映画『愛しの故郷(ふるさと)』は2020年11月6日(金)よりグランドシネマサンシャンなど全国順次公開。
『初恋の来た道』(1999年)『HERO 英雄 』(2002年)『SHADOW/影武者 』(2018年)など、数々の名作で知られる名匠チャン・イーモウが製作総指揮を務め「故郷」をテーマにした、5つの物語が展開される映画『愛しの故郷(ふるさと)』。
中華人民共和国の建国から70周年を記念して製作された『愛しの母国』(2020年)の姉妹編となった映画『愛しの故郷』は、中国では、4日間で興収10億元(約155億円)を突破し大ヒットを記録しています。
老若男女問わず楽しめる、心温まるエンターテインメントムービーである、本作の魅力をご紹介します。
映画『愛しの故郷(ふるさと)』の作品情報
【日本公開】
2020年公開(中国映画)
【原題】
我和我的家郷 My People, My Homelan
【製作総指揮】
チャン・イーモウ
【総監督】
ニン・ハオ、チェン・スーチェン、シュー・ジェン、ダン・チャオ、ユー・バイメイ、ポン・ダーモ、イエン・フェイ
【キャスト】
グォ・ヨウ、ホアン・ボー、ワン・バオチャン、リウ・ハオラン、ドン・ズージェン、トン・リーヤー、ファン・ウェイ、タオ・ホン、チャン・イー、ダン・チャオ、イエン・ニー、スン・リー、シェン・トン、マーリ
【作品概要】
チャン・イーモウが製作総指揮を務め「故郷」をテーマに5つの短編が展開されるコメディー。
監督は『クレイジー・ストーン ~翡翠狂騒曲~』(2006)のニン・ハオ、『スプリング・フィーバー』(2009)のチェン・シーチェンなど、中国の実力派監督が集結。
出演者は、中国の名優グォ・ヨウ、『西遊記~はじまりのはじまり~』(2013)で孫悟空を演じたホアン・ボーなど、幅広い俳優陣が出演しています。
映画『愛しの故郷(ふるさと)』のあらすじ
第1話
高級車を購入する為に、コツコツと貯金をしてきたお調子者の男、北京。
ある時、北京の前に「いとこだ」と名乗る男が現れます。
その男は、甲状腺に腫瘍があり、すぐに手術が必要な状況ですが、保険証も持っておらず高額な治療費が払えないでいました。
何とか、いとこを救いたい北京は、ある方法を思いつきます。
第2話
南部貴州のある田舎町。
何も無かったこの村ですが、映画の屋外上映会の最中に、UFOが飛来します。
多くの人達がUFOを目撃した事で、村は話題になり、さまざまなメディアで取り上げられるようになりました。
旅行会社の社長ワンは、テレビスタッフのシンとタン、そして科学者のドン・アシュを村に招き、UFOの検証番組として村を撮影してもらい、宣伝する事を考えます。
ですが、プロデューサーのタンは、最初からUFOに懐疑的でした。
そして、ある発明家の存在が、UFO騒動をさらにややこしくしていきます。
第3話
大学教授のファンは、脳梗塞で倒れてしまって以降、記憶が錯綜するようになり、認知機能障害が発症してしまいます。
医師の診断の結果、ファンは、東部千島湖のワンシー村で、教育支援の活動をしていた頃の、若い頃に記憶が逆行してしまった事が判明します。
ファンの記憶は、教育支援活動の最後の日で止まってしまっていました。
ファンの息子は、医師の勧めにより、もう1度ワンシー村で、最後の授業の日を再現しようとします。
ですが現在のワンシー村は、ファンの授業を受けた子供たちにより、大きく発展し、村の景色は様変わりしていました。
かつてのファンの生徒たちは、学校も無かったワンシー村で、授業をしてくれたファンに心から感謝しており、村ぐるみで、ファンが行った最後の授業の日を再現しようとします。
第4話
「通販の女王」として活躍するカリスマインフルエンサーの、ヤン・フェイヤン。
ヤンは、現在は華やかな暮らしを送っていますが、実は西部の砂漠の街に生まれ、貧しい幼少期を過ごした過去がありました。
母校の設立記念日で、式典が行われる事になり、ヤンは数年ぶりに故郷へ戻ります。
ですが、その道中で、ヤンの事を「姉さん」と呼ぶ怪しい男と遭遇します。
男は莫大な借金を抱えている様子で、何かの目的があり、ヤンに近づいたようですが…。
第5話
画家のマー・リアンは、自身の絵画で、過疎化が進む農村を救うプロジェクトへの参加を志願します。
ですがマーの妻、チウは、マーの画家としての才能を高く評価しており、マーをロシアの大学へ留学させ、画家としての才能を伸ばす事を考えていました。
その為、マーが望んだ、農村を救うプロジェクトへの参加を勝手に辞退させてしまいます。
また、チウはレスリング部の監督を務める程、力が強い為、チウに逆らう事ができません。
困り果てたマーは、ロシアに留学したふりをして、中国の過疎化した農村に移住し、村おこしのプロジェクトを進める事を決意します。
しかし、チウからはロシアでの様子を伺う為に、1日に何度もテレビ電話がかけられてきます。
果たしてマーは、チウを騙し通して、自分のプロジェクトを成功させる事ができるのでしょうか?
映画『愛しの故郷(ふるさと)』感想と評価
「故郷」をテーマにした、5つの短編が展開される映画『愛しの故郷(ふるさと)』。
5つの短編は「お調子者が考えたある計画」「田舎のUFO騒動」「記憶を取り戻す為の、村ぐるみの作戦」「カリスマインフルエンサーと怪しい男」「恐妻家の嘘」と、それぞれ見どころが違う、笑いあり涙ありのエピソードが展開され、全てハートフルなコメディとなっています。
また、作品の舞台となるのが、それぞれ東、西、南、北、中部となっており、各エピソードで、さまざまな中国の風景を楽しめる事も、本作の特徴です。
第2話の山に囲まれた村や、第4話の砂の街では、舞台になっている地域が、エピソードの重要な部分にもなっている為、そこにも注目して下さい。
それぞれ、個性的なエピソードが展開される5つの短編ですが、共通している部分として「嘘が物語を動かす」という点です。
各エピソードに登場する人物達は、さまざまな形で嘘をつき、その嘘がキッカケで、いろいろな騒動が発生するのですが、最後は必ずハッピーエンドで終わる為、鑑賞後は清々しい気持ちになる、楽しいエンターテインメント作品となっています。
まとめ
「故郷」をテーマにした本作は、中国のさまざまな地域が舞台になっていますが「観光資源に悩む村」「過疎化に悩む農村」など、日本と変わらない問題を抱えた地域も登場します。
また「故郷から来たいとこに、カッコよく見せようとする人」「成功して故郷に帰る人」「新たな故郷を創ろうと奮闘する人」など、故郷に関わるさまざまな人物が登場する為、本作に登場するキャラクターの誰かに自分を重ね合わせて、共感してしまうのではないでしょうか?
必ず誰にでもある「故郷」を、ハートフルなコメディで描いた映画『愛しの故郷(ふるさと)』。
笑って泣ける作品の為、必ず優しい気持ちになれます。
忙しい毎日を送る方こそ、本作をキッカケに、自身の故郷について想いを馳せてみてはいかがでしょうか?