『ジェミニマン』は2019年10月25日(金)より全国ロードショー公開中!
『アラジン』(2019)でランプの魔人ジーニーを独特の雰囲気とキャラクター性を見事に活かして演じ切り、ハリウッドスターとしての実力を見せつけた俳優ウィル・スミス。
そんなウィル・スミスが自分自身とW主演したと言う衝撃的な映画『ジェミニマン』(2019)が遂に日本に上陸しました。
今回は本作がテーマとしている「クローン」の倫理的問題をネタバレを含め解説し、アクションとのマッチが冴えわたる4DX上映演出についてもご紹介させていただきます。
CONTENTS
映画『ジェミニマン』の作品情報
【日本公開】
2019年(アメリカ映画)
【監督】
アン・リー
【キャスト】
ウィル・スミス、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ベネディクト・ウォン、クライヴ・オーウェン、ダグラス・ホッジ、ラルフ・ブラウン、リンダ・エモンド、イリア・ヴォロック
【作品概要】
『グリーン・ディスティニー』(2000)や『ブロークバック・マウンテン』(2005)など、アクションからヒューマンドラマと広いジャンルでのアカデミー賞受賞歴を持つアン・リーが監督した最新アクション映画。
主演のウィル・スミスを始め、共演には『10 クローバーフィールド・レーン』(2016)で主演を務めたメアリー・エリザベス・ウィンステッドや、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)にも出演しているベネディクト・ウォンなど人気俳優が多数出演していることでも話題になりました。
クローンを題材に描かれる1つの「命」の物語
毎秒120フレームのフレームレートに加え4K3Dの超高画質で撮影された『ジェミニマン』は、画質やアクションが新時代を感じさせる全く新しい「映像体験」を見せてくれます。
さらに、同時に2人のウィル・スミスと言うパワー全開な要素も加わったことで、どうしても力押しな雰囲気を感じさせる本作ですが、物語にはシビアなメッセージが含まれていました。
タイトルの一部であり、劇中で敵役となるクレイが率いる会社の名前でもある「ジェミニ」と言う単語。
ラテン語で「双子」あるいは「2人」を意味するこの言葉は、主人公ヘンリーとその「クローン」であるジュニアのことを示唆しています。
SF映画と「クローン」は切っても切り離せないような関係にあり、映像技術が進歩した2000年代以降には多くの映画が製作され、そのたびに「クローン人間」とその「倫理的問題」が言及されてきました。
ですが、本作は過去の作品と全く異なった方向からのメッセージを発信しており、敵役クレイの行動を完全に否定できるものではないことにも注目できます。
『ジェミニマン』で描かれた「戦争」と「命」
マイケル・ベイ監督がユアン・マクレガー主演で製作した「クローン人間」を題材としたSF映画『アイランド』(2005)。
この作品では、クローン人間が富裕層の人間に「臓器」を提供するために培養され育てられていたことが物語中盤で明らかになります。
アーノルド・シュワルツェネッガー主演の『シックス・デイ』(2000)ではクローン人間の肉体そのものが目的であったりと、クローン人間を題材とした作品の多くでクローン人間を富裕層のパーツとして扱う倫理観が問題となってきました。
しかし、本作ではクレイはヘンリーのクローンを「戦争の兵器」として利用するため製作していたことが分かります。
かつて日本が行った「特攻隊」のように、兵士の「命」を単なる兵器として利用することは現代の価値観では間違いなく倫理に反する行為。
ですが、クレイは終盤、訓練を積んだ凄腕のクローンを量産することで前線に居る多くの兵士の命を守ることが出来ると語ります。
いかに技術が進歩した現代でも、戦争と言う行為には前線に立つ人間が必須であり、そのたびに多くの犠牲者が生み出されます。
多くの命を守るために、1人の人間の人生と命が歪まされる。
派手なアクションの裏に、現代のトロッコ問題とも言える複雑なメッセージ性を読み取ることが出来る作品でした。
4DX版感想!座席の振動で体感出来る「こだわり」
アクション映画を中心に、座席の振動やエア、水、煙の放出など様々な環境効果を加えた上で上映される「4DX」。
アトラクションシアターとも呼ばれる通り、鑑賞後に適度な疲労感と十分な満足感が得られるこの上映は演出効果の「派手さ」が売りになっていることは間違いありません。
『ジェミニマン』も爆発や銃撃戦、そして格闘などの派手なアクションシーンがふんだんに盛り込まれた作品。
主人公のヘンリーが凄腕の暗殺者であることで攻撃のヒットも多くなり、エアの放出での「攻撃がかすった」表現よりも背中への衝撃や座席の振動で「攻撃が当たった」表現が多く、アクション映画を体感した満足度が高い上映でした。
しかし、本作ではアクション映画としての環境効果にとどまらず、更に「映画体験」を深めるための演出がなされていました。
飛行機からバイクまで!揺れの違いで魅せる表現
本作にはバイク、船、車、飛行機など多種多様な乗り物が登場し、劇中で様々な活躍を見せてくれます。
4DX上映ではそれに同調するように座席の振動が行われるのですが、そこに驚くべきほどの「こだわり」を感じました。
例えば船のシーンでは静かな左右の揺れを使い「波」の表現を行い、飛行機では小刻みな左右と上下の揺れで飛行中の振動を表現。
車とバイクは振動の表現が似ていますが、バイクの方が振動に対しやや強めの設定が行われており、はっきりと体感で区別がされいます。
このように、登場するすべての乗り物に対し異なる振動の表現が行われていることで、まるでその乗り物に搭乗しているかのような感覚を覚え物語への没入度がより高まる、最高峰の映像体験でした。
まとめ
いかがでしたか。
最新技術がふんだんに利用された派手なアクションが話題の本作の裏に潜むシビアなメッセージ。
4DXの体感型上映で鑑賞することで派手なアクションシーンだけでなく、そんな裏側のシーンまで深く感じ取ることが出来ます。
乗り物の描写も極限まで突き詰めた、劇場でしか味わうことが出来ないこの体験を、ぜひとも上映期間内に劇場で楽しんでください!