連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile022
「これは私の友達の友達から聞いた話しなんだけど……」。
そんな言葉から始まる「都市伝説」を、皆さんも人生の中で何回か聞いたことがあるはずです。
今回はそんな「都市伝説」と映画の繋がりを、最も「都市伝説」との因果関係の強い「SF」映画を使いご紹介していこうと思います。
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そもそも「都市伝説」とは?
「都市伝説(urban legend)」とは、例えるならば根拠の無い噂話のようなものであり、発信源が定かでなかったり、人から人へ伝わるうちに尾びれ背びれが付き全く別の話しになったりするなど、様々な特徴があります。
一昔前までは口承での伝達がメインでしたが、インターネットの発展に合わせSNSや掲示板などによる爆発的な情報の広がりにより、日本での「都市伝説」も形を変えていきます。
「口裂け女」や「トイレの花子さん」と言った「怪談」に近い「都市伝説」がバカにされ始める一方で、「この先、日本国憲法は適用しません」と言う看板があるとされる「犬鳴村伝説」や、アメリカでネコを電子レンジで温め死なせてしまった人がメーカーを訴えたとされる「都市伝説」はその存在を否定されているにも関わらず、今もなお信じている人が一定数いる事実もあります。
このように、海外や僻地のような「確認しにくい場所で起きたこと」は、それなりの真実味さえあれば信じてしまうことが多く、現代でもSNSを中心に様々な「都市伝説」は創造され、情報社会の中でパンデミックを起こし身近な存在になっています。
「SF」映画に関する「都市伝説」
多種多様な説のある「都市伝説」ですが、当然映画にまつわる「都市伝説」も数多くあります。
『となりのトトロ』(1988)の「サツキとメイの死亡説」などが日本では有名ですが、海外でも何年経っても議論の終わることのない「都市伝説」が存在します。
スティーヴン・スピルバーグと「都市伝説」
「インディ・ジョーンズ」シリーズや「ジュラシック・パーク」シリーズを手掛けた映画界の巨匠、スティーヴン・スピルバーグ。
実は彼にはある有名な「都市伝説」があります。
『未知との遭遇』(1977)や『E.T.』(1982)など、人類に対し「友好的な宇宙人像」をいち早く作り出したスピルバーグは、アメリカでは宇宙人は実在し、その存在を知る政府から依頼され、友好的な宇宙人が登場する映画を制作したと言うエピソードが長い間多くの人間に支持されています。
『E.T.』の試写を大統領に真っ先に見せたことなどがこの噂の引き金とも言われていますが、「当時では考えられなかったアイデア」の数々が突拍子もない説にすら現実味を与えたと考えると、彼の才能がいかにずば抜けていたのかが伺えます。
映画にまつわる「都市伝説」はなぜ多いのか
では、何故映画にまつわる「都市伝説」は多いのでしょうか。
前述したように「都市伝説」には「真実を確認しにくいこと」と言う重要な条件があります。
映画人と言えば、いわば雲上の存在でもあり、制作秘話や過程などの「真実」は関係者以外の人に確認できるものではありません。
それゆえに、様々な憶測が鑑賞者の中で生まれ、理屈的に合点の行く説があたかも「真実」として広まっていくのです。
「都市伝説」を映像化したSF映画
映画に関する様々な「都市伝説」が飛び交う一方で、映画業界も逆に様々な「都市伝説」を映画化しています。
今回は具体的な「都市伝説」をモチーフにした「SF」映画を2作ほどご紹介させていただきます。
『メン・イン・ブラック』(1997)
UFOや宇宙人の目撃現場に現れる「黒服の男たち」の「都市伝説」を実写映画化した『メン・イン・ブラック』(1997)。
ウィル・スミスを主演とし大ヒットした今作では、一般市民には隠されているが「宇宙人」との交流が裏では行われている世界が描かれ、「宇宙人」と言う噂のあったマイケル・ジャクソンが2作目にカメオ出演するなど積極的に「都市伝説」をパロディとして用いました。
日本の「怪談」のように、アメリカでは「宇宙人」や「UMA」などの目撃例は後を絶たず、人を引き付けて離さない「都市伝説」のロマンと、映画としての面白味が上手く融合した作品として世界中で愛されているシリーズです。
『トゥモローランド』
全世界で大人気のテーマパークである「ディズニーランド」にはたくさんの「都市伝説」があります。
2015年に公開されたジョージ・クルー二―主演映画『トゥモローランド』は、その直接の実写化と言うわけではありませんが、ディズニーランドには会員限定の秘密の空間が存在するやイッツ・ア・スモール・ワールドには別ルートがあるなど、序盤の数分だけで「ディズニーランド」にまつわる様々な「都市伝説」を夢いっぱいに描いています。
アンドロイドと人間の長い恋物語、破滅に向かう地球、隠された秘密の都市など「SF」としての魅力もエンタメ性も抜群の作品であり「ディズニーランド」が大好きな人や「ディズニーランドの都市伝説」が大好きな人におススメです。
まとめ
「都市伝説」の多くは突拍子もない説が多く、映画化の際にもジョーク交じりであることが多いのですが、アメリカにはある有名な「都市伝説」の1つの説があります。
それは、軍事基地「エリア51」は最新秘密兵器の実験場であり、「UFO」や「宇宙人」の目撃証言は秘密兵器の開発を隠すために基地側がわざと流した噂だったと言うものです。
その説を逆手に取れば、『メン・イン・ブラック』では「黒服の男たち」を、『トゥモローランド』では「ディズニーランドの秘密の空間」を監督に面白おかしく描かせることで、何かの存在を隠しているのではないか、とも思えます。
実は我々が気が付いていないだけで現実には宇宙人たちが身近に潜み、ディズニーランドには会員限定の秘密の空間があるのかもしれませんね。
次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…
いかがでしたか。
次回のprofile023では、11月23日(金)公開の最新映画『イット・カムズ・アット・ナイト』(2018)の魅力と、作中で描かれる「閉塞的な恐怖」の演出についてご紹介させていただきます。
11月14日(水)の掲載をお楽しみに!