連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile122
復活を求める声が多く、2018年に復活した「シッチェス映画祭 ファンタスティック・セレクション」。
新型コロナウイルスの影響で開催を危ぶまれていましたが、今年も10月末より開催が決定。
今回は「シッチェス映画祭 ファンタスティック・セレクション2020開催記念特集」第1弾として、ロブ・ゾンビ監督による最新スプラッタホラー映画『スリー・フロム・ヘル』の魅力をご紹介させていただきます。
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CONTENTS
映画『スリー・フロム・ヘル』の作品情報
【原題】
3 from Hell
【公開】
2020年(アメリカ映画)
【監督】
ロブ・ゾンビ
【キャスト】
ビル・モーズリイ、シェリ・ムーン・ゾンビ、リチャード・ブレイク、ダニー・トレホ、エミリオ・リヴェラ、シド・ヘイグ
『スリー・フロム・ヘル』のあらすじ
警官隊による銃撃を受け死亡したとされていた殺人鬼ファイアフライ一家が奇跡的に息を吹き返します。
司法の捌きにより死刑判決を受けたファイアフライ一家でしたが、オーティス・ドリフトウッド(ビル・モーズリイ)が脱走したことで再び惨劇が巻き起こり……。
過激に復活した殺人逃亡劇
映画『スリー・フロム・ヘル』は、アメリカでミュージシャンとして活躍するロブ・ゾンビが初監督として手掛けた映画「マーダー・ライド・ショー」シリーズの3作目にあたる作品。
2005年に製作された『デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2』(2006)で「死亡したとされた殺人鬼ファイアフライ一家が実は生きていた」と言う力強い文言で、本シリーズもキャストを引き継ぎ14年ぶりに再復活を果たしました。
ファイアフライ一家の殺人鬼オーティスとベイビーに新たにフォキシーを加えた3人の殺人逃亡劇は前作に比べより凄惨で、それでいて陽気に進んでいくことになります。
悪ノリと理不尽な暴力を極めたシリーズ
ロブ・ゾンビが『悪魔のいけにえ』(1975)や『サランドラ』(1984)などの1970年代のアメリカホラー映画に触発されて製作した『マーダー・ライド・ショー』(2004)は、「田舎町のアトラクションを訪ねた若者たちが殺人鬼一家に襲われる」と展開だけを見れば「ホラー」ジャンルとしてお馴染みの物語でした。
しかし、他のシリーズと大きく違うのは「殺人鬼ファイアフライ一家」の特殊性にあります。
シド・ヘイグ演じるキャプテン・スポールディングを父とするファイアフライ一家は、家族全員が猟奇殺人鬼であると同時にそれぞれの猟奇的な心理がシリーズを通し描かれるため、「殺人鬼」でありながらその猟奇的な「人間性」をしっかりと感じることが出来ます。
殺人鬼一家に生まれ子供のような純粋な猟奇性を持つ長女のベイビー、サディスティックで家族一の暴力性を持つオーティス、そして殺人鬼でありながら家族を束ねる苦労を垣間見えさせるキャプテン・スポールディング。
殺人鬼たちを知性を持たないモンスターではなくあくまでも人間として描くことで、シリーズの持つ「悪ノリ」と「理不尽な暴力」がより際立っていると言えます。
新たな殺人の舞台はメキシコへ
シリーズ3作目となる『スリー・フロム・ヘル』では、オーティスとベイビー、そしてフォキシーが逃亡劇の末にメキシコへたどり着きます。
暴力が支配するメキシコの街に足を踏み入れた「より暴力的な一家」。
その街でベイビーは自身の人生を変えかねない新たな出会いを果たします。
ロブ・ゾンビが目指した「お化け屋敷」を意識した1作目と異なり、2作目以降は「殺人鬼」を野に放つことでその暴力性を使った物語を展開させています。
しかし、3作目となる本作は「殺人鬼」の暴力性に焦点を当てているだけでなく、恋愛映画やアクション映画のようなエンターテイメント性をも取り込んでおり、シリーズに新たな面白味を増していました。
シリーズを支えた偉大な俳優
本シリーズで殺人鬼ファイアフライ一家のリーダーとも言えるキャプテン・スポールディングを演じたシド・ヘイグは、2019年9月にこの世を去りました。
ピエロメイクが特徴的であったキャプテン・スポールディングは近年のホラー映画のアイコンと呼ばれるほどに根強い人気を誇っており、シド・ヘイグは間違いなく本シリーズを支えた立役者と言えます。
『スリー・フロム・ヘル』にもシド・ヘイグは出演しており、短い登場時間ながら圧倒的な存在感を見せつけてくれます。
本作にはさらに人気俳優ダニー・トレホが友情出演を果たしており、一瞬の出演シーンではっきりとダニー・トレホと認識できる彼ならではの役どころとなっています。
ベイビーとオーティスを演じたシェリ・ムーン・ゾンビとビル・モーズリイの猟奇的な演技も相変わらず冴えわたる最新作です。
まとめ
シリーズファンが待ちわびた「マーダー・ライド・ショー」シリーズ最新作『スリー・フロム・ヘル』。
本作は「シッチェス映画祭 ファンタスティック・セレクション2020」において劇場で公開予定。
「シッチェス映画祭 ファンタスティック・セレクション2020」はヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田、シネマスコーレ(名古屋)の3劇場で開催予定。
日程をご確認の上、ぜひ会場に足を運んでみてください。
次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…
いかがでしたか。
次回のprofile123では、引き続き「シッチェス映画祭 ファンタスティック・セレクション2020開催記念特集」として、ロシアのスプラッター映画『とっととくたばれ』(2020)をご紹介させていただきます。
10月6日(水)の掲載をお楽しみに!
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