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Entry 2019/10/20
Update

映画『マイ・エンジェル』あらすじネタバレと感想。マリオン・コティヤールが母親役を熱演!

  • Writer :
  • もりのちこ

愛し方が分からない母と、ただ愛されたい娘。
母娘の傷つきながら育まれる愛の物語。


美しい海辺の街、南仏コート・ダジュール。きらびやかな街の片隅に、取り残された母娘はお互いを必要としながらも、傷つくことでしか生きられません。

「マイ・エンジェル」。自分の娘・エリーをそう呼ぶ母親・マルレーヌ。

愛の欠乏により自分の居場所が見つけられないマルレールは、娘への愛し方も不器用です。

そんな母親に振り回されながらも成長していくエリー。8歳の子供が懸命に生き抜こうとする姿に胸が痛みます。

母と娘が向かう愛の結末とは?映画『マイ・エンジェル』を紹介します。

映画『マイ・エンジェル』の作品情報


(C)PHOTO JULIE TRANNOY
【日本公開】
2019年(日本)

【監督】
バネッサ・フィロ

【キャスト】
マリオン・コティヤール、エイリーヌ・アクソイ=エテックス、アルバン・ルノワール、アメリ・ドール、ステファーヌ・リドー

【作品概要】
母娘が、傷つきながらも愛を築いていくヒューマンドラマ『マイ・エンジェル』。第71回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」、出品作品です。

映画『エディット・ピラフ 愛の賛歌』でアカデミー賞主演女優賞を受賞した、マリオン・コティヤールが主演を務めます。

監督は、そのマリオン・コティヤールが出演を熱望した気鋭の新人女性監督、バネッサ・フィロ。

さらに注目は、子役のエイリーヌ・アクソイ=エテックス。厳しい現実に立ち向かう少女を小さな体で一生懸命演じています。

映画『マイ・エンジェル』のあらすじとネタバレ


(C)PHOTO JULIE TRANNOY
夜遅く、シングルマザーのマルレーヌが帰ってきました。ゴテゴテに着飾ざり、酔っぱらったマルレーヌは、娘のエリーの眠るベッドへともぐりこみます。

「マイ・エンジェル。ママのこと愛してる?」。エリーは不安がるマルレーヌのために、歌をうたい背中をさすってあげます。エリーは8歳です。

それでも、「今度こそ失敗出来ないの」と、マルレーヌは不安そうです。彼女は再婚をひかえていました。

船上での結婚パーティーの日です。ウエディングドレス姿のマルレーヌの側に、おめかしをしたエリーの姿もあります。「うらやましい?次はあなたの番よ」。

パーティーは盛り上がりダンスタイムへ。調子に乗り、酒を飲み過ぎたマルレーヌは、いつもの悪い癖がでてしまいます。

他の男とパーティーを抜け出し、体を重ねるマルレーヌ。その現場を、新郎とエリーに見つかってしまいます。

母娘は、船を下ろされ、海辺をびしょ濡れになりながら立ち去ります。ようやく掴んだ幸せは儚くも脆く崩れ去りました。

それからのマルレールは、情緒も不安定になり、エリーのことを怒鳴りつける日々です。

ある日ソーシャルワーカーが家庭調査にやってきます。エリーは「ママは最高で、私も元気よ」と、大人たちに堂々と答え、切り抜けます。

しかし実際の家庭状況は悲惨なものでした。定職につかず、子供の世話もろくにしないママ。クレジットカードも止められ、生活もままなりません。

そんな中、エリーは新学期を迎えました。学校では、今度行われる演劇発表会の配役決めが行われています。エリーは、主役の人魚姫に選ばれました。

エリーは家に帰り、そのことを嬉しそうにママに話します。しかし、娘の話をいっさい聞かないマルレーヌ。ナイトクラブのことで頭がいっぱいでした。

寂しがるエリーを、マルレーヌは一緒に行こうと誘います。ママと出かけることが嬉しいエリー。お酒も少し飲んでみます。

その夜マルレーヌはナイトクラブで意気投合した男と過ごすため、エリーをひとりタクシーに乗せ帰します。不安そうなエリーは、泣いていました。

そして次の日から、マルレーヌは家に帰ってきませんでした。

以下、『マイ・エンジェル』ネタバレ・結末の記載がございます。『マイ・エンジェル』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)PHOTO JULIE TRANNOY
留守番電話には、マルレーヌからのメッセージが入っていました。「マイ・エンジェル。愛してる。きっとうまくいくわ」。それでも帰ってこないママ。

ひとりのアパートで、エリーは酒を飲み叫びます。心からの叫びは誰にも届きません。

学校へ化粧をし、酒の匂いをさせていくエリーは、いじめに合うようになります。次第に顔色は悪く、目つきも変わっていくエリー。幻覚を見るようになっていました。

学校を無断欠席するようになったエリーは、夜の街で不良たちに絡まれます。そこを救ってくれたのはフリオという青年でした。

彼は、エリーのアパートの向かいに住んでいるアルベルトの息子で、海辺のトレイラーに住んでいました。

海の断崖からの高飛び込みが盛んな土地で、フリオは英雄でした。しかし、心臓を病み、家族とも断絶しているフリオもまた、エリーと一緒で孤独でした。

フリオのことが好きなエリーは、フリオと離れたくありません。困るフリオの所に無理やり押しかけます。「ママはいなくなったの。親のいない子供はゴミ捨て場行きよ」。

小さな体で精一杯叫び続けるエリーを放っておけないフリオ。この感情に戸惑うフリオは、エリーを無理やり家に送り届けます。

エリーはもはや「ママは死んだ」と思うようにしていました。行き場を失くしたエリーは、町をさまよい不良たちから酒をもらいます。飲み過ぎて倒れるエリー。

心配で探していたフリオにまたしても命を救われます。エリーはフリオに抱えられ家へ帰ります。家には、マルレールが帰っていました。

マルレールはフリオを不審に思うも、娘の様子に驚きます。エリーこそかけがえのない存在だと気付いたマルレールは、必死にあちこち探し回っていました。

エリーは無事、目を覚ましますが、母親のマルレールを拒絶します。

そして、学校での演劇発表会の日がやってきます。エリーは人魚姫の衣装をまとっています。客席には大好きなフリオの姿がありました。そして、母マルレールの姿も。

劇が始まります。舞台袖では、エリーへのいじめが始まっていました。衣装をボロボロのされ、出れないエリー。ひとり外へと飛び出します。

出番になっても現れないエリーを心配するマルレール。劇が終わってもエリーの姿はありません。

同じくエリーを心配するフリオと一緒に、海へと向かいます。フリオのトレーナーのある、高飛び込みの名所でエリーの姿を見つけます。

ボロボロにされた人魚姫の衣装のまま崖へと歩くエリー。それを見つけたマルレーヌも、ヒールの靴で後を追いかけます。

飛び込む瞬間、エリーは振り返りマルレーヌを見ます。その表情にもう迷いはありませんでした。

海へと身を投げるエリー。その後を、フリオが飛び込みます。海に沈んでいくエリーを、フリオが抱え浮上します。2人は命をかけ飛び込んだのです。

衰弱したエリーを抱きかかえ帰り道を歩く、マルレーヌ。力強い眼差で前を向いて歩く姿は、これからの道を互いに支え合って生きて行く決意の表情にも見えました。

映画『マイ・エンジェル』の感想と評価


(C)PHOTO JULIE TRANNOY
シングルマザーのマルレーヌと8歳の娘エリーの、美しくも切ない愛の物語。

なんと言っても、母マルレールの「ダメママ」ぶりに驚愕します。派手な格好で男にだらしがなく、一日中酒を飲み、夜はクラブに通う。子供の世話はせず、ヒステリックに当たり散らしたかと思うと、急に優しくなる。

子供のことより自分のことで精一杯なマルレールは、母親になり切れない幼い少女のようです。常に愛に飢えています。

映画の中では詳しく描かれていませんが、マルレールもまた両親に愛された経験がないのでしょう。

自分を愛することが出来ず、娘のこともどう愛していいのか分からないマルレールは、とうとう育児放棄をしてしまいます。

そんなダメママ炸裂のマルレールですが、一生懸命生きる姿は美しく、ファッションやメイク、アクセサリーや部屋の装飾まで、女の子が好きなものであふれています。

さらに、南仏のコート・ダジュールの美しい景色が相まって、この映画の世界をキラキラに輝かせます。

そして、マルレールの役を自ら熱望し、見事演じきったマリオン・コティヤール。彼女の煌びやかな容姿と、堕落的で儚い演技に魅了されます。

また、オスカー女優マリオン・コティヤールに、負けず劣らずの演技を見せた、小さな主演女優エイリーヌ・アクソイ=エテックスに注目です。

子供と大人の表情を巧みに使い分け、観客の心をも揺さぶります。

母親から酷い仕打ちを受けながらも健気に寄り添っていたエリーが、ひとり残され、酒を飲み夜の街をふらつき、壊れていく過程を堂々と演じます。

中でも、母親の使っていた香水を身につけ、うずくまり泣くシーンは、胸が張り裂ける思いになりました。

なぜ自分は愛されないのか?自分は必要のない子なの?ママの邪魔になりたくない。生まれてこなければ良かった。まだ幼いエリーに、どう生きていけばいいのか誰も教えてはくれません。

この物語の救いは、エリーが様々な感情に押しつぶされそうになりながらも、自分の気持ちに正直に前に進もうと生きる姿にあります。

そのエリーの持つ小さな体の大きなパワーは、フリオという青年の、諦めていた人生をもう一度動かす力となりました。

物語はフィクションですが、実際にマルレールとエリーのように、傷つきながらも寄り添って生きる母娘は実在するのではないでしょうか。

映画はリアルに語り掛けてきます。人はみな愛し、愛されたいと。

まとめ


(C)PHOTO JULIE TRANNOY
きらびやかな街の片隅に取り残された母娘の、胸が張り裂けるほどの愛の物語『マイ・エンジェル』を紹介しました。

天使のような存在の我が子を心から愛したいと思いながらも、愛し方、育て方が分からない母親。ただ母に愛され、一緒にいたいだけの娘。

傷つきぶつかり合いながらも、お互いがかけがえのない存在であることに気付きます。周りと違っても、2人だけの愛の形があればいい。

映画『マイ・エンジェル』の母娘の関係を通して、人は愛に飢え愛に生きる生き物なのだと改めて痛感しました。

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