連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第18回
深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信サービス【U-NEXT】で鑑賞することも可能です。
そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第18回は、ダン・ビショップ監督が演出を務めた、映画『ジュラシック・ブリーダー』です。
ダン・ビショップが監督・脚本を務め、2013年にアメリカとロシアで製作された、地球最古の恐怖からの大脱出を描いたサバイバル&パニックアクション映画『ジュラシック・ブリーダー』。
突如街中に逃げ出したアクロカントサウルス・メガロサウルス・ヴェロキラプトルなどのレアな恐竜たちと対峙し、最凶の恐怖を回避しようと奮闘する人々の姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
ヤナ・メイションが主演を務める、恐竜の真の恐ろしさを体感できる恐竜vs人間(現代人)というサバイバル&パニックアクション映画『ジュラシック・ブリーダー』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。
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映画『ジュラシック・ブリーダー』の作品情報
【公開】
2013年(アメリカ・ロシア合作映画)
【原題】
Raptor Ranch
【監督・脚本】
ダン・ビショップ
【キャスト】
ヤナ・メイション、ジャナ・マッショニー、ロレンツォ・ラマス、コール・ブラウン、ドニー・ボアズ、コディ・ヴォーン、アレクサンドラ・ニコル・ハルム、アル・バーク、デクラン・ジョイス
【作品概要】
『パニック 脳壊(2002)』『カントリー・ベアーズ(2003)』『シングルマン(2010)』『Dearダニー 君へのうた』などを手掛けるダン・ビショップ監督のサバイバル&パニックアクション作品です。
『レジェンド・オブ・ホーン~伝説の大冒険~(2013)』に出演したヤナ・メイションが主演を務め、ロレンツォ・ラマスやジャナ・マッショニーら豪華キャスト陣が出演します。
映画『ジュラシック・ブリーダー』のあらすじとネタバレ
アメリカ・テキサス州郊外の田舎町フォッシルリッジ、そこには頑固な性格ながら弓矢に長けた先住民族の末裔、アビー・ホワイトクラウドとその母親が住んでいました。
しかし半年前、森の中で祈りを捧げていたアビーの母親は、突如現れた謎の恐竜に襲われ、捕食されてしまいます。アビーの母親は翌日、変死体として発見されました。
この事件を極秘に調査するFBI捜査官のローガンは、テキサス州オースティンにある連邦政府ビルへ左遷されてきた特別捜査官オースティンと共に、科学捜査班『CSI』が調査する現場へ急行します。
フォッシルリッジには、牧場を営むケイン博士が秘密裏に恐竜を飼育していました。ケイン博士はベスと名付けた恐竜に、赤ん坊の頃妻を捕食されていようと構わず、我が子のように面倒をみて可愛がります。
歌手になって田舎町を抜け出す夢を持つ22歳のアビーは、ガソリンスタンドのドライブイン『ビリーの満腹亭』の店主ビリーの元で、ウェイトレスとして働いていました。
大学生のルーカスは、友人のシェルドンとビーストを連れて、女の子との出会いを求めて学校帰りに車でスキー場へ向かいました。
ライブをしていた町から追い出されたオネエの黒人歌手ウィリーは、仲間のコリンとジョージと一緒に改造バスに乗って、男性との出会いを求めてロスのビーチに向かいました。
フォッシルエリッジへ到着したローガンたちは、『CSI』の女性アトウッドと保安官のモーガンとジョーンズと合流します。
ローガンたちはモーガンとアトウッドから、「ここ3ヶ月で住民3名と犬7匹、牛十数頭が突然姿を消す事件が起きた。何の手掛かりも掴めなかったが、変死体のそばに大型動物の歯形と奇妙な足跡が見つけた」と報告を受けました。
小川のそばにあった奇妙な足跡と、噛み千切られた被害者の手を実際に見たローガンたちは、アトウッドに本部へ行ってDNA鑑定してもらうよう頼みます。
ケイン博士はアビーを車で送った後、発電機用の給油タンクと動物の死骸を乗せたオンボロのトラックを運転し、『ビリーの満腹亭』へガソリンの給油をしに来ました。
ケイン博士は給油してくれたアビーを呼び、「私は一生を研究に捧げてきたが、その成果が発表されるまで命が持たないだろう。人生とは皮肉なものだ。何事もやると決めたら、ベストを尽くすんだよ」と、謎の言葉を告げます。
ローガンたちはフォッシルリッジにある宿へ行く前、食事をしようと立ち寄った喫茶店で、奇妙なことを耳にしました。
従業員のキャリーアンに「妙な殺人事件が起きたって噂だよ。ケイン博士は調べた?」と尋ねられたことと、それを咎めた男性従業員がキャリーアンに「妙な噂が流れたりしたらどうするんだ、この事はもう話すな」と話していたのです。
これを聞いていたローガンは、オーライリーに宿への道中、車の中で「明日の朝一に、ケイン博士を調べよう」と話します。
その日の夜、ガス欠になったルーカス一行と、エンストしたウィリー一行が、ガソリンを求めてガソリンスタンドへ立ち寄りました。しかしアビーとビリー曰く、もうガソリンは残っていませんでした。
その事について、ルーカスたちがアビーたちに詰め寄った瞬間、何かの唸り声が聞こえきました。
ビビるルーカス達を見て笑うビリーは、「あれはケイン博士のところで飼っている生き物だ。詳しくは分からないが、何かとんでもない研究をやっているそうだ。ガソリンを持っていることは確かだ」と言い、アビーに店の鍵を渡して立ち去っていきます。
アビーは以前からビリーにセクハラされていたため、堪忍袋の緒が切れて仕事を辞めると言い出し、シェルドンに店の鍵を投げ渡しました。シェルドンは帰ろうとするアビーを呼び止め、ケイン博士の家へ連れて行って欲しいと頼みます。
アビーに道案内をお願いしたシェルドンは、勝手に入って店の食料を漁るルーカスを呼び戻しに行きました。しかし、ルーカスは良い雰囲気になったジョージと一緒にここに残ると言い出すのです。
これに呆れたシェルドンは、アビー・ビースト・コリンと一緒に、ケイン博士の家へ向かうことにしました。その道中、アビーたちを見つめ、後ろをついてくる恐竜の姿が見え隠れします。
その頃、宿の部屋で寛いでいたローガンは、DNA鑑定が済んだアトウッドから「獣脚類の恐竜のドロマエオサウルスに近く、約7500万年前の白亜紀後期に絶滅したと思われた、爬虫類系の恐竜の足跡だった」と報告を受けました。
さらにアトウッドは、「現場は軍が封鎖するけど、忠告しておく。彼らは史上最も凶暴な夜行性の肉食動物かもしれないから、朝まで外出は控えて」とローガンたちに忠告します。
アビーたちは、道の途中で昼間アビーが乗り捨てた車に乗り込み、『恐竜牧場』と書かれた看板があるケイン博士の家に着きました。
家の前で倒れていたケイン博士は、「ここにいては危険だ、私の事は良いから早くここから逃げろ」とアビーたちに必死に訴えます。
アビーたちはケイン博士を抱えて家の中へ入りますが、玄関の鳥の置物に怯えるビーストは入らず、庭で待つことにしました。
ビーストは鳴き声が聞こえた厩舎に近づき、看板に書かれた『アクロカントサウルス』を『クラッカーの倉庫』と読み間違えて、意気揚々と中へ入っていきます。しかし、そこでビーストが見たのは複数の卵と赤ちゃん恐竜でした。
アビーは、ケイン博士の常備薬を取りに屋根裏部屋へ向かいます。その時アビーは、屋根裏部屋に動物の頭の骨や研究用ラット、小さいチーターにホルマリン漬けにされたものを見てゾッとしました。
アビーが薬を取って、ケイン博士を介抱しているシェルドンたちの元へ戻るも、ケイン博士は心臓発作で死んでしまいます。その直後、家に引き返してきたビーストが言うヒヨコを見に、アビーたちは厩舎へ向かいました。
アビーたちはヒヨコではなく、赤ちゃん恐竜であることに気づくと、一目散に厩舎を飛び出して逃げます。アビーは皆でここから逃げることを提案し、シェルドンに車にある懐中電灯を、ビーストにガソリン缶を探して持ってくるよう指示を出しました。
ガソリン缶を見つけたビーストは、近くにあったボタンを押して外灯をつけます。その瞬間、目の前の厩舎から何か視線を感じたアビーとコリンは、その場で足が竦んでしまいました。
それに気づかないビーストは、『扉(ドアーズ)』を『ドアーズというロックバンド』と読み間違えてボタンを押し、厩舎の扉を2つ開錠してしまいます。
これによって解き放たれたヴェロキラプトル2頭は、真っ先に目の前にいるアビーたちに接近していきました。ビーストはヴェロキラプトル2頭を見て激しく動揺し、『アクロカントサウルス』『ティラノサウルス』『メガロサウルス』がいる厩舎も開けてしまうのです。
映画『ジュラシック・ブリーダー』の感想と評価
町を出たいと願う地元の女性アビーとセクハラ店主のビリー、ガソリンを求めてやって来たルーカスたちが、恐竜に襲われる夜を過ごしていく姿はドキドキハラハラする場面ばかりで、落ち着く暇がありません。
それもこれも全て、英語を正しく読めないビーストが、パニックになったのも相まって、次々とボタンを押して恐竜たちを解放してしまったからです。
ビーストがやらかしてしまう場面や、ルーカスとウィリーがそれぞれ空気も読まず、自由に過ごしている場面はこの作品で唯一笑えるところでした。
しかし、ジョージやビリーが捕食されたシーンは特にグロテスクで、観ているこちらも思わずアビーたちのように絶叫するほど恐ろしいです。
恐竜vs現代人の命懸けの戦いと鬼ごっこが本作の最大の見所ですが、本作にはティラノサウルス・メガロサウルス・ヴェロキラプトル・アクロカントサウルスと、絶滅したレアな恐竜たちが登場し、彼らの迫力ある戦いも見どころとなっています。
恐竜好きにはたまらない場面も盛りだくさんでした。アビーが弓矢で、恐竜に立ち向かう姿も格好良いです。
まとめ
あるドジな青年が誤ってボタンを押してしまったせいで、脱走した恐竜たちと現代人が戦うサバイバル&パニックアクション作品でした。
冒頭にあったアビーの母親が恐竜に襲われたところも怖いですが、そこからビリーやジョージが捕食されるところは、そのあまりにもグロテスクで怖いことから誰もが絶叫すること間違いなしでしょう。
現場にいち早く到着していたローガンたちFBIや保安官が、アビーたちと一緒に恐竜たちに立ち向かうのかなと期待していましたが、彼らが現れたのは全てが終わった後でした。
若者だけで追いかけてくる巨大恐竜に立ち向かったその勇姿は素晴らしく、ジャナ・マッショニー演じるアビーが弓矢で戦う姿も逞しくて格好良いです。
アビーだけが生き残ったかと思いきや、1頭のヴェロキラプトルも生き残っていたのが物語のラストで明かされています。
若者たちだけでレアな恐竜たちに立ち向かい、生存するのはアビーとヴェロキラプトルだけという、衝撃的な結末で終わる恐竜もののサバイバル&パニックアクション映画が観てみたい人に、ぜひオススメしたい作品です。
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