第74回ヴェネチア国際映画祭に正式出品され、9月5日(現地時間)より、ワールドプレミア上映が予定されている五十嵐耕平とダミアン・マニヴェル共同監督作品『泳ぎすぎた夜』。
本作は2018年4月14日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開!
1.映画『泳ぎすぎた夜』の作品情報
【公開】
2017年(日本映画)
【原題】
La nuit où j’ai nagé
【監督】
五十嵐耕平&ダミアン・マニヴェル
【キャスト】
古川鳳羅 (こがわ たから)、古川蛍姫 (こがわ けいき)、古川知里 (こがわ ちさと)、古川孝 (こがわ たかし)、工藤雄志 (くどう ゆうし)、はな(犬)
【作品概要】
日仏合作映画『泳ぎすぎた夜』は、五十嵐耕平&ダミアン・マニヴェル共同監督で制作され、第74回 ヴェネチア国際映画祭や第65回サン・セバスチャン国際映画祭に正式出品された作品です。
2.映画『泳ぎすぎた夜』のあらすじ
雪で覆われた青森の山々。
毎晩、魚屋の父は街の市場に出かけて行きます。父の出掛けに目を覚ました6歳の息子は、そのあと眠ることが出来ませんでした。
皆が寝静まる家の中、少年は絵を描き、ランドセルにしまいます。
翌朝、彼は眠い目をこすりながら学校へと登校しますが、いつしか道をそれて、雪の中をよろめきながら街を目指す。
少年の小さな冒険が始まる…。
3.映画『泳ぎすぎた夜』の感想と評価
ヴェネチア国際映画祭のディレクターのアルベルト・バルベラは今作『泳ぎ過ぎた夜』に次のような感想評価を述べています。
「私はこの小さな映画に恋をしてしまった。
その子供は、信じられないくらいに表現力豊かである。
舞台は冬の日本の北部に位置する小さな町であり、魔法がかった風景、それはもうほとんど幻想的だ。何も起こらない物語 ̶ その子供は、魚市場で働く彼の父親を探すために家を出る。そして見知らぬ街で迷子になる。
それは極めて詩的な、極めて厳密な構成美で描かれた、極めて魅惑的なそぞろ歩きである。この映画は、一見何も物語っていないように見えるが、しかしさてはて、たくさんのことを深く私たちに語りかけてくるのだ。
第74 回ヴェネチア国際映画祭 ディレクター アルベルト・バルベラ」
この物語に登場する主人公を演じた古川鳳羅 (こがわ たから)の表現力の高さを評価しています。
それあってこそ映画の詩情の豊かさも伝わるのでしょうね。
あなたも少年と“そぞろ歩き”したくなりませんか?
さて、実はその主人公の少年のキャスティングはあっさりとは決まらず難航していました。
そんなある日の夏のコンサート会場に、母親と姉に手を引かれた少年がやってきたそうです。
その少年こそ、当時7歳だった古川鳳羅。偶然に彼を見い出した時の喜びを、共同監督のひとりであるダミアン・マニヴェル監督は何よりも印象深いことだったようです。
「タカラくんのエネルギーはすごく強い。でもシャイです」と、古川鳳羅を評しています。
また、その際に一緒にいた姉の古川蛍姫 (こがわ けいき)も、その後キャスティングテストをおこない出演が決まったそうです。
映画の公開に向けて、主人公の少年として映画に出演した古川鳳羅は、とても可愛いメッセージを映画ファンに送っています。
えいがのおまつりでしょうをとれていいきもちになりました。青森にもそのえいががきてくれればいいなと思います。つぎに世かいじゅうの人にみてもらってうれしいです。
タカラくん、映画に出れただけでなく、いい気持ちになってよかったね。
世界中の人がタカラくんに注目しますよ。おめでとー!
映画『泳ぎすぎた夜』の共同監督のひとり、五十嵐耕平監督
また、共同監督のひとりで、日本人の五十嵐耕平監督は次のようなメッセージを述べています。
厳しい寒さと降りしきる雪の青森で、まるで初めて雪に触れるように奔放に動き回る主人公の鳳羅(たから)くんの姿がヴェネチアの大きなスクリーンに映し出されることを想像すると楽しみで仕方がありません。そして同時に、あの時青森のみなさんと一緒に過ごした時間の豊かさに感謝の気持ちでいっぱいです。
五十嵐監督のメッセージはからも少年タカラくんだけでなく、気持ちよく撮影に協力してくれた青森のみんなさん、そしてダミアン・マニヴェル監督、ほかスタッフに感謝しきりのようですね。
4.映画『泳ぎすぎた夜』とはどのような作品なのか
この映画は雪で覆われた青森の山々を舞台に、7歳の少年の小さな冒険から始まりますが、今作『泳ぎすぎた夜』が2人の監督で作られたという面白さがあります。
2014年にロカルノ国際映画祭で出会った国も言葉も異なる2人の若き新鋭監督、ダミアン・マニヴェルと五十嵐耕平が、ともに魅せられた美しい原風景のような冬の青森を舞台に、共同監督作品として企画しました。
また、特徴的なひとつに青森で生まれ育った人々と限られたスタッフによって作られたユニークな作品です。
2017年1月中旬から1ヶ月半の間、撮影のほとんどが青森県弘前市で行われ、雪で覆われた青森の山々を望む街で暮らす一人の少年は、学校へ向かう途中にふと道をそれてしまいます。
そして、いつしか電車に乗り、父親の働いている魚市場へ向かうのです。その理由は自分の書いた絵を父親に届ける為に…。
劇中で手袋を無くしたり、犬に出会ったり…、大人にとっては取るに足らない出来事の数々も、当人にとっては新しい発見や驚きの連続地得るでしょう。
そんな少年を等身大の表情と姿で活き活きと演じた古川鳳羅は、もちろん、演技初挑戦。
実際に青森県平川市に住む小学2年生であり、劇中で彼を取り巻く家族も、姉をはじめ実際の家族たちが出演しています。
まさに奇跡的な映画で少年の心のように宝物で満ちた小箱のようです。
ダミアン・マニヴェル監督は勿論のこと、静岡県生まれの五十嵐耕平監督にとっても、みちのく青森は未知の場所です…。
お互いにとって馴染みの無い場所で、7歳の少年を主演に据えたこの映画は、誰もが経験する“子ども”という刻をテーマに、文化、国籍、年代を超えた瑞々しい野心作の誕生といえるでしょう。
まとめ
映画『泳ぎすぎた夜』の共同監督のひとり、ダミアン・マニヴェル監督
『泳ぎすぎた夜』は2018年春にシアター・イメージフォーラムほかにて公開。以降全国順次予定になっています。
ダミアン・マニヴェル監督は次のようなメッセージをあなたに語りかけてくれました。
「泳ぎすぎた夜」は、2人の監督、1人の日本人と1人のフランス人の友情から始まりました。自分自身に忠実に、青森の雪の中で最高の仕事をするために、我々は最善を尽くしました。ヴェネツィア国際映画祭に選ばれたことは大変大きな名誉です。それは映画が世界の共通言語であるという証拠です。私は、この映画を日本のみなさんに届ける時が来るのを待ち切れません。
公開が待ち遠しい、そんな気持ちになるのはダミアン・マニヴェル監督だけではないはずです。
ヴェネツィア国際映画祭に出品され上映中された『泳ぎすぎた夜』に、2018年4月14日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
ぜひ、お見逃しなく!