薬カルテルやCIAが関与しているのではないかと話します。

友人の家についたからと青年は言い、迎えに来た女性と歩いていってしまいました。残った男の側を男性と女性の二人組が通り、その二人にも男は声をかけましたが、彼らは相手にしませんでした。

二人が家に戻るとシェアハウスの住人の一人が選挙の得票率の話しをしていました。別の住人が行方不明になっているのを知らされた二人は、その男の部屋へ行ってみました。

部屋はもぬけの空で床に絵はがきが置かれ、日記のような、創作のような文章が書かれていました。

シェアハウスの仲間の一人が街に出ると、知り合いの女性が前から歩いてきました。二人が立ち話をしていると、別の女性がやってきて、高速道路で起こった自動車事故について、一人で喋り始めました。

話し終えると、ハリウッドの婦人科の医師からもらったものだと小瓶を取り出します。マドンナの子宮細胞だと言い、売りつけようとしますが、断ると別をあたると帰っていきました。

「金曜日にライブを見に来て」と女性に言い、男が再び歩き始めると、黒人男性が二人のカップル相手に社会のカースト制を説き、Tシャツやzineを売り込んでいました。カップルは何も買わずに立ち去ります。

カップルは海外に出かけることの是非について話し、二人連れの女性とすれ違います。

女性たちはボンベイにいた時の想い出を語っていましたが、一人が立ち止まり、次にすれ違った人は2週間以内に死ぬと予言します。

彼女たちとすれ違った男性は自動販売機で新聞を買おうとしますが、コインを入れても出てこず、近くの女性に両替を頼みますが、断られます。

コーヒーショップに入って、珈琲を注文し、店の新聞を読もうとしていると、後ろの席の男からは俺につきまとうなと言われ、横に座っている女性からは何度も「女性を性的に傷つけてはいけない」と言われ、戸惑って店を出ます。

彼と同時に店を出た男が歩いていると、車のクラクションの音と「どこ歩いてるんだ!」という叫び声が聞えてきました。

男が家に帰り、妻(または同居している女性)といちゃついていると、近所の子どもが覗き見していたので追い返しました。

子どもたちは、自動販売機をキックして、ただで缶ジュースを手に入れるとそれを売ろうとしますが、三人組の男の一人しか買ってくれず不平を言いました。

男たちは川にかかる橋のたもとにやってきました。一人の男が、タイプライターを投げろと支持し、別の男は抵抗していましたが、タイプライターは川に投げ込まれてしまいます。ついていけないとばかりに二人は去っていきました。

そのうちの一人が待ち合わせていた女性と合流。女性に子どもから買ったコーラを渡します。

女性が物乞いに小銭とコーラを渡すと、男は怒り出して説教を始めます。

映画に間に合わなくなったので、二人は一旦別れ、あとで会うことになりました。

女性が本屋に入って、ケネディ暗殺関係の本を手に取ると、店主がやってきて、ケネディ暗殺について熱弁をふるいはじめました。

そんな彼は誰とつながり、その次の誰かは誰とつながり、そのまた次の誰かは誰とつながり、どんな話しをするのでしょうか? 夜がふけ、朝日が昇り、数珠つなぎはまだまだ続きます。

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3.映画『スラッカー』の感想と評価


©฀1991 Detour,Inc

夜行バスに揺られ物憂げな顔をしている青年。だんだんと夜が明けていく車窓の風景。そのエモーショナルな雰囲気に、おお! いかにも青春映画らしい!と思って観ていると、話はどんどん意外な方向へ!

彼が、歩いていると、事故の音がして車が立ち去ります。そのままカメラが回り続け、倒れている女性に寄ってくる人々を映しながら、だんだんと後退し、手前に先程の轢き逃げの車が帰ってくる。

全てワンカットで、なにやらものすごい映像を見てしまったと興奮しつつ、やがてこれは普通の起承転結のある物語ではなさそうだ、ということに気が付くことになります。

カメラはこれまで映してきた人からあっさり離れ、別の人についていきます。それも次から次へと。

舞台はテキサス州オースティン。若者を中心に子どもから老人まで、男性も女性も、様々な人々が登場。まさに「オースティン数珠つなぎ」状態です。

相手が聞いていようがいまいがどうでもよく、相手の都合とか、相手の気持ちも二の次。自分が興味のあることを喋り続ける人々はとても楽しそうです。

内容も、ドストエフスキー、マルキ・ド・サド、ヘミングウェイなどの文学分野、テキサスタワー乱射事件、ケネディ暗殺、マッキンリー暗殺などへの政治的言及、詐欺、予言、口喧嘩、痴話喧嘩など多岐に渡ります。

ほら話なのか、与太話なのかと煙にまかれつつ、彼らとともに、私たち観客もオースティンの街を歩いているかのよう。果てはアメリカという国を旅する感覚に至ります。

映画の中で普段、名もなく、台詞もなく、ただの通行人として画面の端に映る人にだって皆、それぞれの暮らしがあり、それぞれの想いがあり、みんな面白くてちょっと変わっているんだ、という意図があったのか? 

それは定かではありませんが、ただ、人々が思い思いにしゃべるみたいに、カメラだって思い思いにいろんな人についていってもいいじゃないかという自由な意思が感じられます。

しかし、果たして、これは青春映画と言えるのか? と思われる方もいるかもしれません。それは最後まで観てからのお楽しみ。ラストの清々しさを是非目撃してください。

ちなみにスラッカーとは「怠け者」という意味だそうです。


©฀1991 Detour,Inc

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4.まとめ


©฀1991 Detour,Inc

リチャード・リンクレイターの長編二作目にあたる本作は、2万3千ドルの低予算で制作されました。

サンダンス映画祭で絶賛され、興行的には、地元で火がつき全米公開されてスマッシュヒットを記録しました。

リチャード・リンクレイターといえば、『恋人までの距離(ディスタンス)』(1995)で始まるビフォアシリーズがよく知られています。

登場人物がしゃべっているだけなのに滅法面白いこと、1日の出来事を描いているという点で『スラッカー』との共通点がみられます。

『6才のボクが、大人になるまで。』(2014)は、一人の少年の6歳から18歳までの成長を実際に12年かけ撮影した作品ですが、そんな実験的ともいえる作風も、『バッド・チューニング』(1993)の非常に大勢の人間を一本の映画の中でさばいていく手腕も、『スラッカー』に既に備わっているのです。

また、『スラッカー』は若い作家に多大な影響を与えたことでも知られています。

ケヴィン・スミスは『スラッカー』を観て一念発起。低予算で『クラークス』(1994)を撮り、サンダンスで絶賛、と『スラッカー』と同じようなサクセスストーリーを歩んだことは有名です。

低予算でアマチュアの俳優を使うマンブルコアと呼ばれるインディペンデントの作家たちにも大きな影響を与えました。

このように『スラッカー』は映画史的にもとても重要な作品なのですが、映画自体はあくまでも軽やかで人を喰っています。

ちなみに最初にタクシーに乗って喋り続ける青年は、リチャード・リンクレイターが演じていますので、是非チェックしてみてください。

本作は、12月16日より、下北沢トリウッドにて「歳末青春大セール! ティーンムービー傑作選」の1本として公開されます。

この貴重な上映をお見逃しなきよう!

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