連載コラム「邦画特撮大全」第99章
今回の邦画特撮大全は、Vシネクスト『テン・ゴーカイジャー』を紹介します。
2011年から2012年にかけて放送されたスーパー戦隊シリーズ35作品目『海賊戦隊ゴーカイジャー』。『テン・ゴーカイジャー』は今年2021年に10周年を迎えた『海賊戦隊ゴーカイジャー』の最新作です。
ゴーカイジャーがスクリーンに登場するのは、『特命戦隊ゴーバスターズVS海賊戦隊ゴーカイジャー』(2013)以来8年ぶり。ゴーカイジャーの再集結自体も『動物戦隊ジュウオウジャー』(2016)にゲスト出演して以来、実に5年ぶりです。
映画『テン・ゴーカイジャー』の作品概要
【公開】
2021年(日本映画)
【原作】
八手三郎、石ノ森章太郎
【脚本】
荒川稔久
【監督】
中澤祥次郎
【キャスト】
小澤亮太、山田裕貴、市道真央、清水一希、小池唯、池田純矢、細貝圭、関智一、田村ゆかり、川野快晴、松本寛也、庄司浩平、松原剛志、坂田梨香子、吉田メタル、山崎潤
【作品概要】
スーパー戦隊シリーズ『海賊戦隊ゴーカイジャー』の10周年記念作品。
キャプテン・マーベラス/ゴーカイレッド役の小澤亮太をはじめ、映画『東京卍リベンジャーズ』など数多くの話題作に出演する山田裕貴、M・A・O名義で声優として活躍する市道真央、池田純矢、小池唯、清水一希ら『海賊戦隊ゴーカイジャー』のオリジナルキャストが再結集。
TVシリーズでマーベラスのライバル、バスコ・ダ・ジョロキアで出演した細貝圭も、益子田昭郎という別人の役で登場しています。
監督は『海賊戦隊ゴーカイジャー』のパイロット監督を務めた中澤祥次郎、脚本もメインライターであった荒川稔久が務めます。
映画『テン・ゴーカイジャー』のあらすじとネタバレ
かつて歴代スーパー戦隊の大いなる力を使って、宇宙帝国ザンギャックと戦った海賊戦隊ゴーカイジャー。
その戦いから10年、彼らの船ゴーカイガレオンは沈み、海賊戦隊ゴーカイジャーは解散してしまいました。
久しぶりに地球を訪れたハカセことドン・ドッゴイヤー/ゴーカイグリーン。地球では公営ギャンブル“スーパー戦隊ダービーコロッセオ”が開催され、老若男女はそれに興じていました。
スーパー戦隊の大いなる力を宿した“レンジャーキー”を使って実体化させた歴代スーパー戦隊を戦わせるという、防衛大臣直轄のプロジェクトで、収益は地球の防衛費に充てられます。
このプロジェクトには伊狩鎧/ゴーカイシルバーも賛同していました。しかし運営側はゴーカイジャーとはコンタクトが取れず、彼らのレンジャーキーを手に入れてはいません。
同じく久しぶりに地球にやって来たキャプテン・マーベラス/ゴーカイレッド。ある戦いで損傷したのか片目に眼帯をしています。
しかしマーベラスは懸賞金に目がくらんだかつての仲間ルカ・ミルフィ/ゴーカイイエローに捕えられ、防衛大臣の前に引きずり出されてしまいました。
マーベラスは自身のレンジャーキーと運営側が所持しているレンジャーキーを賭けて、歴代スーパー戦隊100人と戦う“スーパー戦隊百人斬り”に挑みます。変身せず順調に歴代戦隊を倒して行くマーベラス。
しかし100人目の相手としてマーベラスの眼前に現れたのは、かつての仲間・伊狩鎧でした……。
映画『テン・ゴーカイジャー』の感想と評価
放送開始から10周年を記念して製作された『海賊戦隊ゴーカイジャー』の最新作『テン・ゴーカイジャー』。
予告編だけを見るとかなりシリアスな物語を想像してしまいますが、実際本編を観るとファンが見たかったものが満載の娯楽作となっていました。
オリジナルキャストの再結集のほか、現在はスーパー戦隊シリーズでアクション監督を務めている福沢博文をはじめ、ゴーカイジャーのアクションクルーも再結集。
またエンディングには最新作『機界戦隊ゼンカイジャー』までの歌詞を足した「スーパー戦隊ヒーローゲッター~テン・ゴーカイジャーver.~」というのもファンを喜ばせます。
これまで『忍風戦隊ハリケンジャー』(2002)、『特捜戦隊デカレンジャー』(2004)、『炎神戦隊ゴーオンジャー』(2008)といったスーパー戦隊作品が、10周年記念の新作Vシネマを製作されています。
これらに続く第4弾として製作された『テン・ゴーカイジャー』は、上記3作品と共通した要素を用いながらゴーカイジャーらしい作品となっていました。
10年という時の流れがゴーカイジャーたちを変えたのか。10年ぶりの新作ということで、題名に『テン』と冠していることからも、この月日の流れが大きなテーマとなっていることは間違いありません。
本作ではキャプテン・マーベラス/ゴーカイレッドと伊狩鎧/ゴーカイシルバーの直接対決、懸賞金目当てのルカ・ミルフィ/ゴーカイイエローがマーベラスを敵に売る場面などが見られました。
『ハリケンジャー』や『ゴーオンジャー』ではかつての仲間同士の対決、『デカレンジャー』でも各メンバーの対立が、10年ぶりの新作で見られました。登場人物の変化を一番わかりやすく表現する方法は仲間同士を敵対させることです。
また10年の時の流れは残酷で、撮影当時の着ぐるみ等が現存していない場合が多いです。本作『テン・ゴーカイジャー』ではゴーカイジャーの海賊船ゴーカイガレオンが沈んだことから物語が始まりましたが、これは恐らく巨大ロボ・ゴーカイオーの着ぐるみが現存していないための逆転の発想と言えるでしょう。
巨大ロボ戦がない代わりに、本作ではゴーカイジャーの新フォーム“がレオンアーマーモード”が登場しました。
そしてゴーカイジャーらしさと言えば、やはり歴代スーパー戦隊が登場するという点。そのため本作に登場した、公営ギャンブル“スーパー戦隊ダービーコロッセオ”という設定は上映時間内に多くのスーパー戦隊を登場させる有効的な手段でした。
そのほか今年2021年に発刊され話題となった『学研の図鑑 スーパー戦隊』や、『魔法戦隊マジレンジャー』小津翼/マジイエロー役でスーパー戦隊親善大使である松本寛也が本人役で登場するなど、実際のスーパー戦隊にまつわるムーブメントも物語に組み込まれている点も非常に面白いでしょう。
まとめ
10年という月日の流れをテーマに再結集した宇宙海賊の勇姿を描く『テン・ゴーカイジャー』。
ゴーカイジャーの名にふさわしい豪快な展開と物語、スーパー戦隊ファンをニヤリとさせる小ネタも満載です。ゴーカイジャーファン、スーパー戦隊ファンであればあるほど楽しめる作品となっています。