Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2019/05/28
Update

映画『ゴジラVSキングギドラ』ネタバレ感想。スピルバーグ少佐などハリウッドの影響を解説|邦画特撮大全48

  • Writer :
  • 森谷秀

連載コラム「邦画特撮大全」第48章

遂に今週末2019年5月31日に公開する『ゴジラ キングオブモンスターズ』。

キングギドラやモスラ、ラドンといった人気怪獣がどのような活躍を見せるのか期待が高まります。

そこで今回の邦画特撮大全は、平成という新時代をむかえてから初めて人気怪獣“キングギドラ”が銀幕に登場した『ゴジラVSキングギドラ』(1991)を紹介します。

なお本作は2019年5月31日(金)19時からBS朝日にて放送されます。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら

映画『ゴジラVSキングギドラ』の作品情報


TM & (C)1991 TOHO CO., LTD.

【公開】
1991年12月14日(日本映画)

【監督】
大森一樹

【特技監督】
川北紘一

【脚本】
大森一樹

【音楽】
伊福部昭

【キャスト】
中川安奈、豊原功補、小高恵美、原田貴和子、佐々木勝彦、チャック・ウィルソン、小林昭二、上田耕一、佐原健二、黒部進、風見しんご、時任三郎、西岡徳馬、山村聰、土屋嘉男

【作品概要】
ゴジラシリーズ第18作目。脚本・監督の大森一樹、特技監督の川北紘一は前作『ゴジラVSビオランテ』(1989)から続投しています。

音楽はすぎやまこういちに替り、第1作目の音楽を担当した伊福部昭がシリーズに復帰しています。

出演者には『敦煌』(1988)の中川安奈、後に阪本順治監督作品の常連となる豊原功補。

前作『VSビオランテ』で演じた三枝未希役で再登場となった小高恵美のほか、佐々木勝彦、佐原健二、土屋嘉男らゴジラシリーズに出演経験のある俳優陣となっています。

本作はゴジラとキングギドラが1対1で戦う唯一の作品であり、作品タイトルに初めて“キングギドラ”の名を冠した作品でもあります。

映画『ゴジラVSキングギドラ』のあらすじとネタバレ


TM & (C)1991 TOHO CO., LTD.

1992年の東京上空に謎の飛行物体が現れ、富士山麓に着陸しました。

飛行物体は巨大なタイムマシン“MOTHER”で、中から現れたのは23世紀の未来人であるウィルソン、グレンチコ、エミー・カノーの3人。

彼らは「23世紀の日本はゴジラによる核汚染によって死滅する」と、現代の日本政府に警告します。

一方、ノンフィクションライターの寺沢健一郎は福岡恐竜ワールドで抗議を行った池畑益吉という老人に興味を持ちます。

池畑は太平洋戦争中にマーシャル諸島・ラゴス島で恐竜に命を救われたといいます。

調査を進めると巨大コンツェルン“帝洋グループ”の会長・新堂靖明は太平洋戦争中、池畑が所属していたラゴス島の守備隊長だったのです。

新堂と面会した寺沢は「ラゴス島の恐竜が1954年に行われたビキニ環礁の水爆実験で放射能を浴びてゴジラと化したのでは」と自説を論じます。

未来人は寺沢の説を支持し、過去へ飛び「ラゴス島の恐竜が放射能を浴びる前に別の場所に移動させて、ゴジラの存在自体を抹殺する」という計画を提案します。

政府はこの計画を受諾し未来人から指名された寺沢、国立超科学センターの三枝未希、古生物学者の真崎洋典を招聘します。

3人はエミーとアンドロイド・M11とともに、タイムマシン“KIDS”で1944年のラゴス島へタイムスリップします。

タイムスリップした彼らはラゴス島で恐竜“ゴジラザウルス”と遭遇します。エミーは物質転移装置を使ってゴジラザウルスをベーリング海に移動させました。

計画が成功し1992年の現代へ4人が戻ると、ゴジラの存在が消えた代りに巨大な翼と3本の首を有した怪獣・キングギドラが現れ、日本を襲撃していたのです。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ゴジラVSキングギドラ』ネタバレ・結末の記載がございます。『ゴジラVSキングギドラ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
日本は23世紀の未来でアメリカ・ソ連をはるかに凌ぐ経済大国に成長していたのです。

3人の未来人は国力の格差を是正する組織“地球均等環境会議”のメンバーで、彼らの目的は「日本の国力増強を止めるため」だったのです。

しかし過激派のウィルソンとグレンチコはそれだけに止まらず、キングギドラを操作し日本そのものを破壊せんとします。

キングギドラは福岡を破壊。次の破壊目標にとウィルソンはキングギドラを北海道へ向かわせます。

エミーはウィルソンたちのやり方に反発し、寺沢ら現代の日本人と行動を共にするのでした。

未希は自身が持つテレパシー能力によって、ベーリング海にゴジラの気配を感じていました。

なんとゴジラザウルスはソ連籍の原子力潜水艦が沈没した際に漏らした放射能を吸収し、ゴジラへと変化を果たしていました。

かつてゴジラザウルスに命を救われた新堂はゴジラを復活させるため、自身が所有する原潜をベーリング海に向かわせます。

しかし原潜は撃沈し、放射能をゴジラに吸収されてしまいます。

強大化したゴジラは北海道に上陸しキングギドラと戦うのです。エミーは寺沢とともにMOTHERのメインコンピューターを破壊!

ウィルソンたちはキングギドラを操作できなくなります。

ゴジラはキングギドラをオホーツク海に沈め、ウィルソンとグレンチコともどもMOTHERを破壊しました。

しかしウィルソンが遺した「ゴジラが日本を破壊する」という言葉通り、ゴジラは札幌などの都市を破壊しながら首都圏を目
指して進みます。

エミーは一旦23世紀へ帰還し、オホーツク海に沈んでいたキングギドラを回収します。23世紀の技術によってキングギドラをゴジラに対抗する兵器“メカキングギドラ”に改造しました。

そして寺沢たちが見守る中、新宿副都心でエミーが操縦するメカキングギドラがゴジラと激突します‼

激闘の末、メカキングギドラはゴジラを捕獲。首都圏から離れた場所へゴジラを運搬するエミーでしたが、目覚めたゴジラが口から熱線を発射。

エミーはすんでのところで23世紀へと戻ります。

ゴジラは海に沈んでいきましたが、まだ死に至ってはいなかったのです…。

映画『ゴジラVSキングギドラ』の感想と評価

ゴジラの生みの親の1人である田中友幸は前作『ゴジラVSビオランテ』製作の際、「007」シリーズのようなスピード感を求めたと言います。

本作『ゴジラVSキングギドラ』では、ハリウッドのSF映画の要素が数多く導入されています。

本作の物語の中心に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ(1985~1990)を思わせる“タイムトラベル”が導入されています。

歴史を改変するために未来からやって来る敵役、アンドロイド・M11の皮膚が炎で溶けて内部の機械が露出する描写は「ターミネーター」シリーズの影響でしょう。

本作のヒロインであるエミー・カノーがメカキングギドラを操縦してゴジラと戦うのは、『エイリアン2』(1986)でパワーローダーを操縦するリプリー(シガニー・ウィーバー)を思わせます。

さらにはスピルバーグ少佐(演じるのはダニエル・カール)なるキャラクターまで登場します。

このように導入されたハリウッド映画の要素によって、本作はこれまでのゴジラシリーズ以上に“SF性”を高めた作品になっています。

劇中で描かれる未来では日本は超大国に成長していたり、ソ連が23世紀でも存在していたりするなど現実とは大きく違うものとなってしまいました。

本作の製作・公開当時はバブル絶頂時代で、本作の未来像は当時の時代背景から計算されたものです。

映像作品はどうしても作られた時代の空気を取り込んでしまうものです。『ゴジラVSキングギドラ』は怪獣対決だけでなく、公開当時のバブルという世相の一端を垣間見ることが出来るのではないでしょうか。

まとめ

ハリウッド映画の要素を多数導入してSF性を高めた『ゴジラVSキングギドラ』。

ゴジラとキングギドラが1対1で対決する唯一の作品です。

公開当時のバブルの空気を感じながら、2大怪獣の対決を楽しんでみてはいかがですか。

次回の邦画特撮大全は…

次回の邦画特撮大全は、『ゴジラVSモスラ』(1992)を特集します。

お楽しみに。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら

関連記事

連載コラム

ホラー映画『ザ・ゴーレム』評価レビューと解説。少年型の人形で人間の業を描くイスラエル作品|SF恐怖映画という名の観覧車73

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile073 大好評開催中の「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション 2019」。 ヒューマントラストシネマ渋谷ではいよいよ大詰めを迎え、1 …

連載コラム

映画『息子のままで、女子になる』感想評価とレビュー。サリー楓に密着したLGBTドキュメンタリーは“You decide.”の言葉が意味を解く|映画という星空を知るひとよ65

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第65回 新世代のトランスジェンダーのアイコンとして注目されるサリー楓。男性として生まれた楓が、“女性”として踏み出した瞬間を追ったドキュメンタリー映画『息子の …

連載コラム

バットマンvsスーパーマン (2016)|ネタバレ解説と評価。ワンダーウーマンの絶対的な象徴を超えた魅力|最強アメコミ番付評16

こんにちは、野洲川亮です。 2016年に公開された『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』は、DCコミックスのアメリカン・コミックの『バットマン』と『スーパーマン』の実写化された映画。 今回 …

連載コラム

映画『ファルハ』あらすじ感想と解説評価。難民少女の実体験から‟扉の隙間から覗く戦争の真実”を描く|2022SKIPシティ映画祭【国際Dシネマ】厳選特集8

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022国際コンペティション部門ダリン・J・サラム監督作品『ファルハ』 2004年に埼玉県川口市で誕生した「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」は、映画産業の変革の中で新 …

連載コラム

リティ・パン映画『照射(Irradiated)』内容解説と考察。監督はドキュメンタリーとして「人類史上の三大悲劇」より“人間の罪”を問う|2020広島国際映画祭リポート2

広島国際映画祭2020 「ヒロシマEYE」招待作品『照射(lrradiated)』 ナチスのユダヤ人大虐殺、カンボジアのポル・ポト政権下の虐殺、広島・長崎の原爆投下という「人類史上の三大悲劇」を、独自 …

Cinemago|想像力の海へ、シネマダイビング。
ACT1|次の物語は、人からはじまる。
Cinemagoオンラインショップ|DVD・鑑賞チケット・オリジナルグッズ
『血を吸うスマトラオオコンニャク』
【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学