Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2019/10/09
Update

映画『“隠れビッチ”やってました。』感想とレビュー評価。佐久間由衣の演技力が三木康一郎の演出で開花!

  • Writer :
  • 石井夏子

映画『“隠れビッチ”やってました。』は2019年12月6日よりロードショー。

イラストレーターで漫画家のあらいぴろよが自身の体験をもとに描いたコミックエッセイを、三木康一郎監督により映画化した『“隠れビッチ”やってました。』。

2019年12月6日より全国公開される本作は、佐久間由衣を始めとする若手キャストの瑞々しさが魅力的な人間ドラマです。

「女性」「男性」であることに無意識に縛られ、生きづらさを感じている方にもぜひご覧いただきたい本作『“隠れビッチ”やってました。』の感想や見どころをお伝えしていきます。

映画『“隠れビッチ”やってました。』の作品情報

© 2019『“隠れビッチ”やってました。』フィルムパートナーズ/光文社

【日本公開】
2019年(日本映画)

【原作】
あらいぴろよ 「“隠れビッチ”やってました。」(発刊:光文社)

【監督・脚本】
三木康一郎

【キャスト】
佐久間由衣、村上虹郎、大後寿々花、小関裕太、森山未來、 前野朋哉、片桐仁、前川㤗之、栁俊太郎、戸塚純貴、笠松将、田中偉登、岩井拳士朗、山本浩司、渡辺真起子、光石研

【作品概要】
あらいぴろよの同名コミックエッセイを、『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(2016)『旅猫リポート』(2018)の三木康一郎監督が映画化。

NHK連続テレビ小説『ひよっこ』(2017)の佐久間由衣が映画初主演を務め、見た目は清楚ながら思わせぶりな言動で男を翻弄する「隠れビッチ」な女性・ひろみを演じます。

バイセクシャルのコジ役に村上虹郎、ひろみの友人・彩役に大後寿々花、ひろみを見守る三沢役に森山未來と実力派が彼女を支えました。

佐久間演じるヒロインのターゲットとなる男性陣に、小関裕太、前野朋哉、片桐仁、前川泰之、栁俊太郎、戸塚純貴ら個性豊かな俳優たちが挑みます。

ヒロインが「隠れビッチ」になってしまった原因となる両親役には渡辺真起子、光石研。

映画『“隠れビッチ”やってました。』のあらすじ

© 2019『“隠れビッチ”やってました。』フィルムパートナーズ/光文社

デパートのケーキ売り場でアルバイトしている、26歳のひろみ(佐久間由衣)。

彼女は計算されつくされた服装、仕草で男性を虜にし、彼らに好かれることを人生の喜びとしています。

そしてキスも体も許すことなく表面上は“清楚”なお付き合いをし、彼らが告白してきたらすぐにフェイドアウト。

同居している友人のコジ(村上虹郎)と彩(大後寿々花)にたしなめられても、ひろみはそんな“隠れビッチ”な日々を送り続けていました。

ある日、同じデパートの別の売り場で働いている安藤(小関裕太)と出会ったひろみは、彼のことが気になるように。

安藤と距離が近づいていくものの、ひろみは本性をさらけ出せず、とある出来事から安藤とはうまくいかなくなります。

ひろみが公園でやけ酒を煽り、醜態をさらしているところに通りかかったのは、デパートの社員三沢(森山未來)。

すっかり本性が知られたひろみ。三沢の前では飾らず、素の自分でいられるようになり…。

映画『“隠れビッチ”やってました。』の感想と評価

© 2019『“隠れビッチ”やってました。』フィルムパートナーズ/光文社

変幻自在な佐久間由衣

男性を手玉にとって、自らの「愛されたい」という願望を満たそうとする主人公・ひろみ。

嫌われそうな設定の彼女ですが、演じた佐久間由衣により愛らしく共感を呼ぶ人物として具現化されました。

原作コミックはシンプルな作画だったため、ひろみの可愛らしさが伝わりづらく感じる事もありましたが、そこは佐久間由衣が演じれば一目了然。

“隠れビッチ”として完全武装した姿は息を飲むほど美しく、これなら誰でもハートを射抜かれてしまうという説得力がありました。

また、野獣のごとく荒れ狂い、あられもない言動を繰り広げる自宅での姿のギャップも凄まじく、その振り切った演技は笑わずにいられません。

様々な表情を見せて楽しませてくれる佐久間由衣から、観客は目を離せなくなるはず。

個性的なキャストの魅力

© 2019『“隠れビッチ”やってました。』フィルムパートナーズ/光文社

ひろみの周りを支えるキャストたちも個性的です。

村上虹郎は、ひろみを温かく見守る同居人・コジを好演。彼が画面に映るだけで安心感と温かさを与えてくれます。

同じく同居人の彩を演じた大後寿々花も、ひろみと罵り合いながらも強い絆で結ばれた友情を見せてくれました。ひろみとのキャットファイトは必見です。

そして、森山未來の懐の大きさと演技の幅の広さには目を見張りました。

三木康一郎監督は、「存在感の無い三沢という役は、存在感の無い役者が演じてはいけない」「森山未來が演じないなら本作は製作しない方が良い」とすら考えていたそう。

森山未來がその思いに応え、感情の起伏が少なく温度を感じさせない三沢という役を、確かな存在感で演じてくれています。

映像の説得力

© 2019『“隠れビッチ”やってました。』フィルムパートナーズ/光文社

4コマ形式の原作のエピソードを生かしながら、ひろみが1人の人間として自立していくさまを描き出した本作。

人物たちにセリフで語らせすぎずに、映像と音を使って想像させてくれるため、大きな余韻が残ります。

特に注目すべきなのは、ひろみが三沢と進む道は先が見える緩やかな下り坂、安藤と進む道は先の見えない上り坂で描かれている点。

性格が全く異なる三沢と安藤、ひろみがどちらを選ぶにしろ、その先の未来を暗示しているようでとても興味深いです。

また、バイクのエンジン音や、鍋で煮込む音なども効果的に拾い、ひろみの鼓動を伝えてくれます。

端々から感じ取れる三木康一郎監督の細やかな演出は、多くの人間が抱えている悩みを、優しく鋭く突いてくれることでしょう。

まとめ

© 2019『“隠れビッチ”やってました。』フィルムパートナーズ/光文社

原作と映画化の本作のタイトル、『“隠れビッチ”やってました。』の「ビッチ」の部分が引っ掛かり、敬遠してしまう方も少なくないかもしれません。

本来、あまり気軽に使う言葉ではないですが、そこには原作者のあらいぴろよの自虐と反省がこめられています。

女性であることを武器に男性の心を弄んでいた主人公が、人間としてひとりでも立てるようになるまでの成長の物語です。

あらいぴろよの分身“ひろみ”を演じた佐久間由衣に、ぜひ翻弄されてください。

映画『“隠れビッチ”やってました。』は2019年12月6日(金)より全国公開です。


関連記事

ヒューマンドラマ映画

映画『ライド・ライク・ア・ガール』ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。実話感動おすすめ!女性騎手ミシェル・ペインをテリーサ・パーマーが演じる

女性騎手として初めての栄冠を手にしたミシェル・ペインの半生を映画化! レイチェル・グリフィスが製作・監督を務めた、2019年製作のオーストラリアのヒューマンドラマ映画『ライド・ライク・ア・ガール』。 …

ヒューマンドラマ映画

映画『足りない二人』あらすじと感想。佐藤秋&山口遥が30代の俳優人生を活かした注目のオリジナル作品

新進の30代の俳優である佐藤秋と山口遥が、“俳優としての居場所を作る”ために、5年の歳月を費やして完成させた等身大の一組の男女の物語。 一つの大きなマイルストーンとして、新宿三大映画館(新宿ピカデリー …

ヒューマンドラマ映画

『ほなまた明日』あらすじ感想評価。田中真琴の演技力の高さから“焦燥感と向き合い”ながらも将来へと進む

映画『ほなまた明日』は2024年10月25日(金)より大阪・テアトル梅田、アップリンク京都ほかにて公開 写真家志望の芸大生・ナオとその同級生たちの切なくも愛おしい日々を綴った青春映画『ほなまた明日』が …

ヒューマンドラマ映画

『用心棒』映画ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。ラストシーンに痺れる黒澤明×三船敏郎タッグが“新たな殺陣”に挑んだ痛快時代劇

腕っぷしと知恵を両方兼ね備えたヒーローの物語! 『羅生門』(1950)『七人の侍』(1954)の巨匠・黒澤明監督が、時代劇に「西部劇」と「ハードボイルド小説」の要素を取り入れた娯楽大作『用心棒』。 宿 …

ヒューマンドラマ映画

映画『ザ・サークル』あらすじネタバレとラスト考察。原作との違いは【エマ・ワトソンおすすめのサスペンススリラー】

デイヴ・エガーズの原作を新鋭ジェームズ・ポンソルトが映画化。SNSを題材にしたサスペンススリラー『ザ・サークル』をご紹介します。 エマ・ワトソン、トム・ハンクスらがこれ以上ないはまり役で熱演。誰もが落 …

Cinemago|想像力の海へ、シネマダイビング。
ACT1|次の物語は、人からはじまる。
Cinemagoオンラインショップ|DVD・鑑賞チケット・オリジナルグッズ
『血を吸うスマトラオオコンニャク』
【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学