近年増えてきている実話を基にした映画。
ある一人の人物にフォーカスすることによって、観客もその人物の心境に近付けると思います。
ウィル・スミス主演の『コンカッション』も、実在したナイジェリア医師の苦悩と成功を描いた感動作です。
映画『コンカッション』の作品情報
【公開】
2016年(アメリカ)
【原題】
Concussion
【監督】
ピーター・ランデズマン
【キャスト】
ウィル・スミス、アレック・ボールドウィン、ググ・バサ=ロー、ポール・ライザー
【作品概要】
ウィル・スミスが実在の医師を演じ、引退したアメリカンフットボール選手の死の真相に迫るヒューマン・サスペンス。
第73回ゴールデングローブ賞で最優秀主演男優賞にもノミネートされた感動作です。
映画『コンカッション』のあらすじとネタバレ
ナイジェリアの医師、オマルはアメリカの病院で検死官として働くことになります。
死者がどのような死に方をしたかより、なぜ死ななければならなかったのかを究明する彼は、他の医師とは違い、まるで死者と対話するように検死をし、原因究明の為ならば巨額の研究費を投じます。
彼の型破りな検死方法に他の医師たちは白い目を向けています。
ある日、引退した元アメリカンフットボール選手のマイク・ウェブスターの死体が彼の元へ運ばれてきます。
生前の様子から、恐らく脳に障害があることを思い解剖を始めたオマル医師でしたが、外見的に見て全くの無症状であることを疑問に思い、彼の死の真相を突き止めようと研究に身を投じていきます。
映画『コンカッション』の感想と評価
この作品は、謎の病の究明に奔走する医師の姿を追ったサスペンスです。
主演のウィル・スミスといえば『バッドボーイズ』や『メン・イン・ブラック』シリーズに代表されるように、ハイテンションで口が達者なお調子者というイメージが強いですが、本作は一転して、彼の静かな骨太の演技が堪能できます。
真実を公表したいだけ。たったそれだけの願いであるにも関わらず、大企業を相手にしてしまったがために、無名でアメリカ国民でもない医師は簡単にその存在を脅かされて行ってしまいます。
その展開は見ていてとても苦しく、同時にオマル医師へのエールを送らずにはいられません。
まとめ
タイトルのコンカッションは「脳震盪」を意味する英単語。
アメリカンフットボールにより、脳にダメージを受け続けるとは果たしてどういうものなのか。
スポーツに造詣が深くはないオマル医師は、実際に競技場に足を運び、その様子を見つめます。
論文を最初に発表した際、彼の中には「広く世間に認められたい」という思いが強かったように思います。
しかし、幾度も競技としてのアメリカンフットボールを鑑賞するうち、また遺族の思いに触れる度、彼の中で「これは自分だけの研究じゃない」という思いが膨れ上がっていきます。
その成長過程をウィル・スミスは巧みな演技力で表現しています。ゴールデングローブ賞にノミネートされたのも頷けます。
事実を究明するための強い精神力、努力が報われる感動のラストを、ぜひお確かめください。