連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第195回
天才バレエダンサーだった姉の死のトラウマを抱え、自暴自棄になっていたヒロインのサムが、踊り続けることで自分の生きる場所を見つけていくヒューマンドラマ『RED SHOES/レッド・シューズ』。
映画『RED SHOES/レッド・シューズ』は、2024年3月15日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。
バレエの有名校に通う才能豊かな若きバレエダンサー・サムは「赤い靴」の公演間際に姉の訃報を耳にし、ショックのあまり踊れなくなってしまいます。
主演のサムを含め、本作はバレエダンサーとして実績十分の役者によるバレエシーンが満載。まるでバレエの舞台を見ているかのような『RED SHOES/レッド・シューズ』をご紹介します。
映画『RED SHOES/レッド・シューズ』の作品情報
【日本公開】
2024年(オーストラリア映画)
【原題】
The Red Shoes: Next Step
【監督】
ジェシー・エイハーン、ジョアンヌ・サミュエル
【脚本】
ザカリー・レイナー、ジョン・バナス、ピーター・マクロード
【撮影監督】
ケント・マルクス
【音楽】
ドミニク・カブーシ、ブロンテ・マリー・オニール
【振付】
ダニエル・ガウディエッロ
【キャスト】
ジュリエット・ドハーティ、ローレン・エスポジート、ジョエル・バーク、キャロリン・ボック、プリムローズ・カーン、ニコラス・アンドリアナコス、ミエッタ・ホワイト、アシュリー・ロス
【作品概要】
『RED SHOES/レッド・シューズ』は、ジェシー・エイハーン、ジョアンヌ・サミュエルが監督を務めました。
主演は、世界有数のバレエコンクールで金賞受賞の経験を持つジュリエット・ドハーティ、キャストには実績のあるダンサーたちを起用し、バレエシーンもすべて本人たちが演じています。
オーストラリア・バレエ・カンパニーのプリンシパルであったダニエル・ガウディエッロが振付を担当。リアルなバレエシーンが楽しめます。
映画『RED SHOES/レッド・シューズ』のあらすじ
バレエの有名校に通う才能豊かな若きバレエダンサー・サム。自身がプリマの演目「赤い靴」の公演が近いこともあり練習に励んでいました。
ところが、公演間際に、常に憧れの存在であった同じくバレエダンサーの姉の訃報を耳にし、ショックのあまり踊れなくなってしまいました。
その後、精神的に大きな傷を負ったサムは、自堕落な暮らしをしています。
万引きをして社会奉仕活動を課されたサムは、かつて通っていたバレエ学校で清掃員として奉仕活動をすることになりました。
はじめは身近にバレエの存在があることにうんざりしていたサムですが、当時のライバルや密かに恋心を抱いていたダンスパートナー、そして今も変わらず少年少女を厳しく鍛え上げている師との再会を通じて、胸の奥に再びバレエへの深い情熱が湧き上がってきます。
ですが、再びステージに立つには過去のトラウマが大きな壁となっていました。そんな時、今年も「赤い靴」の公演が決まり、サムの心は激しく揺れ動きます……。
映画『RED SHOES/レッド・シューズ』の感想と評価
タイトルの『レッド・シューズ』は「赤い靴」のことで、「赤い靴」はアンデルセン童話の物語にあります。
物語では、神に背いたヒロインが呪いをかけられた「赤い靴」を履いて踊り出します。ヒロインは靴を脱ぐこともダンスをやめることもできず、死ぬまで踊り続けなければならない運命を背負います。
バレエの演目となれば、このヒロインの踊りは必須。サムは、呪いの赤い靴を履いて踊り続ける物語のヒロインになりきり、足も手も身体も、靴に操られるように動くダンスシーンが続きます。
秀逸の美しいダンスシーンが続く本作一番の見どころで、ダンスへの強い愛着と周囲の人々の温かな思いがスクリーンからも伝わってくる作品となっています。
踊れないトラウマからサムはどうやって立ち上がっていくのでしょう。最初から最後まで、サムの心の変化をじっくりとご覧いただけます。
まとめ
愛する姉の死という出来事を乗り越えて再びバレエに打ち込むサムの物語『RED SHOES/レッド・シューズ』をご紹介しました。
サムを演じるジュリエット・ドハーティの美しい曲線を描くしなやかなダンスとバレエに陶酔している表情に目を奪われることでしょう。
また、舞台となるバレエ学校には、ケイト・ブランシェット、メル・ギブソン、バズ・ラーマン監督らも学んだ、オーストラリアで最も権威のあるオーストラリア国立演劇学院が使用されました。
バレエのリアル感高まる中で、ジュリエット・ドハーティを始めとするバレエの実績ある一流のダンサーたちが本当のバレエ舞台さながらの演技と舞踊を披露します。
レッスンから始まり、バレエ公演まで。見どころである圧巻のバレエシーンに惹きつけられます。
映画『RED SHOES/レッド・シューズ』は、2024年3月15日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。