連載コラム「Amazonプライムおすすめ映画館」第22回
フランク・ガスタンビドゥが原案・脚本・監督を務めた、2023年製作のフランスのアクションコメディ映画『メデジン 麻薬カルテルをぶっ潰せ!』。
本作は2023年6月2日(金)より、Amazonプライムビデオにて配信されています。
フランスの若いインフルエンサー、ブライムがコロンビアで麻薬カルテルに誘拐されました。
彼の兄レダは、友人のスタンとシャフィクを引き連れ、弟を救い出しに行きます。しかし事態はレダたちの手に負えなくなり、コロンビアの警官とアメリカの元諜報員の助けを借りることに。
レダたちはブライムを見つけ出し、麻薬カルテルから救い出そうとしますが………。
映画『メデジン 麻薬カルテルをぶっ潰せ!』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
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映画『メデジン 麻薬カルテルをぶっ潰せ!』の作品情報
【配信】
2023年(フランス映画)
【脚本】
フランク・ガスタンビドゥ、シャルル・バン・ティゲム
【監督】
フランク・ガスタンビドゥ
【キャスト】
ラムジー・ベディア、フランク・ガスタンビドゥ、アヌアル・トゥバリ、ブラヒム・ボウヘル、エシネド・アポンテ、レイモンド・クルス、マイク・タイソン
【作品概要】
『TAXi ダイヤモンド・ミッション』(2019)で監督・脚本を担当し、主演まで務めたフランク・ガスタンビドゥが原案・脚本・監督を務め、自らも出演しているフランスのアクションコメディ作品です。
『TAXi ダイヤモンド・ミッション』(2019)や『ロストブレット 窮地のカーチェイス』(2020)のラムジー・ベディアが主演を務めています。
映画『メデジン 麻薬カルテルをぶっ潰せ!』のあらすじとネタバレ
フランスの若きインフルエンサー、ブライムはコロンビアで誘拐されました。
彼を誘拐したのは、彼がコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルのモノマネをして小遣い稼ぎしようとしていることに怒った、エスコバルが設立した麻薬カルテル「メデジン・カルテル」です。
彼の兄レダは、20年来の付き合いがあり兄弟同然の存在である友人のスタンと、自身がコーチを務めるボクシングジムのメンバーである腐れ縁のシャフィクを引き連れて、弟を救いにコロンビアに向かいました。
当初の予定では、ボクシングジムのメンバーを引き連れてコロンビアに向かい、メデジン・カルテルを倒してブライムを救うという、レダが考えた単純な作戦を実行するつもりでした。
しかし、実際にパリの空港に集まったのはレダたち3人だけ。なのでまずはブライムが立ち寄ったホテルへ向かい、聞き込みを行うことに。
ホテルの従業員に聞いたところ、「バラプータ」というストリップクラブでプライムの姿を見たという目撃情報を入手。怪しいと思いつつ、バラプータに向かいました。
「バラプータ」のストリッパーたちと彼女たちに勧められたコカインと酒に溺れるという、イカれた夜を過ごしたレダたち。
実はその宴の最中、レダは大物バイヤーを装って、こっそり欲しかった情報を手に入れていました。
翌朝。ホテルのスイートルームにて目覚めたレダたちは、二日酔いによる頭痛と、コカインの副作用による気分の落ち込みで泣きたくなりました。
スタンはレダたちにひどい夢を見たと語り始めます。ホテルを出て街に出た3人は、車を盗んでバラプータへ。
バラプータから出てきた麻薬ディーラーを尾行。レダとスタンがどちらが襲いかかるか言い合っていると、シャフィクがモモンガのように男に飛びかかり殴り出したという夢です。
それを聞いたレダたちの顔色が変わり、スタンはまさかと思って部屋の片隅にあるカーテンを開けます。
するとそこには、椅子に縛り付けられ、猿轡までされている麻薬ディーラーがいたのです。
スタンからすぐ解放するべきだと言われるも、レダはこれ幸いと、「お前の仲間を攫った。俺の弟と交換してくれれば危害は加えない」と、麻薬カルテルに向けたメッセージ付きの動画を撮影。
シャフィクに頼んで、麻薬ディーラーのSNSにその動画を投稿します。
投稿してすぐに、ブライムから電話がかかってきました。レダは作戦が上手くいったと喜ぶも弟からの話に耳を疑います。
なんとプライムが誘拐されたというのは、彼がSNSのフォロワー稼ぎのためのネタだというのです。
しかもレダたちが誘拐した麻薬ディーラーは、コロンビア最凶の麻薬カルテルのボス、エル・ディアブロの息子ドン・ナチョでした。
自分たちが仕出かしてしまったことをレダたちが自覚した直後、今度はディアブロ本人から電話がかかってきました。
スタンはレダに冷静になって話し合うよう言いましたが、レダはディアブロからの挑発にすぐに乗っかって暴言を吐いてしまい、話し合いでの解決は失敗に終わってしまいます。
レダたちはひとまずホテルから出て、ブライムを探すまでナチョを連れまわすことにしました。しかし車に乗った直後、ディアブロの手下に見つかってしまうのです。
街中でのカーチェイスの末、ディアブロの手下はレダたちを追いかけることに必死なあまり、前方不注意で対向車と正面衝突し横転。レダたちは命からがら逃げ切りました。
しかし街から出る前に、ディアブロの手下が乗る車とすれ違います。レダたちは高速道路にて、再びカーチェイスを繰り広げることに。
スタンの機転により、今回も敵を撒くことができたレダたちでしたが、ブライムにディアブロの魔の手が迫ります。
ブライムからのSOSを受け、レダたちはホテルへ急行。ホテルまであと10分で着くというところで、ブライムがディアブロの手下に捕まってしまいました。
そして今度は、ディアブロからブライムを誘拐したという動画が送られてきました。「俺の息子を返せ。さもなければお前の弟を犬の餌にしてやる」と。
スタンは今度こそ自分の指示に従ってディアブロと電話しろと言うも、レダは考えがあるといい、車からボートに乗り換えてどこかへ向かいます。
レダは、ナチョをボートから降ろし、弟を返さなければ鮫の餌にしてやるとディアブロを脅したのです。
最初はレダの挑発に乗るものかと強気でいたディアブロでしたが、レダたちが本気でナチョを鮫の餌にしようと死んだ小魚と血をまき散らしたため、慌てて人質交換に応じました。
無傷でナチョを返すと豪語するレダでしたが、ナチョのもとに大きな鮫が接近。間一髪のところでナチョをボートに引き上げましたが、彼の両足の膝下が噛み千切られてしまいました。
レダたちは急いで岸に上がりましたが、近くに病院はありません。あるのは動物病院です。
レダたちはナチョを車まで運び、動物病院へと急行。獣医師のベルナドに無理を言ってナチョの傷の手当てをして貰いました。
ナチョの両足の治療中、ディアブロから連絡があり、エスコバルの生まれ故郷であるコロンビア・アンティオキア県メデジンの古い墓地で明日人質交換を行うことが決まりました。
映画『メデジン 麻薬カルテルをぶっ潰せ!』の感想と評価
気が短く喧嘩っ早いわりに、土壇場では腰が引けて人にやらせるちょっとおバカなレダと、基本冷静沈着で強そうに見えるけれども情に厚く、捨て犬を放っておけない心優しいスタン。
勘違いでコロンビア最凶の麻薬カルテルに喧嘩を売ってしまったと気づいた時、ナチョには輸血が必要だと言われた時やロビーから銃を手渡された時など、作中ではレダたちは言い合う姿がよく描かれており、シリアスな場面を笑いに変えてくれます。
そんなちょっとおバカでドジを踏んでばかりの2人が、レダの弟とシャフィクを救い出すべく、コロンビア最凶の麻薬カルテルを相手に、数時間前に扱い方を覚えたばかりの銃や手榴弾を使って戦っていくアクション場面は、とても迫力がありガンアクション好きには堪りません。
いくつもの危機を乗り越えてきたレダたちが、無事フランスに戻るかと思いきや、突然レダが爆弾を起爆させるために残ると言い出したのです。
‟まさかの発言”にスタンたち登場人物はもちろん、観ている人もとてもびっくりしたことでしょう。
物語の最後の最後で見せたレダの男気。血の繋がった弟と、兄弟同然に思っている友人と、腐れ縁を守るためにした彼は、ボクシングチャンピオンに優るとも劣らない格好良さです。
まとめ
麻薬カルテルに誘拐されたフランスの若きインフルエンサーを救うため、郊外に暮らす平凡な3人の男がコロンビア最凶の麻薬カルテルに立ち向かうフランスのアクションコメディ作品でした。
本作の見どころは、コロンビアの街中と高速道路で繰り広げられるレダたちのカーチェイス、物語の終盤に描かれた激しい銃撃戦、そしてシリアスな場面を笑いに変えるレダたちの漫才のようなやり取りの数々です。
ブライムがフォロワー稼ぎのためについた嘘のせいで、手に負えないほどのバカをしてしまうレダたち。彼らを演じたラムジー・ベディアやフランク・ガスタンビドゥらキャスト陣ははまり役で、ユーモアがあって格好良い演技を魅せてくれます。
物語のラストでのレダの死も衝撃的でしたが、とても頼もしい助っ人として登場したロビーが、レダたちと一緒に戦うのではなく、彼らに戦う術を教え遠隔で指示を出すだけなんて、別の意味で驚かされることでしょう。
フランス郊外に暮らす平凡な3人の男が、コロンビア最凶の麻薬カルテルを撲滅する、笑いとスリルを堪能できるアクションコメディ映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。