売れない漫画家の正体は、対テロ保安局“猛攻隊”の元エージェントだった!
韓国映画『ヒットマン エージェント:ジュン』が2020年9月25日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋他にて全国順次公開されます。
対テロ保安局“猛攻隊”のエージェント、ジュン。誰もが怖れる暗殺者はウェブ漫画家になるために死を偽装しますが……。
チェ・ウォンソブ監督が手掛け、主演にクォン・サンウを迎え、2020年旧正月に韓国で大旋風を巻き起こした抱腹絶倒のアクションコメディ。実写アクションとウェブトゥーンやアニメーションを交えたユニークな構成が注目を集めました。
チョン・ジュノ、ファンウ・スルヘ、イ・イギョン、イ・ジウォン、ホ・ソンテらも出演しています。
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CONTENTS
映画『ヒットマン エージェント:ジュン』の作品情報
【日本公開】
2020年(韓国映画)
【原題】
히트맨/英題:Hitman:Agent Jun
【監督・脚本】
チェ・ウォンソプ
【キャスト】
クォン・サンウ、チョン・ジュノ、ファンウ・スルヘ、イ・イギョン、イ・ジウォン、ホ・ソンテ
【作品概要】
韓国を代表する人気俳優クォン・サンウを主役に迎え、チェ・ウォンソブ監督がクォン・サンウの魅力を最大限にイメージして脚本を執筆。
実写アクションとウェブトゥーンやアニメーションを交えたユニークな構成が注目を集めました。チョン・ジュノ、ファンウ・スルヘ、イ・イギョン、イ・ジウォン、ホ・ソンテらが出演。
映画『ヒットマン エージェント・ジュン』のあらすじ
楽しい家族旅行の最中、両親を交通事故で亡くした少年は、国家情報院に拾われ「ジュン」と名付けられました。
ジュンは暗殺要員として育てられ、瞬く間に人間兵器部隊“猛攻隊”のエースとなりましたが、漫画家になるという幼い頃からの夢を捨てられず、任務遂行中に死を偽装して行方をくらませます。
15年後―。ジュンは「スヒョク」と名前を変え、憧れの漫画家になっていました。しかし彼のマンガはまったく人気がなく、いつもひどい感想が書き込まれ、落ち込む毎日です。
たいしたギャラも貰えずバイトと妻・ミナの稼ぎでなんとか日々をしのいでいるありさまです。
連載の打ち切りが決まり自暴自棄になったジュンは、娘のカヨンから自分のことを描けばいいのにと言われたことを思い出し、酔いに任せて暗殺要員時代の機密を漫画にします。
彼が眠り込んでいる間にミナが配信してしまい、翌朝目覚めたときには「面白い!」と大反響を巻き起こしていました。
しかし、漫画を読んだ国家情報院とテロリストに生きていることがバレてしまい、ジュンは双方から命を狙われることに……!
映画『ヒットマン エージェント:ジュン』の解説と感想
クォン・サンウの魅力と個性的な共演者
『ラブ・アゲイン 2度目のプロポーズ』(2019/パク・ヨンジプ)、『鬼手』(2019/リ・ゴン)、そして本作『ヒットマン エージェント:ジュン』と主演作がたてつづけに公開されるクォン・サンウ。
もともと知名度の高いスター俳優ですが、昨今は「二度目の全盛期」と称されるほどの活躍を見せています。
『ラブ・アゲイン 2度目のプロポーズ』ではコメディ、『鬼手』ではシリアスとまったく違う役柄を演じていましたが、本作ではシリアスのちコメディと、クォン・サンウの2つの持ち味を同時に味わうことができます。
「探偵なふたり」シリーズでは恐妻家の推理マニアを演じていましたが、本作でも妻に頭のあがらない売れない漫画家ぶりがおかしく、やっぱりクォン・サンウは恐妻家が似合うなぁと妙に納得してしまいます。
妻・ミナに扮しているのは人気ドラマ『愛の不時着』で、ヒロイン、ユン・セリの兄セジュンの調子のいい妻を好演したファンウ・スルヘ。
本作では売れない漫画家の夫にきつめにあたる気の強い女性を演じていますが、とんでもない出来事に巻き込まれた際の彼女の活躍ぶりは本作でも屈指の見どころとなっています。
また、“猛攻隊”の鬼教官ドキュに扮したチョン・ジュノも、シリアスもコメディもこなす俳優で、本作でもその両面を遺憾なく発揮しています。
人気テレビドラマ『SKYキャッスル』でチョン・ジュノの娘役だったイ・ジウォンが、本作ではクォン・サンウの娘・カヨン役を演じています。カヨンが歌うラップの家族思いのリリックには思わずほろりとしてしまうことでしょう。
笑いとアクションが満載の極上エンターティメント
酔いに任せて描いた暗殺要員時代の機密を題材にした漫画が、ネット配信されてしまい、大反響となったために、生きていることがバレて国家情報院と過去に関わったテロリストの両方から狙われることとなった主人公。
妻をテロリストに、娘を国家情報院にさらわれるという考え得る大きなピンチが訪れ、俄然シリアスになるかと思いきや、ドタバタぶりはさらに加速していきます。
チェ・ウォンソブ監督が「とにかく最後まで休むことなく笑い続ける映画」だと語っているように、爆笑につぐ爆笑へとなだれ込んでいきます。
その一方で、アクションシーン、格闘シーンも豊富で、迫力満点のバトルが展開されます。
クォン・サンウは元“猛攻隊”のエースに相応しい颯爽としたアクションを見せており、さえないのにめっぽう強いジュンという男を絶妙な案配で演じています。
ジャッキー・チェンやチャウ・シンチーが活躍した香港映画のアクションコメディーを彷彿させる極上のエンターティメントに仕上がっています。
ウェブトゥーンが組み込まれた映像の面白さ
実写アクションに、ウェブトゥーンやアニメーションが組み込まれているのも本作の見どころのひとつです。
ウェブトゥーンとは、韓国のデジタルコミック、ウェブコミックの一種です。従来のコミックが、ページごとに描かれているのに対して、ウェブトゥーンはスマホやPCの画面に縦長のストリップで進行していくコミックです。
主人公の描いた漫画ということで、登場するウェブトゥーンはスクロールさせて進んでいく画面が、映画の映像としても映えることがわかります。
キム・イェシンというウェブトゥーン・アーティストが描くウェブトゥーンのジュンはめっぽう格好良く、対するテロリストや“猛攻隊”の仲間たちもシリアスな魅力にあふれています。
ウェブトゥーンでアクションが表現されることで、実写によるアクションもより迫力が増す効果があると同時に、ノワール的でクールな雰囲気のウェブトゥーンとずっこけキャラクターの実際のジュンたちのギャップが、さらなる笑いを誘います。
キム・イェシンは、ジュンが最初に描いていた駄作である『爆笑少林寺』と大反響を巻き起こした『暗殺要員 ジュン』との作品の描き分けも行っており、その部分も是非チェックしてみてください。
まとめ
監督のチェ・ウォンソブは、2009年の作品『私の愛、私のそばに』(パク・チンピョ)の脚色で認められ、短編映画『Fantastic Couple(英題)』で監督としてデビュー。コメディー映画で才能を発揮してきた監督として知られています。
今作も、「すべてをより面白くするためにはどうすれば良いか」とさらなる面白さを追求しながら脚本を書きあげました。
クォン・サンウ扮する主人公・ジュンと彼をとりまくキャラクターとの絶妙な掛け合いが笑いを誘い、何度も爆笑してしまうことでしょう。
韓国映画『ヒットマン エージェント:ジュン』は2020年9月25日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋他にて全国順次公開です。
次回のコリアンムービーおすすめ指南は…
次回もとびっきり面白い韓国映画をお届けする予定です。
お楽しみに。
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