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Entry 2018/08/26
Update

映画『チャーチル ノルマンディーの決断』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

  • Writer :
  • 福山京子

映画『チャーチル ノルマンディーの決断』は8月18日(土)より、有楽町スバル座、新宿武蔵野館、ほか全国順次公開中

”歴史上最も偉大なイギリス人”と尊敬されている英国首相チャーチルの、ノルマンディー上陸作戦決行までの96時間を追った苦悩の物語。

知られざる歴史の目撃者となる映画『チャーチル ノルマンディーの決断』を紹介します。

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映画『チャーチル ノルマンディーの決断』の作品情報

(C)SALON CHURCHILL LIMITED 2016

【公開】
2018年(イギリス映画)

【原題】
Churchill

【脚本・監督】
ジョナサン・テプリツキー

【キャスト】
ブライアン・コックス、ミランダ・リチャードソン、ジョン・スラッテリー、エラ・パーネル、ジェームス・ピュアフォイ

【作品概要】
チャーチルを『ボーンアイデンティティー』の英国の舞台俳優として名高いブライアン・コックスが生身の姿で熱演し、悩めるチャーチルを叱咤激励する妻クレメンティーンに『愛しすぎて/詩人の妻』の名女優ミランダ・リチャードソン、そしてチャーチルに怯えながらもタイプを器用に打ち、やがて認められていく秘書に『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』のエラ・パーネルが脇を固めています。

映画『チャーチル ノルマンディーの決断』のあらすじとネタバレ

(C)SALON CHURCHILL LIMITED 2016

浜辺に佇む老いた男は、寄せる波を見つめています。

波の色が、血でだんだんど赤く染まり、気が付くと無数の兵の屍が見えてきます。

周りの景色もモノクロの戦争後の荒れ果てた海岸と化していました。

「あなた、時間よ」と浜辺に妻のクレメンティーンが迎えにきます。

その男イギリスの首相チャーチルは、第2時世界大戦末期、世界最大の連合国軍ミッション、ノルマンディー上陸作戦について話し合いに、連合国軍司令部へと向かいます。

待っていたのは、連合国軍最高司令官アイゼンハワーと側近の者。

そこにイギリス国王ジョージ6世がやってきます。

チャーチルは国王を待っていたかのように勢いよく話し始めます。

「ノルマンディー上陸作戦は、若い兵士を何万人と犠牲にする!ドイツ軍が待ち構えるノルマンディーに上陸していくのだから、兵士は皆殺しになる、それは絶対許せない!」

チャーチルのいきなりの反論に国王は激怒し、アイゼンハワーにも即却下されます。

アイゼンハワーは、作戦は周到に計画をし話し合いを重ねて最新兵器と情報を手に入れていること、何よりも第一次世界大戦の時とは状況が全く違うことをチャーチルに説明します。

チャーチルは自分が第一次世界大戦の時に指揮したガリポリ上陸作戦(1915年)で大敗を期し、多くの若い兵を犠牲にしたという経験から、是が非でもこのノルマンディー上陸作戦を阻止したいと思っていました。

(C)SALON CHURCHILL LIMITED 2016

ノルマンディー上陸作戦の4日前 “The Day-minus4”

チャーチルは、すぐ首相官邸に戻り、ノルマンディー上陸作戦に代わる作戦を考え始めます。

側近の者達は、浮かぬ顔でチャーチルを見ています。

「なぜ指示通りに動かないのか?」とチャーチルは聞きます。

チャーチルがいくら代替え案を考えてもアイゼンハワーは受け取らないし、ノルマンディー上陸作戦は決定事項であるという連絡が入っていることを信頼を置くスマッツ元帥から聞かされます。

感情を爆発させるチャーチルを妻のクレメンティーンが追いかけます。

そこに、新しい秘書ギャレットが入ってきました。

クレメンティーンが彼女をチャーチルに紹介しますが、タイプの小さなミスのことでいきなり厳しい説教が始まります。

日に日にアルコールと葉巻の量が増えていくチャーチルを、クレメンティーンは支え励まし続けます。

The Day-minus3(3日前)

戦前にいる兵士を鼓舞するために急にやってきたチャーチルを訝しげにモンゴメリー将軍は見つめています。

チャーチルは、兵士たちに勇気を与えるために来たのだと何度も言いますが、モンゴメリーはチャーチルの演説を断ります。

ノルマンディー上陸作戦を今から遂行しようとする若い兵士の前で作戦を反対するような文言が出たら、それこそ死に行くようなものだとモンゴメリーは訴えます。

チャーチルの前で演説を始めるモンゴメリー。

「絶対に成功して、生還するぞ!」その言葉を聞いて兵士達は心が一つになっていました。

静かに首相官邸に帰るチャーチル。

チャーチルは夕食中にアルコールが増えてきてクレメンティーンが注意をします。

「少し休まないと…」

チャーチルも「休養が必要なのはわかっている」と少し穏やかになりつつ話します。

クレメンティーンが「心に余裕がないのよ、アイゼンハワーは毎週奥様に手紙を書いているわ」と言った途端、チャーチルの形相が一変し怒鳴ります。

「私は老いぼれライオンと言われている、どうせなら剥製にしてくれ!」

それを聞いたクレメンティーンは、チャーチルの頬を引張叩いて部屋を出て行きます。

The Day-minus2(2日前)

軍の会議でアイゼンハワーが各将軍から情報を聞いています。

「天気が最悪で、明日の回復見込み待ちです」

戦闘機も船も今の天候状態では、上陸作戦はできないとアイゼンハワーが皆に伝えます。

先に上陸し始めている軍隊を戻すことが決まり、チャーチルは安心したかのようにアイゼンハワーに近づき「事前に了解されているが、国王と2人で前線に行こうと思っている。指揮者は戦う兵士とともに戦場にいるべきだ」と意を決して伝えます。

アイゼンハワーは「君は指揮官ではない」と激しく言い放ちます。

首相官邸に帰るや否や、クレメンティーンが血相を変えてやってきます。

「お客様よ」とチャーチルは言われたので部屋に会いに行くと、そこには国王ジョージ6世が待っていました。

「今の私たちは邪魔なだけ、兵士たちは先頭に集中したいのです。私たちは戦争後に存在していなければならない」

そう国王に説き伏せられたチャーチルは、静かに引き下がります。

その夜、夕食中にチャーチルの手は震えています。

クレメンティーンは、知らぬふりをしながら食事を続けています。

テーブルのお皿やグラスをいきなり倒して投げ、あたり一面に割れて飛び散ります。

クレメンティーンは部屋を出て行き、自分の部屋で我慢しきれず叫びます。

彼女は、スーツケースに入るだけの服を詰め始めます。

チャーチルはベッドで明日の天候が一番ひどく荒れ狂うものになるようにと、何度も何度も祈りを捧げています。

The Day-minus1(前日)

軍の会議で、天候が回復したので作戦を実行することが決まります。

全員が目を合わせて立ち上がり去っていく中、チャーチルは無言で座っています。

いよいよノルマンディー上陸作戦が決行されます。

以下、『チャーチル ノルマンディーの決断』ネタバレ・結末の記載がございます。『チャーチル ノルマンディーの決断』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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寝室に入ったまま話さず横になっているチャーチルを心配して、スマッツ元帥がクレメンティーンに話しかけています。

「ノルマンディー上陸作戦の兵士のために原稿を書かなければならないのに…」と悩むスマッツ。

クレメンティーンが説明します。

「時々こうなるのよ、何もしなくなって落ち込んでしまって。病院に行っても数日何処かで療養するように言われるだけ」

それを聞いたスマッツは寝室に入り、秘書のギャレットに横でタイプを打たせます。

スマッツが何を言っても「多くの若い兵士が何万人と犠牲になるのを見過ごせるのか?どれだけガリポリで死んだ兵士を見てきたと思っているんだ!」とチャーチルは言い返すばかりでした。

二人のやりとりを聞いていたギャレットは、思わず立ち上がりこう叫びました。

「私のフィアンセも出征しています。明日は死体になっているとあなたの口から聞きたくない!」

それを聞いたチャーチルの目が大きく開きます。

チャーチルは心を奮い立たせ、スピーチの原稿を話し出し、スマッツの意見にも耳を傾けます。

ギャレットのタイプライターの音が響き続きます。

1944年6月6日午前6時、チャーチルによる作戦の成功と国民を勇気づける世紀の演説が始まります。

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映画『チャーチル ノルマンディーの決断』の感想と評価

(C)SALON CHURCHILL LIMITED 2016

苦悩するチャーチル。

目の前に苦悶し続けるチャーチル首相が存在する、それがこの映画の全てです。

第二次世界大戦は、ヨーロッパ大陸では連合国軍とドイツのナチスとの闘いでした。

その連合国軍の決定的な勝利をもたらした作戦がノルマンディー上陸作戦であり、主要連合国軍のメンバーの一人がこの映画の主人公イギリス首相チャーチルです。

ほとんどの人が、チャーチルがそのノルマンディー作戦を反対し最後まで阻止しようとしていたという真実を、この映画で知るのではないでしょうか。

これだけチャーチルが反対をする理由は映画で何度もチャーチル本人の口から聞かれますが、チャーチルという人物をあらためて整理してみます。

幼少の頃から劣等生だったチャーチルは、士官学校に入って軍人を目指し優秀な成績で軍人となります。

多くの前線で戦う中捕虜となり脱走に成功し有名となり、議員を経て35歳で海軍大臣に抜擢されます。

そして第一次世界大戦で自分が構想したガリポリ上陸作戦で大敗するも、再び最前線に身を投じています。

首相になった時点でヨーロッパを支配していたヒトラーと戦っていたのはイギリスだけだったので、戦争に負けたら自分も絞首刑にされることは覚悟の上でした。

その多くの苦悩と激務のストレスが彼を蝕み、鬱病を抱えることとなりました。

(C)SALON CHURCHILL LIMITED 2016

実際にそのような精神の起伏の激しいチャーチルを、映画で何度も見ることになるのですが、日に日にその頻度とアルコールの量や葉巻の加える回数が加速を増して比例していくのがわかります。

その苦悶するチャーチルを励まし支え続けるクレメンティーンの気丈さにも敬服します。

決して公式にチャーチルの前には決して出ないものの、スピーチ原稿の言葉を適切に導くのは、いつも彼女の担当でした。

落ち込んでいるチャーチルの機嫌を取るのではなく、プライドを持つこと、尊敬されるべき人となることを常に言い聞かせています。

チャーチルは戦後執筆活動を続け、ノーベル文学賞まで取る偉大な人物でありますが、その彼と対等に言論を交わせる女性として賢明なパートナーでありライバルでもあったのでしょう。

まとめ

(C)SALON CHURCHILL LIMITED 2016

ラストに、浜辺でチャーチルが散歩しているところにクレメンティーンが近づいていくシーンがあります。

チャーチルが、遠くに引っ越ししてゆっくり過ごすことを彼女に告げます。

「戦うことをもう考えないの?」と彼女が聞き、「ああ、多分」と答えるチャーチル。

二人の優しい会話の時間が流れます。

どんな英雄も偉大な人物でも、歩み寄る老いの悲しみや不安が訪れ孤独から逃れることはできない、みんな同じなのだと。

だからこそ真摯に自分を見つめ、大切な人と大切な時間を生きることをチャーチルが命を懸けて、見る者に伝えてくれます。

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