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アニメ鬼滅の刃 遊郭編ネタバレ考察解説|三期刀鍛冶の里編の放送前に原作比較×オリジナル描写を振り返り【鬼滅の刃全集中の考察34】

  • Writer :
  • 薬師寺源次郎

連載コラム『鬼滅の刃全集中の考察』第34回

大人気コミック『鬼滅の刃』の今後のアニメ化/映像化について様々な視点から考察・解説していく連載コラム「鬼滅の刃全集中の考察」。

2021年12月5日より放送開始されたテレビアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』は、ファンたちの期待の高まりと比例し、放送回を重ねるごとに大きな反響を呼びました。そして2022年2月13日放送の第11話「何度生まれ変わっても」で感動のフィナーレを迎え幕を閉じました。

原作同様に高評価を得たアニメ『遊郭編』ですが、劇中では原作コミックにないオリジナルシーンや描写、漫画とアニメーションという媒体の違いによる表現の変更などが多々見られました。

本記事では、テレビアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』での原作コミックからの変更点、追加シーンをご紹介し解説・考察していきます。

【連載コラム】『鬼滅の刃全集中の考察』記事一覧はこちら

『遊郭編』テレビアニメと原作コミックスを徹底比較!


(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

アニメ『遊郭編』は原作コミックと比較すると様々な変更が見られ、原作からさらに深く踏み込んだ描写、原作で描き切れなかったものを補完する描写のほか、原作の小ネタを拾い上げることで原作ファンが思わずニヤリとしてしまう描写まで用意されていました。

今回はその中でも印象的だったものをご紹介していきます。

“現在の炭治郎”が垣間見える単独任務の戦い

第1話「音柱・宇髄天元」では炭治郎・善逸・伊之助が鍛錬に励む4ヶ月間について描かれていました。

原作コミックでは「無限列車編」を経た後、3人は鍛錬に励みながらも随時下される指令に従い、それぞれが単独で鬼を討伐しに向かう日々を送っていたことが言及されていましたが、その詳細な内容は描かれていませんでした。

しかしアニメ『遊郭編』では、単独で鬼を討伐しに向かう炭治郎の様子が描かれています。古びた寺で遭遇した、カマキリのような6本の腕を持った鬼を一刀のもとに倒す炭治郎の姿には、以前とは比べ物にならないほどの成長を感じさせ、煉獄の死に対し「強くありたい」と改めて決意し、血の滲む努力の結果が垣間見られる場面になっています。

その反面、鬼に対して「覚悟してくれ」と配慮を見せるなど、その心根は決して揺らいでいないことも感じられる“現在の炭治郎”を印象づける場面としても描かれています。

長きにわたって“口封じ”をしていた堕姫

第3話「何者?」冒頭の場面では、江戸時代の吉原で働く堕姫と思しき遊女が、別の遊女から客が失踪していることを詰問され、襖が閉まるとその遊女が消えてしまうという場面が登場。この場面も、原作コミックにはないアニメオリジナルの場面です。

また同じく3話では、堕姫が所属する萩本屋の楼主(いわば店主)が、かつて自身の祖母から「蕨姫花魁」こと堕姫とよく似た遊女がいた話を聞いたことがあると口にしてしまい、結果彼女に殺害されてしまう場面も描かれています。

こちらの場面は原作コミックでも登場するものの、テレビアニメ版では冒頭のオリジナルシーンと結びつくことで楼主の話が印象づけられ、堕姫の凶行が遠い昔から行われていたことをより強く伝わる演出となっています。

優しさが報われる善逸

アニメ劇中では、蕨姫花魁として振る舞う堕姫に厳しく当たられる少女を善逸が助ける場面が描かれています。

堕姫が上弦の鬼と知りながらも、見て見ぬふりはできずか弱い少女を助けようとした善逸ですが、かばった彼を偶然殴った堕姫は、失神するも受け身を取った善逸が鬼殺隊関係者であることに気づきます。

テレビアニメ版では堕姫に殴られ失神した善逸が、助けた少女たちの介抱を受け感謝を述べられる場面、そしてその直後に蚯蚓帯に拉致される場面が描かれています。

作中の登場人物の中では女好きとして知られる善逸ならではであった堕姫との対峙の場面ですが、テレビアニメ版では善逸の善意が報われる姿も描かれるとともに、原作コミックでは失神して以降、いつの間にか蚯蚓帯に拉致されていた善逸の足取りが分かるようになっています。

次回予告での「中高一貫!!キメツ学園物語 クリスマス編」

第3話の次回予告では「中高一貫!!キメツ学園物語 クリスマス編」が放映されました。こちらの内容は、公式ファンブックの4コマ漫画を基にしています。

禰豆子をクリスマスパーティーに招く善逸。なぜかパーティーでなく結婚式の準備が万端の中、クリスマスパーティーに呼ばれたことのない炭治郎・伊之助・冨岡が思い思いの格好をしてやってくるという内容ですが、冨岡のおちゃめな姿には大きな反響がありました。

炭治郎の不安と恐怖、それでも揺らがない決意

正体をあらわにした堕姫と対峙した炭治郎は、その強さに手も足も出ません。

“柱”である宇髄や、善逸・伊之助がいない中での戦いを強いられる中で、胸中では本当に戦えるのかと疑問を抱く炭治郎。しかし即座に「やれるかじゃない、やるんだ!」と自らを鼓舞し、戦意を高揚させます。こちらもテレビアニメ版オリジナルの描写となっています。

これまでも幾度となく繰り返してきた炭治郎の自身への鼓舞。

未だかつてない強敵に弱気になりそうな自信を叱咤し心を強く持とうとしていますが、額ににじむ脂汗や揺れる瞳からは、「無限列車編」での“無力感”の記憶が根底にある、相当の恐怖と不安も脳裏に浮かんでいることが想像できます。しかしそれでも、決して背を向けることはしない炭治郎の“心の強さ”もより強調されている場面でもあります。

宇髄と嫁たちの墓参り

第9話「上弦を倒したら」では宇髄と三人の嫁が、亡き宇髄の姉弟たちの墓参りをする場面が描かれています。

テレビアニメのOP映像では一人墓に参る宇髄の姿が登場していたため、ファンの間では「本編でも墓参りの場面が描かれるのは?」との声が多く上がっていました。

「生きてりゃお前らと飲む機会があったのかもな…」と呟く宇髄のどこか哀愁を感じさせる様子とは裏腹に、周囲は桜の花が咲き誇る穏やかな日和が描かれています。またその後、墓前で重箱を広げて食事を楽しむ宇髄と嫁たちのにぎやかな光景は、宇髄たちにとって幸せな思い出であったことを感じさせます。

まとめ


(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

テレビアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』の原作コミックとの比較・考察、いかがだったでしょうか。

大好評のうちに終了したアニメ『遊郭編』ですが、監督の外崎春雄は「原作のニュアンスを損なわないことを大切にする」と語った反面、「原作では描き切れなかったことをいかに原作のテイストで表現し、キャラクターの人格を補完できるかをやっていきたい」と語っています。

一見すると矛盾した内容を語っているように感じますが、実際にテレビアニメが放送されると、オリジナルシーンであっても違和感なく作品に溶け込み、多くのファンが絶賛していました。これも作品への深い理解と多様な表現を模索し続ける、外崎春雄の手腕だからこそ可能だったといえるでしょう。

そして最終話「何度生まれ変わっても」の放送直後、テレビアニメ第3期にあたる『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』の製作も発表されました。

“霞柱”時透無一郎、“恋柱”甘露寺蜜璃が満を持して登場する一方で、さらに激化を極めていく上弦の鬼たちとの戦いが描かれる「刀鍛冶の里編」のアニメ化が待ち遠しいと同時に、“テレビアニメ”『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』がどのような作品となるのか、外崎春雄の手腕に期待です。





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