映画『人魚の眠る家』2018年11月16 日(金)全国公開されます。
東野圭吾の同題ベストセラー小説を『天空の蜂』で、すでに東野作品の映像化に経験済みの堤幸彦監督が映画化。
時にソフトな平和な時の家族の描写、極端なライティングで魅せるサスペンススリラー的な描写で描かれる、生と死の究極の境界線を巡る愛情の物語となっています。
主演は篠原涼子。これに西島秀俊、坂口健太郎、田中泯、松坂慶子、川栄李奈、山口紗弥加、田中哲司が共演として囲む重厚なドラマとなっています。
CONTENTS
映画『人魚の眠る家』の作品情報
【公開】
2018年(日本映画)
【監督】
堤幸彦
【原作】
東野圭吾
【キャスト】
篠原涼子、西島秀俊、坂口健太郎、川栄李奈、山口紗弥加、田中哲司、田中泯、松坂慶子
【作品概要】
東野圭吾の作家デビュー30周年を記念して書かれた同名小説を、『SPEC』『明日の記憶』の堤幸彦監督が映画化。
愛する子供に訪れた“脳死”という悲劇に直面し、究極の選択を迫られた夫婦を、初共演の篠原涼子と西島秀俊が真に迫った演技で観客の心を震わせます。
西島秀俊演じる播磨が経営する会社の研究員として、人気俳優坂口健太郎。その恋人役には元AKB48川栄李奈。その他のキャストに田中泯、松坂慶子、山口紗弥加、田中哲司ら豪華実力派俳優陣が作品の説得力を際立たせます。
映画『人魚の眠る家』のキャラクターとキャスト
播磨薫子(篠原涼子)
二児の母、長女の事故を機に生き方が変わる
播磨和昌(西島秀俊)
薫子の夫、医療機器メーカーハリマテクス二代目社長
播磨瑞穂(稲垣来泉)
薫子・和昌の長女。プールで事故に遭う
斎藤汰鷹(播磨生人)
瑞穂の弟
千鶴子(松坂慶子)
薫子の母。瑞穂の事故の時に居合わせる
美晴(山口紗弥加)
薫子の妹
播磨多津朗(田中泯)
和昌の父でハリマテクス先代社長
進藤(田中哲司)
瑞穂の主治医
星野裕也(坂口健太郎)
ハリマテクスの技術者
川島真緒(川栄李奈)
星野の恋人で結婚を意識している
若葉(荒川梨杏)
瑞穂の従姉妹で、事故の際同じプールで遊んでいた
宗吾(荒木飛翔)
人魚の眠る家に惹かれる少年
映画『人魚の眠る家』のあらすじとネタバレ
小学生の宗吾は帰り道に友だちとキャッチボールをしながら下校していました。ところがそのボールが一軒の家に。
その家は門扉に人魚が施されていた豪華な邸宅で、庭には子どもたちの遊び道具で溢れていました。
そして、そこに一人の少女が眠っていました。
その数か月前、薫子と和昌は、愛娘瑞穂のお受験の面談の模擬試験を受けていました。
そこに薫子の母千鶴子から瑞穂がプールで溺れ、意識がないという一報が飛び込んできました。
瑞穂は弟の生人と従姉妹の若葉、薫子の妹の美晴たちとプールに出かけていましたが、そこで溺れてしまったのです。
医師の進藤は、薫子と和昌に瑞穂が脳死状態にある可能性があることを伝えます。
そして、臓器移植の可否を訪ねてきました。
一度はそれに同意した二人、和昌の父多津朗も駆け付けた中で瑞穂の最期を看取ろうということになりました。
その瞬間、瑞穂の体が一瞬動きます。
いわゆるラザロ現象(脳死状態の体、不確定要素で瞬間的に反応する現象)だという進藤の説明を振り切って、薫子は瑞穂の延命を決断します。
映画『人魚の眠る家』の感想と評価
2018年秋は脇で魅せる西島秀俊の演技力
『オズランド』や『散り椿』。そして本作『人魚の眠る家』3作連続で脇に回った西島秀俊。
今や主演型日本人俳優の一人である一方で、かつては脇に回って抜群の存在感を見せていました。
90年代後半から数年間、諸事情もあり民放ドラマに顔を出すことができないことがあって、NHKやWOWOW、映画などで腕を磨きました。
その甲斐もあって西島秀俊は、今や硬軟自在な役者として抜群の存在となりました。
2019年には主役として映画『空母いぶき』が待機中。今度は映画の座長として登場します。
強き母を演じる篠原涼子の演技力
常にかっこいい女性を演じてきた篠原涼子。
そのキャラクターを決定づけたのは、「アンフェア」シリーズでした。
この時の娘を演じた子役が現AKBの向井地美音であることがトリビア的に知られていますが、ここへきて母親役が続きます。
『SUNNY強い気持ち強い愛』『今日も嫌がらせ弁当』で母親役が続きますが、今回の母親像はある種の究極的な母性の持ち主を演じます。
中盤明らかにホラー・サスペンスの演出方法を取り込んで彼女を描いた堤幸彦監督。
母性の狂気を演じた篠原涼子はさらに一歩女優としてのステップを上がったと言っていいでしょう。
まとめ
語弊があるかもしれませんが、本作『人魚の眠る家』は現代の命を巡るフランケンシュタインの物語です。
つまり、人間の生命をどこまで人間がかかわるべきなのかの物語。
最近の東野圭吾は『祈りの幕が下りるとき』で原罪を、『ラプラスの魔女』で天才の苦悩を、『マスカレード・ホテル』で現代の個人の匿名性を描いています。
テクニックが全面に出ていた時期から、人間の根本に迫るようになった東野圭吾とその映画化作品、常に豪華キャストということでそこに目が行きがちですが、物語の底辺に流れ続けるテーマの深遠さにも注目です。