連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2021見破録」第38回
世界各地の珍作・怪作・トンデモ映画紹介する「未体験ゾーンの映画たち2021見破録」。第38回で紹介するのはその極みの『ゾンビ津波』。
世界で大ヒットを飛ばした超大作映画!…の便乗品である超低予算映画の製作でお馴染みの製作会社アサイラム。映画ファンから呆れられつつ愛される映画会社です。
アメリカではSyfy(サイファイ)チャンネルでTV放送されたアサイラム映画『シャークネード』(2013)が、人を喰った内容が大評判となり熱狂的ファンを生みました。
以降毎年続編が作られ、『シャークネード6 ラスト・チェーンソー』(2018)で完結する人気シリーズとなりました。なおこの6作目、日本では4DX上映で劇場公開されています。
「シャークとトルネード(竜巻)」で『シャークネード』、日本のTV放送時には竜巻にしてはスケールが大き過ぎと判断したのか(?)、「サメ台風」とのサブタイトルが付きました。
『シャークネード』シリーズの監督・主演俳優が挑んだのが、「ゾンビと津波」の映画。そんな発想で映画を作っていいのか?良いんです。エンターテインメントとは、これで良いんです。
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CONTENTS
映画『ゾンビ津波』の作品情報
【日本公開】
2021年(アメリカ映画)
【原題】
Zombie Tidal Wave
【監督・脚本】
アンソニー・C・フェランテ
【出演】
アイアン・ジーリング、エリック・チカシ・リンズビクラー、シェルトン・ジョリヴェット、チェリー・キャシディ、テイタム・チニキー
【作品概要】
穏やかな海に囲まれた平和なリゾート地の孤島。しかし海中からゾンビが現れ、島には大津波が迫りつつあった…。超破天荒パニックアクション・ゾンビ映画の登場です。
監督は『シャークネード』シリーズのアンソニー・C・フェランテ。同じく『シャークネード』シリーズで主演を務めたアイアン・ジーリングが、本作でも主演を務めました。
『ウルヴァリン SAMURAI』(2013)や『不屈の男 アンブロークン』(2014)で日本人役で出演したエリック・チカシ・リンズビクラー、TV映画『Killer Cheerleaders』(2020)のテイタム・チニキーらが出演しています。
映画『ゾンビ津波』のあらすじとネタバレ
リゾート地として人気の南海の孤島。そこのエムリス・ベイの街は観光客で賑わっていました。ところが地震で海底に地割れが発生し、そこから発生した怪しい光は海面まで届いていました。
ビーチでは男が連れの女に婚約指輪を渡していました。喜んだ女が目を離すと、男は突然海中に引きずり込まれます。
女の目の前に、血を噴き出す男の死体が浮かび上がります。悲鳴を上げた彼女の背後に、ゾンビが姿を現します…。
海上には漁師のハンター・ショウ(アイアン・ジーリング)の船が停泊しています。彼は釣り糸を垂らす友人のレイ(シェルトン・ジョリヴェット)と、その姪のジェイダといました。
ハンターの船に乗ったジェイダは、水中ドローンを操作して海中の様子を観察しています。目だった地震の被害も無く、海の上はおだやかです。
流れ者気質のハンターは、長く暮らした島から出ようと考えていました。すると派手な音が響きます。観光に来た若者たちが船から花火を打ち上げたのです。
ハンターはその船に接弦し乗り移ると、船体に燃え移った火を消します。バカ騒ぎをしていた若者たちに、自分は観光警察官だとバッチを見せるレイ。
若者たちのリーダーのブレインは反発しますが、指示に従い違法な花火を引き渡します。そんな海を島の高台から双眼鏡で監視する男がいました。
ハンターたちは釣りを続けますが、レイの竿に大物がかかります。引き上げようとして逃げられ、代わりに浮いたのは水死体です。
引き上げた水死体は長い間水に浸かっていたためか、青く変色していました。その時ジェイダは、ドローンが海中で撮影した映像に奇妙なものが映っていると気付きました。
それは海底から発生する謎の光です。港に引き返すことにしたハンターとレイは、海面が青白く光っていると気付きます。舷側でドローンを回収し始めるジェイダ。
ジェイダは水死体が無いと気付きます。それはいきなり彼女を襲い首に噛みつきました。姪の悲鳴を聞いてレイが駆けつけますが、死体と思われた男が向かってきます。
ナタを持って駆け付けたハンターが男の体を何度も刺すと、青い血が噴き出し男は動きを止めます。ハンターはジェイダを止血するレイの元に向かいました。
そこにナタが体に突き刺さった男が、ゾンビのようにやって来ます。ハンターとレイはゾンビを海に落としますが、海面に現れ泳ぎだしたゾンビ。
信じられない事態ですがジェイダの命が危険です。ハンターは無線で連絡し港に急ぎます。
賑やかな観光地エムリス・ベイの店で、ケンジー(チェリー・キャシディ)とサマンサ=サム(テイタム・チニキー)母娘は食事をしていました。母は最近デートとご無沙汰と指摘するサム。
サムの友人で保安官の娘ターニも、ケンジーはまだまだ若いと受け合います。母に幸せになって欲しいとサムが語った時、ケンジーのスマホに親しいハンターから連絡が入ります。
それは医者であるケンジーに、レイの姪が負傷したと助けを求める電話でした。ケンジーは娘とターニを残して港へ向かいました。
ハンターとレイは港に着くと救急隊員にジェイダを引き渡します。そこに現れすぐさま診察し、彼女の傷は噛み傷だと気付いたケンジー。
詳細はごまかしながら海で助けた男に噛まれ、相手は海に落としたと説明したハンター。ジェイダはレイに付き添われ病院に搬送されました。
ケンジーもハンターが島から去ろうとしていると知っていました。港に駆け付けジェイダを診てくれたと、ケンジーに感謝するハンター。
そこに保安官のアコニ(エリック・チカシ・リンズビクラー)がやって来ます。ハンターは海で助けた男が異常者で、それにレイの姪が襲われたと説明します。
怪しく光る海面を指し示すハンター。それはアコニも経験した事の無い現象です。何か異常な事態が起きていると警戒する2人。
街のライブハウスではロックバンド”ザ・フルチズ(The Fulci’s)”が演奏していました。歌っているのはダグ、ドラマーはイワンだとサムに教えるターニ。
2人は観客と共に、「パーティが死者を蘇らせる」と歌う、バンド名に相応しい演奏を楽しみます。一方ハンターは自分の船にアコニを乗せ、海面が光る場所へ航行します。
ハンターが海に落としたゾンビの姿はありません。発光現象の原因は化学物質の流出ではないかと、ジェイダが残したドローンを海中に投げ入れたハンター。
演奏が終わった”ザ・フルチズ”のメンバー、ランドに飛びつくターニ。ランドは彼女の恋人です。ダグは遠慮気味にサムに話しかけます。2人は笑って握手しました。
ドローンを操作するハンターのモニターに、沈没船の映像が映し出されます。地震で破損した箇所から光が漏れ、この記録の無い船はデンマーク製で、地震が原因で破損したとハンターは告げます。
船から漏れ出す光の中に人影が映ります。ゾンビだと指摘したハンターをアコニは笑いますが、海面に現れ船めがけて泳いでくるゾンビの群れを見て、表情を変えました。
部下のポク巡査に無線でビーチの閉鎖を命じるアコニ保安官。病院のケンジーに電話して、ゾンビに噛まれたジェイダを隔離するよう伝えたハンター。
ポク巡査はビーチで観光客に海から離れるよう指示しますが、波打ち際が引いていると気付きます。浜辺でサイレンが鳴りました。津波が迫っているのです。
ハンターと電話中のケンジーは、津波が迫っているがサムとアコニの娘ターニが一緒にいると告げ、万一の場合は2人を探して欲しいと頼みました。
承知したものの、津波は恐るべき事態の一部だと言うハンター。彼の船に泳ぐゾンビの群れが迫り、背後には巨大な波が現れたと気付きます。
巨大な波の中に無数のゾンビがいます。ハンターは必死に船を陸地に向かわせ、エムリス・ベイの街では人々が逃げ惑っていました。病院でジェイダに付き添うレイも、島に迫る津波を目にします。これは「ゾンビ津波」だと叫ぶハンター。
ハンターは巨大な波の中で必死に船を操ります。ビーチの観光客たちを襲った津波は、島を破壊していきました…。
波に押し流され荒廃したビーチを、ハンターとアコニ保安官は歩いていました。そこには無数のゾンビがいます。アコニはソンビに銃を向けますが、ハンターは先が見えないので弾を節約しろと告げます。
津波が引いた後に観光客も取り残されていました。倒れていたブレインに恋人が駆け寄りますが、仲間の安否を気にしない彼の態度に彼女は怒りました。
ゾンビに噛まれたジェイダに隔離措置をとる、と医師のケンジーは説明しますが、レイは姪の傍に残ることを選びます。津波の負傷者が運び込まれ、看護士に呼ばれ病室を後にするケンジー。
ビーチで負傷者の救護にあたる人々は、続々上陸するゾンビに気付きません。ハンターとアコニは警告しますが、負傷者と思って助けた相手がゾンビで噛まれる犠牲者も出ました。
人々はようやくゾンビに気付いて逃げ出します。津波から逃れたものの親と連絡がつかないサムたちも、街に押し寄せるゾンビの群れに気付きます。
アコニは拳銃でゾンビを撃ち人々を逃がします。浜辺に打ち上げられたボートのスクリューを動かし、それを突き立てゾンビを粉砕するハンター。
病院ではジェイダが意識を取り戻しますが、彼女は叔父のレイに寒さと空腹を訴えまた意識を失いました。レイの呼びかけに彼女は応えず、心電図のモニターは停止します。
ゾンビとして蘇ったジェイダはレイを襲い、駆け付けた看護士を噛み殺します。助けを求め病室を飛び出すレイ。
浜辺ではアコニがビーチパラソルでゾンビを始末しますが、噛み殺された人々がゾンビ化し動き始めていました。港にレイが残した車に乗り、警察署に向かうことにするハンターとアコニ。
2人が車に乗ると後部座席にブレインとその恋人が逃げ込んでいました。そのまま車は警察署を目指し走り出します。
その頃、「ソンビ津波」襲撃前に海の様子を観察していた男が浜辺に現れ、バールを手にゾンビに向かっていました。
病院のケンジーは廊下に点々と付着する血痕に気付きます。その先には看護士を襲い喰らいつくジェイダの姿がありました。ゾンビ化した彼女に襲われ、悲鳴を上げ逃げるケンジー。
ジェイダに追われたケンジーを隠れていたレイが匿います。危険な感染症だとマスクを差し出す女医に、ゾンビ化現象には無駄だとレイは指摘します。噛まれれば終わりだと、身動きしやすい姿になれと告げるレイ。
警察署に到着したハンターたちの車を、ショットガンで武装したポク巡査が出迎えます。しかしゾンビの群れが迫り、囲まれかけたブレインは自分の恋人をゾンビの方へ突き飛ばし、犠牲にして警察署に逃げ込みました。
病院ではジェイダの犠牲になった人々がゾンビ化し、ケンジーとレイが逃げ込んだ部屋に押し寄せて来ました。2人は部屋から逃れます。
警察署の扉に鍵をかけたハンターは、卑怯な振る舞いをしたブレインを怒鳴ります。生き残るには何でもすると言い放つブレインは、ポクから拳銃を奪い彼に突き付けました。
銃を捨てろとの説得に応じないブレインはポク巡査を撃ちました。ポクのショットガンを拾おうとしてハンターに殴り倒されるブレイン。しかしポク巡査は息を引き取ります。
サムとターニはロックバンド”ザ・フルチズ”のダクとランドと共に、ゾンビであふれる街からの脱出を試みます。4人を追って次々と現れるゾンビ。
足を痛めたダグをかばいつつ進みますが、ランドがゾンビに捕まり餌食となります。必死に抵抗するターニはゾンビに囲まれ、サムとダクに別行動で逃げろと叫びます。
警察署ではブレインが手錠をかけられ机につながれていました。アコニ保安官は無線でエムリス・ベイが津波に襲われ、謎の感染爆発に見舞われたと報告しますが応答はありません。
アコニはハンターに気付かれぬよう、金庫から取り出した書類の入った封筒をシュレッダーにかけ処分します。
一方ハンターはレイのアカウントでパソコンを使い、海底に沈む沈没船はかつてレヴォク社の所有した船だと突き止めます。しかし記録では解体されたはずの船が、なぜ沈んでいたか不明でした。
突如出現したゾンビの謎を解く鍵は沈没船にある、と告げるハンター。警察署の窓がゾンビに破られます。脱出するにはもっと武器が必要だと結論するハンターとアコニ。
病院内を逃げるケンジーとレイは車椅子に乗る元患者ゾンビの脇を通り、追ってきたジェイダを閉じ込め先に進みます。
アコニは警察が押収した武器をしまうロッカーを開けました。中には麻薬組織から押収した重火器や手榴弾が溢れています。母親のカードでネット通販で子供が勝手に買った、巨大な2枚刃のナイフを手にしたハンター。
武装したハンターとアコニはポリカーボネート製の盾を持ち、ブレインを残し警察署から脱出します。自分を残して去るのは殺人だとブレインは抗議しますが、2人は構わず扉を開けます。
2人は盾でゾンビの群れを押して進みます。アコニはショットガンでゾンビの頭を吹き飛ばし、ハンターはゾンビの群れに対戦車ロケット砲を撃ち込みました。
ゾンビたちを一掃したハンター。アコニと共に車で逃げようとしますが、海には「ゾンビ津波」の第2波が迫りつつありました…。
映画『ゾンビ津波』の感想と評価
参考映像:『サンゲリア』(1979)
あの『シャークネード』のスタッフ&キャストが挑む新作『ゾンビ津波』!!
多くの人々が胸を踊らす本作。いい加減な津波描写に「自然災害を舐めるな!」と思うかもしれませんが、アメリカで猛威を振るう自然災害、竜巻を題材にトンデモサメ映画を作る人々ですから許してあげましょう。
ゾンビが泳ぐってどうよ!と思う方。グロいゾンビ映画の代表である、ルチオ・フルチ監督の『サンゲリア』(1979)には「海中でサメとゾンビが死闘を繰り広げる」素晴らしいシーンが存在します。
『シャークネード』のスタッフが、『ゾンビ津波』を製作するのは必然かもしれません。
ゾンビが水の中にいればふやけるのでは、と心配になりますが、『ゲシュタポ卍(ナチ)死霊軍団 カリブゾンビ』(1976)に『ナチス・ゾンビ 吸血機甲師団』(1980)と、何故かナチスのゾンビは水中から現れ人を襲います。
そんなゾンビは亜流だ、と言う方もいるでしょう。しかしゾンビ映画の帝王ジョージ・A・ロメロの『ランド・オブ・ザ・デッド』(2005)、『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』(2007)にも水中で行動するゾンビが登場します。
ですから波に乗ってゾンビが現れても不思議はない、と強調しておきます。納得して頂けましたか?
悪ノリゾンビコメディ映画を期待しましたが…
ゾンビが人を襲う!反撃する人間がゾンビをバラバラにする!悪趣味なシーンですが、徹底的にナンセンスの域まで描写すれば、ギャグになるとホラー映画ファンならご存知でしょう。
それがサム・ライミ監督の『死霊のはらわた』(1981)やピーター・ジャクソン監督の『ブレインデッド』(1992)。2人は悪趣味ゾンビコメディ映画を経て世界的巨匠となりました。
これらの作品は、後のゾンビ映画に大きな影響を与えます。「未体験ゾーンの映画たち2020」で上映された『処刑山ナチゾンビVSソビエトゾンビ』(2014)も、そんな作品の1つ。『ゾンビ津波』も笑える悪趣味ゾンビ映画だと、多くの方が期待しているはず。
主人公演じるアイアン・ジーリングは『死霊のはらわた』のアッシュや、『シャークネード』シリーズで自身が武器にしたチェーンソーではなく、電撃巨大ナイフでゾンビと闘います。
ゾンビをスクリューやウッドチッパーでバラバラにするなど、苦手な人には嫌なシーンもありますが、ゾンビ映画通を自負するファンには少々物足りない描写でしょう。
本作はアメリカで『シャークネード』を放送したTV局、Syfy(サイファイ)チャンネルに売り込む作品として作られました。そして本作のレイテイングは、映画ファンには馴染のない”TV14″。
TV放送番組用のレイティングの1つで、”TV14″とは「大人が14歳未満の子供には、見せないと判断するかもしれない」との意味です。ちなみにこの上で最高の指定が”TV-MA”、「成人が視聴対象の番組で、17歳未満の方には不適切な場合があります」。
つまり『ゾンビ津波』は流血シーンもエロシーンも、Fワードの類も視聴者を配慮し控え目に作った作品という訳です。
主人公は大活躍、ゾンビ映画オマージュは盛り沢山
そんな事情もあってアイアン・ジーリングの暴れっぷりも、『シャークネード』でサメ相手にチェーンソー振り回した時より控え目な感があります。
それ以上に、全編男前ヒーロー過ぎです。アイアン・ジーリングは本作の製作にも、ストーリーにも参加してますから、「カッコつけたかったの?」と聞いてみたい気もします。
本作はタイで撮影されました。それが決まった時監督のアンソニー・C・フェランテは、撮影期間と予算の制約から「ルチオ・フルチの低予算ゾンビ映画風にするしかない」と考えたと告白しています。
ならばと真っ先に思い付いたのが「サメとゾンビを格闘させよう」。ゾンビ映画好きの考える事は皆一緒です。しかしこれは無理と思い直し、登場するバンド名が”ザ・フルチズ”になりました。
本作にはフルチの映画やイタリア製ホラー映画など、ゾンビ映画オタクに対するジョークを散りばめたと話すフェランテ監督。その一つと挙げたのが『人間解剖島 ドクター・ブッチャー』(1980)で、スクリューのシーンがそれでしょうか。
「研究で生み出され、沈没船から現れる青色のゾンビ」も『ゲシュタポ卍(ナチ)死霊軍団 カリブゾンビ』から頂いた設定でしょう。
恋人を犠牲にして助かろうとするクズ男は、後に『ポーキーズ』(1982)で有名になるボブ・クラーク監督のゾンビ映画、『死体と遊ぶな子供たち』(1972)へのオマージュでしょうか。色々と楽しい小ネタが盛り沢山です。
まとめ
『ゾンビ津波』に、徹底した悪趣味と悪ノリを期待した人は、やや物足りなく感じたかもしれません。
しかしアメリカの筋金入りのSF・ホラー映画ファンが視聴する、Syfyチャンネル向けに作った作品だけに、多くの小ネタが詰め込まれています。ゾンビ映画ファンはそこに注目してご覧下さい。
また『シャークネード』シリーズ同様、タフで強い女性たちが登場します。これはフェランテ監督の趣味であり、SF・ホラー映画ファンはそんな女性が大好きだという事でしょう。日本のファンも同じではありませんか?
最後に。『ソンビ津波』のエンドロールは津波以上にトンデモないスピードで流れ、まったく読めません。放送時間に追われたTV放送映画のエンドロールそのものです。ソフト化・配信時は変わるのでしょうか。
「未体験ゾーンの映画たち2021」のエンドロール最速作品は『ゾンビ津波』、エンドロール最遅作品は『MARK OF THE WITCH』(2014)で確定です。どちらも「貴重な体験」が味わえるB級映画と断言します。「貴重」の意味は、じっくりと考えて下さい。
次回の「未体験ゾーンの映画たち2021見破録」は…
次回第39回は実際の事件を基にテロリストと人質たちの駆け引き、そして特殊部隊との攻防を描いたアクション映画『パニック・イン・ミュージアム モスクワ劇場占拠テロ事件』を紹介します。お楽しみに。
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