世界を救うのは、いつだって想像力だ。
想像の先で、聞けなくなった声を聞こう。
『虹色デイズ』『ステップ』の飯塚健監督によるオリジナル戯曲『FUNNY BUNNY』が、中川大志を主演に迎え映画化となりました。
2012年に上演された舞台版は、謎が謎を呼ぶ緻密なプロットが演劇ファンを熱狂させ、のちに飯塚健監督自らの手によって小説化もされています。
自殺志願者を見抜く能力を持つ、自称「小説家」の剣持聡。彼が起こす奇想天外な行動は、悲しみや絶望を抱えた人々の心を揺さぶり、彼の想像力は、前に進む希望を生んでいきます。
「人生を諦めるという前進はどこにもない!」。ウサギの着ぐるみを被ったダークヒーローの誕生です。
自殺撲滅映画!?『FUNNY BUNNY』は、2021年4月29日(木)より全国の映画館とauスマートパスプレミアムにて同時に上映及び配信となります。
映画『FUNNY BUNNY』の作品情報
【公開】
2021年(日本映画)
【原作・監督・脚本】
飯塚健
【キャスト】
中川大志、岡山天音、関めぐみ、レイニ、森田想、ゆうたろう、田中俊介、佐野弘樹、山中聡、落合モトキ、角田晃広、菅原大吉
【作品概要】
舞台でも人気を集めた、飯塚健監督によるオリジナル戯曲『FUNNY BUNNY』。映画『虹色デイズ』(2018)で飯塚健監督とタッグを組んだ、中川大志を主演に迎え映画化となりました。
舞台版のストーリーをさらに進化させ、小ネタ満載のエッジを効かせた映画版『FUNNY BUNNY』。
一癖も二癖もあるダークヒーロー・剣持を、中川大志がどのように演じるのか注目です。
そんな剣持に振り回されながらも、頼りになる相棒・漆原役には、岡山天音が登場。正反対の2人が繰り広げる、漫才みたいな掛け合いも楽しめます。
映画『FUNNY BUNNY』のあらすじ
剣持聡と漆原聡の「ダブル聡」が乗り込んだタクシーは、図書館に向かって走り出します。剣持が運転手に声をかけました。「何があったんだよ」。
運転手は堰を切ったように、私生活の不満を吐き出します。剣持は他人の自殺願望に敏感なタイプのようです。
目的地に着いた頃には、運転手の気は晴れていました。ウサギの着ぐるみを被った剣持と漆原がタクシーから降りてきます。運転手は「いってらっしゃい」と笑顔で送り出しました。
閉館2分前の図書館には、受付の女性・服部と利用客の男性・新見の姿しかありませんでした。「手をあげろ。絶対に借りられない本を借りにきた」。
深夜も12時を超えた頃、剣持と漆原は見つからない本に焦り始めていました。その時です。拘束したはずの服部と新見が現れ、反撃にでます。
実は図書館にはもうひとり、利用客の遠藤という女性が残っていました。あっと言う間に形成逆転。剣持と漆原は、追い込まれます。
「なぜ、誰にも借りられない本を探しているの? なぜ、今日にこだわるの?」。観念した剣持は、事の真意を明かします。
剣持が抱えてきた忘れられない辛い過去。本の中には、高校時代の友達・田所が隠したという「夢のボタン」があると言います。
それから、4年。あの時、図書館で出会った5人は「剣持一家」と呼ばれ、剣持が持ち込む厄介なトラブルに巻き込まれ続けていました。
行きつけの中華飯店「再見」に集められた漆原、服部、新見、遠藤は、新たな剣持からのミッションに呆れながらも、挑む気マンマンのようです。次のミッションとは、「ラジオ局、襲撃。電波ハイジャック」です。
ことの発端は、駅のプラットホームで列車を待っていた剣持が、線路に飛び込み自殺を図ろうとする男性を助けたことから始まります。
幻のバンド「ザ・レディオユース」の元ギター菊地広重は、デビュー目前にして亡くなったボーカル・藤井の事が忘れられず、自暴自棄の毎日を送っていました。「こんなに辛いまま生きる意味、あんのかよ」。
菊地の想いが剣持にはよく分かります。自分も4年前まではそう思っていました。「世界を救うのは、いつだって想像力だ。電波、盗みに行こうぜ!」。剣持は菊地に持ち掛けます。
ウサギの着ぐるみを被った5人が、菊地を連れラジオ局に乗り込みます。言葉に詰まる菊地に剣持は言います。
「藤井のせいにするな。お前に何が分かるって言うんだ。忘れる前進もあるんだよ。でも、諦めるという前進はどこにもねぇ」。
藤井が最後に残した名曲「サヨナラ」が、電波に乗って流れ出します。そして、想像の向こうに奇跡が待っていました。
映画『FUNNY BUNNY』の感想と評価
これまで舞台に小説にとファンを増やしてきた、飯塚健監督によるオリジナル戯曲『FUNNY BUNNY』が、いよいよ映画化となりました。
舞台のようなセリフの言い回しや、会話のテンポを残しながらも、映画ならではの場面展開や、個性豊かなキャストの表情が加わり、『FUNNY BUNNY』の世界観がより深まる作品となっています。
『FUNNY BUNNY』の魅力のひとつは、ウサギの着ぐるみを被り、破天荒な行動で、自殺志願者を救っていく主人公・剣持聡のダークヒーローっぷりにあります。
剣持のコミカルさの裏にある、過去の悲しい事件。自殺志願者を見分けられるようになったきっかけが、切なくも胸に刺さります。
そんな主人公の剣持聡を演じたのは、今が旬な俳優のひとり中川大志。彼の力強い眼差しと、やんちゃな雰囲気が、カリスマ性あふれる主人公にぴったり、はまり役となりました。
また、様々なロジックが散りばめられた「剣持語録」にも注目です。「世界を救うのは、いつだって想像力だ」と言い切る、自称「小説家」の剣持。
彼のデビュー作は、図書館にウサギが迷いこむ話、タイトルは『FUNNY BUNNY』というオチにもグッときます。
剣持が発する名言に、誰もがハッとさせられる瞬間があるはずです。抱えた悲しみの手放し方を、剣持が教えてくれます。
また映画化では他のキャストの活躍も見逃せません。主人公・剣持聡に振り回されながらも、愛を持って正しい道を説く相棒・漆原聡。
「ダブル聡」の名コンビを演じるのは、映画にドラマに出演が相次ぐ、若手きってのバイプレーヤー・岡山天音。中川大志との息の合った掛け合いを披露してくれます。
そして、剣持に命を救われる幻のバンド「ザ・レディオユース」の元メンバー・菊地役に、『AWAKE』の落合モトキが登場。
ラジオ局での電波ジャックのシーンでは、バンドマンさながらの歌声を披露。亡き友への熱い思いを叫ぶ姿が、感動を呼びます。
仲間が集う中華飯店の店主には、東京03の角田晃広。剣持に助けられるタクシーの運転手に菅原大吉。2人の存在が、映画の雰囲気を作り出していると言っても過言ではありません。
中華飯店の店名が「再見」だったことから、映画の続編も匂わせるエンディングになっています。
まとめ
ウサギの着ぐるみを被ったダークヒーロー・剣持とその仲間たちが暴れる、新感覚の痛快シニカルミステリー『FUNNY BUNNY』。
抱えきれない悲しみの中にあっても、人生を諦めるという前進はどこにもない。想像力を働かせ、失った声を想像しよう。きっと、あなたの幸せを願う声が聞こえてくるはずです。
映画『FUNNY BUNNY』は、2021年4月29日(木)より全国の映画館とauスマートパスプレミアムにて同時に上映及び配信スタートです。