Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2021/01/28
Update

『機界戦隊ゼンカイジャー』キャスト/声優の感想評価。ロボの元ネタなど過去戦隊シリーズとの比較も|邦画特撮大全81

  • Writer :
  • 森谷秀

連載コラム「邦画特撮大全」第81章

今回の邦画特撮大全は2021年3月7日から放送が開始される、スーパー戦隊シリーズ最新作『機界戦隊ゼンカイジャー』を紹介します。

2021年1月15日に行われた製作発表会見では、メインキャストと主題歌アーティストなどが発表された『機界戦隊ゼンカイジャー』。それらの関連情報から、過去のスーパー戦隊との違いや共通点を見て行きます。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら

『機界戦隊ゼンカイジャー』の作品情報


(C)2021 テレビ朝日・東映AG・東映

【放送開始日】
2021年3月7日

【原作】
八手三郎

【Special Thanks】
石ノ森章太郎

【プロデューサー】
井上千尋(テレビ朝日)、白倉伸一郎、武部直美

【監督】
中澤祥次郎ほか

【脚本】
香村純子ほか

【主題歌】
つるの剛士

【キャスト】
駒木根葵汰、浅沼晋太郎、梶裕貴、宮本侑芽、佐藤拓也、榊原郁恵

『機界戦隊ゼンカイジャー』スタッフ&キャスト紹介

『機界戦隊ゼンカイジャー』スタッフ

並行世界をすべて消し去ってしまおうとする敵トジデントに、全力全開で立ち向かうヒーローの活躍を描くスーパー戦隊シリーズの第45作目『機界戦隊ゼンカイジャー』。

プロデューサーは平成仮面ライダーシリーズを多数手掛け、『仮面ライダーディケイド』(2009)や『仮面ライダージオウ』(2018)など平成ライダーのアニバーサリー作品を手がけた白倉伸一郎と武部直美が担当します。白倉伸一郎がスーパー戦隊シリーズに登板するのは、『五星戦隊ダイレンジャー』(1993)以来27年ぶりです。武部直美もチーフプロデューサーを担当した『手裏剣戦隊ニンニンジャー』(2015)以来のスーパー戦隊への登板となります。

脚本は『動物戦隊ジュウオウジャー』(2016)、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(2018)のメインライター香村純子が担当。スーパー戦隊シリーズ35作記念作品『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011)のパイロットを担当した、中澤祥次郎監督が45作記念作品である本作のパイロット(第1話・第2話)を演出します。

そして音楽を担当するのは渡辺宙明と大石憲一郎。『人造人間キカイダー』やスーパー戦隊シリーズ第1作目『秘密戦隊ゴレンジャー』の音楽を担当した御年95歳の作曲家・渡辺宙明が『大戦隊ゴーグルV』以来、実に39年ぶりにスーパー戦隊シリーズの劇中音楽を担当します。

『機界戦隊ゼンカイジャー』キャスト

主人公の五色田介人/ゼンカイザーを演じるのは、AbemaTVが製作する恋愛リアリティ番組『太陽とオオカミくんには騙されない』に出演していた駒木根葵汰です。過去の『オオカミくんには騙されない』シリーズには、『仮面ライダーゼロワン』(2019)の高橋文哉、『仮面ライダーセイバー』(2020~)の内藤秀一郎と山口貴也らが出演していました。

今回のスーパー戦隊は五色田介人/ゼンカイザーを除く他の4人のメンバーは、人間ではなく着ぐるみのキャラクター。彼らには人気声優たちが声をあてます。

ジュラン/ゼンカイジュランには、アニメ『暗殺教室』や『ヒプノシスマイク』碧棺佐馬刻役などの浅沼晋太郎。ガオーン/ゼンカイガオーンには、『進撃の巨人』の主人公エレン・イェーガー役などの梶裕貴。マジーヌ/ゼンカイマジーヌには、『SSSS.GRIDMAN』宝多立花役などの宮本侑芽。そしてブルーン/ゼンカイブルーンには、『カードファイト!!ヴァンガード』の櫂トシキ役などの佐藤拓也。個性的な声優陣が登板しています。

そして五色田介人の祖母・五色田ヤツデ役には榊原郁恵。プロモーション映像では爆炎を背景に銃を構えたヤツデのカットがあり、ヤツデがどのように活躍するのか期待を膨らませます。

「人間1人&機械生命体4体」の異色編成


(C)2021 テレビ朝日・東映AG・東映

ゼンカイジャーは五色田介人/ゼンカイザーのみが人間で、他の4人は機械生命体“キカイノイド”という着ぐるみキャラクターという異色の編成です。

第40作『動物戦隊ジュウオウジャー』(2016)は、風切大和/ジュウオウイーグルを除く4人のメンバーが異世界からやって来た“ジューマン”という獣人でした。ジューマンは着ぐるみで表現されていましたが、ジュウオウジャーとなった彼ら4人は人間世界で暮らすため、基本的には人間の姿で活動していました。

第41作『宇宙戦隊キュウレンジャー』(2017)も宇宙人やロボットなど着ぐるみキャラクターが4人いるメンバーの戦隊です。しかしキュウレンジャーは総勢9人(最終的に12人)の戦隊。残りの5人は俳優が顔出しで演じているキャラクターです。着ぐるみキャラクターが変身する戦隊ヒーローは過去に例があるものの、人間が1人という編成はかなり異例なのがわかります。

さらに『ゼンカイジャー』が異例なのが、キカイノイドがそのまま巨大化して、巨大ロボ戦を繰り広げるという点です。スーパー戦隊シリーズの更なる進化を感じさせます。

過去の戦隊ロボがモデル/機械生命体キカイノイド

『ゼンカイジャー』のキカイノイド4体は過去のスーパー戦隊の巨大ロボをモデルにしています。

ジュラン/ゼンカイジュランは『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(1992)の大獣神がモデル。ガオーン/ゼンカイガオーンは、シリーズ25作品目『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001)のガオキング、マジーヌ/ゼンカイマジーヌは『魔法戦隊マジレンジャー』(2005)のマジキング、ブルーン/ゼンカイブルーンは『轟轟戦隊ボウケンジャー』(2006)のダイボウケンというようになっています。

シリーズ第30作記念作品『轟轟戦隊ボウケンジャー』では、過去の戦隊の巨大ロボをモデルにした敵怪人が登場していました。例えば敵組織ジャリュウ一族の首領リュウオーンのモデルはジュランと同じく、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』の大獣神です。実はこれらはプロデューサーサイドの発案ではなく、デザインを担当した篠原保が30作記念ということで「隠しモチーフ」として取り入れた趣向です。『ボウケンジャー』プロデューサーを担当した日笠淳も、途中でそれに気付いたと言います。

また『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(2018)では、敵怪人ギャングラーが操るアイテム「ルパンコレクション」のモチーフが、過去のスーパー戦隊の変身アイテムや武器でした。

ゼンカイジャーは“ギアトリンガー”というアイテムを使って変身と攻撃をします。そしてこのギアトリンガーとスーパー戦隊の力が凝縮された“センタイギア”を組み合わせて戦うのです。

『機界戦隊ゼンカイジャー』は、『轟轟戦隊ボウケンジャー』や『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』のような小ネタ的な扱いではなく、『海賊戦隊ゴーカイジャー』のように過去のスーパー戦隊の要素を前面に組み込んだ作品になるようです。過去のスーパー戦隊の要素がどのような形で『ゼンカイジャー』に登場するのかも注目ポイントでしょう。

まとめ

2021年3月7日から放送開始される『機界戦隊ゼンカイジャー』。異例づくしの戦隊であり、過去のスーパー戦隊の要素も多数登場するアニバーサリー作品です。スーパー戦隊の歴史と進化を感じさせる作品となることでしょう。

また『スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021』の一編として、『機界戦隊ゼンカイジャーTHE MOVIE 赤い戦い!オール戦隊大集会』が2021年2月20日より劇場公開。ゼンカイジャーの勇姿をTVシリーズより一足先に堪能できます。

次回の邦画特撮大全は…


スーパーヒーロープロジェクト (C)テレビ朝日・東映AG・東映

次回の邦画特撮大全は『スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021』から、『魔進戦隊キラメイジャーTHE MOVIE ビー・バップ・ドリーム』を紹介します。お楽しみに。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら



関連記事

連載コラム

ゴダール作品『気狂いピエロ』ネタバレ感想とラストシーンの解説。 ある道化師の愛と言葉を永遠に|偏愛洋画劇場18

連載コラム「偏愛洋画劇場」第18幕 2018年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門で上映、特別賞のスペシャル・パルムドールを受賞した作品が『Le Livre d’Image』。 日本語では『イメージ …

連載コラム

サメ映画『海底47m 古代マヤの死の迷宮』感想評価と考察。続編の内容は絶望感のヤバイ演出が光る|SF恐怖映画という名の観覧車108

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile108 じめじめと湿度の高い梅雨が始まり、梅雨明けに夏が迫る時期になりました。 夏を舞台とした映画らしく「キラキラと明るく自然の豊かさを感じる雰 …

連載コラム

映画『デッドリー・ブライド』ネタバレ感想と結末解説のあらすじ。美しいサイコパス花嫁が理想の家族を追い求める|B級映画ザ・虎の穴ロードショー14

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第14回 深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信サービス【U-NEX …

連載コラム

【ネタバレ】キャドー湖の失踪|あらすじ感想と結末評価。シックスセンスのシャマラン製作のタイムリープスリラー|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー119

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第119回 深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞 …

連載コラム

映画『マイスモールランド』あらすじ感想と評価解説。嵐莉菜が在日クルド人の高校生の葛藤を熱演|山田あゆみのあしたも映画日和1

連載コラム「山田あゆみのあしたも映画日和」第1回 今回ご紹介する映画『マイスモールランド』は、日本で暮らす在日クルド人の少女が自身の居場所に葛藤する姿を描いた社会派ヒューマンドラマ映画。 是枝裕和監督 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学