映画『へばの』『愛のゆくえ(仮)』で、社会と個のあり方について鋭く問題を投げかけた 木村文洋監督。
2018年2月下旬より上映される映画『息衝く』では、日本ではタブーとなった「宗教、原発、家族」を軸に果敢に挑む渾身の問題作!
ポレポレ東中野ほか全国順次公開です。
1.映画『息衝く』の作品情報
【公開】
2018年(日本映画)
【監督】
木村文洋
【キャスト】
柳沢茂樹、長尾奈奈、古屋隆太、坂本容志枝、川瀬陽太、小宮孝泰、寺十吾
【作品概要】
2008年に『へばの』2012年に『愛のゆくえ(仮)』と常に社会と個のあり方に問題定義する木村文洋監督の作品。
2.映画『息衝く』のあらすじ
3.11から数年後の夏を迎えた東京。政界では参議院選挙が始まろうとしていました。
日本にとって何度目なのか、そして、則夫と大和にとっては、果たして幾度目の「忙しい夏」になるか、彼らはカリスマである森山の海外への失踪後、久しぶりに大新興宗教団体「種子の会」選挙に呼び戻されます。
「原発廃炉が争点となるか」、その言葉を幹部との人質に交わしながら、活動に邁進していく大和。
一方の則夫は、幼き頃に核開発が始まった青森県六ヶ所村に妹と父親を残してきた記憶に決着をつけられず、母悦子との最後の時間を目前にしていました。
そのさなか、かつて 想いを抱いていた慈と再会しますが…。
3.映画『息衝く』の見どころ
本作は、この国の抱える根本的な問題を、ある特殊な生育環境で育った3人それぞれの登場人物を通して、“この国”で個として自立し、生きる続ける実感を追い求める姿を見つめます。
社会と個の関わりを問い続けてきた木村文洋監督は、3.11以後の日本の状況下で、核燃料再処理工場がある青森県六ヶ所村を舞台に、そこで生きる家族の決断を描いた2008年の作品『へばの』。
「地下鉄サリン事件」のオウム真理教の幹部・平田信と逃亡を助ける女性の実在の話を基に束の間の愛の姿を描いた2012年の『愛のゆくえ(仮)』。
これらの作品のように常に社会に鋭く問題を投げかけてきた木村文洋監督。
この作品でも原発、宗教、家族を軸に据え、社会で如何にして個として、生き続けることができるのかを問いかけた映画です。
まとめ
チームで構成された脚本家に批評家・杉田俊介らを迎え、3年間にわたり脚本を執筆。制作は『ひかりのおと』『愛のゆくえ(仮)』『新しき民』など挑戦的な作品を連打してきた桑原広考 中植きさらがプロデューサーを務めます。
音楽は北村早樹子が担当、演奏に坂本弘道・岡田拓郎。またキャストに演劇・映像界で活躍する柳沢茂樹、長尾奈奈、古屋隆太(青年団・サンプル)、坂本容志枝(zora)、川瀬陽太、小宮孝泰、寺十吾(tsumazuki no ishi)たちが共演。
一般的な商業映画とは一線を引き、異質なあり方で作られた映画だからこそなし得た、原発や宗教という巨大なテーマにも果敢に挑みました。
今の日本映画の中にあっても野心作に注目したいですね。
映画『息衝く』は、2018年2月下旬より、ポレポレ東中野ほか全国順次公開!