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【ネタバレ】ファンタスティック・フォー(2015)結末あらすじ感想と評価解説。MCU版の前にマーベル初ヒーローチームのリブート作品を復習|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー94

  • Writer :
  • 秋國まゆ

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第94回

深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。

そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第94回は、ジョシュ・トランク監督が演出を務めた映画『ファンタスティック・フォー(2015)』です。

子供の頃から発明好きだった少年が友達と一緒に物質の転送装置を開発・完成させました。

自身の才能に目をつけた博士から研究員としてスカウトされた少年は、実験として自ら仲間と共に転送装置に入り、異次元のパワーによって特殊能力を身につけてしまう物語とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。

マイルズ・テラー主演で贈る、マーベル最初のヒーローの誕生を描いたSFスペクタクル・アクション映画『ファンタスティック・フォー(2015)』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

映画『ファンタスティック・フォー(2015)』の作品情報


(C)2015 MARVEL & Subs.(C)2015 Twentieth Century Fox

【公開】
2015年(アメリカ映画)

【原作】
スタン・リーの漫画『ファンタスティック・フォー』

【監督】
ジョシュ・トランク

【キャスト】
マイルズ・テラー、ケイト・マーラ、マイケル・B・ジョーダン、ジェイミー・ベル、トビー・ケベル、レグ・E・キャシー、ティム・ブレイク・ネルソン

【作品概要】
『クロニクル』(2013)のジョシュ・トランクが監督を務め、アメリカの漫画出版社「マーベル・コミック」の同名のスーパーヒーローチームを描いたアメリカのSFスペクタクル・アクション作品。

マーベル・コミックで『スパイダーマン』や『X-MEN』など数多くのスーパーヒーローコミックの原作を手がけたスタン・リーが原作者・編集者を務め、彼の下で作画家として活動していたジャック・カービーが作画を担当した漫画『ファンタスティック・フォー』が原作です。

『ファンタスティック・フォー 超能力ユニット』(2005)とその続編『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』(2007)と過去にも実写映画化された漫画『ファンタスティック・フォー』を、新たなスタッフとキャストで描いています。

映画『ファンタスティック・フォー(2015)』のあらすじとネタバレ


(C)2015 MARVEL & Subs.(C)2015 Twentieth Century Fox

発明好きな小学5年生のリード・リチャーズは、自宅のガレージで、物質の周波数を変えて異次元に転送する転送装置を自力で発明しました。

それから7年後、リードは学生時代からの友人ベンジャミン・ジェイコブ・グリム(愛称ベン)と一緒に実験・改良を重ねて完成させた転送装置を、科学コンテストに出展しました。

その結果、天才児が集う研究所「バクスター」の科学者フランクリン・ストーム博士の目に留まり、リードは研究員としてスカウトされました。

そして彼の子供のスーザン(愛称スー)とジョニー、異次元の世界と繋がって地球の資源不足を解決させる計画「量子ゲートプロジェクト」の発案者ビクター・フォン・ドゥームと力を合わせて、本格的に転送装置を完成させます。

動物実験は成功に終わり、あとはリードたちを異次元に転送し、無事に帰還すれば量子ゲートプロジェクトは成功です。

この実験の視察のため、NASAから派遣された政府関係者ハーヴェイ・アレン博士は、「今後この量子ゲートプロジェクトはNASAと協力していこう」とリードたちに提案します。

自分たちの手柄を横取りする気なのだと思ったリードたちは、フランクリンがNASAの関係者を説得するまで待てず、実験を早めることにしました。

リードはベンに電話をかけて呼び出し、4人で防護服を着用し転送装置の中に入りました。

研究室の異変にスーが気づいた時には、時すでに遅し。リードたちは動物実験で見た異次元の惑星ゼロに送られていました。

緑色のエネルギーが惑星の地中から流れているのを見て、リードとビクターは好奇心を抑えきれず、ベンたちの制止を振り切って調査しに行きました。

しかしビクターがエネルギーの塊に手を突っ込むと、突如エネルギーは大爆発し、まるで火山のような噴火を始めます。

急いで逃げるリードたちでしたが、大きく上空に噴出したエネルギーを頭から浴び、リードたちと繋がっていたロープが溶けて切れてしまったビクターは、そのままエネルギーの渦の中へと落下。

リードたちは後ろ髪引かれる思いで転送装置に入り、通信が繋がったスーに手動での再転送を頼みます。

スーの手動での再転送のおかげで、リードたちは無事元の世界へと帰還。ですが転送装置が稼働した衝撃で研究室は炎上します。

さらにエネルギーを浴びた影響で、リードたちの体は変異してしまうのです。リードはゴムのように自在に伸び縮みできる身体になり、スーは身体を透明化できるようになりました。

ジョニーは自身の身体を高熱の火炎でまとい、ベンはごつごつしたオレンジ色の岩のような体になってしまいました。

突如特殊能力に目覚めた4人を利用しようと考えたアメリカ軍は、政府の秘密軍事基地「エリア57」に彼らを強制的に移送させました。

常に冷静沈着で理性的だったリードですが、変わり果てた自分とベンの姿を見て途轍もない恐怖を感じ、天井のダクトを伝ってエリア57から脱走しました。

以下、『ファンタスティック・フォー(2015)』ネタバレ・結末の記載がございます。『ファンタスティック・フォー(2015)』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2015 MARVEL & Subs.(C)2015 Twentieth Century Fox

それから1年後。エリア57に取り残されたベンたちは、元の自分に戻るための治療法を見つける代わりに、政府に協力するとアレン博士と取引していました。

そしてアレン博士たち政府と軍関係者は、彼らを特殊能力者にした惑星ゼロのエネルギーを使って軍事力を上げ、惑星ゼロをコントロールし地球を支配するべく、新たな転送装置を量子ゲートプロジェクト第2弾として開発しようと企みます。

既に被験者1号「ザ・シング」として兵器登用されているベンに続き、ジョニーも被験者2号として実戦登用されることが決定しました。

量子ゲートプロジェクトおよびバクスターの責任者を務めるフランクリンは、ジョニーの実戦投入を止めるべく、「リードを連れ戻して転送装置を再稼働させよう」とスーに提案します。

スーは逃亡を続けるリードのネット上の痕跡から行動パターンを解析し、彼の居場所を突き止めました。

リードの逃亡先は、とある中東の国でした。リードは1人、自分たちと違って人間の姿に戻れないベンのために、エネルギーを解明するための研究をしていたのです。

そこへ突如、アレン博士が送り込んだ部隊とベンが襲来。リードは自身の特殊能力を駆使して部隊を退けるも、ベンに捕まりエリア57へ連れ戻されてしまいます。

その道中、リードはベンに、「僕にとって親友である君を、必ず元の姿に戻す」と約束しました。

エリア57の研究施設について早々、リードは新たな転送装置の完成を急がされます。それからしばらくして、リードのおかげで完成した転送装置を使って、政府が選んだ科学者たちは惑星ゼロに転送されました。

惑星ゼロに着いて早々、地質調査を始めた科学者たちは、高温の物体を発見。その正体は、あの日惑星ゼロに取り残されてしまったビクターでした。

ビクターの防護服は溶けて身体に張りついており、とても衰弱していました。科学者たちは地質調査を中止し、ビクターを保護し元の世界に帰還しました。

保護されたビクターもまた、エネルギーを全身に浴びた影響である特殊能力を持っていました。

ビクターはリードたちとは違い身体的能力ではなく、この世のありとあらゆる科学技術に精通する地上最高峰の頭脳を得ていたのです。

さらにビクターが全身に纏っている鋼鉄の鎧には、バリヤーや反重力能力、テレポート能力、巨大ロボット相手でも一撃で吹き飛ばせる威力を持つビーム砲などの万能兵器を内蔵していました。

ビクターは鋼鉄の鎧の威力を存分に奮い、アレン博士にエリア57の研究職員たちを殺害。

フランクリンはビクターの暴走を止めようとするも、今のビクターにとって絶大な力と知識を与えてくれた惑星ゼロこそ故郷だと考えているため、地球への未練はありません。

そのためフランクリンの説得は失敗し、ビクターは駆けつけたスーとジョニーの姉弟の目の前で彼を殺害します。

そのままビクターは転送装置を使って惑星ゼロへと帰還。しかしそのせいでエネルギーのオーバーロードが起き、転送装置は制御不能に。

リードたちがいる世界の次元に、惑星ゼロへと繋がる巨大なブラックホールが開いてしまいました。

リード・スー・ジョニー・ベンはブラックホールに吸い込まれ、惑星ゼロへ。地球のありとあらゆる物質を惑星ゼロのエネルギーへと変換しようと操作するビクターを止めようと、彼に戦いを挑んでいきます。

しかしリードたちの特殊能力による攻撃を持ってしてでも、破壊者「ドゥーム」と化したビクターに全く歯が立ちません。

絶体絶命のピンチに追い込まれたリードたち。リードは今度こそベンの助けを求める声に応えるために、1人になっても何度でもビクターに立ち向かっていきました。

そしてビクターとの圧倒的な力の差に心が挫けそうになる3人に、リードは「あいつはここにいる誰よりも強いが、1つのチームとなって皆で力を合わせれば勝てる」、「あいつも僕たちもこの惑星ゼロから特殊能力を与えられた、今の自分を受け入れよう。そして僕らが明けたドアを、僕らで閉じよう」と言って奮起させます。

リードの言葉で再び立ち上がるベンたち。リードは3人と力を合わせ、ビクターを倒しました。

リードたちとの戦いに敗れたビクターは、ブラックホールに吸い込まれ消滅しました。そしてビクターの死と同時にブラックホールは閉じ、リードたちは閉じる前に地球に帰還しました。

後日。軍の上層部と政府関係者は、リードたちに国家の安全保持のために今後も関係を継続していきたいと言いました。

これに対してリードたちは、自分たちの自由を保障することと、広い職場と自分たちが開発したものの権利を得ることを条件に、地球の平和のために戦うと誓いました。

政府が秘密裏に運営している大規模な研究施設「セントラルシティー」に拠点を移したリードたちは、自分たち4人のチーム名を「ファンタスティック・フォー」と名付けました。

映画『ファンタスティック・フォー(2015)』の感想と評価


(C)2015 MARVEL & Subs.(C)2015 Twentieth Century Fox

転送装置を使って惑星ゼロに辿り着いたリードたちは、原作漫画では宇宙線と呼ばれる緑色のエネルギーを浴びた影響で、それぞれ特殊能力を身につけました。

スーが特殊能力を持ったのは、おそらく手動で再転送しようと転送装置の近くにいたことで、エネルギーを浴びてしまったのではないかと考察できます。

ただリードたちの無断の惑星ゼロへの転送事故によって、リードたちと惑星ゼロに取り残されてしまったビクターの運命は大きく変わってしまいました。

素行が悪く社会からドロップアウトしていたビクターは、フランクリンからの誘いを受けて、再び量子ゲートプロジェクトに参加します。

作中でビクターは参加理由として、自分ができなかったことを成し遂げたリードがどんな奴か見るため、と言っていましたが、本心は密かに想いを寄せるスーがいるからでしょう。

ビクターが直接スーに言い寄る描写はないものの、リードとスーが親しげに話しているところをむっとした顔で見ていたり、ヴィランとしてリードたちの前に立ちふさがった時も、「俺たち(スーとビクター)には別の未来が待っていた」という言葉を発したりしていました。

またビクターはリードの天才的な頭脳に対して嫉妬していたのです。それに加えて起きてしまった事故により、ビクターはヴィランへと変貌。

対してリードたちは、リードの脱走によって関係に亀裂が生じたものの、特殊能力を持つ自分を受け入れヒーローチームを結成しました。

もしあの事故が起きなければと、たらればが出てしまうほど、転送装置の完成まで仲睦まじかったリードたちを思うと、彼らがヒーローとヴィランと道を違えてしまったのがとても心苦しいです。

ですが同時に、特殊能力者同士のリードたちの戦いは、他のヒーローアクション作品にはない新鮮さに心躍ります。

まとめ


(C)2015 MARVEL & Subs.(C)2015 Twentieth Century Fox

不慮の事故で異次元のパワーによる特殊能力を持ったことで、運命が大きく変わってしまった5人の男女を描いたアメリカのSFスペクタクル・アクション作品でした。

本作の見どころは、突如特殊能力を持ったことに戸惑い、最終的にそれを受け入れると決意したリードたちの心の変化と、物語の終盤で描かれるリードたちvsビクターの地球の存亡を懸けた戦いです。

「転送装置」と「惑星ゼロのエネルギー」が物語の鍵を握ります。物語の最初ではフランクリンが掲げる「量子ゲートプロジェクト」のことを鼻で笑っていたアレン博士たち政府と軍関係者たちでしたが、本当に異次元の世界があり、リードたちのような特殊能力を得ることができると知って手のひらを返します。

しかしそれは、リードたちのことを「子供たち」と呼んで大切に想っているフランクリンの意思を無視し、特殊能力を持ったベンたちを兵器として扱い、転送装置を使って惑星ゼロのエネルギーを手に入れて軍事力とする恐ろしい計画を企てていたからです。

そんなことをしたアレン博士への仕打ちは当然のことでしょう。また地球を救ったリードたちは、自分たちを利用しようとする政府と軍関係者を逆に利用し、自分たちに優位になるよう取引していた姿も見ていてスカッとします。

リードたち4人によるヒーローチーム「ファンタスティック・フォー」が、今後どう地球の平和を守っていくのか気になる物語のラストでした。

「アベンジャーズ」の原点である、マーベル・コミック最初のヒーローチームの誕生と最初の戦いを描いた、ワクワクドキドキのSFスペクタクル・アクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら




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