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Entry 2020/10/27
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映画『相撲道』感想レビューと評価。日本伝統の格闘技に宿るサムライ魂あふれる練習風景を撮影技法ドルビーアトモスで描く

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『相撲道』は2020年10月30日(金)よりTOHOシネマズ錦糸町、10月31日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次ロードショー!

日本という国の文化の中で長い伝統を誇る格闘技・相撲について、相撲部屋の実態や土俵に立つ人々の証言を交えてその真実に迫ったドキュメンタリー『相撲道』
  

テレビバラエティー番組で高い評価を得る坂田栄治が監督を務め、「大相撲」の戦いの場面とともに境川部屋と高田川部屋という非常に特徴的な相撲部屋の普段の様子とインタビュー映像を交えながら、相撲人たちが土俵に向かう理由、その思いなどを探ります。

また本作は日本のドキュメンタリー映画として初めてドルビーアトモス対応で製作されており、臨場感たっぷりのリアルで深い音世界が構築され、「大相撲」の豪快で「サムライ」精神あふれる雄々しい世界が克明に描かれています。

映画『相撲道』の作品情報


(C) 2020「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」製作委員会

【公開】
2020年(日本映画)

【監督】
坂田栄治

【サウンドデザイン】
染谷和孝

【キャスト】
境川部屋、高田川部屋

【ナレーション】
遠藤憲一

【作品概要】
日本の国技として世界に知られる「大相撲」に迫ったドキュメンタリー。巡業の様子を交え、今最も注目の力士・豪栄道を擁する境川部屋と、ケガによる引退の危機から奇跡の復活を果たした雷電を擁する高田川部屋の稽古場にカメラが密着し、朝稽古や力士たちの日常生活、親方や仲間たちからの証言よりその人々の絆や本場所での奮闘の様子を描いていきます。

多くの人気バラエティー番組を担当してきた坂田栄治が、監督と製作総指揮を務めます。またナレーションを『アウト&アウト』などの遠藤憲一が担当。さらに元大相撲力士で、日本相撲協会の公認漫画家として「相撲漫画家」という肩書きを持つ琴剣淳弥がコーディネートプロデューサーと劇中画を手掛けました。

映画『相撲道』のあらすじ


(C) 2020「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」製作委員会

1,500年以上の歴史があり、宮廷儀式などの時代を経て、江戸時代に勧進相撲として大衆の間に定着した相撲。

なかでも「大相撲」は社会的にはいつも関心事の強い世界であるにもかかわらず、その実態を知られることはこれまでほとんどありませんでした。

今作ではそんな知られざる、相撲に命懸けで向き合う人たちの姿を追います。

この作品で密着したのは、境川部屋と高田川部屋。

ギリギリまで己と相撲に向き合いながら稽古に挑み、取り組みに向かってお互いにしのぎを削り、本場所での勝利に向けて、心・技・体の全てを高めていく力士たちの姿を映し出します。

映画『相撲道』の感想と評価


(C) 2020「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」製作委員会

相撲の真実に迫り、見るものを引き込んでいくアングル

相撲というものの真実、つまり「サムライ」と呼ばれる彼らの真実に迫った本作では、これまであまり人々の目に入ることのなかった風景の映像化に多く取り組んでいます。

その最たるものは、やはり部屋での稽古を中心とした相撲取りたちの生活の部分と、相撲に向けた思いを語る証言の部分となります。一方で非常に興味深い映像づくりを行っているのが、巡業での土俵上の様子です。

例えばプロスポーツなどではテレビ中継がよく行われますが、ストーリージャンルなどで描かれるスポーツの様子とは全く違うものであることは、みなさんもよく経験されることでしょう。

臨場感あふれるスポーツ映画はたくさんありますが、日本人の身近なところとしては、作家・池井戸潤原作の小説を映像化したドラマ『ルーズヴェルト・ゲーム』『陸王』『ノーサイド・ゲーム』といった作品があります。

当然ゲームを撮影するカメラの位置、台数などの違いから、通常の実況映像とこうした映画・ドラマでは当然見えてくる画も変わってくるわけですが、ドラマの画は選手の表情から実際にプレーヤーの中に起きていること、テレビの実況などではなかなか感じ取れない選手の様子を克明に映し出しており、あたかも自分がプレーヤーになったような効果を引き起こします。


(C) 2020「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」製作委員会

本作はドキュメンタリーであり、これをまさしく本物の取り組みの中で映し出します。相撲取り同士の体と体とのぶつかり合いの激しさ、苦悶に思わずゆがむ表情、一方で土俵に上がる前の緊張した様子など。

相撲という競技でこのような映像が見られるのは非常に新鮮なところで、相撲取りたちの表情、緊張感、荒々しさという表現は非常に強く見る側に伝わってきます。

特に本作では、ある相撲取りのケガにまつわるエピソードも披露。

劇中ではその事件が起こった当時の様子も映像化されており、その恐ろしいほどの危険性は「相撲道」という道に進むには並々ならぬ命がけの覚悟が必要であることをまざまざと見せつけます。

そのショッキングなシーンは、「大相撲」というステージが最強の格闘技であることを伺わせます。

そしてこのエピソードを克明に写しているからこそ、作品に登場する人たちの証言に強い説得力が生まれ、本作の生み出すメッセージへと強く意識が引き寄せられていくのです。

まとめ


(C) 2020「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」製作委員会

近年、東京オリンピックが近づく中で、相撲はなかなかスポーツという世界に迎合しないものとして、ある種異質的な扱いを受ける傾向にあります。

しかしこの競技自体が日本古来からの伝統で築き上げられたもの、本作の中でも語られる「サムライ」という存在に準ずる理由などを考えると、そもそも「スポーツ」という他国でできた制度に合わせていくということに、無理があります。

本作に登場する人物それぞれが語る言葉から感じる闘争心、そして自身が戦う理由、思いをにおわせる証言の数々からは、元々現代の人々が抱いている「相撲」という競技の概念を打ち破る可能性もあります。

一方で、伝統と呼ばれるものを別に新しく発生した制度の枠に当てはめてしまうという行為が、果たして正しいものなのかどうかと考えさせられ、見る人の気持ちを大きく広げてくれるような作品でもあります

映画『相撲道』は2020年10月30日(金)よりTOHOシネマズ錦糸町、10月31日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開されます!


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