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【ネタバレ】新解釈・三國志|映画解説とラスト結末の考察。歴史小説との比較でユニークな英雄像を楽しめる

  • Writer :
  • もりのちこ

歴史には諸説あり。本当の『三國志』とはこうだったかもしれない!?

福田雄一監督が、歴史ファンの中でも特に人気を誇る『三國志』に独自の解釈を加え、自ら脚本を書き上げた映画『新解釈・三國志』。

福田組ならではの豪華俳優陣の共演に、今作が初タッグとなる大泉洋を主演に迎え、前代未聞の新解釈すぎる『三國志』が誕生しました。

乱世を嘆き、民の笑顔を取り戻すために立ち上がった将軍・劉備! えっ、嫌々な感じで!? ぼやきながら立ち上がったけど。

ゆるーい笑いのボケとツッコミ、テンポ良い俳優陣のアドリブラッシュ、ほぼズッコケな展開の合間に入る迫力の戦闘シーン、そしてスッキリ爽快の後味を味わえる痛快エンタテインメント映画です。

『銀魂』『勇者ヨシヒコ』『今日から俺は!!』に次ぐ福田雄一監督ワールド炸裂の一本『新解釈・三國志』を紹介します。

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映画『新解釈・三國志』の作品情報


(C)2020「新解釈・三國志」製作委員会

【公開】
2020年(日本映画)

【監督・脚本】
福田雄一

【キャスト】
大泉洋、賀来賢人、橋本環奈、山本美月、岡田健史、橋本さとし、高橋努、岩田剛典、渡辺直美、磯村勇斗、矢本悠馬、阿部進之介、半海一晃、ムロツヨシ、山田孝之、城田優、佐藤二朗、西田敏行、小栗旬

【作品概要】
日本でもファンが多く漫画やゲームにと複数のメディアで人気を誇る『三國志』を、福田雄一監督が独自の解釈を加え書き下ろした『新解釈・三國志』。

劉備役には、福田雄一監督と交流が深いながらも、今回が初タッグとなる大泉洋。お調子者でぐだぐだな新しい劉備を演じます。

そのほか、福田組と呼ばれる豪華俳優陣が惜しみなく登場。福田雄一監督とは15度目のタッグとなるムロツヨシが、軍師・孔明役を務めるほかに、小栗旬、山田孝之、賀来賢人、岩田剛典、佐藤二朗、橋本環奈、山本美月と日本を代表する俳優が勢揃いです。

さらに、物語のストーリーテラー、三國志の新解釈を講義する歴史学者に西田敏行が鎮座。映画の主題歌は、福山雅治の『革命』。盆と正月が一気にやってきたような豪華映画となりました。

映画『新解釈・三國志』のあらすじとネタバレ


(C)2020「新解釈・三國志」製作委員会

歴史学者の蘇我宗光は語ります。歴史には様々な説があり、史実に基づいた解釈も多様に存在すると。今回、取り上げるのは歴史ファンの中でも特に人気のある『三國志』。

中国三国時代について書かれた歴史書『三國志』にも、まだまだ知られざる一面があるのではないか。蘇我宗光の『三國志』新解釈をお伝えします。

今から約1800年前、中華統一を巡り魏・蜀・呉の三国が群雄割拠していた時代。荒れ狂う世相を憂い、義勇軍を立ち上げた男がいました。蜀の将軍・劉備です。

「嫌だ、嫌だ。戦とかキライ。つい酒の力で、あんなこといっちゃったの!」。仁義の男・関羽と、怪力の猛将・張飛に両脇を抱えられ引き摺られているのは、志高く人望が厚いと民に慕われているはずの劉備ではないでしょうか。

満開の桜の木の下に連れてこられた劉備。いつまでもぐだぐだ言う劉備をなだめ、関羽と張飛は無理やり義兄弟の契りを交わします。「桃園の誓いって、桃の花の下じゃないのかよ!」。どこまでも文句の多い男です。

その頃、漢の董卓は、幼い帝を擁することで国の実権を握り、やりたい放題でした。董卓の暴君を止めるべく劉備軍は、魏の将軍・曹操と手を組み戦いを挑みます。

しかし戦いの日、劉備の姿がありません。「ん?劉備は?将軍なしで戦う気?」曹操の問いに気まずそうな関羽と張飛。なんと、劉備はズル休みでした。

「さぼりって!」呆れる曹操の前に、鬼神のごとき漢の将軍・呂布が赤兎馬に乗り、颯爽と現れました。呂布の槍の一振りで多くの兵が飛ばされていきます。

相手を買って出たのは、力では負けない張飛です。馬上での大槍と大槍のぶつかり合い。関羽も加勢します。力は五分五分、勝負はつきませんでした。

劉備軍はさらなる作戦にでます。「三角関の計」と名付けた作戦は、漢に美女を送り込み董卓と呂布を誘惑し互いに殺し合わせるといったものでした。

劉備軍のイケメン将軍・趙雲が、蜀の国一番の美女を探し出します。連れて来られたのは、豊満すぎるボディに斬新なダンスを踊る舞姫・貂蝉でした。

「ん?美女!?」。「いかがなさいました?」趙雲の問いに「いかがするよね!」と、貂蝉を前に劉備たちは苦笑いです。時代考証的美女ということで納得した劉備は、さっそく貂蝉を董卓の元へ送り届けます。

劉備の心配をよそに、貂蝉は見事、董卓と呂布を誘惑し仲たがいに成功。呂布の手により董卓は殺され、呂布も逃亡の身となりました。

さぁ、いよいよ中華統一を目指し勢いを付けたいところです。劉備軍は軍師を雇うことにしました。まぁ、目的はさらなる強みを目指し、なんてことではなく「楽できるよねー」という理由からですけど。

劉備は、稀代の天才と噂される孔明の元を訪ねます。断られても何度でも訪ねる覚悟です。しかし現れた孔明は、だいぶゆるーい感じの男でした。

劉備の誘いに食い気味に「やります!」と自ら志願し、劉備軍の軍師となりました。家の奥からは恐妻の黄夫人の怒鳴り声が聞こえています。「おらぁー、てめー片付けんかいっ!」。前途多難の予感しかしません。

軍師・孔明を手に入れた劉備軍が次に戦うのは、漢の董卓が去った後、国の実権を握り好き放題している魏の曹操です。

劉備軍は、曹操を倒すため呉の若き君主・孫権に同盟を求めます。孫権は、孔明に言わせれば「誰の言うことも聞くバカ」とのこと。簡単に思えた交渉も、孫権の軍師・周瑜の登場でごちゃごちゃになっていきます。

何はともあれ、魏の曹操を倒すことでひとまず手を組むことにした劉備軍と孫権軍。戦いの舞台は、長江の赤壁と移ります。

以下、『新解釈・三國志』ネタバレ・結末の記載がございます。『新解釈・三國志』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2020「新解釈・三國志」製作委員会

天下統一を目指し南下する魏の曹操軍を、長江の赤壁で劉備・孫権の連合軍が迎え撃ちます。曹操軍は総勢80万、対する連合軍は3万。

対岸にずらりと並ぶ曹操軍の水軍を目の当たりにした劉備は、孔明に言います。「ひとつ言っていいかな?勝てないよね」。孔明は答えます。「戦に大切なことは…ネバギバ!」。

孔明に騙されてばかりの呉の軍師・周瑜は、「本物の軍師なら矢を10万本用意してみろ」と無理難題をふっかけます。

安請け合いが得意の孔明は、「やりましょう!」と2つ返事で受けますが、その裏で黄夫人に泣きつきます。

夫のことをボロクソ罵った黄夫人でしたが、天候を上手く読み風向きが変わる時を伝授します。

そして、霧の深い静かな夜。孔明は、藁をまとった船を何隻か用意させ、対岸の曹操軍へと送り込みます。

連合軍が攻めて来たと思った曹操軍は、その無人の船に向かって大量の矢を放ちました。孔明はこうして一晩にして10万本の矢を手に入れてみせたのでした。

士気があがる連合軍。そこに、曹操軍の陣地で流行病が発生したと報告が入ります。敵の勢力が落ちてるいま、まさに攻め時です。

しかし、報告を聞いた劉備は「えー、流行病こわいよ。帰ろう」と、撤退してしまいます。「マスクすれば大丈夫だって」、孔明の説得も聞き入れません。

劉備軍が退き、孫権軍は降伏をせざるを得ない状況です。そんな中、またしても孔明が策を立てます。火責めです。

常に向かい風が吹くこの状況で、火の矢を放つことは自殺行為です。孔明は風の向きまで変えてみせると言うのです。

信じられない周瑜は「嘘なら斬首ね」と、どこか楽しそう。約束の日、縛られた孔明の首に刀が振り下ろされる瞬間。風の向きが変わり、追い風が吹きました。

対岸の曹操軍の船に、次々と火が燃え盛っていきます。使者からの連絡が届きます。「劉備軍が曹操軍の陣地に入りました」。

そうです。劉備は軍を率いて帰ると見せかけ、船に火を放ち曹操軍の退路に攻め込んだのです。「出陣じゃあ!」劉備の声が轟きます。

途中で牛を食べ酒を飲み士気高まる劉備軍は、凄まじい勢いです。「民の笑顔が見たいだけじゃー」。酔った劉備は手が付けられない強さを発揮します。

この作戦は、劉備と孔明の仕組んだものでした。「これが、わたしの保険です」。孔明は、周瑜に言います。「敵を欺くにはまずは味方から」。

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映画『新解釈・三國志』の感想と評価


(C)2020「新解釈・三國志」製作委員会

歴史ファンの中でも特に人気の高い『三國志』を、福田雄一監督が大胆に新解釈。前代未聞の『新解釈・三國志』が誕生しました。

歴史上の人物で人気がある武将とは、たいてい「儀、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義」を重んじる強い人物かと思います。

まさに三國志の登場人物たちも真の武将たちです。かっこいい有名なエピソードも数々あります。

『新解釈・三國志』の登場人物といったらどうでしょう? ぼやきっぱなしの劉備(大泉洋)、安請け合いの孔明(ムロツヨシ)、女と腹踊り好きな曹操(小栗旬)、優柔不断な孫権(岡田健史)と、まぁ人間らしいというか、「劉備もひとりの人間だよね」と身近に思えてしまうというか濃いキャラ揃いとなっています。

しかし、案外こういう「人たらし」こそが世の中を幸せの方向へ導くのかもしれません。「民の笑顔が見たいから」という単純明快な指針にこそ心動かされるものがありました。

映画『新解釈・三國志』は、本家の三國志を知らない方でも楽しめる内容となっていますが、三國志が好きな方には、本家の有名なエピソードが新解釈ではどのように変わっているのか、比べて見るのも楽しいかもしれません。

例えば、三国時代の幕開けとなった「黄巾の乱」。農民反乱軍であるはずが、砦には黄巾(山田孝之)という男だけ。やけに黄金比にうるさいという、黄色好き。

また、名将たちの戦いでは呂布VS張飛。伝説の馬「赤兎馬」に乗る美しい呂布(城田優)と、力技のゲジ眉張飛(高橋努)の大槍対決は迫力満点。

そして、イケメン戦士・趙雲(岩田剛典)の見せ場。本家「三國志」では、長坂の戦いで取り残された劉備の子を救うべく、曹操軍に単騎でのりこみ、見事生還を果たすというエピソードがあります。映画では、鼻につく性格ゆえに成功しても鼻についてしまいます。

孔明のエピソードでは、劉備が孔明を軍師に迎えるために三度訪ねたという「三顧の礼」がありますが、映画では初見で自ら志願し軍師になるというお手軽さが見れます。

その他にも孔明の頭脳作戦として、漢の董卓を滅ぼすために絶世の美女・貂蝉(渡辺直美)を送り込んだ戦法「三角関の計」(本家では美女連環の計)や、赤壁の戦いでの見事な作戦の数々が盛り込まれています。

そして何と言っても、孔明の策はすべて嫁の黄夫人(橋本環奈)のものだったという壮大な落ちが待っています。

劉備と孔明のボケボケコンビや、孔明と周瑜(賀来賢人)の軍師バトルなど、他にもたくさんの笑いが散りばめられている映画『新解釈・三國志』。それぞれの楽しみ方が出来る映画です。

まとめ


(C)2020「新解釈・三國志」製作委員会

福田雄一監督ならではの豪華なキャスティングにより生み出される笑いの宝庫『新解釈・三國志』

もし、歴史上の偉人が実はこんな人物だったら。ぼやきっぱなしの劉備に、安請け合いのお調子者孔明が至っていいじゃない。そんな大らかな気持ちで臨みましょう。

歴史には諸説ありと言います。史実を鵜吞みにするだけではなく、角度を変えて見ることであなただけの『三國志』、歴史の新たな一面が見えてくるかもしれません。

「心が晴れない」そんな日々を過ごした2020年を、笑って終わらせたいあなたにお勧め『新解釈・三國志』。まずは、何も考えず、肩の力を抜いて、福田ワールドを楽しみましょう。



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