映画『居眠り磐音』は、2019年5月17日(金)よりロードショー!
時代小説累計6500万超えのベストセラー作家佐伯泰英の代表作『居眠り磐音』が初の映画化。
主人公の坂崎磐音に松坂桃李。共演に木村文乃、芳根京子、柄本佑、杉野遥亮、佐々木蔵之介、谷原章介、中村梅雀、柄本明。
ワンポイントだけの出演にも関わらず、奥田瑛二、陣内孝則、早乙女太一、財前直見、西村まさ彦、橋本じゅんといった豪華な面々が集結しています。
監督は『超高速参勤交代』二部作や『空飛ぶタイヤ』の本木克英。松坂桃李を中心に出演陣の魅せる殺陣が見どころです。
映画『居眠り磐音』の作品情報
【公開】
2019年(日本映画)
【原作】
佐伯泰英『居眠り磐音 決定版』
【監督】
本木克英
【脚本】
藤本有紀
【アクションコーディネーター】
諸鍛冶裕太
【主題歌】
MISIA『|LOVED』
映画『居眠り磐音』のキャラクターとキャスト
坂崎磐音(松坂桃李)
関前藩藩士。直心影流佐々木道場目録の腕前を持ち、その剣術は《居眠り剣法》と呼ばれています。
3年の江戸詰めの後に帰郷するも、その直後に幼馴染や許嫁を巻き込んだ事件に関わり脱藩。現在は江戸で浪人暮らしを送っています。
小林琴平(柄本佑)
磐音と共に江戸詰めから帰京した幼馴染。彼の長妹・舞は幼馴染の慎之輔の妻であり、末妹・奈緒は磐音の許嫁です。
河出慎之輔(杉野遥亮)
江戸詰めから磐音、琴平とともに帰郷した、堅物で生真面目な男。琴平とは義兄弟にあたります。
小林奈緒(芳根京子)
琴平の妹で磐音の許嫁。三年間磐音の帰郷を待ち続けていました。
佐々木玲圓(佐々木蔵之介)
江戸佐々木道場師範。幕閣ともつながりのある実力者です。
おこん(木村文乃)
両替商である今津屋で女中として働く女性。磐音の江戸の生活を支えます。
金兵衛(中村梅雀)
長屋の大家でおこんの父親。店子である磐音の面倒を何かと見る。
今津屋吉右衛門(谷原章介)
両替商。懐の大きく芯の強い商人。田沼意次(西村まさ彦)の政策を支持している人間の一人です。
阿波屋有楽斎(柄本明)
あくどい商法で勢力を広げる、反・田沼の急先鋒。裏では毘沙門の統五郎(比留間由哲)や天童赤児(波岡一喜)などを雇っています。
映画『居眠り磐音』あらすじとネタバレ
豊後関前藩の若き藩士坂崎磐音、小林琴平、河出慎之輔は、3年の江戸詰めを終えて故郷に帰ってきます。
元々子供ころからともに育ってきた3人ですが、琴平の上の妹・舞が慎之輔のもとに嫁ぎ、下の妹・奈緒も磐音と結納を済ませ、磐音の帰郷次第祝言上げる予定であるという、強いつながりと信頼を持ち続ける仲でした。
ところが、帰郷してすぐ、「舞が慎之輔の留守中に不義密通をした」といううわさ話を聞きつけた慎之輔が舞を斬ってしまうという事件が起きます。妹の亡骸を引き取りに来た琴平と慎之輔は問答の末に斬り合いになり、慎之輔は命を落とします。
事件顛末を聞いた関前藩上層部は中老の子でもある磐音に琴平を処罰するように命じます。そして尋常の勝負の果てに、磐音は琴平を斬り捨てます。
許嫁・奈緒の兄であり、やがては自分の義兄になるはずだった琴平を切ってしまった磐音はもはや関前には居られないと考え、脱藩し江戸で浪人暮らしを始めました。
半年後、長屋の家賃にも窮する磐音を見かねて、大家の金兵衛が鰻割きや用心棒の仕事を手配します。
金兵衛の娘・おこんが奉公に出ている両替商の今津屋でその件の腕を見せた磐音は主の吉右衛門から信頼を得ます。また今津屋に出入りするようになったことで、おこんとも親しくなっていきます。
そんな中、磐音は吉右衛門からある事情を打ち明けられます。
時の老中・田沼意次は、新貨幣として「南鐐二朱銀」を採用しました。これが八枚で金の小判一枚と交換する、というのが幕府の定めた規定でしたが、これは今までの金の価値を下げることにも繋がるために反対派も多く、その急先鋒が今津屋にゴロツキや浪人を雇って嫌がらせをしている阿波屋有楽斎でした。
その裏には先任の老中だった酒井がいて、この新通貨を巡る騒動は、田沼と酒井の政争でもありました。田沼の政策を推進する両替商の中でも今津屋は大きな商人で、反対派としてはまず今津屋をつぶしておきたいという狙いでした。
阿波屋は密かに南鐐二朱銀を買い集めて二朱銀の価値を下落させたうえで、一般の人々を使って今津屋に両替に行かせます。銀の相場はどんどん下がり、他の両替商の間では金の小判一枚に対して銀は十二〜十三枚で流通させる中、今津屋は律義に八枚で両替し続けます。
世間の者は手持ちの金を十二~十三枚で両替した後で、銀八枚だけを今津屋に持ち込んで金の小判と両替し続けていきます。今津屋の蔵からは金の小判がどんどん出る一方で、価値の下がった銀だけが増えていってしまいました。
その後、魚河岸の大物甚兵衛、芝居小屋仲村座の邦右衛門、遊郭の三浦屋の庄右衛門と花魁の高尾太夫といった江戸の顔が、大量の金の小判を持って阿波屋に両替に訪れます。
全員揃って今津屋に持ち込むと言っているので阿波屋有楽斎もほくほく顔で両替に応じ続け、気が付けば阿波屋の蔵からは二朱銀がきれいに無くなっていました。
そんなところに勘定奉行がやってきます。そこで、阿波屋が規定の銀八枚という規則を破っていたこと、更に中にはニセの南鐐二朱銀を混ぜていたことが明らかになり、一転して阿波屋は罪人となり、同胞の両替やともども取り潰しになることが決まりました。
江戸の顔役に声をかけて阿波屋から持っていた二朱銀を根こそぎさらわせ、更に今津屋を通して勘定奉行が出張ってくるように仕掛けたのは磐音でした。
磐音が徐々に江戸に中に溶け込む中で、密かに逃げていた阿波屋は用心棒の天童赤児に磐音を襲わせますが、磐音は天童との決闘に勝利します。
そして、同門の琴平・慎之輔を切ったことが負い目となり、それまで出向くことができずにいた佐々木道場を訪れ、師匠の佐々木玲圓に頭を下げるのでした。
映画『居眠り磐音』感想と評価
”新・磐音”参上!!
『居眠り磐音』の映像化と言うと、2007年から足掛け10年NHKで放映された山本耕史主演の『陽炎の辻~居眠り磐音 江戸双紙』を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?磐音に山本耕史、おこんに中越典子、奈緒に笛木優子が扮したほか、映画で金兵衛を演じた中村梅雀が別の役で出演していたりします。
今回の映画版は、アメコミ映画風で言うところのリブートに近いのではないでしょうか?
基本的な設定は変えることなく、メインキャストを一新して映画化されました。
10年間続いたテレビドラマシリーズがあることは、作る側も意識していたことでしょう。なので、底辺の部分では共通する空気感を感じることができます。
その一方、達観したタイプの山本耕史版磐音に対して、松坂桃李版磐音は若さが残ったキャラクターとなっています。殺陣の素晴らしさも甲乙つけがたい完成度です。
豪華キャストによってたっぷりと2時間かけて語られた映画版ですが、前半は故郷の関前藩での出来事に費やされていており、磐音の物語としてはまだまだエピソード1が始まったばかり。
磐音とおこんの恋、吉原に太夫となってやってきた奈緒の存在、やがて深く敵対していく田沼意次の存在もまだ顔見世程度です。
大きなトラブルに見舞われましたが、無事公開にたどり着いた映画『居眠り磐音』、テレビドラマ版同様に長く続くシリーズになってほしいところです。
まとめ
映画として再び映像化された『居眠り磐音』。そこには、先人が手がけた映像化作品であるテレビドラマシリーズに対する敬意も垣間見せつつ、魅力的な殺陣、そして松坂桃李と本木監督をはじめとするスタッフ陣が打ち出した新たな“磐音”像が描かれています。
今後のシリーズ化も大いに期待したい、注目の時代劇映画です。
映画『居眠り磐音』は、2019年5月17日(金)よりロードショー!