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Entry 2019/01/30
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映画『カイジ 動物世界』あらすじネタバレと感想。ギャンブル漫画は中国でいかなる進化をとげたのか|未体験ゾーンの映画たち2019見破録19

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  • 20231113

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2019見破録」第20回

1月よりヒューマントラストシネマ渋谷で始まった“劇場発の映画祭”「未体験ゾーンの映画たち2019」にて、ジャンル・国籍を問わない貴重な58本の映画が続々公開されています。

第19回は福本伸行の気コミック「賭博黙示録カイジ」を、国際的スケールで映画化したギャンブル・エンターテインメント映画『カイジ 動物世界』を紹介いたします。

自堕落な日々を過ごしていた青年カイジは、ある日、友人にだまされ借金を背負います。

謎の組織から借金を一括返済のチャンスを与えると言われたカイジは、彼らが仕切る船「デスティニー」に乗り込みます。

船内では勝てば借金帳消し、負ければ命の保障が無いギャンブルが行われていました。カイジは人生の一発逆転を狙い、命をかけた究極のゲームに挑みます。

カイジを演じるのは中国で人気上昇中の若手俳優リー・イーフォン、そしてギャンブルを仕切る謎の男をマイケル・ダグラスが演じます。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2019見破録』記事一覧はこちら

映画『カイジ 動物世界』の作品情報


(C)福本伸行 (C)Ruyi Films & Fire Dragon Guo. All Rights Reserved.

【公開】
2019年(中国映画)

【原題】
動物世界 Animal World

【監督】
ハン・イエン

【キャスト】
リー・イーフォン、マイケル・ダグラス、チョウ・ドンユィ、ツァオ・ビンクン、ワン・ゴー

【作品概要】
シリーズ累計売上は2150万部超え、アニメ化・実写映画化された人気漫画「賭博黙示録カイジ」を、製作費70億を投じ中国で完全映像化した作品です。

病床の母を抱え、自堕落な日々を送っていたカイジは、儲け話を持ってきた友人にだまされ、巨額の借金を抱えてしまいます。

債権者である闇の組織に、借金を一括返済できる方法を提案されたカイジは、ギャンブル船「デスティニー」号に乗り込むと、そこでは欲望にまみれた人間たちの命を賭けた究極のゲームが行われていた。

ヒューマントラストシネマ渋谷とシネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2019」上映作品。

映画『カイジ 動物世界』のあらすじとネタバレ


(C)福本伸行 (C)Ruyi Films & Fire Dragon Guo. All Rights Reserved.

アニメーション番組の中で次々倒し、不敵に笑うピエロ。

アニメ番組「無敵のピエロ」は好きでは無かった。しかしピエロがモンスターを倒すシーンは、8歳の誕生日から俺の心に刻まれていると、カイジ(リー・イーフォン)は振り返ります。

感情が高ぶるとピエロが飛び出してくるとカイジは語ります。頭の中でカイジはピエロの姿となり、モンスターと化す人間を次々倒していきます。

このピエロは俺の人生とつながっている。俺の人生はピエロの様なものだとカイジは続けます。

カイジには確信が一つありました。俺の頭はイカれているという確信でした。

ピエロ姿のカイジがゲームセンターにいます。物思いにふけっていたカイジは授業員から注意を受け、仕事に戻ります。

カイジは客との写真撮影に応じていきます。しかし彼の中に怒りがこみ上げると、頭の中では「無敵のピエロ」と化したカイジが暴れ回ります。

カイジの前に不動産会社に勤める友人のリー・ジュン(ツァオ・ビンクン)が現れ、確実に儲かるという投資話をもちかけます。

父親の残した家を担保にすれば金は調達できるとリー・ジュンは説明しますが、カイジは断ります。

職場を後にしたカイジは、母を見舞いに病院に向かいます。母は植物状態で寝たきりの状態でした。

母を世話してくれているのは看護婦のリウ・チン(チョウ・ドンユィ)。周囲には彼女を友人と説明しますが、互いに深く想いあっているようです。

カイジは彼女に金を貸してくれるよう求めます。入院費用も工面できず、このままでは母は病室から出されかねない状況です。

リウ・チンをからかう患者の振る舞いに、怒りをたぎらせたカイジの頭の中で、ピエロが暴れ出します。現実ではカイジが患者に暴力をふるっていました。

病院で騒ぎを起こしたカイジを見て、看護婦長はリウ・チンに彼と別れるように勧めます。彼女は婦長を説得し、事を穏便におさめます。

カイジはリウ・チンに、いい人に出会ったら嫁に行けと告げます。彼女の返事はいい人なら、もう出会っているでした。

カイジは意識の無い母の前で、一人泣きます。

人生を逆転するには金が必要、と考えたカイジは、リー・ジュンの投資話に乗ることにしました。

家の権利書を持ち出し、カイジは病院でリー・ジュンに渡します。彼はカイジの目の前で、それをライダースーツの男に渡しました。

数日後、スクーターで街を走るカイジを、あのライダースーツの男が監視していました。

カイジがリー・ジュンに何度電話してもつながらず、連絡が取れなくなっていました。

カイジの携帯にリー・ジュンからのメッセージが入ります。彼はカイジに謝罪し、この借りは来世で返すと叫んでいました。

友人にだまされたカイジの頭の中で、またピエロが暴れ出します。

リー・ジュンの務めていた不動産会社を訪ねると、彼は2ヶ月前に解雇され失踪していました。

唖然とするカイジに電話が入ります。窓の外にライダースーツの男がいました。

カイジは覆面を被せられ、彼によってどこかへと連れて行かれます。

カイジはモニターが並ぶ一室にいました。彼の前に英語を喋る男が現れ、カイジに自動翻訳機を付けさせます。

アンダーソン(マイケル・ダグラス)と名乗った彼は、ライダースーツの男の名はアンドウと紹介すると、カイジの置かれた立場を説明します。

リー・ジュンの借金の保証人となったカイジ。借金を担保にした家で返しても、残った負債を返すには今の水準の仕事を4つ行っても30年かかる。

リー・ジュンと話したいというカイジに、アンダーソンは彼は拘束されていると言い放ちます。

追い詰められたカイジにアンダーソンは提案します。「デスティニー」号に乗れば、借金を清算するチャンスがある。

ただし条件は、そこで行われるゲームに勝利すること。敗北すれば我々に全てを委ねてもらう。

ゲームの詳細の説明は無く、参加するか否かの決断に与えられた時間は1分。カイジはゲームに参加する契約書にサインします。

病院に戻ったカイジはリウ・チンに母を頼む、1週間で戻らなければ母につながれた管を外せ、そしてお前は先に進めと告げて去ります。

アンドウらの前に集められた、ゲームの参加者の中にカイジの姿もありました。

目覚めれば然るべき場所に着いていると、参加者は注射を打たれます。危険を感じたカイジの頭の中でピエロが暴れますが、現実にはカイジも注射を打たれます。

「デスティニー」号に乗せられたカイジたちゲームの参加者は、メインホールに集められます。参加者は国籍も喋る言語もバラバラです。

一同の前に現れたアンダーソンが、ゲームのルールを説明します。

全員にじゃんけんのカード12枚、グー・チョキ・パー各4枚と、星が3つ配られます。

各々がカードを使って勝負し、使用したカードは棄てられます。勝者は敗者から星1つを得ますが、あいこの場合は星の移動は無くカードだけが消費されます。

ゲームの勝者は手持ちのカードを0にして、星を3つ以上獲得した者。終了時に星2つ以下の者、カードを0に出来なかった者は敗北、また星が0になった時点で即敗北となります。

ゲームの制限時間は4時間。残り時間と全プレイヤーの持つ合計カード数は、グー・チョキ・パーの種類ごとに表示されます。

星とカードのプレイヤー間の交換は自由。また主催者から高利で金を借りて、売買することも自由です。

基本ルールは以上ですが、プレイヤー間で話がつけば独自の取り決めでプレイを行うことも可能です。

参加者は様々な術策を用いてプレイし、ゲームに勝つだけでなく他のプレーヤーを喰いものにして利益を得ようとする者もいます。

ゲームは中継され、プレイヤーの勝ち負けを対象に賭けをする者もいるのです。

アンダーソンはゲームの開始を宣言します。ようこそ、アニマルワールド(動物世界)へ!

以下、『カイジ 動物世界』ネタバレ・結末の記載がございます。『カイジ 動物世界』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)福本伸行 (C)Ruyi Films & Fire Dragon Guo. All Rights Reserved.

2人のプレーヤーが協力して、あいこのカードを12回出せば共に星3つを残し、カードは0枚に出来ます。プレーヤーのチャンは、この手を使おうとカイジに声をかけます。

手札を出す順番を決め、あいこで順調にカードを減らす2人。しかしチャンが出すカードを間違い、カイジは星1つを失います。

チャンは詫び、次はカイジに勝たせる取り決めでプレイします。しかし今回もチャンの勝利。カイジは騙されて、星1つに追い込まれます。

ゲーム会場でカイジはリー・ジュンと再会し、借金を負わせた彼を責めます。彼もカイジの分も含めた借金を清算しようとゲームに参加していました。

自死はいいが奴ら、ゲームの主催者には殺されたくないと語るリー・ジュン。

敗者は別室に隔離され、そこから抜け出せなければ舟底に送られ、医療の人体実験に使われるのです。

リー・ジュンも星1つ。追い込まれた2人は、星を2つ持つがカードの無い人物を探し手を組もうと考えます。

条件を満たす人物、モン(ワン・ゴー)に声をかけ、作戦を練ろうとします。しかしモンはカードを1枚奪い、他のプレイヤーと勝負します。

モンが勝って星を獲得すれば星3つ、カード0枚で彼は勝ち抜け。しかし彼は敗北し、星1つになります。

病気の母と幼い娘の為にゲームに参加した、と写真を見せ詫びるモン。星1つとなったカイジ、リー・ジュン、モンは協力してプレイすることになりました。

自分たちの手札の種類には偏りがある、これが他のプレーヤーにバレればカモにされる。ここからカイジは考えを巡らせながらプレイをします。

バランス思考のプレーヤーなら、3種類のカードを均等に使用するはず。相手プレイヤーの行動を予測して、カイジは勝利を収め星を獲得します。

3人が喜びに沸いた時、アンダーソンがゲームの中断を宣言します。1人のプレイヤーがカードをトイレに流し処分した行為が発覚したのです。

アンダーソンはその男を射殺し、今年のプレイヤーは前年よりレベルが低いと挑発すると、ゲームを再開させます。

カードの総残数の表示を見て、カイジはパーが最も減っていると気付きます。このまま均等に減ればパーが最初に無くなり、残るカードはグーとチョキ。

何かおかしいと感じながらも、グーを持っているのが有利と見たカイジは、主催者から金を借り、星を3つ持つプレイヤーと交渉してグーの買い占めを図ります。

リー・ジュンとモンは、運命をカイジの頭脳に委ねると決めました。カイジは2人に「スコットランドの黒いヤギ」の話をします。

8歳のカイジに、数学教師であった父は「スコットランドの黒いヤギ」、数学者は物事を厳密に分析することを現したジョークを教えていました。カイジの思考は父親譲りだったのです。

カイジは8歳の時に、何者かに父が連れ去られたと思い出します。その時、何者かの口笛が聞こえていました。

カイジたちがグーを買い占めた後、チョキが急激に減り始めます。カイジはチョキ同士の引き分けでカードが減り出したと分析します。

グーの買い占めに気付いた何者かが、パーを買い占めたとカイジは判断しました。

このままではグーを多く持つカイジたちは不利な立場になります。焦ったリー・ジュンとモンは考えも無しに勝負に挑み、星を失います。

カイジは自分たちの動きに気付きカードを買い占めたプレイヤーと、星3つを賭けた勝負をし勝利します。

カイジは3人が生き残るために、さらにカードの買い占めて勝負に出ようとします。

残ったプレイヤーの手数が減り膠着状態になる中、カイジを騙したチャンが取引を持ちかけます。

チャンの提案を受ければカイジはゲームに勝利できますが、リー・ジュンとモンを裏切ることになります。カイジは提案を拒否します。

するとチャンはプレイヤー全員に提案します。カードを買い占めた奴がいる、奴が何を企んでいるか判らないから、手持ちのカードをシャッフルしよう。

カードを他人に売った者は、売ったカードの情報を売りつけている。結果皆の手持ちのカードは読まれている。チャンは他のプレイヤーの手持ちカードの種類を当てていきます。

勝負を続けるには提案に乗るしかない、とシャッフルは実行されました。

チャンはカードの総残数に対しチョキが3枚少ない、誰かが隠し持っていると追求しますが出てきません。

カードは改めて分配されましたが、カイジはチャンがカードにしるしを付けていたと暴きます。

そして他のプレイヤーに、自分は3種類のカードを持っている。3種類のカード伏せて並べ、それをプレイヤー自身に選ばせて勝負させると提案します。

プレイ後に選ばなかったカードを見せ、不正でないと確認させる公正な勝負です。チャン以外のプレイヤーはカイジと勝負してゲームから抜けていきます。

チャンはチョキを3枚隠し持っている人物がいるはずと、勝負を呼びかけますが誰も応じません。

状況をカイジが明かします。3枚のカードは不正をした男がトイレに流した分だ。残枚数として表示されているのは、勝負で消費された分のカードを反映した数だ。

今カイジたちは66枚のカードを、チャンは1枚のカードを持っています。カイジたちは仲間内でカードを消費すれば0枚に出来ます。しかしチャンはカイジと勝負しなければ敗北です。

チャンと勝負する事は、カイジ側にカードが1枚残り1人の別室送りを意味しますが、その役をカイジが引き受けると宣言します。

カイジはチャンに勝負の条件を与えます。星3つを残し後はすべて賭けろ。そして騙した全員に謝罪し、自分で自分の頬を打て。

全ての条件の飲ました上で、チャンと勝負したカイジは勝利します。

カイジは船底送りになる前に、リー・ジュンとモンが余った星で身柄を買い取る様に依頼し、別室に移動します。

裸になり別室に入ったカイジは、騙されたと訴える老人の話を聞きます。仲間と相談し別室に入った老人はガラス越しに見たカードの内容を教え、仲間を勝たせました。

老人は仲間に身柄を買われ、別室から出されるはずが裏切られたと訴えます。

全身傷だらけの男は、別室から出るには外の仲間に出させるだけの「価値あるもの」を持ち込まねばと語ります。

仲間を信用していたカイジですが、星の不足している者はそれを高額で買い取ります。リー・ジュンは星でカイジの身柄を解放しようとしますが、ここでモンが本性を現します。

俺の名は偽名で、娘も母もいない。星の値はまだまだ上がる、このチャンスを逃す手はない。とモンはリー・ジュンから星をもぎ取ります。

リー・ジュンは止められず、カイジに母の面倒は見ると言ってその場を去ります。カイジは裏切られ、別室に取り残されました。

傷の男は仲間に別室から出されました。しかしカイジは、男が傷の中に隠して持っていた宝石を奪っていました。

カイジは男の言葉と看護婦のリウ・チンに聞いた知識から、傷の中に「価値あるもの」があると見抜いたのです。

宝石を回収するために別室から身柄を解放されるカイジ。老人はカイジに息子への伝言を頼みます。

外に出たカイジの心の中を、あのピエロが暴れます。人間のクズになるならピエロのままでいいと、カイジはモンを叩きのめします。

カイジは奪った星で老人の身柄を買い取り、息子への伝言は自分で伝えろと告げます。

無事「デスティニー」号を降り、リウ・チンと母の待つ病院に帰ったカイジ。

カイジの前にアンドウと、口笛を吹くアンダーソンが現れます。カイジはその口笛が、父がさらわれた時のものと同じだと気付きます。

アンダーソンはカイジに、面白い、父親のようだ、と告げます。

カイジの中で、あのピエロが目覚めました。

映画『カイジ 動物世界』の感想と評価


(C)福本伸行 (C)Ruyi Films & Fire Dragon Guo. All Rights Reserved.

世界に向けてスケールアップしたコミック実写化映画

邦画のコミック実写化作品は、今も続々と製作されています。個々の作品の出来栄えや原作ファンの満足度はともかく、ある程度の動員と二次利用が見込めるジャンルとして、製作されやすい環境にあります。

一方でマーケットに見合った規模の費用、製作期間の中で製作される作品が多いのもまた事実です。

現在経済的に大きく成長した中国は、出資者としてハリウッドで存在感を増し、中国の国民人口数13.86億 (2017年次)を観客数として見込めばリスクはなく積極的です。

その中国がコミックを実写化した『カイジ 動物世界』は、邦画のコミック実写化作品とは異なるアプローチが随所に見れます。

ハリウッドスターの起用、原作の枠を超えた表現など、映画化に際して大きくスケールアップされたのは明白です

映画が世界をマーケットにする前提であれば、原作を知らない多くの観客がターゲットとなります。

原作者の監修を受けながらもコミックの再現に拘らない、表現の幅が大きく広がった作品になっています

参考映像:『カイジ 人生逆転ゲーム』(2009年)

コミック実写化の邦画では、評価も興行成績も良く続編も製作された『カイジ 人生逆転ゲーム』

異なるアプローチで、スケールアップして製作された本作と比較すると、様々な発見があるのです。

原作の何を削り何を膨らませるのか


(C)福本伸行 (C)Ruyi Films & Fire Dragon Guo. All Rights Reserved.

コミックであれ小説であれ、実在の事件であれ映画化するに当たって脚色が必要となります。

膨大なスケールの物語を2時間程度に収めるには、多くの要素を削る必要があります。可能な限り忠実に再現するなら、アニメかドラマのシリーズ作品にするしかありません。

『カイジ 動物世界』を見て一番多い反応が“じゃんけんゲーム”しかやっていない!、原作ファンは物足りなく感じているようです。

だからと言って面白くない訳ではありません。ゲームを一つに絞ったおかげで、展開を詳細に解説しながら、多くの見せ場を用意しています。

原作を知らない観客に、「カイジ」ワールドを理解させる適切なアプローチと言えるでしょう

一番大きな改変は“ピエロ”の登場。ハリウッド映画のCGスタッフを動員して作った見せ場で、地味になりがちなギャンブラー映画を、華のあるものにしています。

そして主人公、カイジの人間像の掘り下げ。より感情移入しやすいキャラクターとして描かれています。

これも原作ファンは違和感を覚えるでしょうが、原作を知らない者に、映画の枠内で説得力のある物語を創造するには必要な作業だと理解出来ます。

数々の改変を行った本作ですが、ギャンブルに憑りつかれた各キャラクターの狂気は、見事に描き切っております

これには監修した原作者ぼ福本伸行も納得しているでしょう。

まとめ


(C)福本伸行 (C)Ruyi Films & Fire Dragon Guo. All Rights Reserved.

スケールの大きな作品として映画化された『カイジ 動物世界』、ラストは“to be continued”で幕を閉じます。

思惑通り続編が作られるのかは興行次第ですが、世界を相手に野心的に作られた映画であることが実感できます。

本作の製作規模やチャレンジ精神は、現在の中国映画の勢いを象徴するものと言えるでしょう

中国を舞台にしながら主人公の名は“カイジ”、原作に忠実なだけではなく、本作は危険なギャンブルが存在する、コミック的ファンタジー世界であるとの表明でしょう。

そしてマイケル・ダグラスの起用。かつてならSF的設定、しかし今や身近に感じられる翻訳機設定で、彼は英語のまま中国語と渡りあって会話します

どうやら国際スターも、言語に関係なく起用できる時代になりました。無論、ジャンルにもよりますが

それでもマイケル・ダグラスの役名が、原作に倣って“利根川”になることは…おそらく今後も無いでしょう。

次回の「未体験ゾーンの映画たち2019見破録」は…


(C)2018 Rise Up, LLC

次回の第20回はニコラス・ケイジ主演の超常現象リベンジ・スリラー映画『トゥ・ヘル』を紹介いたします。

お楽しみに。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2019見破録』記事一覧はこちら

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