世界を操る闇の秘密結社「イルミナティ」の正体に迫る!
1776年にドイツで創設され、現代でも政治や芸術などに介入し、世界を操る組織と言われている秘密結社「イルミナティ」。
その「イルミナティ」の真実の姿に迫った映画『イルミナティ 世界を操る闇の秘密結社』では、歴史学者や「イルミナティ」研究家など、さまざまな有識者へのインタビューを行い、秘密結社の正体に挑んでいます。
果たして「イルミナティ」とは何なのでしょうか?導き出される答えとは?
映画『イルミナティ 世界を操る闇の秘密結社』の作品情報
【公開】
2019年公開(アメリカ映画)
【原題】
Illuminated
【監督・脚本】
ジョニー・ロイヤル
【キャスト】
ジョニー・ロイヤル、ジョセフ・ウェイジズ、ジェームズ・チスカニック、チャーリー・ギリエン、アダム・ケンダル
【作品概要】
過去にさまざまな小説や映画などで、その存在が描かれてきた秘密結社「イルミナティ」。
謎の団体の正体に挑むべく、映像作家のジョニー・ロイヤルが、さまざまな有識者にインタビューを行い、秘密結社「イルミナティ」を歴史的な側面から紐解きます。
映画『イルミナティ 世界を操る闇の秘密結社』のあらすじとネタバレ
世界を操ると言われている、秘密結社「イルミナティ」。
さまざまな憶測が飛び交うこの組織を、歴史学者や「イルミナティ」の研究家、「フリーメイソン」の会員など、有識者の視点から迫っていきます。
イルミナティが誕生したのは1776年。
ドイツのインゴルシュタット大学で教授を務めていた、アダム・ヴァイスハウプトにより創設されました。
当時の大学は、イエズス会により厳しい検閲が行われていた為、教えに反する書物は処分されるなど、カトリックが牛耳っている時代でした。
ヴァイスハウプトは、そんなカトリックに反発する為、徹底した秘密主義と厳格な階級構造を用いて、新たな自由思想を求めた「イルミナティ」を設立します。
ヴァイスハウプトは「フリーメイソン」に加入する事で、組織の強化を図るだけでなく、「イルミナティ」へ新たに加入した、アドルフ・フォン・クニッゲ男爵と共に、階級制度の整備や儀式の内容の精査、新たな暗号などを考案していきます。
これらの制度が身を結び「イルミナティ」は勢力を拡大していきます。ですが、その勢いは長くは続きませんでした。
映画『イルミナティ 世界を操る闇の秘密結社』感想と評価
世界を操る秘密結社として、都市伝説などでよく名前を聞く秘密結社「イルミナティ」。
『天使と悪魔』(2009)や『アイズ ワイド シャット』(1999)など、これまで数々の映画でも「イルミナティ」は秘密結社として、その存在が描かれてきました。
その「イルミナティ」に「フリーメイソン」の研究家としても知られる、映像作家のジョニー・ロイヤルが、さまざまな有識者の証言から迫ったドキュメンタリー映画が『イルミナティ 世界を操る闇の秘密結社』です。
本作で興味深いのは、歴史的な側面から「イルミナティ」に迫っているという点です。
1776年に、カトリックに代わる新たな自由思想を目指して設立されたのが「イルミナティ」でした。
創設者のヴァイスハウプトが目指したのは、神に代わる新たな概念である「完璧な人間」です。
ヴァイスハウプトは「完璧な人間」を目指すという思想から、さまざまな啓蒙活動を行い、全ての人を思想支配から解放し、全人類を幸せに導こうとしたのです。
つまり、カトリックへの反逆から「イルミナティ」は誕生したと言えますね。
そして「イルミナティ」は「完璧な人間」を目指すべく、細かい階級に組織を分け、階級に合わせた儀式を行います。
階級が下の方だと、秘密を厳守する事を約束させられる儀式となり、「コンパスを胸の皮膚に刺す」「会員たちに剣を突き付けられる」などして「イルミナティ」への忠誠を誓う事になります。
ですが、階級が昇格するにつれて、次第に他の会員を見張る役割となっていきます。
最終的にヴァイスハウプトは、神の存在を否定し「人間を評価するのは人間である」という思想を、根付かせたかったようです。
また「イルミナティ」の会員であることは口外禁止の為「握手の際にお互い小指を3回叩く」「親指と人差し指を立てる」などして、会員同士の確認をしていたなど、「イルミナティ」が使用していた暗号についても触れられています。
さらに「イルミナティ」が勢力拡大の為に「フリーメイソン」の会員を勧誘していたなど、秘密結社の実態を、歴史学者や「イルミナティ」の研究家達の証言から迫るのも興味深いのですが、一番知りたいのは「今も存在して、本当に世界の黒幕なのか?」という部分です。
その点に関して、本作に登場する有識者達は、口を揃えて「『イルミナティ』はもう存在しない」と語ります。
「イルミナティ」は階級を昇格させる為に、ヴァイスハウプトへ、大量のレポートを提出しなければならなかったうえに、お互いの思想を手紙を用いて語り合っていました。
なので、秘密結社なのですが、大量の資料が残っており、その研究から18世紀末以降「イルミナティ」に関する一切の活動が確認されていないそうです。
現在も「イルミナティ」が存在するとしたら、可能性としては「イルミナティ」を名乗る全く別の組織であると、有識者達は認識しています。
そして「イルミナティ」が、現在でも世界を操る組織と言われているのは「メディアが面白がって、そういう情報を流しているから」という結論に至り「信じるのは馬鹿げている」と、有識者は口を揃えます。
ただ、映画を鑑賞した率直な疑問としてですが、「イルミナティ」は、1785年に直接解散を命じられ、多くの会員が財産を没収し投獄されたとされています。
もし、その後も「イルミナティ」が存在していたとしても、わざわざ形に残る文書で、やりとりしたでしょうか?
また、作中に登場する有識者の言う通り、ヴァイスハウプトが設立した「イルミナティ」は存在しないとしても、「イルミナティ」を名乗る全く別の組織は存在し、その組織が世界に何かしらの影響を与えている可能性は無いのでしょうか?
映画『イルミナティ 世界を操る闇の秘密結社』では、ヴァイスハウプトが設立した「イルミナティ」の創設から解散まで、歴史的に興味深い情報を得ることが出来ます。
ですが、作中に登場する有識者達は、歴史的な文献や資料だけで、全てを判断しています。
現代社会は、さまざまな情報が錯綜しています。
その情報の一片だけを見て、全てを判断する事こそ危険なのではないか? と本作を鑑賞して感じました。
まとめ
本作を語るうえで外せないのが「陰謀論」という言葉です。
「陰謀論」とは、世間的に事実とされている事を認めず、強大な権力や危険人物により、真実が捻じ曲げられているという考え方です。
『陰謀のセオリー』(1997)や『ゼイリブ』(1988)など、「陰謀論」を扱った映画も存在し、有名テレビドラマ「X-ファイル」シリーズの主人公モルダーも「政府は何かを隠している」と信じるキャラクターでした。
映画『イルミナティ 世界を操る闇の秘密結社』では、現在も「イルミナティ」が存在するというのは「陰謀論」を信じる人達の馬鹿げた妄想だという事で終了します。
最近も似たような事があったと思い、考えてみると、バイデン現大統領とトランプ元大統領の大統領選でした。
バイデン側の不正投票疑惑を訴える、トランプ側を支持する人達は「陰謀論」を信じる馬鹿げた人達という結論で終わりましたね。
ですが、本当に「陰謀論」は「馬鹿げてる」という一言で終わらせて良いのでしょうか?
「イルミナティ」のシンボルとされる「プロビデンスの目」でネット検索すると「メディアが面白がっている」では収まらない情報がいろいろ見つかりますよ。
「イルミナティ」を歴史的な側面で追ったという意味で、映画『イルミナティ 世界を操る闇の秘密結社』は、本当に興味深い映画です。
「イルミナティ」に興味がある方は、必ず楽しめる内容です。
なのですが、情報が錯綜している現代社会で、真実を見極めるのは自分次第だし、見極める為の情報収集が大事であると感じます。
本作で「イルミナティ」が気になった方は、ネット検索すればいろいろ情報が出るので「イルミナティ」の存在について、自分自身で判断してみてはいかがでしょうか?
あまり深入りすると、消される可能性もありますが。