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Entry 2022/01/18
Update

遊郭編7話ネタバレ|妓夫太郎声優は逢坂良太!感想と考察解説×原作登場シーンとの比較も【鬼滅の刃全集中の考察32】

  • Writer :
  • 薬師寺源次郎

連載コラム『鬼滅の刃全集中の考察』第32回

大人気コミック『鬼滅の刃』の今後のアニメ化/映像化について様々な視点から考察・解説していく連載コラム「鬼滅の刃全集中の考察」。

2021年12月5日より放送開始されたテレビアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』では、2022年1月16日放送の第7話「変貌」にて、もう一人の“上弦の陸”妓夫太郎がついに本編へ登場。戦いは新たな展開を迎えます。

本記事では、満を持して登場した妓夫太郎がアニメにてどのような活躍を見せ、どのように描かれたのかを原作コミックと比較しつつ解説・考察。妓夫太郎役を務める声優・逢坂良太の演技とあわせてご紹介します。

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アニメ『鬼滅の刃 遊郭編』原作コミックとの比較解説・考察


(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

ついに本編へ登場した妓夫太郎。アニメということもあり、原作コミックにはなかった場面や描写も新たに追加されており、より不気味な妓夫太郎を演出しています。

アニメ版における妓夫太郎の本編初登場回となった第7話「変貌」劇中にて確認できた、妓夫太郎に関する様々な描写・演出の違いを解説・考察していきます。

全貌が明らかになった不気味な容姿

アニメ『遊郭編』OP映像には一瞬、妓夫太郎が姿が映る場面がありますが、陰に隠れその全貌を確認することはできませんでした。しかし第7話での本編での登場によって、その姿が余すところなく明らかになりました。

特徴的な緑色の髪や虚ろな黄色い目、病的な印象を与える灰色がかった肌の色など、極度の痩躯から元々不気味な印象を与える容姿であった妓夫太郎がアニメ化にあたって、さらに不気味さを感じられる姿となっていました。

また妓夫太郎の武器である鎌の色も、原作コミックでのカラーイラスト以上に「赤」が強調された配色となっており、より血液を連想するものとなっていたのも視聴者の目を引いたのではないでしょうか。

「未知の恐怖」が強調された初登場シーン

泣きじゃくる堕姫の呼び声に応じ現れる妓夫太郎は、堕姫の体から分かれるように登場しています。その点は原作コミックと同様ですが、アニメでは堕姫の影が不気味に動き、妓夫太郎の姿が見え始めるという演出で描かれています。

この影が蠢くカットは、得体のしれない“何か”が現れるという印象を強く与え、直後現れる未知の存在である妓夫太郎の不気味さをより強調しているように感じられるものでした。

また宇髄の斬撃を避け、堕姫を労わりながらも彼女の頸をくっつけようとする場面においては、堕姫の頭をなでる描写が加えられており、のちに語られることになる妓夫太郎と堕姫の兄妹の絆が垣間見える場面となっています。

さらにその後の宇髄を攻撃する場面でも、自身の皮膚を搔きむしった際にできた傷が瞬く間に癒える描写も追加されていました。

血鬼術・飛び血鎌の演出

妓夫太郎が血鬼術“血鎌”の技の一つ「飛び血鎌」を発動させる場面では、鎌の柄を握りしめる妓夫太郎の手から血が滲み滴り、柄を伝って刃へと至る描写。そして振り回す鎌から滴る血がつながって帯のように見える描写が新たに追加されています。

鬼の血を媒介として術を発動する血鬼術“血鎌”ですが、妓夫太郎以前までに本編へ登場した鬼の表現では、あまり「血」が多用されることはありませんでした。しかしこの「飛び血鎌」は血そのものを刃状にして飛ばす技であることからも、この「血」の表現をより細かく描写することで技のインパクトをより強調していました。

また一度は「飛び血鎌」を機転によって回避した宇髄に向け、妓夫太郎が再び「飛び血鎌」を差し向ける場面では、空中に滞留し、まるで生き物のようにうねっている血が突如暴れだしたかのように動き出したのち、宇髄に向かっていくように描かれていました。

こちらも原作コミックにはない演出ですが、技のインパクトをより鮮明にするのはもちろん、新たな脅威である妓夫太郎の血鬼術“血鎌”の底知れなさ、未知数さをさらに強調しているといえます。

妓夫太郎役は声優・逢坂良太!

嫉妬心が生み出す妓夫太郎の狂気を見事に怪演

これまで公式でも妓夫太郎のCVは明らかにされず様々な推測が飛び交っていましたが、第7話「変貌」での妓夫太郎の本編参戦により、声優の逢坂良太が担当することが明らかに。

逢坂良太は2011年から声優活動を開始し、テレビアニメ『つり球』の真田ユキ役で初主演を飾ると『はたらく魔王さま!』の真奥貞夫役や『赤髪の白雪姫』ゼン・ウィスタリア・クラリネス役、「ハイキュー!!」シリーズの赤葦京治役など多くの人気作・話題作で主要キャラを演じています。

演技の傾向としては透明化のある声質に定評があり、十代後半から二十代前半のキャラクターを多数担当している他、中でも「明るく前向きな好青年」といったイメージのキャラクターを多く演じています。

しかしアニメ『遊郭編』で演じる妓夫太郎は、これまでの逢坂良太の演技の傾向からは想像しにくいキャラクターだったため、多くのファンが妓夫太郎のCV予想をする中で、逢坂良太の名はほとんど挙がらなかったようでした。

ところが、実際に妓夫太郎を演じる逢坂良太の声を聞いてみると、本来の透明感ある声質にビブラートを加え、持ち前の演技力で抑揚をつけることで、これまでの逢坂良太の印象にないキャラクター像を生み出しています。

この逢坂良太の演技から、持ち前の声質に抑揚をつけた話し方で病的にやせ細った体の妓夫太郎から感じられる視覚的な弱弱しさを現し、ビブラートを効かせた演技と、どこか不自然な拍子を付けたセリフ運びで妓夫太郎が抱くあらゆるものへの嫉妬心を感じることができます。

結果、妓夫太郎が持つ得体の知れなさ、言い知れぬ恐ろしさを表現しており、キャラクターのイメージを見事に声で表しているように感じられます。

まとめ

テレビアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』の第7話「変貌」にて妓夫太郎が本編へ登場したことで、ついに『遊郭編』での鬼との戦い……炭治郎らにとっては二度目となる“上弦”の鬼との戦いも新たな段階へと突入しました。

それは裏を返せば、戦いがこれまで以上に激しさを増していくということに他ならず、数多のバトルシーンがアニメ化にあたってどのように描かれるのか、ファンの期待もさらに高まるばかりです。

大半の予想を覆して妓夫太郎役に起用された逢坂良太の熱演も物語に花を添え、今後アニメ本編にて妓夫太郎がどのような姿を見せてくれるのか、非常に楽しみなところです。




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