映画『約束のネバーランド』は、2020年12月18日(金)全国ロードショー。
テレビアニメ化もされた「週刊少年ジャンプ」連載の人気コミック『約束のネバーランド』。原作の第一部ともいえるGFハウス脱獄編が完全映画化されました。
孤児たちを収容する孤児院のもう一つの顔。秘密を知った主人公たちに襲い掛かる罠。主人公たちは無事に逃げ切れるのでしょうか。
『僕だけがいない街』の監督・平川雄一朗と脚本家・後藤法子が再タッグを組み、主役のエマを『君の膵臓をたべたい』の浜辺美波が演じています。
映画『約束のネバーランド』の作品情報
【公開】
2020年(日本映画)
【脚本】
後藤法子
【監督】
平川雄一郎
【キャスト】
浜辺美波、城桧吏、板垣李光人、渡辺直美、北川景子
【作品概要】
発行部数2500万部を超えるベストセラーコミック『約束のネバーランド』。少年ジャンプ史上最も異色なダークファンタジーと呼ばれた作品が禁断の実写映画化されました。
監督は『ぼくだけがいない街』(2016)の平川雄一郎。主演には『君のすい臓がたべたい』(2017)の浜辺美波。レイを『万引き家族』(2018)の城桧吏、ノーマンを『仮面ライダージオウ』(2018)の板垣李光人がそれぞれ演じています。共演に、渡辺直美、北川景子らも揃いました。
映画『約束のネバーランド』のあらすじとネタバレ
色々な孤児が集まる「孤児院」・グレイス=フィールド(GF)ハウス。
院のシスターで“ママ”呼ばれ慕われるイザベラのもとで暮らす子供たちは、血縁関係はないものの家族同然の関係を築き、幸せに暮らしていました。
GFハウスでは、赤ん坊のころに預けられた子供を、特殊な勉強とテストにより育てあげ、6歳から16歳までの間に里親の元へと送り出していました。
間もなく16歳になるエマ、ノーマン、レイは頭脳明晰で、身体能力にも恵まれていて、年下の子供たちを世話し、イザベラを支えていました。
ある晩、少女・コニーに里親が見つかり、急遽外の世界に出ることになりました。ところがコニーが大好きだったぬいぐるみを置き忘れたのに気が付いたエマとノーマンはそれを届けようと後を追います。
2人が向かったのはGFハウスの敷地と外の世界を繋げる“門”。しかし“門”には近づくことを禁じられていました。あとで叱られようと決めて、後を追った2人。
そこでコニーが“鬼”と呼ばれる怪物に食肉として出荷される瞬間を目撃してしまいます。
立ち会っていたイザベラの対応は慣れた様子で、事務的なものを感じさせ、その姿から、今までこの“門”を通過していった家族たちがことごとく食肉として出荷されていたこと察します。
GFハウスの真相とイザベラの正体を知った2人は、レイに真実を告げて子供たち全員を一度に脱走させる計画を練り始めます。
もはや2人にはGFハウスは家族の憩いの場ではなく監獄・人間飼育場のようにしか見えません。
コニーの引き渡しの場でぬいぐるみを見つけたイザベラは子供たちの誰かが、真相に近づいたと考え、追加の監視者としてシスターのクローネを迎え入れます。
クローネはイザベラに忠誠を誓うふりを見せながら、その一方でイサベラの追い落としを考えていました。
子供たちが脱獄を考えていることを知ったクローネは子供たちと協力関係を築き、子供たちの耳に発信機が埋め込まれているなど情報を提供しますが、イザベラに狙いが読まれ出荷されてしまいます。
更にレイがイザベラのスパイであったことが発覚します。
幼児の頃からの記憶のあるレイは仕組みを知っていて、口外せず、イザベラに協力することを条件に出荷を免れていました。
レイの裏切りにショックを受けるエマとノーマン。しかし、ノーマンはそのさらに裏を読み、レイは真の意味で仲間となり脱獄計画を推し進められる者を求め続けていたという真意を探り当てます。
年長の子供たちを仲間に引き入れ計画を進めるエマたちですが、イザベラにも脱獄の下見が見つかってしまい、計画を封じるためエマは足を折られ、さらにノーマンの出荷が告げられてしまいます。
エマとレイは、ノーマンの発信器を無効化し全員の脱獄敢行まで、ハウスの外に潜伏させる作戦を立てます。しかし、ノーマンは残される子供達の脱獄に支障が出ることを恐れ、発信機を生かしたまま下見を強行した後戻ってきてしまいます。
得られる情報すべてエマとレイ、仲間たちに伝えたノーマンは出荷されていきます。見送ることしかできずに無力感にさいなまれるエマとレイ。イザベラは運命には逆らえないと言うこと強烈につきつけます。
映画『約束のネバーランド』の感想と評価
孤児院が舞台ということもあって、子役が多い現場をまとめ、引っ張っていったのは主演の浜辺美波。
ブレイク作で、北川景子との初共演作品となった『君の膵臓をたべたい』から3年。『映画・賭ケグルイ』『屍人荘の殺人』などで主役を張るようになり、今では日本映画を代表する“主役型”の若手俳優といっていいでしょう。
今回の映画『約束のネバーランド』でも陽性でポジティブなヒロイン・エマを好演しています。
原作の熱烈なファンだったということですが、その原作愛を原動力にこの突飛な世界観にリアリティと説得力を与えています。
また、かねてから見え隠れしていた身体能力の高さを今作ではフルに発揮しています。
浜辺美波演じるエマと共に脱獄計画を練る2人の少年・レイとノーマンという役に抜擢されたのは、城桧吏と板垣李光人。
城桧吏は『万引き家族』でオーディションを勝ち抜き、長男役を勝ち取った現在14歳の期待の新人。
一方の板垣李光人はモデルからキャリアを始め2018年の『仮面ライダージオウ』にレギュラー出演して注目を浴びた18歳です。
浜辺美波に引っ張られるようにこの2人が存在感をどんどんと見せていくところも映画の見どころの一つです。存在感ということで“ママ”ことイザベラを演じる北川景子はやはり抜群の存在感です。
『ドクター・デスの遺産 -BLACK FILE-』『ファーストラヴ』と主演として作品を引っ張り続けている北川景子ですが、“裏主役”ともいうべきイザベラ役に回った今回の『約束のネバーランド』では、若手キャストを受け止める側に回って抜群の存在感を見せています。
渡辺直美のクローネという飛び道具的なキャラクターの登場にも動じることなく、見事に受け入れて、演じていました。
まとめ
主に子供たちのメインキャストの関係で、GFハウスに出荷される期限が12歳から16歳に変更されましたが、それ以外は原作にかなり忠実に作られています。
北川景子にイザベラ役を依頼した際には、“原作からの忠実であること”が条件として出されたというエピソードがあるくらいで、監督の平川雄一郎と脚本の後藤法子は、このファンタジックな異世界を邦画の画面の中に成立させることを突き詰めました。
原作の改編をほぼ行わず、全国津々浦々を巡って、GFハウスに相応しい建物、世界を創り上げる森を見つけ出しました。
風格の漂うGFハウスには、福島県にある国の重要文化財の天鏡閣の外観と丁寧に作りこんだ内部セットを使い分けて対応。森は長野の高原を探し出しました。
森の撮影の時には毎日軽い登山をしないと辿り着けなかったということですが、その甲斐もあって時には子供たちを包み込み、時には子供たちの前にそびえる壁のような存在感を得ることができました。
このようにスタッフとキャストの努力の成果が実り、映画『約束のネバーランド』は、原作に忠実であることに突出したファンタジックな世界観を醸し出す作品となっています。