連載コラム「邦画特撮大全」第81章
今回の邦画特撮大全は2021年3月7日から放送が開始される、スーパー戦隊シリーズ最新作『機界戦隊ゼンカイジャー』を紹介します。
2021年1月15日に行われた製作発表会見では、メインキャストと主題歌アーティストなどが発表された『機界戦隊ゼンカイジャー』。それらの関連情報から、過去のスーパー戦隊との違いや共通点を見て行きます。
CONTENTS
『機界戦隊ゼンカイジャー』の作品情報
【放送開始日】
2021年3月7日
【原作】
八手三郎
【Special Thanks】
石ノ森章太郎
【プロデューサー】
井上千尋(テレビ朝日)、白倉伸一郎、武部直美
【監督】
中澤祥次郎ほか
【脚本】
香村純子ほか
【主題歌】
つるの剛士
【キャスト】
駒木根葵汰、浅沼晋太郎、梶裕貴、宮本侑芽、佐藤拓也、榊原郁恵
『機界戦隊ゼンカイジャー』スタッフ&キャスト紹介
『機界戦隊ゼンカイジャー』スタッフ
並行世界をすべて消し去ってしまおうとする敵トジデントに、全力全開で立ち向かうヒーローの活躍を描くスーパー戦隊シリーズの第45作目『機界戦隊ゼンカイジャー』。
プロデューサーは平成仮面ライダーシリーズを多数手掛け、『仮面ライダーディケイド』(2009)や『仮面ライダージオウ』(2018)など平成ライダーのアニバーサリー作品を手がけた白倉伸一郎と武部直美が担当します。白倉伸一郎がスーパー戦隊シリーズに登板するのは、『五星戦隊ダイレンジャー』(1993)以来27年ぶりです。武部直美もチーフプロデューサーを担当した『手裏剣戦隊ニンニンジャー』(2015)以来のスーパー戦隊への登板となります。
脚本は『動物戦隊ジュウオウジャー』(2016)、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(2018)のメインライター香村純子が担当。スーパー戦隊シリーズ35作記念作品『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011)のパイロットを担当した、中澤祥次郎監督が45作記念作品である本作のパイロット(第1話・第2話)を演出します。
そして音楽を担当するのは渡辺宙明と大石憲一郎。『人造人間キカイダー』やスーパー戦隊シリーズ第1作目『秘密戦隊ゴレンジャー』の音楽を担当した御年95歳の作曲家・渡辺宙明が『大戦隊ゴーグルV』以来、実に39年ぶりにスーパー戦隊シリーズの劇中音楽を担当します。
『機界戦隊ゼンカイジャー』キャスト
主人公の五色田介人/ゼンカイザーを演じるのは、AbemaTVが製作する恋愛リアリティ番組『太陽とオオカミくんには騙されない』に出演していた駒木根葵汰です。過去の『オオカミくんには騙されない』シリーズには、『仮面ライダーゼロワン』(2019)の高橋文哉、『仮面ライダーセイバー』(2020~)の内藤秀一郎と山口貴也らが出演していました。
今回のスーパー戦隊は五色田介人/ゼンカイザーを除く他の4人のメンバーは、人間ではなく着ぐるみのキャラクター。彼らには人気声優たちが声をあてます。
ジュラン/ゼンカイジュランには、アニメ『暗殺教室』や『ヒプノシスマイク』碧棺佐馬刻役などの浅沼晋太郎。ガオーン/ゼンカイガオーンには、『進撃の巨人』の主人公エレン・イェーガー役などの梶裕貴。マジーヌ/ゼンカイマジーヌには、『SSSS.GRIDMAN』宝多立花役などの宮本侑芽。そしてブルーン/ゼンカイブルーンには、『カードファイト!!ヴァンガード』の櫂トシキ役などの佐藤拓也。個性的な声優陣が登板しています。
そして五色田介人の祖母・五色田ヤツデ役には榊原郁恵。プロモーション映像では爆炎を背景に銃を構えたヤツデのカットがあり、ヤツデがどのように活躍するのか期待を膨らませます。
「人間1人&機械生命体4体」の異色編成
ゼンカイジャーは五色田介人/ゼンカイザーのみが人間で、他の4人は機械生命体“キカイノイド”という着ぐるみキャラクターという異色の編成です。
第40作『動物戦隊ジュウオウジャー』(2016)は、風切大和/ジュウオウイーグルを除く4人のメンバーが異世界からやって来た“ジューマン”という獣人でした。ジューマンは着ぐるみで表現されていましたが、ジュウオウジャーとなった彼ら4人は人間世界で暮らすため、基本的には人間の姿で活動していました。
第41作『宇宙戦隊キュウレンジャー』(2017)も宇宙人やロボットなど着ぐるみキャラクターが4人いるメンバーの戦隊です。しかしキュウレンジャーは総勢9人(最終的に12人)の戦隊。残りの5人は俳優が顔出しで演じているキャラクターです。着ぐるみキャラクターが変身する戦隊ヒーローは過去に例があるものの、人間が1人という編成はかなり異例なのがわかります。
さらに『ゼンカイジャー』が異例なのが、キカイノイドがそのまま巨大化して、巨大ロボ戦を繰り広げるという点です。スーパー戦隊シリーズの更なる進化を感じさせます。
過去の戦隊ロボがモデル/機械生命体キカイノイド
『ゼンカイジャー』のキカイノイド4体は過去のスーパー戦隊の巨大ロボをモデルにしています。
ジュラン/ゼンカイジュランは『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(1992)の大獣神がモデル。ガオーン/ゼンカイガオーンは、シリーズ25作品目『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001)のガオキング、マジーヌ/ゼンカイマジーヌは『魔法戦隊マジレンジャー』(2005)のマジキング、ブルーン/ゼンカイブルーンは『轟轟戦隊ボウケンジャー』(2006)のダイボウケンというようになっています。
シリーズ第30作記念作品『轟轟戦隊ボウケンジャー』では、過去の戦隊の巨大ロボをモデルにした敵怪人が登場していました。例えば敵組織ジャリュウ一族の首領リュウオーンのモデルはジュランと同じく、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』の大獣神です。実はこれらはプロデューサーサイドの発案ではなく、デザインを担当した篠原保が30作記念ということで「隠しモチーフ」として取り入れた趣向です。『ボウケンジャー』プロデューサーを担当した日笠淳も、途中でそれに気付いたと言います。
また『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(2018)では、敵怪人ギャングラーが操るアイテム「ルパンコレクション」のモチーフが、過去のスーパー戦隊の変身アイテムや武器でした。
ゼンカイジャーは“ギアトリンガー”というアイテムを使って変身と攻撃をします。そしてこのギアトリンガーとスーパー戦隊の力が凝縮された“センタイギア”を組み合わせて戦うのです。
『機界戦隊ゼンカイジャー』は、『轟轟戦隊ボウケンジャー』や『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』のような小ネタ的な扱いではなく、『海賊戦隊ゴーカイジャー』のように過去のスーパー戦隊の要素を前面に組み込んだ作品になるようです。過去のスーパー戦隊の要素がどのような形で『ゼンカイジャー』に登場するのかも注目ポイントでしょう。
まとめ
2021年3月7日から放送開始される『機界戦隊ゼンカイジャー』。異例づくしの戦隊であり、過去のスーパー戦隊の要素も多数登場するアニバーサリー作品です。スーパー戦隊の歴史と進化を感じさせる作品となることでしょう。
また『スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021』の一編として、『機界戦隊ゼンカイジャーTHE MOVIE 赤い戦い!オール戦隊大集会』が2021年2月20日より劇場公開。ゼンカイジャーの勇姿をTVシリーズより一足先に堪能できます。
次回の邦画特撮大全は…
次回の邦画特撮大全は『スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021』から、『魔進戦隊キラメイジャーTHE MOVIE ビー・バップ・ドリーム』を紹介します。お楽しみに。