映画『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』のあらすじネタバレと感想や評価をまとめました!
以下、あらすじやネタバレが含まれる記事となりますので、まずは『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』映画作品情報をどうぞ!
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映画『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』作品情報
【公開】
2017年(アメリカ)
【原題】
Maggie’s Plan
【監督】
レベッカ・ミラー
【キャスト】
グレタ・ガーウィグ、イーサン・ホーク、ジュリアン・ムーア、ビル・ヘイダー、マーヤ・ルドルフ、トラビス・フィメル
【作品概要】
マンブルコアと呼ばれるアメリカのインディーズ映画界のミューズと称され、昨今出演作が目白押しのグレタ・ガーウィグがイーサン・ホーク、ジュリアン・ムーアと共演したニューヨークを舞台にしたロマンチック・コメディー。
映画『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』あらすじとネタバレ
マギーの第一の計画
マギーは、元カレで今は友人のトニーとニューヨークのユニオン・スクエアで待ち合わせしていました。子供連れの彼を見て「私も子供が欲しい」と言い、今自分が計画していることを打ち明けます。
これまで男性とつきあっても六ヶ月以上続いたことがない。結婚できそうにないけど子供は欲しいから、数学が得意な大学の同級生、ガイの精子をもらって自分で注入して子供を産もうと思う。
トニーは猛反対。ガイの悪口を散々聞かせ、そんな計画はやめるように言いますが、マギーは「現実に向き合っているだけ」ときっぱり。
マギーは大学でアーティスト・コーディネーターとして働いています。美術学生の営業開発の仕事です。ある日、給料の小切手の手違いから文化人類学者のジョンと知り合います。
その後、学内ですれ違ったり、ワシントン・スクエア・パークで出会ったりして二人は親しくなりました。ジョンの妻、ジョーゼットもコロンビア大学の学者です。家庭を顧みず、子どものことはジョンまかせ。ジョン曰く「鬼嫁」なのだそう。
ガイが精子を提供にやって来ます。「どうせなら古典的な方法でやらないか」というガイの申し出をきっぱり断り、子どもの将来に深くかかわらないことを確認するマギー。そして、夜、トニーの妻でマギーの同僚、フェリシアに電話をしながら受精を試みていると、ドアのチャイムが鳴ります。
やって来たのはジョンでした。「君のことが好きだ。妻とは離婚する」というと、強引に彼女のシャツを脱がしにかかり、マギーもすっかりその気になり二人はベッドに倒れ込みます。
マギーの第二の計画
二人の間にはかわいい娘、リリーが生まれ、3歳になりました。ジョンに子守をまかせ、電話で仕事のアポを取っていると、ジョンも電話していて、リリーが騒ぎ始めました。電話を待ってもらってあわてて見に行くと、トイレにおもちゃを落としています。
ジョンに何をしてたの?と聞くと出版社から電話がかかってきたとの返答。ジョンは小説家をめざしており、作品を見てもらうことになったといいます。彼が小説家になるのを応援しているマギーは自分の仕事を延期してもらい、彼の用事を優先します。
そこに彼の前妻、ジョーゼットとの子が学校で捻挫したという連絡がはいり、マギーが彼の代わりに迎えに行くことに。戻ってみると、ジョンは家にいて電話で元妻の愚痴を聞いているではないですか。
「出版社と打ち合わせじゃなかったの?」と尋ねると、「延期したんだ」としゃーしゃーとしています。こちらは仕事の予定を変更して、学生にも迷惑をかけたというのに!
ジョーゼットは頻繁に海外出張などで留守にしており、そのたびに彼女と同居している子供たちをマギーたちの家で預かることに。子供たちは可愛いのですが、家事や子どもの世話を押し付けているジョンにマギーはすっかり幻滅してしまいます。
「ジョンとジョーゼットはしょっちゅう連絡を取り合ってるし、やっぱり二人が別れたのは間違いだったのよ」とフェリシアに打ち明けるマギー。「彼を元妻に返せればいいんだけどね」というフェリシアのつぶやきを聞いて、マギーはそれを実行することにします。
マギーはジョーゼットを訪ね、プランを話すと、「不倫、略奪婚をした挙句、飽きたからお返ししますってどういうこと!?」と追い返されます。しかし、数日後に訪ねてきたジョーゼットは「話に乗るわ」と切り出しました。
「ケベックで学会があるからそれに彼も招待されるように手配するわ。彼が尊敬している学者の講演会があるの。勿論私が行くことは内緒よ」とプランを明かします。
ジョーゼットは「鬼嫁」ではなく、学者としても一流の魅力的な女性でした。今や、マギーとジョーゼットは気の合う友人同士。
喜んで学会に出向いたジョンはジョーゼットに出逢いびっくり。雪がひどくホテルで足止めを食らっている間に彼女(たち)の思惑通りに、二人はよりをもどします。
学会から戻ったジョンはマギーに心から詫び、ジョーゼットのところへ。しかし、子どもたちに「なんでいるの?」と言われる始末。
フェリシアのところに避難したジョンが身の上話をしているところに、トミーが帰宅し、「うまくいったのか」と口走ってしまいます。「どういう意味だ?」とジョン。全てを知った彼はかんかんになって、家出してしまいます。
彼の小説の原稿を読んでいたジョーゼットはそれらを燃やし、灰になった原稿をビニールに入れてジョンに渡します。「罠にはめた上に焼くとは」とジョン。「計画に乗ったのはあなたを愛していたから」とジョーゼット。
ジョーゼットは「私達の犠牲者で終わるつもり?」と尋ね、「このテーマを小説ではなく研究で展開したほうがあなたには向いているわ」と言います。「やっぱり君が僕の一番の理解者だ」とジョンは言い、「だからやっかいなのよ」とジョーゼットは微笑みます。
意外な結末
多少のゴタゴタはあったにせよ、マギーのプランは大成功。彼らはみんなでスケートを楽しんでいました。リリーは盛んに数字を口にしてはきゃっきゃとはしゃいでいます。
「こんなに数字に興味があるなんて、マギーの家系に誰か数学が得意な人がいたっけ? ジョンの方の血なのか?」とトミー夫婦は不思議そう。
向こうの方からガイが一人でスケート靴を持ってやってくるのが見えます。その姿をマギーがじっと見つめていました。
『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』の感想と評価
マギーというヒロインは、ハワード・ホークスの『赤ちゃん教育』のキャサリン・ヘップバーンら、往年のコメディエンヌの系譜を継ぐちょっと風変わりなキャラクターです。
もっとも彼女自身は自分の考えがベストだと考えていて、いたってドライ。「現実に向き合っているだけ」と言っているようになにごとも大真面目なのですが、人間の感情はさまざま。マギーの計画は思わぬ反応を生んだり、波紋をよんだりします。そういうズレが本作の面白さの一つとなっています。
マギーを演じるのはグレタ・ガーウィグ。彼女は美人なのにどこかどんくさく、恋愛に奔放なのにどこか憎めないという天性のコメディエンヌの才がある女優に思われます。
彼女の主演作『ハンナだけど生きていく』(ジョー・スワンバーグ監督 2007年)、『フランシス・ハ』(ノア・バームバック 2012年)などのイメージがここでも継続されています。
マギーもやっていることは無茶だったりするのですが、いつの間にか共感を覚えたり、応援してしまう不思議なキャラクターです。
マギーに振り回される夫婦を演じるジョンとジョーゼットは、イーサン・ホークとジュリアン・ムーアという芸達者な二人が演じています。どちらも学者ということで、二人が交わす、わかるような、わからないような理論の応酬には思わずにやりとさせられます。
大人がついた離れたをやっていると子どもにしわ寄せがくるものですが、ジョンとジョーゼットの子どもたちはいたってクール。マギーはご飯を作ってくれるから「便利」だし、父が帰ってきても「なんでいるの?」と質問してタジタジとさせています。
そして、3歳のリリーの可愛らしいこと。最後の落ちには、こう来たか! と感心させられました。
まとめ
昨今のアメリカン・コメディーは、お下劣な言葉を連発する少々下品なものが主流になっていて、それはそれで大いに笑わせてくれるのですが、本作は、エルンスト・ルビッチ作品を彷彿させる伝統的なロマンチックコメディーに仕上がっています。
オーソドックスなスタイルの中にも現代的な要素が詰め込まれており、それが作品の魅力になっています。
ニューヨークのグリニッジ・ビレッジが舞台で、ワシントン・スクエア・パークや、ユニオン・スクエアのグリーン・マーケットなど、美しいニューヨークの風景がたっぷり。ラストに出てくるスケート場はブルックリン区最大の公園、プロスペクトパークだそう。
マギーとジョンがワシントン・スクエア・パークのベンチで会話していて、寒くてたまらないと場所をマギーの部屋に移し、そこでジョンが手際よく温かいレモネードを作ってお互いの気持ちが接近するというエピソードは、とても自然な流れで、彼らと同じようにニューヨークの寒さをリアルに体感した気分になりました。
監督のレベッカ・ミラーは、『50歳の恋愛白書』などで知られ、女優として活動していたこともあるそうです。小説家でもあるという彼女の次回作に早くも期待が高まります。