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Entry 2025/09/30
Update

新作映画『グランドツアー』あらすじ感想と評価考察。ミゲル・ゴメスが4年の歳月を込めたポルトガル映画は幻想的なロードムービー!

  • Writer :
  • 桂伸也

2025年10月10日(金)より、映画『グランドツアー』は全国順次公開!

ポルトガルの鬼才、ミゲル・ゴメス監督による新作映画『グランドツアー』。

アジア7カ国を舞台に、逃げる花婿とそれを追う花嫁の「グランドツアー」の様子を描いた本作。各国でのロケを実施し過去と現代、現実と幻想を混在させ色彩感も豊かに描きます。

作品は2024年・第77回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にて監督賞を受賞しました。

映画『グランドツアー』の作品情報


(C)2024 ‒ Uma Pedra No Sapato ‒ Vivo film ‒ Shellac Sud ‒ Cinéma Defacto

【日本公開】
2024年(ポルトガル、イタリア、フランス、ドイツ、日本、中国合作映画)

【原題】
Grand Tour

【監督・共同脚本】
ミゲル・ゴメス

【出演】
ゴンサロ・ワディントン、クリスタ・アルファイアチ、クラウディオ・ダ・シルバ、ラン=ケー・トラン、ジョルジュ・アンドラーデ、ジョアン・ペドロ・バス、ジョアン・ペドロ・ベーナル、テレーザ・マドルーガ、ジョアナ・バルシア、ディオゴ・ドリア、ジャニ・チャオ、マヌエラ・コウト、アメリコ・シルバほか

【作品概要】
ミャンマー、シンガポール、タイ、ベトナム、フィリピン、日本、中国のアジア7カ国を逃げる男と、それを追う女が繰り広げる大旅行の行方をユニークな映像で描き出した物語。イギリスの小説家サマセット・モームによる小説『パーラーの紳士』からの着想で物語が作り上げられました。

『熱波』(2012)『アラビアン・ナイト第1部~3部』(2015)『ツガチハ日記』(2021)などのミゲル・ゴメス監督。また撮影に『ブンミおじさんの森』(2010)『君の名前で僕を呼んで』(2017)『チャレンジャーズ』(2024)の撮影監督サヨムプー・ムックディプロームが参加。2024年の映画『大いなる不在』を手がけた近浦啓監督が、本作にアソシエイトプロデューサーを務めています。

映画『グランドツアー』のあらすじ


(C)2024 ‒ Uma Pedra No Sapato ‒ Vivo film ‒ Shellac Sud ‒ Cinéma Defacto

1918年、ビルマのラングーンで大英帝国の公務員として働いていたエドワードは、7年前に婚約した女性モリーがロンドンから長い船旅を経てこの国を訪れ、結婚することとなっていました。

ところが優柔不断なエドワードは、結婚を目前としながら迷いが生じ、花婿衣装で花束を抱えた状態で逃げまとい始めます。

モリーの到着直前に衝動的にシンガポール行きの船に飛び乗ってしまったエドワード。

こうして逃げる男性と追いかける女性による壮大な「グランドツアー」が幕を開けるのでした。

映画『グランドツアー』の感想と評価


(C)2024 ‒ Uma Pedra No Sapato ‒ Vivo film ‒ Shellac Sud ‒ Cinéma Defacto

タイトルにある「グランドツアー」とは、「20世紀初頭に欧米人のあいだで、インドのイギリス領から出発して極東へ向かうアジアの長旅が流行した」という当時の事情から生まれた言葉であるといわれています。

モノクロで描かれるエドワード、モリーの行方、そして時にカラーで、またある時はモノクロで映し出されるそれぞれの国の素顔。一方で、めいめいの役柄を演じる役者の演技もさることながら、それぞれの微妙な心理を明確に表すナレーション。

そのナレーションも国を移動するたびに異なる言語で語られ、さらに1918年という時代設定の物語ながら、映像的には現代に飛んでみたり、あるいは幻想的な風景となってみたりと、物語のゆったりとした展開とは裏腹に、目まぐるしく変化していきます。

2人が映し出される映像とそれ以外のものは明確に異なり、後者はロケが行われた各国の素顔、ある意味ドキュメンタリーチックな映像を乗せたものとなっていますが、カメラアングルや時代的差異がありながらも、その映像は物語と作品にマッチし、物語に深い意味を与えています。


(C)2024 ‒ Uma Pedra No Sapato ‒ Vivo film ‒ Shellac Sud ‒ Cinéma Defacto

断片的に見ると、その存在意味の理解に苦しむ映像群ですが、それを巧みにつなぎ合わせ、2人の男女の旅における展開を見事に表現した作品となっています。

また物語は前半、後半と明確に分けられた構成となっている点も印象的。2つの視点を設けて物語を描いた『熱波』(2012)、三部作構成となっている『アラビアン・ナイト』(2015)と、異なる視点の物語を紡ぐ作品を手がけたミゲル・ゴメス監督ならではの手法といえるポイントでもあります。

逃げまとう男性と、それを執拗に追いかける女性。しかしそれぞれの旅は、道のりを進めていくに従い2人を思いもよらないところへ運び、それぞれの気持ちをお互いの思い以外のところへと追いやっていきます。

結果的に2人はお互いへの思いとは異なる心情を芽生えさせ、本来の目的とは全く異なる方向へと物語を進めていくわけですが、この展開こそ「グランドツアー」というタイトルの意を強く感じさせるものとなっています。

まとめ


(C)2024 ‒ Uma Pedra No Sapato ‒ Vivo film ‒ Shellac Sud ‒ Cinéma Defacto

着想としてはサマセット・モームによる当時のグランドツアー事情を象徴した作品『パーラーの紳士』をベースとしている中で、本作の脚本は実際に「グランドツアー」を体験してから取り組まれたといわれています。

登場人物の心情の変化と各国の自然な風景が程よく絡み合うイメージが感じられるものとなっていますが、一方で「旅をする上で得られる影響」のような、普遍的な感覚でもある印象を感じとることができるでしょう。

この物語は何かの使命にとらわれ視点を狭めてしまっている人に、旅が当人だけでは気づけなかった気持ちを教えてくれる、そんな体験を教えてくれるような物語でもあります。

映画『グランドツアー』は2025年10月10日(金)より全国順次公開!


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