月面からナチスが攻めてくる“あの映画”のまさかの続編が登場!
映画『アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲』は2019年7月12日(金)ロードショーです。
今度は実は地底人類だったヒトラーが恐竜に乗って攻め込んでくる!?
冗談のような悪ノリ企画がクラウドファンディングでまたも実現した最高のB級SFアクションです。
映画『アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲』の作品情報
【日本公開】
2019年(フィンランド・ドイツ・ベルギー合作映画)
【監督】
ティモ・ヴオレンソラ
【キャスト】
ララ・ロッシ、ウラジミール・ブルラコフ、キット・デイル、トム・グリーン、ユリア・ディーツェ、ウド・キア、ステファニー・ポール
【作品概要】
月面に大戦末期に逃げ延びたナチスドイツが基地を作っていたというトンデモ設定のSF『アイアン・スカイ』(2012)の続編。
2012年にSFファンたちの協力で奇跡の公開を果たした前作と同様、今回もクラウドファンディングを募って製作されました。
今回は核戦争で人類が滅んだ後の世界が舞台。
実は空洞だった地球の内部からヒトラーやヴィンラディン、サッチャー、ローマ法王、スティーブ・ジョブズが恐竜に乗って攻めてきます。
前作の人気キャラ、レナーテを演じるユリア・ディーツェも続投、そしてドイツの名優ウド・キアが前作の悪役月面総統と地底人類ヒトラーの2役を演じているのにも注目です。
映画『アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲』のあらすじとネタバレ
2018年、アメリカ合衆国は黒人人気モデル、ジェームズ・ワシントンを月に宇宙飛行士として送り込みます。
そこでワシントンは月面の裏側“ダークサイド・ムーン”に第二次大戦末期に逃げ延びたナチスの残党が基地を作っているのを発見。
月面ナチスを仕切るヴォルフガング・コーツフライシュは捕らえられたワシントンが持っている情報を元に月面から地球に攻め込みます。
しかしワシントンは月面で知り合った美人の党員レナーテ・リヒターを改心させ恋に落ち、協力して月面ナチスの陰謀を阻みます。
各国もアメリカ主導のもと月面ナチスを撃退。
しかしアメリカはじめ超大国は月面ナチスがエネルギー利用していた未知のエネルギー“ヘリウム3”に目を付け、最終的に核戦争が起きて地球人類の殆どは絶滅。
月面にいたワシントンは生き延び、レナーテと結婚し月面にいた人々と暮らし始めます。
それから30年後、人類の生き残りが移住してきたため人口増加で月の資源は枯渇し、貧富の差は拡大していました。
ワシントンは既に死去し、レナーテと彼の娘オビが月面で唯一のまともな機関士として人々を助けていました。
彼女は月面の民たちを助けたいと思っていましたが、月の富裕層たちはスティーブ・ジョブズを神と崇めiphone、ipadをお祈りの道具に使う”ジョブズ教”にハマリ民のことは見向きもしません。
困ったことに病気がちな母レナーテもジョブズ教に入信しています。
そんなある日、地球のロシアからやってきた移民の船が着陸します。
一団を仕切るサシャは技師で宇宙船を改造してきたと言いますが、資源不足のためレナーテたちは彼らを歓迎しませんでした。
移民受け入れに関しても碌な意見のない幹部たちに嫌気が差してサシャたちの宇宙船を直しに来たオビは、宇宙船から人影が現れこっそりと基地内部に入っていくのを目撃し跡をつけます。
ある個室に入り込んでオビと対面したその人影の正体は、かつての月面総統コーツフライシュ。
彼は実は数億年前に地球にやってきた異星人で地底の世界にある永遠の命をもたらすエネルギー“ヴリル・ヤー”で今日まで生きてきたといいます。
コーツフライシュによると地球の中は空洞になっていて、永遠の命を持つヴリル族が氷河期の到来とともに移住してずっと住んでいるのです。
地底世界の都市アガルタの寺院にはヴリル・ヤーの結晶が入った聖杯がありそれを持ち帰れば月面の人々を救えるといいます。
オビは半信半疑ですが彼が持っていたヴリル・ヤーの破片をレナーテに食べさせてみると彼女は病気からみるみるうちに回復。
信じざるを得なくなったオビは技術力のあるサシャと、月面一の筋肉バカのマルコム、ジョブズ教の教祖ドナルドとその幹部たち数人とともにかつての月面ナチスの宇宙船で地球に飛び立ちます。
荒れ果てた地表を通り抜けて地底世界に入ってみると、そこには広大な空間が広がり、ヴリル・ヤーのエネルギーで作られた人工太陽によって緑豊かな世界が構築されていました。
おまけに絶滅したはずの恐竜たちが闊歩しています。
オビたちが驚いている頃、アガルタの宮殿では人類史上の暴君や悪人、有名人が会議をしていました。
カリギュラ、チンギス・ハーン、スターリン、金正恩、ヴィンラディン、ローマ法王、マーガレット・サッチャー、毛沢東、マーク・ザッカーバーグ。
本当はヴリル族だった彼らはかつて人間社会に入り込み圧政や虐殺、または人間の知能を下げるサービスを開発することによって人類を滅ぼして地表を乗っ取ろうと画策していたのです。
人類を直接的に滅ぼすきっかけを作った最後のアメリカ大統領は自身の功績を誇示しますが、他のヴリル族は核戦争で自分たちも地表に住めなくなったと非難。
そこにヴリル族の支配者アドルフ・ヒトラーが現れ、みんなに命令し大統領を食い殺させてしまいました。
ヒトラーは数億年前に地球に来たコーツフライシュの兄で、自分を裏切って月に行ってしまった弟に復讐しようとしていました。
映画『アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲』の感想と評価
前作を見た方、上記のあらすじを読んだ方には、この映画は真面目に見てはいけないということが伝わっているでしょう。
前作『アイアン・スカイ』で月面にナチスが逃げ延びていたというくだらなすぎるアイデアを、クラウドファンディングで資金を募るという行動力で実現したティモ・ヴオレンソラ監督。
本作ではさらに陰謀論をそのまま映像化したようなぶっ飛んだストーリーを見せます。
前作との整合性なんて一切気にしていない、地球の空洞世界と恐竜を操る不死の種族ヴリル族などという設定が登場するのには、ナチスが実際に信じていた陰謀説が関係しています。
高い科学力を持ちながらオカルトにも傾倒していたナチス幹部たち。
ヒトラーもヒムラーも当時のドイツの地政学の権威カール・ハウスホーファーの説を信じており、地球は空洞で、そこにはアトランティスの末裔である地底種族ヴリル・ヤがいると考えていたのです。
信じられませんが彼らは地底世界の発見を夢見てヒマラヤや南極にも探検隊を派遣したという記録が残っています。
もちろん監督だってそんなことを本気で信じているわけではないでしょう。
しかし前作で徹底的にコケにしたナチスの陰謀説を敢えて本当だったとすることで、皮肉を込めた愚かしさをより強調しています。
おまけに歴史上の悪名高い為政者や有名人(ジョブズやザッカーバーグはとばっちりの気もします)が人類を滅ぼすために現れたヴリル族だったというのも最高に皮肉が効いています。
「人類滅亡を企てる別種族じゃなきゃこんな酷いことするはずない」と彼らの悪行を茶化してみせる様は痛快です。
こんなやりたい放題な内容はクラウドファンディングの自主製作映画でなければ作れなかったでしょう。
ティラノサウルスに乗るヒトラーを大スクリーンで拝むだけでも見る価値はあります。
CGも低予算とは思えないクオリティで驚かされます。
まとめ
本作の冒頭では「アイアン・スカイ・ユニバース」という文字が堂々と出てきます。
このシリーズも昨今流行りのユニバースものだということです。
これは冗談ではなくヴオレンソラ監督は既に3作目の撮影を終え、編集段階に入っています。
本作のエンドクレジットの途中にも、3作目の布石になりそうな描写がありました。「火星の裏側には実は…」という衝撃の爆笑シーンです。
冗談のような企画がここまでヒットしてどんどん大きくなっていくのは夢がありますね。
巷にはトンデモ陰謀説が溢れかえっていますが、信じるかどうかは別にして「本当だったら面白いよね」というスタンスで映画化してみたら、面白い映画がたくさん生まれるのではないでしょうか。
映画『アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲』は2019年7月12日(金)より全国公開です。